リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

個人的に気になった最新論文約30選の要約(2021.9)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!

論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。

日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。

癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。

 

【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。

それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。

 

今回は2021年9月分を。50取り上げております。

 

 

☆抗糖尿病薬

①「長時間作用型インスリン投与にてHbA1c値が6.8~8.5%の2型糖尿病の成人を対象に、長時間作用型インスリン単独(LA)群と長時間作用型+短時間作用型インスリン群(LA+SA)群の有効性を比較した後ろ向きコホート研究(n=57,278;平均年齢60.6歳;男性53.6%;追跡期間の平均4年)。LA+SA群は、LA群に比べて全死亡率が高く(HR 1.27;95%CI:1.05-1.49)、急性心筋梗塞のリスクが低く(HR 0.89;95%CI:0.81-0.97)、うっ血性心不全、脳卒中、心血管死亡のリスクとは関連しなかった。」

Association of Cardiovascular Outcomes and Mortality With Sustained Long-Acting Insulin Only vs Long-Acting Plus Short-Acting Insulin Treatment

JAMA Netw Open . 2021 Sep 1;4(9):e2126605.

PMID: 34559229

【フリー】

 

②「DPP4iの水泡性類天疱瘡発症リスクの時間依存的変化を評価した日本のデータベースを利用したコホート研究。中央値1,540日にわたって追跡されたコホートのうち、53,027人の患者がBPを発症する可能性があった。全150,328,339人の患者におけるBPの可能性のある発生率は10.4/100,000人年であった。2型糖尿病患者におけるBPの可能性のある発症率は38.1/10万人年であったが、DPP-4iを使用した2型糖尿病患者と使用しなかった2型糖尿病患者の発症率はそれぞれ40.7/10万人年、30.0/10万人年であった。DPP-4iの初回使用後にBPを発症する可能性のある2型糖尿病患者28,705人を解析した結果、服用期間30日以下、31日~60日、61日~90日、91日~120日、121日~150日、151日~180日、181日~365日の場合でそれぞれリスク比は2.15(95%CI:1.75-2.63)、1.70(95%CI:1.37-2.11)、1.44(95%CI:1.15-1.82)、1.25(95%CI:0.98-1.59)、0.84(95%CI:0.63-1.10)、0.84(95%CI:0.64-1.11)、1.05(95%CI:0.92-1.20)であった。」

Association between dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and increased risk for bullous pemphigoid within 3 months from first use: A 5-year population-based cohort study using the Japanese National Database

J Diabetes Investig . 2021 Sep 24.

PMID: 34559464

【フリー】

 

③「SGLT2iとGLP-1RAの併用療法の有効性を評価するために、CVDを有する成人2型糖尿病患者(n=52,901)とCVDを有しない成人2型糖尿病患者(n=133,139)を1対1にて傾向スコアマッチングしたコホート研究。SGLT2iとGLP-1RAの併用療法の開始は、CVD患者のMIまたは脳卒中のリスクをわずかに低下させたが(HR 0.90;95%CI:0.82-0.98;率差(RD) -2.47;95%CI:-4.45 to -0.50),CVDを持たない患者では同程度のリスクであった(HR 1.07;95%CI:0.97-1.18;RD  0.38;95%CI:-0.30 to 1.07)。また、CVD患者(HR 0.71;95%CI:0.64-0.79;RD -4.97;95%CI:-6.55 to -3.39)およびCVDなしの患者(HR 0.69;95%CI:0.56-0.85;RD -0.58:95%CI:-0.91 to -0.25)の心不全入院リスクの低下と関連していた。」

Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors Versus Glucagon-like Peptide-1 Receptor Agonists and the Risk for Cardiovascular Outcomes in Routine Care Patients With Diabetes Across Categories of Cardiovascular Disease

Ann Intern Med . 2021 Sep 28.

PMID: 34570599

【アブストのみ】

 

④「メトホルミンによるコントロールが不十分な2型糖尿病患者(HbA1c 8.0~10.0%)における週1回投与のセマグルチド2.0mg(n=480)と1.0mg(n=481)の有効性と安全性を検討したRCT(n=961;平均年齢58歳;女性41%;ベースラインのHbA1cの平均値8.9%)。40週目のベースラインからのHbA1cの平均変化量は、セマグルチド2.0mg群-2.1%、セマグルチド1.0mg群-1.9%(推定治療差(ETD) -0.18%;95%CI:-0.31 to -0.04)。40週目のベースラインからの体重変化の平均値は、セマグルチド2.0mg群-6.4kg、セマグルチド1.0mg群-5.6kg(ETD -0.77kg;95%CI:-1.55 to 0.01)であった。最も多く報告された有害事象は胃腸障害であった(2.0mg群34%、1.0mg群31%)。」

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide 2·0 mg versus 1·0 mg in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN FORTE): a double-blind, randomised, phase 3B trial

Lancet Diabetes Endocrinol . 2021 Sep;9(9):563-574.

PMID: 34293304

【アブストのみ】

 

⑤「GLP1-RAのプラセボと比較しての心血管イベントへの有効性を検討したRCTのメタ解析(7試験;n=56,004)。GLP-1 RAは、MACE(RR 0.89;95%CI:0.83~0.95)、心血管死(RR 0.88:95%CI:0.81~0.95)、非致死性脳卒中(RR 0.85;95%CI:0.77~0.95)を減少させたが、非致死性MIを減少させなかった(RR 0.91;95%CI:0.81~1.02)。」

Usefulness of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists to Reduce Adverse Cardiovascular Disease Events in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus

Am J Cardiol . 2021 Sep 1;154:48-53.

PMID: 34266665

【アブストのみ】

 

⑥「2型糖尿病患者の心血管危険因子、微小血管および大血管合併症、死亡率、有害事象に対するGLP1RAの長期的な効果を、プラセボや他の抗血糖薬と比較したRCTのメタ解析(45試験;n=71,517;平均追跡期間1.7年)。GLP1RAはプラセボと比較して心血管危険因子である、微小血管合併症(腎イベントを含む;RR 0.85;95%CI:0.80-0.90)、大血管合併症(脳卒中を含む;RR 0.86;95%CI:0.78-0.95)、および死亡率(RR 0.89; 95%CI:0.84-0.94)を減少させた。他の抗血糖薬と比較して、GLP1RAは心血管危険因子のみを減少させた。」

The Longer-Term Benefits and Harms of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists: a Systematic Review and Meta-Analysis

J Gen Intern Med . 2021 Sep 10.

