新企画始動!!
その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!
論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。
日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。
癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。
【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。
今回は2020年4月分を。34件取り上げております。
もうちょっと上手くまとめられたらいいのですが、それは徐々に…
やってみて分かりましたが、かなり大変です。いつまで続けられるか…
twitterで毎日のように要約を上げている方はほんとにすごいなと。
現在はすでに2020年8月ではありますが、せっかくなので4月分からやってみました。果たして追いつけるのか…
①「2008年から2017年の間の、退役軍人局医療システムの5497例の侵襲性B群連鎖球菌(GBS)感染症において全死因30日死亡率は8.7%であった。最も頻繁に観察された感染症は、骨髄炎21.3%、フォーカス不明の菌血症18.4%、皮膚軟部組織感染症16.7%、肺炎または膿胸12.6%であった。各患者の指標感染後30日間の全死亡率は、腹膜炎27.5%、肺炎または膿胸17.5%の患者で高かった。多かった併存疾患は、糖尿病65.0%、肥満51.6%、慢性心疾患31.6%であった。」【フリー】
JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1918324.
PMID: 31880800
②「米国成人(合計4840人の参加者(平均年齢56.8歳、女性2435人[54%])における1日の歩数と死亡率との関連は、1日あたり4000歩と比較して、8000歩ではHR 0.49;95%CI:0.44-0.55)、1日あたり12000歩ではHR 0.35;95%CI:0.28-0.45)と全死因死亡率が有意に低い事と関連していた。」【フリー】
Association of Daily Step Count and Step Intensity With Mortality Among US Adults
JAMA. 2020 Mar 24;323(12):1151-1160.
PMID: 32207799
③「ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬(DHCCB)を開始した1,206,093人のうち55,818人(4.6%)で、DHCCB開始の前後360日にループ利尿薬を新たに処方されており、aSR(調整順序比)は1.87(95%CI:1.84~1.9)であり、DH CCB開始者の推定1.44%が処方カスケードを経験した。高用量DHCCB開始者(aSR 2.20;95%CI:2.13-2.27)、アムロジピンを開始した者(aSR 1.89;95%CI:1.86-1.93)、男性(aSR 1.96;95%CI:1.91-2.01)、および降圧薬の使用クラスが少ない者(aSR 2.55;95%CI:2.47-2.64)ではリスクが高かった。」【フリー】
JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1918425.
PMID: 31880802
④「日本の372の急性期病院において、新たにNOACまたはワルファリンの投与を開始された非弁膜症性心房細動(NVAF)患者合計73,989人。すべての年齢区分において、大出血、いずれかの出血、脳卒中/SEのHRは、すべてのNOACsでワーファリンと比べて同等かそれ以下であった。出血のリスクが有意に低かったのはアピキサバンのみであった。体重が60kg以上の患者では、ワルファリンと比較してNOAC群でリスクが減少する傾向がみられた。」【フリー】
Open Heart. 2020 Apr 1;7(1):e001232.
PMID: 32341789
⑤「 ベンゾジアゼピン無効の確定したてんかん重積状態の患者(小児225例(18歳未満)、成人186例(18~65歳)、高齢者51例(65歳以上))に対し、無作為にレベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸塩のいずれかに割り付けられた2重盲検試験において、主要有効性アウトカムである『投与開始から1時間後に意識が改善し、発作抑制剤の追加投与がなかった場合の臨床的に明らかな発作の消失』は、レベチラセタム群で、小児の52%、成人の44%、高齢者の37%、ホスフェニトイン群で小児の49%、成人の46%、高齢者の35%、バルプロ酸群で小児の52%、成人の46%、高齢者の47%であり、薬剤別の有効性および主要安全性の転帰については、各年齢層で差は認められなかった。」【フリー】
Lancet. 2020 Apr 11;395(10231):1217-1224.
