第19回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
録音はコチラから↓(途中で落ちてしまったので2つに分かれております)
今回のテーマは「呼吸器」でした。
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まずは@zuratomo4
JMIR Serious Games. 2019 Feb 25;7(1):e10116.
PMID: 30801256
ゲームを使った呼吸器リハについてのメタ解析です。私はあまりゲームをしないんですが(やりだすと止まらないからやらないようにしているんです…)、最近のゲームはすごいですね。色んなことができるようになってます。この研究は12の研究のメタ解析ですが、そのうち8試験が「Wii」、3試験が「Xbox Kinect」を使ったもののようです。従来のリハと比べて効果が同等でありながら、楽しくできるのであれば、すごく実用的なのではないかと思います。ずっとやってしまいそう。
次は@程々な薬剤師
CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea.
N Engl J Med. 2016 Sep 8;375(10):919-31.
PMID: 27571048
CPAPとは、睡眠時無呼吸症候群の治療法の「経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure)」のことですが、この治療法の有効性を検討した論文です。結果としては主要アウトカムである心血管イベントの複合アウトカムは通常ケアと比較して差がありませんでした。ただ、副次的アウトカムである病気による欠勤等では有意に減少させることができたようです。確かに、主要アウトカムである心血管イベントが減るに越したことはありませんが、実生活に直結する「病気による欠勤」等のアウトカムが減少するのは大切なことのように思います。
CPAPについては、ちょうど先日別件で他の論文を読みましたので、そのスライドも提示しておきます。こちらの論文ではCPAPでの治療はかなり有効だったようですし、治療しないことのリスクが明確となっておりました。(Obstructive sleep apnea and risk of cardiovascular disease and all-cause mortality: a meta-analysis of prospective cohort studies.)
次は@たけちゃん
Sci Rep. 2019 Aug 7;9(1):11465.
PMID: 31391573
心不全とCOPDの併発という悩ましい症例は実際多いわけですが…
そこでβブロッカー使うのか、使うのであれば、何を選ぶのかという…
こちらはCOPD患者に使用されていたβブロッカーに関するコホート研究で、カルベジロールを選択する可能性の高い患者群を調査したもののようです。いくつかのカルベジロールを選択しやすい患者群が抽出されました。β2選択性のないカルベジロールを使用するのは本来望ましくないのかもしれませんが、それを上回る有効性が期待できる患者群があるのでしょうか?私はこの辺について勉強不足ですのでなんとも…
たけちゃんのブログによる解説↓
私も以前COPDとβブロッカーについてはブログを書いたことがあるので、よろしければご参考に。
次は@にいやん
JAMA. 2018 Oct 16;320(15):1548-1559.
PMID: 30326124
にいやんの声がほとんど聞き取れないというハプニングがありましたが、、、
テオフィリンの効果は、今回の対象となった患者群ではあまりなさそうという結果でした。ただ有効血中濃度の目標を1~5μg/mLとしており、通常の「成人:5~15μg/mL」「高齢者:5~10μg/mL」よりは低くなっていることには注意が必要です。
他の研究を含めてもテオフィリンの有効性は微妙ではありますので、使いどころは限られてくるのではないでしょうか。
以下の「Medical Tribune」での倉原先生の記事が、この論文の解釈およびCOPDでのテオフィリンの使いどころという点でよくまとまっておりましたので、よろしければご参考に。
最後は@リンコ
Residual fluticasone in the oral cavity after inhalation with different tongue positions.
J Allergy Clin Immunol Pract. 2019 May - Jun;7(5):1668-1670.
PMID: 30529063
この論文は「薬局 2020年1月号 特集 Evidence Update 2020 」の気管支喘息治療薬の項で紹介されていた論文で、気になったので読んでみました。
患者数が少なく、pilot studyという印象ではありますが、下の位置を下げて吸入することで口腔内に残るフルチカゾンの量が少なっておりました。噴霧されるフルチカゾンの量はいずれも250μgなので、何も工夫をしないと半分以上が口腔内の残ることは驚きです。実際にこれがどこまで効果に影響するのかは分かりませんが、確かにこういった工夫も必要なのではないかと感じました。来年からは薬局での吸入指導での加算がつくことも発表になりましたので、是非こういった視点も取り入れた指導をしていただければと思いました。
今回は以上になります。
次回は3/18(水)の22時から、「フリーテーマ」にて行う予定です。
よろしければご視聴くださいませ!