PMID: 34508290

【アブストのみ】

 

 

☆抗凝固/抗血小板薬

⑦「DOACとP-gp/CYP3Aを阻害/誘導する薬剤の併用による(i)重篤な出血イベント、(ii)脳卒中/全身性塞栓症、(iii)血栓塞栓症患者における再発血栓塞栓症のリスクを各症例最大20名の対照群とマッチさせ評価。重篤な出血のリスクは、P-gp/CYP3A4阻害剤の同時処方に関連して増加した(ダビガトランとベラパミル:OR 2.29;95%CI:1.13-4.60、リバーロキサバンとベラパミル:OR 2.18;95%CI:1.07-4.40、リバーロキサバンとアミオダロン:OR 1.68;95%CI:1.14-2.49)。脳卒中/全身性塞栓症は、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、レベチラセタムの併用にて上昇した(調整後OR 2.18;95%CI:1.55-3.10)。」

Association Between Use of Pharmacokinetic-Interacting Drugs and Effectiveness and Safety of Direct Acting Oral Anticoagulants: Nested Case-Control Study

Clin Pharmacol Ther . 2021 Jul 19.

PMID: 34287842

【フリー】

 

⑧「AFを有する頭蓋内出血の既往者に対してOAC開始の有効性と安全性を検討した非盲検RCT(n=203;OAC群n=101,非OAC群n=102;頭蓋内出血発症後中央値115日;追跡期間の中央値1.2年;非劣性マージン12%)。OAC群は、非OAC群比べて頭蓋内出血に対して非劣性ではなかった(8% vs 4%;調整後HR 2.42;95%CI:0.72-8.09)。試験期間中に死亡したのはOAC群22%、非OAC群11%であった。」

Effects of oral anticoagulation for atrial fibrillation after spontaneous intracranial haemorrhage in the UK: a randomised, open-label, assessor-masked, pilot-phase, non-inferiority trial

Lancet Neurol . 2021 Oct;20(10):842-853.

PMID: 34487722

【アブストのみ】

 

⑨「DOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)をワルファリンとの心房細動の高齢者(66歳以上の2万人を対象)におけるAKIのリスクを評価したコホート研究。DOACはワルファリンと比較してAKIのリスクを有意に低下させた(ダビガトランの加重HR 0.65;95%CI:0.53~0.80、リバーロキサバンの加重HR 0.85;95%CI:0.73~0.98、アピキサバンの加重HR 0.81;95%CI:0.72~0.93)。」

The Risk of Acute Kidney Injury with Oral Anticoagulants in Elderly Adults with Atrial Fibrillation

Clin J Am Soc Nephrol . 2021 Oct;16(10):1470-1479.

PMID: 34407990

【アブストのみ】

 

⑩「病的肥満患者の心房細動またはVTEに対するDOACまたはVKAの有効性および安全性を評価するために行われたメタ解析。体重120kg以上、肥満度40kg/m2以上、または病的肥満に分類される成人患者で、心房細動またはVTEに対してDOACまたはVKAの投与を受けた患者(3つのRCTおよび18の観察研究;n=77,687)を対象。脳卒中/全身性塞栓症の発生率は、VKAが1.18/100人年であったのに対し、DOACは1.16/100人年であった。また、VTEの再発率は、VKAでは6.81/100人年であったのに対し、DOACでは3.83/100人年であった。VTE患者とAF患者の両方において、DOACはVKAと比較して大出血のリスクが低いことが示された。」

Oral Anticoagulant Use in Patients with Morbid Obesity: A Systematic Review and Meta-Analysis

Thromb Haemost . 2021 Aug 16.

PMID: 34399433

【アブストのみ】

 

⑪「ACS患者のDAPTの有効性と安全性を検討したRCTのネットワークメタ解析(15試験;n=55,798)。De-escalation療法は重大な有効性に影響を及ぼすことなく、重大な出血アウトカムのリスク低減と関連していた(クロピドグレル-HR 0.48;95%CI:0.30-0.77、チカグレロル-HR 0.32;95%CI:0.20-0.52、標準用量のプラスグレル-HR 0.36;95%CI:0.24-0.55、低用量のプラスグレル-HR 0.40;95%CI:0.22-0.75)。」

De-Escalation of Dual Antiplatelet Therapy in Patients With Acute Coronary Syndromes

J Am Coll Cardiol . 2021 Aug 24;78(8):763-777.

PMID: 34275697

【アブストのみ】

 

⑫「静脈血栓塞栓症(VTE)の治療におけるアピキサバン(n=34,201)とリバーロキサバン(n=46,007)の有効性と安全性を比較したコホート研究。アピキサバンはリバーロキサバンと比較して、非頭蓋内出血(sHR 0.560;95%CI:0.423-0.741)、再発性VTE(sHR 0.802;95%CI:0.651-0.988)の減少と関連していたが、ICHのリスクは減少しなかった。アピキサバン投与患者の緊急出血の要因としては、高齢(sHR 1.025;95%CI:1.011-1.039)、女性(sHR 1.662:95%CI:1.252-2.207)などが挙げられた。」

Hemorrhage risk of direct oral anticoagulants in real-world venous thromboembolism patients

Thromb Res . 2021 Aug;204:126-133.

PMID: 34198049

【フリー】

 

 

☆循環器関連(抗凝固/抗血小板薬以外)

⑬「クラス1C抗不整脈薬(AAD)であるフレカイニドの心筋梗塞の既往のない冠動脈疾患(CAD)患者の心房細動(AF)に対しての安全性を検討した観察研究。(1)CADを有する心房細動患者をAADのクラスに基づいて傾向マッチング(フレカイニド群n=1,114、クラス-3 AAD群n=1,114)、(2)PCIまたは冠動脈バイパスグラフトを受けたAF患者(フレカイニド群n=150、クラス-3 AAD群n=1,453)。集団(1)では、3年後の死亡率(9.1% vs 19.3%;P < 0.0001)、心不全入院(12.5% vs 18.3%;P < 0.0001)、MACE(22.9% vs 36.6%;P < 0.0001)、心室頻拍(5.8% vs 8.5%;P = 0.02)の発生率はフレカイニド群が有意に低かった。集団(2)では、死亡率(20.9% vs 25.8%;P=0.26)、心不全入院(24.5% vs 26.1%;P=0.73)、心室頻拍(10.9% vs 14.7%;P=0.28)、MACE(44.5% vs 49.5%;P=0.32)の発生率はクラス3 AAD群とフレカイニド群は同等であった。」

Long-term outcomes in patients treated with flecainide for atrial fibrillation with stable coronary artery disease

Am Heart J . 2021 Sep 16;S0002-8703(21)00211-8.