PMID: 32203691
⑥「日本の後ろ向きコホート研究において、低用量プラスグレル)(負荷量20mg、維持量3.75mg)または標準用量クロピドグレル(負荷量300mg、維持量75mg)のいずれかとアスピリンの併用投与を受けたPCI後の急性冠症候群患者(平均年齢67.8歳、男性78.2%)を評価したところ、傾向スコアマッチング後、低用量プラスグレルを投与された患者とクロピドグレルを投与された患者の間の主要虚血イベント(院内死亡、再発心筋梗塞、虚血性脳卒中)は同等であった(オッズ比[OR] 1.42;95%CI:0.90-2.23)が、主要出血イベントはプラスグレルを投与された患者で有意に高かった(OR 2.91;95%CI:1.63-5.18)。」【フリー】
JAMA Netw Open. 2020 Apr 1;3(4):e202004.
PMID: 32239221
⑦「ステージ3のCKD患者523人を対象において、ヨードベースの造影剤投与前に予防的に1時間かけて1.4%の重炭酸ナトリウム250mLを投与したRCT。造影剤投与2~5日後の血清クレアチニン値のベースラインと比較した平均相対上昇率は、非投与群3.0%、投与群3.5%であった(平均差 0.5;95%CI:-1.3~2.3)。造影後の急性腎障害は2.1%に発生したが、その中には投与なし群2.7%、投与群1.5%が含まれ、相対リスクは1.7(95%CI:0.5~5.9)であった。」【アブストのみ】
JAMA Intern Med. 2020 Feb 17.
PMID: 32065601
⑧「HbA1c値の低下と主要心血管イベント(MACE)リスクとの関係を明らかにするために行われた、2型糖尿病患者を対象にとした心血管アウトカム試験メタ解析(15試験;n=38,250人)において、プラセボ群と比較してMACEのリスクが9%有意に減少した(HR 0.91;95%CI:0.87-0.95;I²=44%)」【アブストのみ】
Diabetes Obes Metab. 2020 Apr 6.
PMID: 32250550
⑨「 そう痒症のスコアがVASスケール5以上の急性じんま疹成人患者75名を無作為に3群(25例ずつ) (i)クロルフェニラミン(CPM)静注群、(ii)CPM静注+デキサメタゾン静注群(CPM/Dex)、(iii)CPM/Dex+プレドニゾロン経口投与群(CPM/Dex/Pred))に割り付け、5日間の治療を行ったところ、主要アウトカムの治療後60分後の自己申告によるそう痒症VASスコアに関して、全群でVASスコアは低下したが,CPM群(n=25)とCPMとデキサメタゾンを併用した群(n=50)では、治療後60分後のVASスコアに有意差は認められなかった。」【アブストのみ】
Am J Emerg Med. 2020 Feb 19. pii: S0735-6757(20)30098-X.
PMID: 32139204
⑩「55歳以上のCOPD患者のコホートにて、LAMA/LABA/ICS(6,921人)およびLAMA/LABA(1,932人)を開始した患者をon time-conditional傾向スコアで4対1でマッチングさせ、中等度または重度のCOPD増悪および重度の肺炎の発生について1年間追跡調査を行ったところ、LAMA/LABA/ICSを開始した患者に関連したCOPD増悪の調整済みハザード比(HR)は0.97(95%CI:0.87~1.08)であった。また、血中好酸球数が6%を超える患者では、HR 0.66(95%CI:0.46~0.94)、2回以上の増悪歴のある患者では、HR 0.83(95%CI:0.70-0.98)となり、入院を必要とする重症肺炎の発生率は、HR 1.46(95%CI:1.03-2.06)となった。」【アブストのみ】
Chest. 2020 Apr;157(4):846-855.
