リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第15回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2019.10.16)(お題:耳鼻科関連)

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第15回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

録音はコチラから↓(今回は配信トラブルがあり3つに分かれております。。。)

今回のテーマは「耳鼻科関連」でした。

 

メニューはコチラ

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まずは@zuratomo4

Significant association between osteoporosis and hearing loss: a systematic review and meta-analysis.

Braz J Otorhinolaryngol. 2017 Nov - Dec;83(6):646-652.

PMID: 27670202

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このような研究があること自体全然知りませんでした。。。

95%CIがギリギリではありますが、骨粗鬆症と難聴との関連が示唆されているようです。I2=82%ということで、比較的異質性は高くなっていたようです。

機序としては、

「The underlying mechanism of hearing loss in osteoporosis is complex and undetermined. Some studies purposed that a possible underlying mechanism is systemic demineralization of the skeletal system in osteoporosis includes temporal bone, which contains the cochlea capsule and the conductive system.」

と、「Introduction」に記載されております。

関連があるかどうかは微妙なところではありますが、知識としては知っておいて損はないのかなと思います。

 

 

次は@たけちゃん

An iPhone-assisted particle repositioning maneuver for benign paroxysmal positional vertigo (BPPV): a prospective randomized study.

J Am Board Fam Med. 2015 Jan-Feb;28(1):118-20.

PMID: 25567831

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トレーニングのためのアプリの効果を検討したユニークな研究ですね。

結果としては、アプリを使った方がより正確に治療ができるようになったとのこと。

ちなみに当院では初期研修医の教育に「Resuscitation!」という救急室での初期趣味レーションをするアプリを取り入れています。

今後こういったアプリはたくさん出てきそうな気がしますし、薬剤師向けにも出てきてほしいな。すでに出ているアプリってあるんですかね??

 

 

次は@にいやん

Efficacy and safety of rupatadine in Japanese patients with seasonal allergic rhinitis: A double-blind, randomized, multicenter, placebo-controlled clinical trial.

Allergol Int. 2019 Apr;68(2):207-215.

PMID: 30391169

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ルパタジンの国内第3相試験です。

確かに有意な改善が認められていますが、このスコアの変化がどの程度なのかという判断が難しい気がします。それほど大きな差ではないようには思いますが…他の抗ヒスとの差はどうなんですかね…

添付文書をみた限りでは、蕁麻疹患者への投与ではプラセボとの差が比較的大きく出ている気がするので、そちらの目的の投与は有用な気もします。論文読んでませんが…

 

 

次は@リンコ

Efficacy and safety of sublingual immunotherapy for two seasons in patients with Japanese cedar pollinosis.

Int Arch Allergy Immunol. 2015;166(3):177-88.

PMID: 25895909

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スギ花粉の絶歌免疫療法(sublingual immunotherapy: SLIT) に関する論文を取り上げました。現在発売されている「シダトレン®スギ花粉舌下液」の第3相試験です。私自身が花粉症であり試してみたい薬剤と思っていたこと、花粉症薬の全額負担が騒がれている中でこの薬剤に注目が集まりそうなので、読んでみることにしました。

結果としては、2シーズン目の結果がメインとなっており、症状のスコアに差が認められました。また副次的アウトカムとして、レスキュー薬使用の大幅な減少、QOLスコアの改善が認められています。

メインのスコア改善としてはどのくらい差があるのかがイマイチピンとこないですが、副次的アウトカムの改善が明確であり、目に見えるような効果の差が表れているように思います。

長期的な使用にて効果の上積みが期待される薬剤なので、さらなる長期的な効果について知りたいです。

ただ、シダトレン®は発売中止となり、シダキュア®スギ花粉舌下錠に一本化されるようです。またこちらの論文も読まないと…

 

 

最後は@程々な薬剤師

Effectiveness of Earplugs in Preventing Recreational Noise-Induced Hearing Loss: A Randomized Clinical Trial.

JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2016 Jun 1;142(6):551-8.

PMID: 27054284

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 年に数回フェスに出かける私としてはとても気になった論文です。

耳栓の使用にてtemporary threshold shift (TTS)の発生が大幅に減少したようです。

 TTSの定義が明確には理解できておりませんが、個人的な経験としては、フェスとかライブ後に一時的に聴力が低下するということはよくあります。それがTTSかどうかと言われるとよく分かりませんが、、、それの予防に耳栓を使いたいかと言われると…やっぱり爆音で聞くのがいいんですよね(言うこと聞けよw)。どのくらいの確率で難聴に繋がるのかが気になります。時々小さな子供を見かけることはあるので、そういった子たちには付けてあげた方がいいような気はします。

日本には数万人単位で開催されるフェスがたくさんあるので、もっと大きな規模での色んな研究ができそうだなと。スピーカーの場所による違いとか、フェスによる違いとか、アーティストによる違いとかも検討できそうな気もします。

どうでもいいのですが、先日左耳がほとんど聞こえなくなって耳鼻科で診てもらいました。フェスに行きすぎ…ではなく、耳垢の溜まりすぎということで、処置後はすぐに聴力が回復しましたw

 

 

今回は以上になります。

次回は11/20(水)の22時から「フリーテーマ」で行う予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

また、参加の希望がございましたらご連絡ください♪