PMID: 34537183

【アブストのみ】

 

⑭「高齢者における血圧降下療法の心血管アウトカムに及ぼす影響を検討するために行われた、血圧降下薬とプラセボや他のクラスの血圧降下薬との比較、あるいはより強力な治療戦略とより強力でない治療戦略との比較を行ったRCTのメタ解析(51試験;n=358,707;年齢の中央値65歳;55歳未満12.0%、55~64歳35.8%、65~74歳35.8%、75~84歳15.1%、85歳以上1.3%)。各年齢層における収縮期血圧の5mmHg低下あたりの主要な心血管イベントのリスクのハザード比は、55歳未満で0.82(95%CI:0.76-0.88)、55-64歳で0.91(95%CI:0.88-0.95)、65-74歳で0.91(95%CI:0.88-0.95)、75-84歳では0.91(95%CI:0.87-0.96)、85歳以上では0.99(95%CI:0.87-1.12)であった。拡張期血圧の3mmHg低下でも比例的なリスク低下のパターンは同様であった。」

Age-stratified and blood-pressure-stratified effects of blood-pressure-lowering pharmacotherapy for the prevention of cardiovascular disease and death: an individual participant-level data meta-analysis

Lancet . 2021 Sep 18;398(10305):1053-1064.

PMID: 34461040

【フリー】

 

⑮「デジタル治療薬の有効性を検討するために、高血圧症(SBP 140~180mmHg;24時間SBP≧130mmHg)の患者を、デジタル治療薬群(HERBシステム+標準的な生活習慣の改善)(n=199)と対照群(標準的な生活習慣の改善のみ)(n=191)に割り付けた非盲検RCT。12週間後の24時間外来、自宅、オフィスでのSBPのグループ間差は、それぞれ-2.4(95%CI:-4.5 to -0.3)、-4.3(95%CI:-6.7 to -1.9)、-3.6(95%CI:-6.2 to -1.0)mmHgだった。」

Efficacy of a digital therapeutics system in the management of essential hypertension: the HERB-DH1 pivotal trial

Eur Heart J . 2021 Aug 29;ehab559.

PMID: 34455443

【フリー】

 

⑯「AFにおける無症候性患者(EHRAスコアI)と症候性患者における早期リズムコントロール療法の効果を比較したRCT(n=2,633;平均年齢71.3歳;女性37.5%)。主要評価項目は、心血管疾患による死亡、脳卒中、心不全または急性冠症候群の悪化による入院の複合とした。ベースラインで30.4%(n=801)の患者が無症候性であった。早期リズムコントロールに無作為に割り付けられた無症候性患者(n=395)は、症候性患者と比較して、同様のリズムコントロール治療を受けた。抗凝固療法や心血管疾患の合併治療は,症候性患者と無症候性患者で差がなかった。主要アウトカムは、早期リズムコントロールに無作為に割り付けられた無症候性患者20%と、通常ケア(n=406)に無作為に割り付けられた患者23.9%で発生し(HR 0.76;95%CI:0.6-1.03)、症候性患者とほぼ同じであった。24ヵ月後の追跡調査では、症状の変化は無作為化群間で差がなかった(P=0.19)。」

Systematic, early rhythm control strategy for atrial fibrillation in patients with or without symptoms: the EAST-AFNET 4 trial

Eur Heart J . 2021 Aug 27;ehab593.

PMID: 34447995

【フリー】

 

 

☆抗菌薬/感染症関連

⑰「標準治療を受けているCOVID-19の入院患者を1日1回バリシチニブ(4mg)(n=764)またはプラセボ(n=761)を最大14日間投与する群に割り付けたRCT(n=1,525)。標準治療には、デキサメタゾンなどの全身性コルチコステロイドとレムデシビルなどの抗ウイルス剤が含まれていた。バリシチニブ投与群の27.8%、プラセボ投与群の30.5%に主要評価項目(28日目までに高流量酸素、非侵襲的人工呼吸、侵襲的機械的人工呼吸、または死亡の複合)が発生した(OR 0.85;95%CI:0.67~1.08;絶対リスク差は-2.7%;95%CI:-7.3~1.9)。28日目の全死亡率は、バリシチニブ投与群で8%、プラセボ投与群で13%(HR 0.57;95%CI:0.41-0.78)。重篤な有害事象(バリシチニブ群15%、プラセボ群18%)、重篤な感染症(9% vs 10%)、静脈血栓塞栓症(3% vs 3%)の発生頻度は両群間で同程度であった。」

Efficacy and safety of baricitinib for the treatment of hospitalised adults with COVID-19 (COV-BARRIER): a randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled phase 3 trial

Lancet Respir Med . 2021 Aug 31;S2213-2600(21)00331-3.

PMID: 34508656

【フリー】

 

⑱「COVID-19の感染が確認または疑われて48時間以上入院した患者を対象にレムデシビルの有効性を検討した後ろ向き観察研究(n=2,607名;レムデシビル群n=438名、非投与群n=2,169名;年齢の中央値は65歳;男性58%)。主要アウトカムである30日後の死亡率は10.7%であり、レムデシビルによる治療は独立して死亡率の低下と関連していた(OR 0.382;95%CI:0.218-0.671)。」

Impact of remdesivir according to the pre-admission symptom duration in patients with COVID-19

J Antimicrob Chemother. 2021;dkab321.

PMID: 34473275.