PMID: 31759966
⑪変形性膝関節症に対する理学療法とステロイド注射との比較
「平均年齢56歳の156人の片膝または両膝に変形性膝関節症を有する患者に対し、グルココルチコイド注射を受けるか、理学療法を受けるかに1:1の割合で無作為に割り付け(78人ずつ)、1年後のWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC)スコア(スコアは0~240の範囲であり、スコアが高いほど痛み、機能、硬直が悪化していることを示す)(ベースラインのWOMACスコアの平均(±SD)は、グルココルチコイド注射群で108.8±47.1、理学療法群で107.1±42.4)ところ、1年後の平均スコアはそれぞれ55.8±53.8および37.0±30.7であり(グループ間の平均差は18.8ポイント、95%CI:5.0~32.6)と、理学療法に有利な結果であった。」【アブストのみ】
Physical Therapy versus Glucocorticoid Injection for Osteoarthritis of the Knee
N Engl J Med. 2020 Apr 9;382(15):1420-1429.
PMID: 32268027
⑫「1239人の参加者について報告した8件のRCTが同定された、遠位(膝下)深部静脈血栓症(DVT)の治療法に関しての抗凝固療法vsプラセボのランダム化比較試験のコクランレビュー&メタ解析。ビタミンK拮抗薬(VKA)による抗凝固療法は、抗凝固療法を受けていない患者と比較して、フォローアップ期間中のVTE再発リスクを減少させ(RR 0.34;95%CI:0.15~0.77;5試験;n=496;I2=3%)、DVT再発リスクを減少させた(RR 0.25;95%CI:0.10~0.67;5試験;n=496;I2=0%)。肺塞栓症(PE)のリスクには明確な影響はなかった(RR 0.81;95%CI:0.18~3.59;4試験;n=480;I2 = 0%)。抗凝固療法による大出血はプラセボと比較してほとんど差がなかった(RR 0.76;95%CI:0.13~4.62;4試験;n=480;I2 = 26%)が、臨床的に関連性のある非重篤な出血イベントが増加した(RR 3.34;95%CI:1.07~10.46;2試験;n=322;I2 = 0%)」【アブストのみ】
Treatment of distal deep vein thrombosis
Cochrane Database Syst Rev. 2020 Apr 9;4:CD013422.
PMID: 32271939
⑬「のAF患者を対象としたメタ解析(3件の研究;n=33,602)において、5~9種類の薬と9種類以上の薬と定義される中等度および重度のポリファーマシーは、それぞれ42.7%および20.7%の患者で観察され、それぞれ全死亡率(ハザード比[HR] 1.36;95%CI 1.20~1.54;HR 1.84;95%CI 1.40~2.41)、大出血(HR 1.32;95%CI 1.14~1.52;HR 1.68;95%CI 1.35~2.09)、臨床的に関連性のある非重篤な出血(HR 1.12;95%CI 1.03~1.22;HR 1.48;95%CI 1.33~1.64)の有意な増加と関連していた。ポリファーマシーと脳卒中、全身性塞栓症または頭蓋内出血との間には統計的に有意な関連はなかった。」【フリー】
Polypharmacy and health outcomes in atrial fibrillation: a systematic review and meta-analysis
Open Heart . 2020 Apr 6;7(1):e001257.
PMID: 32509316
⑭「30件の観察研究(50万人以上)のメタ解析において、治療開始から6ヵ月後と1年後心房細動患者の経口抗凝固薬の平均アドヒアランススコアは、100人点中それぞれ、リバロキサバン:78(73-84)と77(69-86)、アピキサバン:77(75-79)と82(74-89)、ダビガトラン:74(69-79)と75(75-79)だった。アドヒアランス上昇に関連する因子としては、高齢、脳卒中のリスクが高い、1日1回のレジメン、高血圧、糖尿病、脳卒中の既往歴がある、心血管治療薬を併用している、農村部に住んでいる、OACの使用経験が豊富であるなどが挙げられた。」【フリー】
BMJ Open. 2020 Apr 8;10(4):e034778.
PMID: 32273316
⑮「20歳以上の患者235,465人を対象として症例対照研究(追跡期間の中央値6.1年の間に9,776人(4.2%)の患者が認知症と診断された)において、ベンゾジアゼピン系薬剤やZ-drugsの使用は認知症と関連しなかった。」【アブストのみ】
Am J Psychiatry. 2020 Apr 7:appiajp201919030315.
