先日地域住民向けに、「健康に役立つアプリ」という題目でお話をする機会がありました。とは言っても、私はこの分野に関しては無知で、いわゆるパワハ…いや、ムチャ振りで私に話が回ってきました。時間をかけてたくさん調べ、実際に使ってみました。非常にたくさんのアプリがあり、様々な機能があることに驚きました。まだまだ調べ足りず、ここで紹介するのはごく一部です。全て無料の範囲で紹介します。アンドロイド、アップルのどちらもで使用できるアプリを選んでいます。
せっかくスライドを作りましたので、こちらで共有したいと思います。
●全国版救急受診アプリ「Q助」
こちらは、病気やけがの救急度を判断してくれるアプリです。症状を選んでいくと、3段階に分けて救急度を示してくれます。
そういえば、ヤンデル先生(@Dr_yandel)が著書の「どこからが病気なの? 」でこのアプリをゲキ推し(?)されておりましたね!
●教えてドクター!
こちらは小児の病気に特化した、佐久市医師会が作成したアプリです(教えてドクタープロジェクトチーム→@oshietedoctor)。先ほど紹介したQ助と同じように小児の疾患に関する救急度を判断してくれたり、症状や病名を上のスライドのようにイラストでまとめてくれています。また、子育て豆知識や予防接種の項もあり、子育て世代にとっては非常に有用なアプリとなっております!
●健こんぱす
「健こんぱす」は医師、薬剤師によってつくられたアプリで、受診すべきかどうかを判断してくれます。症状を選択していき、OTCで済ませられる場合は具体的な商品名が表示されるようになります。また、目的やお悩み別、成分、種類別での健康食品やサプリの紹介もあります。セルフメディケーションには有用なアプリだと思いますが、最後は薬剤師に相談してほしいな、とも思いました。
さて、次からは様々なエビデンスを用いながらアプリを紹介していきます。
まずは運動について。
どうしても年を取るにつれて歩数は減っていってしまいます。1万歩歩きましょう!って言われることは多いですけど、なかなかそんなに歩けないですよね。今回紹介した文献によると、1日3000歩未満は危険かもしれませんが、5000歩くらいあるければいいのかなという印象です。あと、強度は関連しなかったようですので、必ずしも強度が強いものをしなくてもいいのかもしれません。また座って過ごす時間については、3時間未満がベストかと思いますが、なかなか厳しいような…せめて6時間以上にならないように気をつけていきたいものです。
ということで、アプリを紹介します。
●毎日歩こう 歩数計Maipo
歩数計のアプリは色々ありますが…こちらのアプリは時間帯と歩数のグラフがあるのが特徴です。ランキングが出たり、カレンダーになって歩数が一覧で見ることができます。このスライドは実際の私の歩数です。薬剤師って仕事中にどのくらい歩くんですかね?仕事内容にもよるとは思いますが。休日がひどくて…
あと、「ポケモンgo」に関する論文がいくつかありましたので紹介します。
一つ目は横浜の市民を対象とした論文ですが、ポケモンgoの使用にて歩数が大幅にアップしています。特に、使用群で冬に歩数が増えているのが印象的です。2つ目の論文では開始直後は歩数が増えましたが、6週で元に戻ったようです。ゲームアプリで飽きるのは仕方ないですね…
スライドでは紹介しませんでしたが、ポケモンgoに関するメタ解析もありました。「Impact of Pokémon Go on Physical Activity: A Systematic Review and Meta-Analysis.」(Am J Prev Med. 2020 Feb;58(2):270-282. PMID:31836333)。17試験も含まれていることにビックリ。1日あたりの歩数が1,446歩増加した(95%CI:953-1,939; I2=81%)とのことです。
あといくつか類似したアプリを次のスライドで紹介しておきます。
アスマイルやdヘルスケアは歩数に応じてポイントがもらえたり、抽選に参加出来たりもしますね。
次は頭痛関連のアプリの紹介を。
●頭痛ーる
頭痛は気候と大きく関連すると言われております。「頭痛ーる」は天気予報に基づいて、頭痛が起こりそうな時間帯を教えてくれます。薬を飲んだタイミングを記録することもできます。頭痛持ちの方にとっては便利かもしれませんね。キャラクターが可愛いのもいいですね!