【フリー】

 

⑲「COVID-19にて入院中で、低酸素性肺炎または酸素補給が必要な患者を対象とし、レムデシビル併用(n=429)の有用性を標準治療(n=428)と比較したRCT(n=857)。15日目のWHOの序列尺度の分布は (1)入院していない&活動制限なし(レムデシビル群15% vs 対照群17%、(2)入院していない&活動制限あり(31% vs 32%)、(3)入院しているが補助酸素を必要としない(12% vs 7%)、(4)補助酸素を必要とする入院(18% vs 16%、(5)非侵襲的人工呼吸または高流量酸素装置を使用する入院(4% vs 3%)、(6)侵襲的人工呼吸または体外式膜酸素療法を使用する入院(15% vs 19%)、(7)死亡(5% vs 6%)となり、治療群間の差は有意ではなかった(オッズ比 0.98;95%CI 0.77-1.25)。重篤な有害事象の発生については治療群間で有意な差はなかった(レムデシビル群33% vs 対照群31%)。」

Remdesivir plus standard of care versus standard of care alone for the treatment of patients admitted to hospital with COVID-19 (DisCoVeRy): a phase 3, randomised, controlled, open-label trial

Lancet Infect Dis . 2021 Sep 14;S1473-3099(21)00485-0.

PMID: 34534511

【フリー】

 

⑳「家庭内接触者がSARS-CoV-2感染の診断を受けた人を対象に、皮下注射によりカリシビマブ+イムデビマブ(REGEN-COV)1200 mg(n=753)またはプラセボ(n=752)を投与し、28日目までに症候性SARS-CoV-2感染への影響を検討したRCT。症候性SARS-CoV-2感染症が発症したのは、REGEN-COV群1.5%、プラセボ群7.8%であった(相対リスク低減率 81.4%)。また、REGEN-COVは症候性および無症候性の感染を全体的に予防した(相対的リスク低減率 66.4%)。症候性感染者では、REGEN-COVの投与により、症状が消失するまでの期間の中央値がプラセボと比較して2週間短縮された(それぞれ1.2週間、3.2週間)。」

Subcutaneous REGEN-COV Antibody Combination to Prevent Covid-19

N Engl J Med . 2021 Aug 4.

PMID: 34347950

【フリー】

 

㉑「Covid-19 で入院した重症ではない患者を、ヘパリンを用いた治療用量の抗凝固療法または通常ケアの薬理学的血栓予防のいずれかに割り付け、ヘパリンによる治療の有効性を検討したRCT(n=2,219)。ヘパリン群が通常ケア群と比較して臓器補助離脱日数を増加させる確率は98.6%であった(調整OR 1.27;95%CI:1.03〜1.58)。また、ヘパリン群の臓器補助のない退院までの生存率の調整後絶対値の群間差は、4.0%(95%CI:0.5~7.2)であった。大出血は、ヘパリン群1.9%、通常ケア群0.9%に発生した。」

Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Noncritically Ill Patients with Covid-19

N Engl J Med . 2021 Aug 4.

PMID: 34351721

【フリー】

 

㉒「ヘパリン治療用量の抗凝固療法(n=534)が通常のケアによる血栓予防(n=564)と比較して重症Covid-19患者の転帰を改善するかどうかを検討したRCT。臓器補助離脱日数の中央値は、ヘパリン群では1日、通常ケア群では4日であった(調整済み比例OR 0.83;95%CI:0.67~1.03)。退院まで生存した患者の割合は両群でほぼ同じであった(それぞれ62.7%、64.5%;調整OR 0.84;95%CI:0.64~1.11)。大出血は、ヘパリン群3.8%,通常ケア群2.3%に発生した。」

Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Critically Ill Patients with Covid-19

N Engl J Med . 2021 Aug 4.

PMID: 34351722

【フリー】

 

㉓「COVID-19で入院した患者に対するIL-6拮抗薬の有効性を評価するために行われた、IL-6 拮抗薬を投与する群(n=6,449)と、IL-6 拮抗薬も副腎皮質ステロイド以外の他の免疫調整剤も投与しない群(n=4,481)に割り付けられたRCTのメタ解析(15試験;n=10,930;年齢の中央値61歳;女性33%)。主要アウトカムである28日目の全死因死亡率は、21.8% vs 25.8%(要約OR 0.86;95%CI:0.79-0.95)だった。対応する要約ORは、tocilizumabで0.83(95%CI:0.74-0.92)、sarilumabで1.08(95%CI:0.86-1.36)だった。副腎皮質ステロイドの投与を受けている患者の通常の治療またはプラセボと比較した死亡率との関連の要約ORは、tocilizumabが 0.77(95% CI:0.68-0.87)、sarilumab が 0.92(95%CI:0.61-1.38)であった。」

Association Between Administration of IL-6 Antagonists and Mortality Among Patients Hospitalized for COVID-19: A Meta-analysis

JAMA . 2021 Aug 10;326(6):499-518.

PMID: 34228774

【フリー】

 

㉔「重症COVID-19患者に対する副腎皮質ステロイド療法の効果を評価した前向き試験のメタ解析(8試験;n=6,771)。その結果、副腎皮質ステロイド療法が死亡率の低下と関連していた(OR 0.70;95%CI:0.54~0.92;I2=54.5%)。さらにサブグループ解析にて、治療の初期段階で副腎皮質ステロイドを使用した3研究でもORは優位に低下した(OR 0.37;95%CI:0.25-0.57;I2=47.8%)。」

Effectiveness of corticosteroids to treat severe COVID-19: A systematic review and meta-analysis of prospective studies

Int Immunopharmacol . 2021 Sep 3;100:108121.

PMID: 34492533

【フリー】

 

㉕「英国におけるCOVID Symptom StudyアプリのユーザーにおけるCOVID-19ワクチンの接種回数と感染リスク、症状発症リスクを検討したコホート研究。124万人が1回目のワクチン接種を報告し、そのうち0.5%がその後SARS-CoV-2の陽性反応を示し、97万人が2回目のワクチン接種を報告し、そのうち0.2%がその後SARS-CoV-2の陽性反応を示した。60歳以上では、虚弱体質が初回接種後の感染と関連し(OR 1.93;95%CI:1.50-2.48)、貧困度の高い地域に住んでいる人は初回接種後の感染のオッズが高かった(OR 1.11;95%CI:1.01-1.23)。BMI<30kg/m2の人は、初回ワクチン接種後の感染のオッズが低かった(OR 0.84;95%CI:0.75-0.94)。ワクチン接種(無接種との比較)は、1回目または2回目の接種後の入院または発病1週間以内に5つ以上の症状が出る確率の低下、および2回目の接種後の長期にわたる症状(28日以上)と関連していた。ほとんどすべての症状は、ワクチン接種を受けた感染者では、ワクチン接種を受けていない感染者に比べて報告される頻度が低く、ワクチン接種を受けた参加者は、特に60歳以上の場合、完全に無症状である可能性が高かった。」

Risk factors and disease profile of post-vaccination SARS-CoV-2 infection in UK users of the COVID Symptom Study app: a prospective, community-based, nested, case-control study

Lancet Infect Dis . 2021 Sep 1;S1473-3099(21)00460-6.