PMID: 32252539
⑯「ステロイド外用恐怖症の軽減における標的型教育の有効性について検討したこの二重盲検無作為化比較試験では、介入群の参加者に、外用ステロイドに関する一般的な誤解を対象とした教育ビデオと患者情報リーフレットが提示された。ステロイド恐怖症は、局所ステロイド恐怖症(TOPICOP)スケール、服薬アドヒアランス(ECOB)スコア、生活の質(QOL)は、Dermatology Life Quality Index(DLQI)で評価された。275人の患者を無作為に割り付けたところ、介入群の平均TOPICOPスコアは、1ヵ月後と3ヵ月後にそれぞれ41.9(SD 17.4)から37.1(SD 20.0)、33.8(SD 19.0)に減少(改善)したが、その減少は知識領域に起因するものであり、恐怖と行動領域に起因するものではなかった。また、服薬アドヒアランスとQOLに統計学的有意差は認められなかった。」【アブストのみ】
Efficacy of targeted education in reducing topical steroid phobia: A randomized clinical trial
J Am Acad Dermatol. 2020 Mar 11. pii: S0190-9622(20)30389-3.
PMID: 32171815
⑰「2 型糖尿病の入院患者 42 名を募集し、そのうち15人がラジオ体操を行った。骨格筋量指数(SMI;kg/m2)(虫垂筋量(kg)/身長二乗(m2))の変化は、ラジオ体操群の方が非ラジオ体操群よりも有意に少なかった(7.1±1.4~7.1±1.3;-0.01±0.09kg/m2 vs 6.8±1.1~6.5±1.2;-0.27±0.06 kg/m2、p=0.016)。SMIの減少は、ラジオ体操群では46.7%(7/15人)、非ラジオ体操群では85.2%(23/27人)で観察された。」【フリー】
BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Feb;8(1). pii: e001027.
PMID: 32098897
⑱「北欧のコホートを用いた、GLP-1作動薬新規使用患者38,731人と1:1で傾向スコアマッチさせたDPP4阻害剤新規使用患者において(平均(SD)追跡期間は3.0年(1.7年))、重篤な腎イベント(腎代替療法、腎原因による死亡、腎イベントによる入院)は、GLP-1受容体作動薬群(1,000人年あたりの発生率4.8件) vs DPP-4阻害薬群(1,000人年あたり6.3件)(HR 0.76;95%CI:0.68~0.85;絶対差-1.5件/1,000人年(-2.1~-0.9))で発生した。腎代替療法(HR 0.73;95%CI:0.62~0.87)および腎イベントによる入院(HR 0.73;95%CI:0.65~0.83)のリスクは有意に低かったが、腎疾患による死亡(HR 0.72;95%CI:0.48~1.10)には関連しなかった。」【アブストのみ】
Diabetes Care. 2020 Apr 15. pii: dc192088.
PMID: 32295809
⑲「HFrEF患者におけるダパグリフロジンの効果を評価するために行われたRCT(主要アウトカム:心不全の悪化エピソードまたは心血管死の複合)において、糖尿病なしの患者(HbA1c5.7%未満)では、主要アウトカムはダパグリフロジン13.2%、プラセボ群17.7%に発現した(ハザード比 0.73(95%CI:0.60-0.88))。糖尿病患者では、ダパグリフロジン群20.0%、プラセボ群25.5%に発現した(ハザード比 0.75(95%CI:0.63~0.90))。」【フリー】
JAMA. 2020 Mar 27.
