リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第11回プライマリケア連合学会学術大会で気になった発表10選【口頭発表編】

第11回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会は残念ながらweb開催となりました。

しかし、そのおかげで発表を家でゆっくり見ることができるようになりました。

 

今回は、口頭発表で気になったものを10件選びましたので、それを紹介していきます。

ポスター発表10選はこちらから↓

 

本題へ入る前に…

 

まずは私に関連した発表の紹介を。(これを紹介したいがために今回のブログを書いたのですよ。。。)

 

[P-活-100]

「オンラインで全国各地を結んだジャーナルクラブの有用性」

こちらは私が筆頭演者となっているのですが、当ブログでも紹介しております「エビテン!」の取り組み紹介と共同配信者・視聴者からの意見をまとめて報告しております。

是非ご覧いただき、「いいね!」しておいてください!

ちなみに、次回の「エビテン!」は8/26(水)の22時から、テーマは「痛み止め」にて配信します!

配信はコチラから→リンコ (@manabunoda) 's Live - TwitCasting

 

[P-活-148]

「寿司ゆかりの地での「世界最大のちらし寿司」挑戦が地域にもたらす影響~地域交流と地元意識醸成のために」

こちらはいつも一緒に地域での様々な取り組みをしている井階先生が、筆頭演者として一昨年行われた地域のイベントでの「世界最大のちらし寿司」でギネス記録に挑戦した取り組みについて報告されております。

当日は食べに行ったんですけど、おいしかったんですよね~

 

 

さて、本題へ。

私の気になった10件を紹介していきます。

 

[O-011] 偽痛風症例におけるアセトアミノフェンの有効性の検討:後視的コホート研究

[O-048] 非ステロイド性消炎鎮痛薬と比較した偽痛風に対するアセトアミノフェンの有効性と有害事象の後方視的検討

演題が類似していたので2つまとめて。ホットな話題なんですかね。当院でも偽痛風例が増えていて、しかも高齢者ばかりなのでNSAIDを使うのがためらわれるんですよね。そのため非常に興味を持って発表を拝見しました。まだ小規模な報告ですので、今後の報告を楽しみにしたいと思います。

 

[O-026] 経口摂取不良になった非がん患者の生存期間に関連する因子の探索:後方視的観察研究

[O-064] 食事摂取量が確保できない高齢者に対する経静脈的補液による予後(後ろ向き観察研究)

これも類似していたので2つまとめて。医師はどうやって余命を判断しているのだろうかと。経口摂取不良とはいえ、その他の条件が様々な患者をまとめて議論できるものではないのかもしれないなと。予後は難しいですね。

 

[O-067] 当地域における死亡2年前の日常生活自立度(寝たきり度)の調査

これは非常に興味深かったです。年齢や疾患によって日常生活自立度の亡くなるまでの経過が大きく異なることが分かりました。そりゃそうですよね、というところですが、こうやって見るとインパクトがありました。

 

[O-070] 本邦の経口血糖降下薬処方の地域差:レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)オープンデータ研究

薬剤間の差、地域差があることがよく分かり、興味深かったです。ただ、これを「へー」で終わら差ずに、この研究をどう活かしていくのかということが肝心な気がします。

 

[O-072] ソーシャルキャピタルと受療行動の関連について

ソーシャルキャピタルの有無(高低?)と受療行動(受診、入院、健診受診、救急車利用等)とのつながりがあることが報告されました。非常に有意義な報告だと思いますので、ぜひこの報告は論文化してほしいですし、今後のソーシャルキャピタルへの取り組みの参考にしていきたいです。

 

[O-079] プライマリ・ケアに携わる病院薬剤師のタスクシェアに関するアンケート調査

こちらの調査には私も答えさせていただきました。小規模な病院の薬剤師が多く答えております。当院も同じですが、薬剤師のスキル、薬剤師の人員が問題でタスクシフトが実現できていないとう意見が多いので残念だなと思いましたし、なんとか改善させていきたいですね。

 

[O-096] JPCAワクチン調査2019その1:プライマリ・ケア医のワクチンの接種推奨レベルに関する調査

[O-099] JPCAワクチン調査2019その2:プライマリ・ケア医のワクチンに関する知識とHPVワクチンの接種推奨との関連

こちらの2つは関連した報告でした。「096」では他のワクチンに比べてHPVワクチンを積極的に推奨している医師が少ないことが分かりました。「099」でその要因を検討しているわけですが。残念というかなんというか…悩ましいですね…

 

[O-107] 残薬の有無に関する臨床予測ツールの作成(The Mima-SONGS Study)

非常に興味深い研究でした。年齢、薬剤数等がカットオフとしてピックアップされたようですが、これだけ見ていてもいけないように思いますし、要因は患者ごとで様々あるのではないか、というのが普段仕事をしている実感です。

 

[O-127] Facebookでの学会委員会の活動報告は学術大会総参加者数を超える?どのような投稿が注目された?

こんなこと(といったら大変失礼ですが…)も研究の種になるんだなーと大変勉強になりました。文字<写真<動画の順でリーチが多くなったようです。先日は日本循環器学会がtwitterで盛り上がってましたし。そういえば私もブログでの取り組みを仲間内で発表したことありましたね。SNS全盛の時代なので、こういった取り組みも重要だと考えます。

 

[O-129] 臨床研修医の漢方薬処方実態と意識調査

「漢方処方のきっかけは?」という設問があり、そこに「薬剤師」という選択肢がないことに引っかかりましたが、よく考えれば私自身漢方の処方を提案したことは今までになかったかもしれません。薬剤師によって温度差があるのかな思いますし、「よく分からない」「エビデンスが少ない」というのが正直なところなのかなと。

 

最後にもう一つ。

「大会長賞候補演題1 (メディカルスタッフ)」から演題を一つ紹介します。

[PA-3] 相対危険減少が30%を超えるランダム化比較試験では、結果の内的妥当性が低いかもしれない

こちらはいつもお世話になっている「NPO法人AHEADMAP」による発表です。目の付け所がAHEADMAPらしいなーと思いながら拝聴いたしました。相対危険減少が大きいセンセーショナルな報告こそ、注意して吟味しないといけないと感じました。少し発表スライドに誤りがあったようですね。

 

 

【全体を通して】

たくさんの発表を見て、自分自身も研究をやりたいなと刺激をいただきました。

研究の視点やデザインも大変参考になりました。

来年は「研究」して口頭発表するぞ!!

 

 

以上、参考になれば嬉しいです!