PMID: 34480857

【フリー】

 

㉖「BNT162b2またはmRNA-1273ワクチンの急性心筋梗塞,ベル麻痺,脳静脈洞血栓症,ギラン・バレ症候群,心筋炎・心膜炎,肺塞栓症,脳卒中,血小板減少症候群を伴う血栓症など23の重篤な転帰の発生率を評価した米国のデータベースを用いた研究。ワクチンの1回目または2回目を接種してから1~21日後に発生したイベントの発生率を、同じ暦日に、22~42日前にワクチンを接種した接種者と比較。合計11,845,128回のmRNAワクチン(57%がBNT162b2、初回接種6,175,813回、2回目接種5,669,315回;平均年齢49歳;女性54%)が接種された。虚血性脳卒中の1,000,000人年あたりのイベント発生率は1,612 vs1,781(RR 0.97;95%CI:0.87-1.08)、虫垂炎は1,179 vs 1,345(RR 0.82;95%CI:0.73-0.93)、急性心筋梗塞は935 vs 1,030(RR 1.02;95%CI:0.89-1.18)であった。確認されたアナフィラキシーの発生率は、BNT162b2 では4.8/100万回(95%CI:3.2-6.9)、mRNA-1273 では5.1/100万回(95%CI:3.3-7.6)であった.」

Surveillance for Adverse Events After COVID-19 mRNA Vaccination

JAMA . 2021 Sep 3.

PMID: 34477808

【フリー】

 

㉗「Covid-19に対する各ワクチンの入院、ICU入室、あるいは救急部や緊急診療所での外来診療に関する有効性を検討した観察研究。PCR検査を行った50歳以上の成人を対象とし、41,552件の入院と、救急部または緊急治療クリニックへの21,522件の来院を評価した。ワクチン接種を受けた患者のSARS-CoV-2感染検査が陽性となるオッズとワクチン接種を受けていない患者のオッズを比較することでワクチンの有効性を推定した。mRNAワクチンの完全接種(2回目の接種から14日以上経過)の有効性は89%、ICUへの入室につながる感染に対しては90%、救急部またはクリニックへの受診につながる感染に対しては91%であり、BNT162b2 ワクチンと mRNA-1273 ワクチンで同等であった。Ad26.COV2.S ワクチンの有効性は、入院に対しては 68%、救急部またはクリニックを受診する感染症に対しては 73%であった。」

Effectiveness of Covid-19 Vaccines in Ambulatory and Inpatient Care Settings

N Engl J Med . 2021 Oct 7;385(15):1355-1371.

PMID: 34496194

【フリー】

 

㉘「BNT162b2 mRNA Covid-19ワクチンの6ヶ月間の安全性と有効性を検討したRCTの追跡試験。16歳以上の参加者4万4165人と12~15歳の参加者2264人を無作為に割り付け、BNT162b2またはプラセボの30μgを21日間隔で2回接種。BNT162b2は引き続き安全であり、許容できる有害事象プロファイルを有していた。SARS-CoV-2感染の既往がない参加者のうち、有効性は接種後6ヵ月間で91.3%であった.ワクチンの有効性は徐々に低下していった。重症疾患に対するワクチンの有効性は96.7%であった。変異体B.1.351が優勢であった南アフリカでワクチンの有効性は100%であった。」

Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine through 6 Months

N Engl J Med . 2021 Sep 15;NEJMoa2110345.

PMID: 34525277

【フリー】

 

㉙「mRNA-1273ワクチンの有効性を検討したRCTのブラインドフェーズ終了時の有効性を検討した研究(n=30,415;ワクチン群n=15,209,プラセボ群n=15,206;追跡期間の中央値5.3カ月)。Covid-19の予防におけるワクチンの有効性は 93.2%で、確認された症例は mRNA-1273 群で9.6 例/1000人年、プラセボ群136.6/1000人年であった。重症化予防効果は98.2%で、mRNA-1273群で2例、プラセボ群で106例であった。また、2回目の注射から14日後以降の無症候性感染症の予防効果は63.0%で、mRNA-1273群で214例、プラセボ群で498例であった。」

Efficacy of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine at Completion of Blinded Phase

N Engl J Med . 2021 Sep 22;NEJMoa2113017.

PMID: 34551225

【フリー】

 

㉚「イスラエルにおけるCovid-19に対するBNT162b2ワクチン・ブースター(3回目の接種)の防御効果を検討したRCT。60歳以上で5か月以上前にBNT162b2を2回接種していた1,137,804人に関するデータを抽出。ブースター投与後12日以上経過した時点で、感染が確認された割合は、非投与群に比べてブースター投与群で11.3倍(95%CI:10.4~12.3)低く、重症化した割合は19.5倍(95%CI:12.9~29.5)低かった。二次解析では、ワクチン接種後12日以上経過してから感染が確認された割合は4~6日経過してから感染が確認された割合よりも5.4倍(95%CI:4.8~6.1)低かった。」

Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel

N Engl J Med . 2021 Oct 7;385(15):1393-1400.

PMID: 34525275

【フリー】

 

㉛「COVID-19ワクチン接種後およびCOVID-19感染後の血小板減少および塞栓症の発症率を検討した症例対象研究。19,608,008人がChAdOx1、9,513,625人がBNT162b2の初回接種を受け、1,758,095人がSARS-CoV-2検査で陽性となった。ChAdOx1 nCoV-19 ワクチンの初回投与,BNT162b2 mRNA ワクチンの初回投与,SARS-CoV-2 陽性反応という 3 つの曝露後 28 日以内の血小板減少症,静脈血栓塞栓症,動脈血栓塞栓症に伴う入院または死亡を主要アウトカムとした。ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後8~14日目(発生率比 1.33;95%CI:1.19~1.47)およびSARS-CoV-2検査陽性後8~14日目(発生比率 5.27;95%CI:4.34~6.40)に血小板減少症のリスクが高まり、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後8〜14日目(発生比率 1.10;95%CI:1.02〜1.18)およびSARS-CoV-2感染後8〜14日目(発生比率 13.86;95%CI:12.76〜15.05)に静脈血栓塞栓症のリスクが増加した。BNT162b2ワクチン接種後15~21日(発生比率 1.06;95%CI:1.01~1.10)、およびSARS-CoV-2感染後15~21日(発生比率 2.02;95%CI:1.82~2.24)の動脈血栓塞栓症リスクの増加が認められた。」

Risk of thrombocytopenia and thromboembolism after covid-19 vaccination and SARS-CoV-2 positive testing: self-controlled case series study

BMJ . 2021 Aug 26;374:n1931.