PMID: 32219386
⑳「メタ解析の組み入れ基準を満たした、中等度から重度の収縮期および/または拡張期高血圧(平均182/95mmHg)を有する60歳以上の健康な外来成人(平均年齢73.4歳)を対象とした16件の試験(N=26,795)のメタ解析において、降圧薬治療は全死亡率(コントロール群で11% vs 治療群で10.0%;リスク比(RR) 0.91;95%CI:0.85~0.97)、心血管系の罹患率と死亡率(コントロール群13.6% vs 治療群9.8%;RR 0.72;95%CI:0.68~0.77)、脳血管疾患の死亡率と罹患率(コントロール群5.2% vs 治療群3.4%;RR 0.66;95%CI:0.59~0.74)、冠動脈疾患の死亡率と罹患率(コントロール群4.8% vs 治療群3.7%;RR 0.78;95%CI:0.69~0.88)を減少させた。副作用による離脱は治療により増加した(コントロール群5.4% vs 治療群15.7%;RR 2.91;95%CI:2.56~3.30)。
観察された死亡率の減少は、60~79歳の患者サブグループにおける減少が主な原因であった(RR 0.86;95%CI:0.79~0.95)。心血管死亡率と罹患率は、60~79歳のサブグループ(RR 0.71;95%CI:0.65~0.77)と80歳以上のサブグループ(RR 0.75;95%CI:0.65~0.87)の両方で有意に減少したが、絶対的なリスクの減少の大きさは、60~79歳の患者の方が高かった(3.8% vs 2.9%)。」【アブストのみ】
Pharmacotherapy for hypertension in adults 60 years or older
Cochrane Database Syst Rev. 2019 Jun 5;6:CD000028.
PMID: 31167038
㉑「AF-CHF analysisのサブ解析:心房細動を合併した駆出率35%以下のHFrEF患者1376人のうちジゴキシンを投与されていた869人を平均37ヵ月(最大74ヵ月)追跡したところ、445人(32%)の患者が死亡し、357人(26%)が心血管系の原因による死亡、159人(12%)が不整脈による死亡であった。ジゴキシンは全死因死、心疾患死および不整脈死と有意に関連していた(推定ハザード比(HR)はそれぞれ1.39(95%CI:1.11~1.73)、1.44(95%CI:1.13~1.82)および2.03(95%CI:1.63~2.54)。しかし、心血管系の入院とは関連しなかった(HR 1.12(95%CI:0.91~1.37)。」【アブストのみ】
Int J Cardiol. 2020 Apr 19. pii: S0167-5273(20)30272-2.
PMID: 32320783
㉒「AFを併発している経皮的冠動脈形成術(PCI)または急性冠症候群(ACS)後の患者において、NOACとP2Y12製剤の併用のダブルセラピー(DT)とビタミンK拮抗薬と抗血小板薬2剤を併用したトリプルセラピー(TT)を比較した4件のRCT(n=7942;DT:4377例、TT:3565例)のメタ解析において、DT群はTT群と比較して、MACCE(死亡,心筋梗塞,脳卒中,ステント血栓症(ST),緊急再灌流療法の複合)リスクはOR 1.12(95%CI:0.94~1.34)と変わらず、大出血または臨床的関連性のある非主要出血(CRNM)のリスクはDT群で低かった(OR 0.56;95%CI:0.41~0.76)。」【アブストのみ】
Cardiovasc Revasc Med. 2020 Mar 12. pii: S1553-8389(20)30144-5.
PMID: 32173329
㉓「保育園または学校に通う2-18歳を対象とした、手指消毒剤、ジェル、泡などのすすぎ不要の手洗い(rinse-free)群と、石鹸と水を使用した従来の手洗いやその他の手指衛生プログラム(教育のみなど)、または介入なしのいずれかの非すすぎなし(no rinse-free)群とを比較したRCT19件(30,747人)を対象としたメタ解析において、何らかの理由による欠勤については、rinse-free群の発生率比IRR 0.91(95%CI 0.82~1.01;2研究)であり差はなかった。疾患別欠勤については、IRR 0.82(95%CI:0.69~0.97;6研究)であり、rinse-free群は、no rinse-free群(1000人当たり欠勤日数16日)に比べて欠勤日数(1000人当たり欠勤日数13日)を減少させる可能性があることが示された。急性呼吸器疾患の欠勤については、IRR 0.79(95%CI:0.68~0.92;6研究)であり、rinse-free群は、no rinse-free群(1000人あたり42日)に比べて欠勤(1000人あたり33日)を減少させる可能性があることを示している。急性消化器疾患の欠勤を評価した場合、IRR 0.79(95%CI:0.73~0.85;4研究)であり、これは、no rinse-free群の欠勤(1000人あたり8日)に比べて、rinse-free群は欠勤(1000人あたり6日)を減少させる可能性があることを示している。皮膚有害反応に関しては、両間にはほとんど差がなかった(RR 1.03(95%CI:0.8~1.32;3件の研究;4365人の参加者)なお、エビデンスレベルはいずれも低かった。」【アブストのみ】
Rinse-free hand wash for reducing absenteeism among preschool and school children
Cochrane Database Syst Rev. 2020 Apr 9;4:CD012566.