次は禁煙関連
2007年の調査では、タバコは日本人のリスク要因別の関連死亡者数の要因の第一位となっており、健康へ重大な影響を及ぼすことは周知の事実かと思います。
日本人に関する報告では、20歳未満から喫煙を続けると男性で8年、女性で10年寿命が縮まると報告されております。寿命の差を10年、1日20本吸ったとすると、1本あたり14.4分寿命が縮んだことになります。また、他の研究では禁煙した年齢別の取り戻せる寿命が報告されており、早めの禁煙が望まれますが、遅くても禁煙の効果は期待できそうです。
●禁煙ウォッチ
「禁煙ウォッチ」は非常にシンプルなアプリで、初期設定をすると、「禁煙開始からの時間」や「禁煙できた本数」、「節約できた金額」、「伸びた寿命」を一目で見ることができます。ただ禁煙をするだけでなく、こういったサポートがあると少しでも禁煙の励みになるのではないかと思います。(※伸びた寿命はやや昔の論文が元になっており、1本あたり5分30秒として計算されております。)
また、以下のスライドで紹介しますが、医療用の禁煙アプリが現在承認段階に入っており、もうすぐアプリが処方される時代になるようです。すごく楽しみです!また、高血圧のアプリも第3相試験が行われるとの情報もありますね。
次は睡眠に関するアプリです。
睡眠障害の一つに睡眠時無呼吸症候群がありますが、重度になってくると心臓病による死亡のリスクが非常に高くなるようです。日本では数百万人患者がいるようですが、治療を受けている人数はまだまだ多くありません。
●いびきラボ
「いびきラボ」は、無料の範囲で3日分の睡眠時の録音がなされ、いびきの様子がグラフ化されます。このグラフは私の3日分の記録ですが、ほとんどいびきを掻いてないみたいです。面白くなくてすみません。録音を聞いても、確かに静かでしたね。赤い部分が多くなるといびきが大きい時間が多いことが分かりますし、録音を聞けば睡眠時無呼吸症候群の無呼吸状態を聞くことができるかもしれません。気になる方は一度録音してみてはいかがでしょうか。
睡眠関連のアプリには似たような機能がありますが、有料の機能が多いのが一つの特徴のように感じました。ただし、有料会員に登録すると非常に充実した機能を使える印象です。
紹介しきれませんでしたが、「Sleep Meister」や「Sleep Cycle」も評判の高い睡眠アプリのようです。
次は栄養関連。
●カロミル
栄養関連についてはあまり詳しくないので、エビデンスちょっと一休みして…
栄養関連に関するアプリはいくつもありましたが、評判が高かった「カロミル」を紹介しました。実際に自分の3日間の食事を入力してみましたが、特徴が出ているように思います。もう少しカロリーは摂ってもいいようですし、バランスはあまり良くないですね。見える化することの重要性が分かりました。
写真を撮って登録するシステムもありますが、料理名が上手く一致しないことが多かったので、あまり期待しない方がいいかもしれません。
次は電子お薬手帳について。
ようやく本業の話ができます。
おくすり手帳は昔に比べるとかなり浸透してきており、活用されてきているような気がします。でもやはり忘れてしまったり、緊急時に身に付けてなかったり、使いきりで交換になるので過去のものが見れなかったりと様々なデメリットがあります。そういったあたりは電子お薬手帳で十分にカバーできそうです。また、電子お薬手帳のアラート機能を使えば、飲み忘れの補助もできます。飲み忘れはできるだけ少ない方がいいですので(これらの論文は、飲み忘れの他にも治療中断も考慮されていると思いますが)。
なお、このアドヒアランス関連の論文は、「月刊 薬局 2017年 09 月号 特集 再考! 服薬アドヒアランス 」を参考にしました。久々に読みましたが、この特集は素晴らしいです!すごく勉強になりました!
●EPARKおくすり手帳
電子お薬手帳は現在かなりたくさんの種類があります。どれを紹介しようか迷ってのですが、近隣の薬局で使用できる「EPARKおくすり手帳」を選択しました。
調剤内容の記録はもちろん、受け取り希望時刻を設定して処方箋をアプリから送信することもできます。もちろん、服薬時間に合わせてアラートを付けることもできます。あとは数人分を一つのアプリで管理できるのも、お子さんがいる家庭にはいいのではないかと思いました。
手入力で薬剤を入力したときに用法が選択できないのは改善してほしいです。
もう一つ、紹介しようか悩んだのが「日薬eお薬手帳」です。
●日薬eお薬手帳
あまりにもたくさんの種類の電子お薬手帳があるので、淘汰されながら、機能が充実していってくれればうれしいな、と。また、お薬手帳アプリが導入されていない薬局もまだまだ多いようですね。アプリの使用にお金がかかったり、機器が必要だったり、ニーズがまだまだ少ない事など色んな原因が考えられますが。便利なのは間違いないので、もっと普及してくれればいいな、と。
最後はアップルウォッチ!
最後にアップルウォッチの紹介を。(本田圭佑はアップルウォッチとは関係ないですが。)
電話をはじめとする様々な通知、脈拍数や歩数、移動距離などは基本的な機能ですが、転倒のアラート機能には驚きました。高齢になると転倒が多くなり、その発見が遅れることも多くあります。一人暮らしの高齢者等の見守りの機器としても使えるかもしれません。
また、NEJMには先日、アップルウォッチによるAFの発見に関する論文が出ました。私の解釈できた範囲では、偽陽性もあるものの、AFの早期発見の一助には十分な役割を果たせそうな印象です。まさしく、アップルにウォッチされる時代が来るのかもしれません。日本での導入のためには医療機器としての承認が必要なようで、そこが引っ掛かっているようです。
さて本編はこれで終わり。
こちらが最後のスライドです!
これ最重要!!
ただただ楽しみ!!
以上になります。
何かのお役に立てば幸いです。
ここで紹介したのはごく一部ですので、他のアプリも是非探して使ってみてください!他にいいアプリがあればまた教えてください!
来年も同じような機会をいただければ、またアップデートしたいと思います♪
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教えてもらったアプリ(2020.2.15更新)
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