PMID: 34446426

【フリー】

 

㉜「ChAdOx1 COVID-19ワクチン(n=21,635)の有効性と安全性をプラセボ(n=10,816)と比較検討した二重盲検RCT。AZD1222の安全性は高く、重篤な有害事象の発生率は低く、その発生率はプラセボ群と同程度であった。局所および全身の自発的な反応は,両群ともに概ね軽度または中等度だった。全体の推定ワクチン有効率は 74.0%であり,65 歳以上の参加者における推定ワクチン有効率は 83.5%であった。完全にワクチンを接種した解析サブグループでは、AZD1222群に重症または重篤な症状のCovid-19症例は認められなかったが、プラセボ群では8症例が認められた。」

Phase 3 Safety and Efficacy of AZD1222 (ChAdOx1 nCoV-19) Covid-19 Vaccine

N Engl J Med . 2021 Sep 29.

PMID: 34587382

【フリー】

 

㉝「抗菌薬の処方量の多いプライマリ・ケア医(PCP)への不必要な抗生物質処方の回避と長期処方の回避に対するメッセージの送付による処方傾向への影響を検討したRCT(①抗生物質治療の投与開始に関する推奨事項を記載したレター(n=1,500)、②処方期間に関する推奨事項を記載したレター(n=1,500)、またはレターなし(コントロール群;n=500)。主要評価項目である介入後12ヵ月間の抗生物質の総処方数については、①は対照と比較して、抗生物質の総使用量に統計的に有意な差はなく(RR 0.96;97.5%CI:0.92-1.01)、②は対照と比較して、統計的に有意に少なかった(RR 0.95;97.5%CI:0.91-1.00;P=0.01)。なお、レター群の間には、統計的に有意な差はなかった。」

Effect of Antibiotic-Prescribing Feedback to High-Volume Primary Care Physicians on Number of Antibiotic Prescriptions: A Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med . 2021 Sep 1;181(9):1165-1173.

PMID: 34228086

【フリー】

 

㉞「臨床的に肺炎が疑われず、合併症のない急性下気道感染症と診断された生後6カ月から12歳までの小児に対するアモキシシリン(50mg/kg/日×7日間;n=221)の有効性をプラセボ(n=211)と比較したRCT。中等度以上の症状の持続期間の中央値は両群間で同等であった(抗生物質群 5日(IQR 4-11) vs プラセボ群 6日(IQR 4-15);HR 1.13(95%CI:0.90-1.42))。事前に規定した5つの臨床サブグループ(胸部徴候、発熱、医師による体調不良の評価、痰または胸部のガラガラ音、息切れを伴う患者)において治療群間の差は認められなかった。」

Antibiotics for lower respiratory tract infection in children presenting in primary care in England (ARTIC PC): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial

Lancet . 2021 Sep 22;S0140-6736(21)01431-8.

PMID: 34562391

【フリー】

 

㉟「少なくとも72時間の人工呼吸が必要と予測されるICU入室患者を対象に、整腸剤(L rhamnosus GG n=1,321)のVAP予防への有効性をプラセボ(n=1,332)と比較したRCT(平均年齢59.8%;女性40.1%;投与期間の中央値9日間)。整腸剤群21.9%と対照群21.3%でVAPが発症した(HR 1.03;95%CI:0.87-1.22;絶対差 0.6%;95%CI:-2.5% to 3.7%)。」

Effect of Probiotics on Incident Ventilator-Associated Pneumonia in Critically Ill Patients: A Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Sep 21;326(11):1024-1033.

PMID: 34546300

【フリー】

 

㊱「ナーシングホーム担当医を対象に、入所者(n=241)の下気道感染症に対する抗菌薬処方のCRPポイントオブケアテスト(CRP POCT)の有効性を検討したクラスターランダム化試験。初診時に抗生物質が処方されたのは、介入群では53.5%、対照群では82.3%であった。介入群では、対照群と比較して初診時に抗生物質が処方されていないオッズが4.93(95%CI:1.91~12.73)高かった。介入群と対照群の副次的な結果の差は、3週間後の完全回復率で4.4%(86.4% vs 90.8%)、全死因死亡率で2.2%(3.5% vs 1.3%)、入院率で0.7%(7.2% vs 6.5%)であり、いずれも有意差はなかった。」

Effect of C reactive protein point-of-care testing on antibiotic prescribing for lower respiratory tract infections in nursing home residents: cluster randomised controlled trial

BMJ . 2021 Sep 21;374:n2198.

PMID: 34548288

【フリー】

 

㊲「軽度の急性憩室炎に対する非抗生物質外来治療の有効性と安全性を検討した非盲検RCT(n=480)。ATB-Group(抗炎症剤+対症療法+AMPC875mg/CVA125mg(8hq))(n=238)とNon-ATB-Group(抗炎症剤+対症療法)(n=242)に割り付け。入院率は ATB群5.8%、非ATB群3.3%(平均差2.58%;95%CI:6.32 to -1.17)であり、再受診はATB群6.7%、非ATB群7%(平均差 -0.3;95%CI:4.22 to -4.83)であった。2日後のフォローアップでの疼痛コントロール不良はATB群5.7%、非ATB群2.3%(平均差 3.39;95%CI:6.96 to -0.18)。」

Efficacy and Safety of Nonantibiotic Outpatient Treatment in Mild Acute Diverticulitis (DINAMO-study): A Multicentre, Randomised, Open-label, Noninferiority Trial

Ann Surg . 2021 Nov 1;274(5):e435-e442.