PMID: 32270476
㉔「高齢者における全原因性認知症、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)の発症および認知機能低下に対する低用量アスピリンとプラセボの効果を検討するために行われた70歳以上(米国の少数民族は65歳以上)の地域居住者19,114人、追跡期間の中央値4.7年のRCTにて、すべての認知症のリスク(ハザード比[HR] 1.03;95%CI:0.91-1.17)、AD(HR 0.96;95%CI:0.74-1.24)、MCI(HR 1.12;95%CI:0.92-1.37)は、アスピリンとプラセボの間に差はなかった。 」【アブストのみ】
Randomized Placebo-Controlled Trial of the Effects of Aspirin on Dementia and Cognitive Decline
Neurology. 2020 Mar 25. pii: 10.1212/WNL.0000000000009277.
PMID: 32213642
㉕「DOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン)の初期処方を受けた患者で、P-糖タンパク質(P-gp)およびCYP3A4阻害剤であるベラパミルまたはジルチアゼムを投与されていた患者を、アムロジピンまたはメトプロロールを投与されていた患者と比較したところ、リバロキサバンおよびアピキサバンは、アムロジピンまたはメトプロロールを投与された患者と比較して、ベラパミルまたはジルチアゼムを投与された患者の出血率の増加とは関連していなかった。ダビガトランを投与されている患者では、アムロジピンと比較してベラパミルまたはジルチアゼムが52%(ハザード比 1.52;95%CI:1.05-2.20)、メトプロロールと比較してベラパミルまたはジルチアゼムが43%(ハザード比 1.43;95%CI:1.02-2.00)高い出血率であった。」【フリー】
JAMA Netw Open. 2020 Apr 1;3(4):e203593.
PMID: 32329770
㉖「アルツハイマー病(AD)患者(n=70,718)における抗てんかん薬(AED)(AED;n=5,638)の使用に関連した死亡リスクを検討したコホート研究において、AED使用者は非使用者と比較して死亡の相対リスク(IPTW HR 1.23;95%CI:1.12~1.36)が高く、これは主に認知症による死亡によるものであった(IPTW HR 1.62;95%CI:1.42~1.86)。心血管死と脳血管死に差はなかった(IPTW HR 0.98;95%CI:0.67~1.44)。全死亡率は、AED使用開始から最初の90日間が最も高かった(IPTW HR 2.40;95%CI:1.91~3.03)。古いAEDの使用者では、新しいAEDの使用者に比べて死亡の相対リスクが高かった(IPTW HR 1.79;95%CI:1.52~2.16)。なお、50%近くが6ヵ月以内にAEDを中止した。」【アブストのみ】
Antiepileptic drug use and mortality among community-dwelling persons with Alzheimer disease
Neurology. 2020 Apr 23. pii: 10.1212/WNL.0000000000009435.
PMID: 32327491
㉗「抗凝固薬の継続率を検討した、ワーファリン(n=1,642)または直接経口抗凝固薬(DOAC)(n=8,363)を投与されているCHA2DS2VAScスコア≧2の心房細動患者総計10,005人のコホート研究にて、15.0%が治療を中止した(ワルファリン 14.4% vs DOAC 15.1%)。新規患者7049例を対象にしたところ、6ヵ月後と12ヵ月後のワルファリンとDOACの治療中止率を調整したところ6ヵ月語後は7.9%(95%CI:6.8%-9.0%) vs 9.6%(8.4%-10.7%);P = 0.16、12ヵ月後は12.7%(11.0%-14.3%) vs 15.3%(13.6%-16.9%);P = 0.02であった。ワーファリンまたはDOACsによる治療を中止した患者は,治療を継続した患者に比べて,全死因死亡および心血管死亡(CV)のリスクが高かった。」【アブストのみ】
Am Heart J . 2020 Apr 28;226:85-93.
PMID: 32526533
㉘「COPDの急性増悪に対するCRPベースでの抗菌薬処方の有効性を検討するために、AECOPD(呼吸困難、喀痰量の増加、喀痰排膿量の増加のうち少なくとも1つを伴う)を呈した40歳以上の成人649人が通常治療群(n=324)とCRP群(n=325)とに無作為に割り付けられた。AECOPDに対して4週以内に抗生物質が処方されたのは、通常診療群で77.4%、CRP POCT群で57.0%であった(調整後オッズ 比0.31;95%CI:0.20~0.47)。2週間後のCOPD健康状態をClinical COPD Questionnaire(CCQ)で測定した結果、2週間後の修正平均CCQスコア差は0.19ポイント(両側90%信頼区間-0.33~-0.05ポイント)であった。」【フリー】
Health Technol Assess. 2020 Mar;24(15):1-108.
PMID: 32202490
㉙「抗うつ薬の分類別、薬剤別、適応症別にみた骨折リスクに関する米国、カナダ、英国、台湾の5つの管轄区域における後ろ向きコホート研究において、骨折率は1,000人あたり37.67~107.18と幅があった。SSRIのシタロプラム(HR] 1.23;95%CI 1.11~1.36 ~ HR 1.43;95%CI:1.11~1.84)とセルトラリン(HR 1.36;95%CI:1.10~1.68)、SNRIのデュロキセチン(HR 1.41;95%CI:1.06~1.88)、三環系抗うつ薬(TCA)のドキセピン(HR 1.36;95%CI:1.00-1.86)およびイミプラミン(HR 1.16;95%CI:1.05-1.28)、および非定型薬(HR 1.34;95%CI:1.14-1.58)は、一部の地域では骨折リスクを増加させたが、すべての地域ではなかった。米国と英国では、慢性疼痛よりもうつ病に処方された場合、すべてのクラスで骨折リスクが高かった。」【フリー】
Multinational Investigation of Fracture Risk with Antidepressant Use by Class, Drug, and Indication
J Am Geriatr Soc. 2020 Mar 17.
PMID: 32181493
㉚「がん患者に対する音楽療法の有効性を検討したRCTのメタ解析において、1,548人の患者を評価した合計19の試験が含まれ、そのうち765人が対照群、783人が実験群であった。標準的なケアと比較して、音楽療法はがん患者の全体的な生活の質のスコアを有意に向上させることができた。さらに、音楽療法は不安、抑うつ、痛みのスコアを低下させるのにも効果的であることがわかった。」【アブストのみ】
The effectiveness of music therapy for patients with cancer: A systematic review and meta-analysis
J Adv Nurs. 2020 May;76(5):1111-1123.
PMID: 32017183
㉛「2012-2017年の米国の入院患者における多剤耐性細菌感染症を検討した米国の890の施設のコホート(入院件数は4,160万件であり、米国の年間入院件数の 20%超に相当)において、感染症のうち83%は市中で発生し、17%は院内で発生しており、MRSA 感染症と ESBL 感染症が大部分を占めた(それぞれ 52%と 32%)。2012~17 年にかけて発生率が低下した感染症は、MRSA 感染症(入院 10,000 件あたり114.18 件→93.68 件)、VRE 感染症(入院 10,000 件あたり 24.15 件→15.76 件)、カルバペネム耐性アシネトバクター属菌感染症(入院 10,000 件あたり 3.33 件→2.47 件)、MDR 緑膿菌感染症(入院 10,000 件あたり 13.10 件→9.43 件)であった。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の発生率に有意な変化は認められなかった(入院 10,000 件あたり 3.36 件→3.79 件)。ESBL 感染症の発生率は 53.3%上昇し(入院 10,000 件あたり 37.55 件→57.12 件)、この変化は市中感染症例の増加によるものであった。」【アブストのみ】
Multidrug-Resistant Bacterial Infections in U.S. Hospitalized Patients, 2012-2017
N Engl J Med. 2020 Apr 2;382(14):1309-1319.