PMID: 34183510

【アブストのみ】

 

☆その他

㊳「透析を必要としない慢性腎臓病患者の貧血を対象に、ロキサデュスタットとダルベポエチンアルファ(DA)を比較した非盲検RCT(n=616;ロキサデュスタット群n=323、DA群n=293)。投与量は、Hbが10.0~12.0g/dLの範囲に収まるように調整。主要評価項目は、Hb11.0g/dL以上、かつ、治療開始後24週間にHb8.0g/dL以上の患者ではHbのベースラインからの変化量(BL;CFB)が1.0g/dL以上、BL8.0g/dL以下の患者ではCFBが2.0g/dL以上と定義(非劣性マージン:-15%)。ロキサデュスタットによるHb値の改善は、DAに対して非劣性であった(89.5% vs 78.0%;差11.51%;95%CI:5.66-17.36%)。ロキサデュスタットは、MAPの変化および高血圧発症までの期間についてはDAと比較して非劣性であった。」

Roxadustat for the treatment of anaemia in chronic kidney disease patients not on dialysis: a Phase 3, randomized, open-label, active-controlled study (DOLOMITES)

Nephrol Dial Transplant . 2021 Aug 27;36(9):1616-1628.

PMID: 34077510

【フリー】

 

㊴「CKDステージ4(eGFR<30ml/min/1.73 m2)の患者を対象に、ダパグリフロジンの腎アウトカムを検討したDAPA-CKDのサブ解析(ダパグリフロジン群n=293、プラセボ群n=331)。ダパグリフロジン群では、主要複合エンドポイント(eGFRが50%以上持続的に低下するまでの時間、ESKD、腎臓死または心血管死の複合)を27%(95%CI:-2 to 47%)、腎臓、心血管、死亡率の各評価項目で、それぞれ29%(-2 to 51%)、17%(-53 to 55%)、32%(-21 to 61%)の発生において有意差はなかった。eGFRはそれぞれ2.15および3.38ml/min/1.73m2/年減少した(P=0.005)。」

Effects of Dapagliflozin in Stage 4 Chronic Kidney Disease

J Am Soc Nephrol . 2021 Sep;32(9):2352-2361.

PMID: 34272327

【フリー】

 

㊵「アルツハイマー病患者のうつ病治療における抗うつ薬の有効性を検討したRCTのネットワークメタ解析。14種類の薬剤を含む合計25の研究が組み入れ基準を満たしていた。プラセボと比較して、ミルタザピン(標準平均偏差(SMD) -1.94;95%CI:-3.53 to -0.36)とセルトラリン(SMD -1.16;95%CI:-2.17 to -0.15)のみが、うつ病の症状に対する治療効果がわずかに優れていた。Clomipramineはプラセボよりも有害事象のリスクを増加させた(OR 3.01;95%CI:1.45~4.57)。」

Efficacy of antidepressant drugs in the treatment of depression in Alzheimer disease patients: A systematic review and network meta-analysis

J Psychopharmacol . 2021 Aug;35(8):901-909.

PMID: 34238048

【アブストのみ】

 

㊶「転倒または骨折が発生した65歳以上の成人15,278人で、新たに抗精神病薬とChEIが処方されていた患者を対象に、抗精神病薬およびChEIの使用と転倒および骨折のリスクとの関連を評価した観察研究。同一個人の非治療期間と比較し、試験薬を開始する前14日間の前処置期間とも比較した。100人年あたりの転倒・骨折の発生率は、非治療期間では8.30(95%CI:8.14~8.46)、前治療期間では52.35(95%CI:48.46~56.47)であった。また、ChEIと抗精神病薬の併用、抗精神病薬単独、ChEI単独では、それぞれ10.55(95%CI:9.98~11.14)、10.34(95%CI:9.80~10.89)、9.41(95%CI:8.98~9.86)であった。非治療期間と比較して、転倒・骨折のリスクが最も高かったのは前治療期間であり(調整済み発生率比 6.17;95%CI:5.69~6.69)、次いでChEIと抗精神病薬の併用療法(1.35:95%CI:1.26~1.45)、抗精神病薬単独療法(1.33;95%CI:1.24~1.43)、ChEI単独療法(1.17;95%CI:1.10~1.24)の順であった。」

Use of antipsychotic drugs and cholinesterase inhibitors and risk of falls and fractures: self-controlled case series

BMJ . 2021 Sep 9;374:n1925.

PMID: 34503972

【フリー】

 

㊷「アロプリノールとベンズブロマロンを開始した痛風患者のCVリスクを比較したコホート研究。いずれかを開始した痛風患者を傾向スコアで5:1でマッチング(n=124,434;アロプリノール群n=103,695,ベンズブロマロン群n=20,739)。平均 1.16 年の追跡期間中に、2258 例が主要評価項目である心筋梗塞、脳卒中/一過性脳虚血発作、冠動脈血行再建術の複合CVイベントを発症し、発生率はアロプリノール群(100人年当たり1.81)の方がベンズブロマロン(100人年当たり1.61)よりも高かった(HR 1.22;95%CI:1.05-1.41)であった。全死亡は、アロプリノール開始者がベンズブロマロン開始者に比べて高かった(HR 1.66;95%CI:1.43-1.93)であった。」

Cardiovascular risk associated with allopurinol vs. benzbromarone in patients with gout

Eur Heart J . 2021 Sep 11;ehab619.

PMID: 34508567

【フリー】

 

㊸「スタチンを断念した参加者を対象に、スタチン、プラセボ、無治療での日常的な症状のスコアを評価したRCT。参加者は1カ月分の薬瓶を12本受け取り、そのうち4本にはアトルバスタチン20mgが入っており、4本にはプラセボが入っており、4本には空の薬瓶が入っていた。それぞれについて、アプリを用いて日常的な症状の強さを測定した(尺度は1~100)。また、「ノセボ」比(スタチン服用で誘発される症状とプラセボ服用で誘発される症状の比)を測定した。合計60名の参加者が無作為に割り付けられ、49名が12カ月間のプロトコルを完了した。症状スコアの平均値は、空の薬瓶の月では8.0点(95%CI:4.7-11.3)、スタチン群では16.3点(95%CI:13.0-19.6点)、プラセボ群でも15.4点(95%CI:12.1-18.7点)であり、スタチン群とプラセボ群で両者に差はなかった(P=0.388)。また、対応するノセボ比は0.90であった。試験後6ヵ月目には、50%が再びスタチンを服用していた。」

Side Effect Patterns in a Crossover Trial of Statin, Placebo, and No Treatment

.J Am Coll Cardiol . 2021 Sep 21;78(12):1210-1222.

PMID: 34531021

【フリー】

 

㊹「SSRIの骨折リスクを検討した、脳卒中生存者におけるSSRIのRCTのメタ解析(4試験;n=6,540;fluoxetine3件,シタロプロム1件)。SSRIによる6ヵ月間の治療は、プラセボと比較して骨折のリスクを2.36(95%CI:1.64-3.39)増加させた。転倒、痙攣、脳卒中の再発のリスクは統計的に有意に増加しなかった。」

Risk of Fractures in Stroke Patients Treated With a Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: A Systematic Review and Meta-Analysis

Stroke . 2021 Aug;52(9):2802-2808.

PMID: 34167325

【フリー】

 

㊺「低用量メトトレキサート(LD-MTX;目標用量15~20 mg/週;n=2,391)のeGFRへの影響をプラセボ(n=2,395)と検討したRCTであるCardiovascular Inflammation Reduction Trialの二次解析(平均年齢66歳、女性19%、平均eGFR80.0mL/min/1.73m2、観察期間の中央値23カ月)。すべての参加者は葉酸1mgを6日/週摂取し、RA患者やCCr40mL/min患者は除外。LD-MTX群はプラセボ群に比べてeGFRの低下が少なかった(ベースラインから治療開始時までの最小二乗平均ΔeGFRの差:0.93mL/min/1.73m2、95%CI 0.45-1.40)。腎臓の有害事象は、LD-MTX群で発生率2.97/100人年、プラセボ群で3.99/100人年発生した(HR 0.73;95%CI:0.59-0.91)。」

Effect of Low-dose Methotrexate on Estimated Glomerular Filtration Rate and Kidney Adverse Events: A Randomized Clinical Trial

J Am Soc Nephrol . 2021 Sep 22;ASN.2021050598.

PMID: 34551998

【アブストのみ】

 

㊻「血液透析を受ける患者さんにおける鉄分投与戦略の比較したRCT(n=108)。隔週で2gの鉄を100mgの鉄スクロースとして連続投与(20回×100mg)、または10週ごとに500mgのカルボキシマルトース鉄を周期的に投与(4回×500mg)。主要評価項目は40 週目のヘモグロビンのベースラインからの変化で、非劣性マージンは-0.8 g/dl であった。40週後のHbの変化量は、ベースラインと比較して鉄スクロース群で-0.27 g/dl(95%CI:-0.64 to 0.09)、カルボキシマルトース鉄群で-0.74 g/dl(95%CI:-1.1 to -0.39)であった。また、カルボキシマルトース第二鉄群と鉄スクロース群では、Hbのベースラインからの変化量が-0.47 g/dl(95%CI:-0.95 to 0.01)異なっていたことから非劣性は確立されなかった。」

Comparison of Iron Dosing Strategies in Patients Undergoing Long-Term Hemodialysis: A Randomized Controlled Trial

Clin J Am Soc Nephrol . 2021 Oct;16(10):1512-1521.

PMID: 34470831

【アブストのみ】

 

㊼「院内心停止患者(n=501)を対象に、バソプレシン(20IU)とメチルプレドニゾロン(40mg)を投与する群(介入群;n=237)とプラセボ群(n=264)と投与する群に割り付け、自然循環の回復への影響を検討したRCT(平均年齢71歳;男性64%)。介入群42%、プラセボ群33%が自然循環の回復を達成した(リスク比 1.30:95%CI:1.03~1.63;リスク差 9.6%;95%CI:1.1~18.0%)。30日後の生存率は、介入群9.7%、プラセボ群12%であった(リスク比 0.83;95%CI:0.50-1.37;リスク差 -2.0%;95%CI:-7.5% to 3.5%)。」

Effect of Vasopressin and Methylprednisolone vs Placebo on Return of Spontaneous Circulation in Patients With In-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Sep 29;e2116628.

PMID: 34587236

【フリー】

 

㊽「高用量のオピオイド(平均50モルヒネmg当量/日以上)を長期安定的に処方されている患者において、オピオイドの投与量の漸減(15%以上)と過量投与および精神的危機(1.薬物の過剰摂取または離脱、2.精神衛生上の危機(うつ病、不安、自殺未遂)のための緊急受診)の発生率との間に関連性があるかどうかを評価した後ろ向きコホート研究(n=113,6181;女性54%;平均年齢は58歳)。漸減後の患者期間では、9.3件/100人年の過量投与イベントが発生したのに対し、漸減を行わなかった患者期間では5.5件/100人年であった(調整済み発生率の差 3.8/100人年;95%CI:3.0-4.6;aIRR 1.68;95%CI:1.53-1.85)。漸減は、7.6件/100人年の精神衛生上の危機的事象の調整発生率と関連し、漸減を行わなかった期間では3.3件/100人年であった(調整発生率の差 4.3/100人年;95%CI:3.2-5.3;aIRR 2.28;95%CI:1.96-2.65)。」

Association of Dose Tapering With Overdose or Mental Health Crisis Among Patients Prescribed Long-term Opioids

JAMA . 2021 Aug 3;326(5):411-419.

PMID: 34342618

【アブストのみ】

 

㊾「早漏(PE)患者の管理において、トラマドールとパロキセチンの必要時の使用効果を評価したSR&MA(7試験;n=663)。トラマドールまたはパロキセチンの必要時投与を受けた患者は、膣内射精遅延時間(IELT)および性的満足度スコアで評価した結果、プラセボ療法を受けた患者と比較していずれの薬剤も有意な改善が認められ、トラマドール群の方がパロキセチン群よりも効果があった。」

A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials of "on-demand" use of tramadol vs "on-demand" use of paroxetine in the management of patients with premature ejaculation

Int J Clin Pract . 2021 Sep 7;e14825.

PMID: 34492139

【アブストのみ】

 

㊿「少なくとも2回のうつ病エピソードの既往があるか、2年以上抗うつ薬を服用しており、抗うつ薬の中止を検討するに足る健康状態であった患者を対象に、抗うつ薬の治療を維持する群(n=238)と漸減・中止する群(n=240)に割り付け、52週間の試験期間中の最初のうつ病再発への影響を検討したRCT(n=478;平均年齢54歳;女性73%)。52週目までに再発したのは、維持療法群39%、中止療法群56%であった(HR 2.06;95%CI:1.56~2.70)。」

Maintenance or Discontinuation of Antidepressants in Primary Care

N Engl J Med . 2021 Sep 30;385(14):1257-1267.

PMID: 34587384

【アブストのみ】

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

 

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