PMID: 32242356
㉜「試験担当医師の評価で静脈血栓塞栓症のリスクがあると考えられた下肢の整形外科非大手術を受ける成人患者(n=3,604)を、リバーロキサバン群(n=1,809)とエノキサパリン群(n=1,795)に無作為に割り付けた国際共同並行群間無作為化二重盲検非劣性試験において、重大な静脈血栓塞栓症はリバーロキサバン群0.2%とエノキサパリン群1.1%に発生した(リスク比 0.25;95%CI:0.09-0.75;非劣性の P<0.001;優越性の P=0.01)。出血の発生率にリバーロキサバン群とエノキサパリン群とで有意差は認められなかった(大出血または大出血ではないが臨床的に重要な出血はそれぞれ1.1%と1.0%、大出血は 0.6%と 0.7%)。」【アブストのみ】
Rivaroxaban or Enoxaparin in Nonmajor Orthopedic Surgery
N Engl J Med. 2020 Mar 29.
PMID: 32223113
㉝「血行再建術を受けた末梢動脈疾患患者(n=6,564)をリバーロキサバン(2.5mg1日2回)+アスピリン群(n=3,286)と,プラセボ+アスピリン群(n=3,278)に無作為に割り付けた二重盲検試験において、主要有効性転帰である 急性下肢虚血、血管を原因とする大切断、心筋梗塞、脳梗塞、心血管系の原因による死亡の複合はリバーロキサバン群の508 例とプラセボ群の584 例に発生し、3年発生率の Kaplan–Meier 推定値はそれぞれ17.3%と19.9%であった(HR 0.85;95%CI:0.76~0.96)。心筋梗塞血栓溶解(TIMI)分類の定義による大出血はリバーロキサバン群の62例とプラセボ群の44例に発生した(2.65% vs 1.87%;HR 1.43;95%CI:0.97-2.10)。 国際血栓止血学会(ISTH)の定義による大出血はリバーロキサバン群では140 例、プラセボ群では100例に発生した(5.94% vs 4.06%;HR 1.42;95%CI:1.10-1.84)。」【アブストのみ】
Rivaroxaban in Peripheral Artery Disease after Revascularization
N Engl J Med. 2020 Mar 28.
PMID: 32222135
㉞「慢性冠症候群の患者16560人がリバロキサバン2.5mgを1日2回+アスピリン100mgを1日1回投与するデュアルパスウェイ阻害薬(DPI)またはアスピリン単独に無作為に割り付けられ、そのうち9862人(59.6%)にPCIの既往があり、PCIから無作為化までの平均期間は5.4年、追跡期間は1.98年であった。PCIの既往にかかわらず、DPI vs アスピリンにおいて、MACE(PCI:4.0% vs 5.5%;HR 0.74;95%CI:0.61-0.88、PCIなし:4.4% vs 5.7%;HR:0.76;95%CI:0.61-0.94、P-相互作用=0.85)、死亡率(PCI:2.5% vs 3.5%;HR 0.73;95%CI:0.58-0.92、PCIなし:4.1% vs 5.0%;HR:0.80;95%CI:0.64-1.00、P-相互作用=0.59)は一貫して減少したが、大出血は増加した(PCI:3.3% vs 2.0%;HR:1.72;95%CI:1.34-2.21、PCIなし:2.9% vs 1.8%;HR:1.58;95%CI:1.15-2.17、P-相互作用=0.68)。」【アブストのみ】
Circulation. 2020 Apr 7;141(14):1141-1151.
PMID: 32178526
今回は以上になります。
参考になれば嬉しいです!