こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第63回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
録音はこちらからどうぞ↓
今回のテーマは「フリーテーマ」でした。
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1人目は@リンコ
Res Social Adm Pharm . 2023 Oct;19(10):1380-1385.
PMID: 37419769
こちらは、地域薬剤師における自己主張と薬剤師主導の処方変更との関係を検討した研究です。
非主張的自己表現(NA)、自己主張的自己表現(AS)、攻撃的自己表現(AG)の要素でそれぞれ薬剤師の評価を行い、そのスコアによる疑義照会時の処方変更との関係が評価されております。カットオフ値はそれぞれの評価の中央値となっております。
結果として、NAとAGに有意差はありませんでしたが、ASでは22pt以上にて有意に処方変更が多くなりました。
スライド右上の表にあるように、ASとは相手を立てて、自分も立てる表現方法です。どうしても疑義照会時は薬剤師側の主張が弱くなりがちですが、しっかり主張することで処方変更の可能性が高くなりそうです。
ASの評価項目をスライドに入れております。私は30ptくらいありましたが、皆さんはいかがでしょうか。
2人目は@猫になりたい薬剤師
Caries Res . 2011;45(3):281-6.
- PMID: 21576961
こちらは、乳幼児への口移し予防行動により3歳児の虫歯リスクを低減できるかを評価した横断研究です。
9/1に日本口腔衛生学会より「乳幼児期における親との食器共有について」という声明が出されており、話題になっておりました。その根拠となった論文となっております。
口腔内細菌の垂直感染リスクのある母親による食器の共有や教育者と小児間の口移し給仕行動の有無での虫歯リスクを評価しております。
結果としては垂直感染リスクの有無での虫歯リスクに有意差はなかったとのことです。
声明を読む限りでは、虫歯には他にも多様な原因があり、また日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触するため、今回のような口移し行動には影響がないのではないかということです。
しかしながら今回のような研究はほとんどなく、追加での検証が求められます。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
3人目は@たけちゃん
Eur Urol . 2022 Dec;82(6):633-636.
- PMID: 35151514
こちらは、ビジュアルアブストラクトをSNSに載せて投稿すると、論文閲覧数が増えるかどうかを検討した研究です。今回は、European Urologyに掲載された論文が評価の対象となっております。
結果としては、ビジュアルアブストラクト群にてインプレッション数やRT&いいね数が有意に多くなった一方、リンククリック数はビジュアルアブストラクト群にて有意に少なくなっておりました。なかなか興味深い結果ですね。
ビジュアルアブストラクトは見ただけで結果がよく分かりますので、拡散性には優れているようですが、クリックして論文を読むことが少なくなるという相反する結果になっているように思います。どちらがいいのかというところですね。
このような特徴を活かしながら、ビジュアルアブストラクトを利用していく必要があるのかなと思いました。
どうでもいいですが、ローマ字の「PMID」とPMIDの番号でグーグル検索の画像検索をすると、エビテンのスライドがかなりの確率で引っかかりますよ。(今回の論文だったら、「PMID 35151514」)で画像検索してください。
@たけちゃんのブログでの解説
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4人目は@zuratomo4
Lancet Psychiatry . 2023 Sep;10(9):693-705. - PMID: 37595997
こちらは、急性双極性うつ病に対する薬理学的介入の有効性と忍容性の評価を行ったネットワークメタ解析です。101試験(介入はプラセボ含めて69種類)、約2万人が対象となっておりぞれぞれ2~16週と短めの介入期間となっております。主要アウトカムとしては抑うつ症状を評価しております。
結果としては効果の大きい順で、オランザピン+フルオキセチン、クエチアピン、オランザピン、ルラシドン、lumateperone、cariprazine、ラモトリギンとなっております。SMDはオランザピン+フルオキセチンで0.41となっており、差としてはさほど大きくないのかもしれません。
アブストラクトしか読めていませんが、一つ一つの介入の論文の数は多くなさそうですし、質の高くないものも多いようなので、今後の研究次第では順位は入れ替わることもあるようです。参考程度にしましょうというところですかね。
著者の中のLeuchtさんが抗精神病薬のメタ解析で有名な方だと、zuratomo先生がキャスで言っておりました。
5人目は@にいやん
Alcohol . 2021 Jun;93:57-62.
PMID: 33745986
こちらは、寝酒と迎え酒が睡眠を改善するのかを評価した横断研究です。農業従事者が研究の対象者となっているのがユニークですが、何か理由があるんでしょうかね?
さて、結果としては、寝酒も迎え酒も不眠症の有病率が大きく増加しており、両方だとさらにオッズ比が大きくなっておりました。不眠症だから酒を飲むという部分もあるかもしれませんが。
少なくとも、飲酒で睡眠障害が改善することはなさそうなので、酒で解決するのは避けた方がよさそうですね。酒が全く飲めないので、気持ちが全然分からないのですが…
最後は@程々な薬剤師
Ann Intern Med . 2023 Aug;176(8):1067-1080.
PMID: 37487215
こちらは、痛風発作の再発および痛風による救急受診および入院に対するSGLT-2阻害薬の有効性をDPP4-阻害薬と比較したコホート研究です。
結果として、痛風発作の発生はRR 0.66(95%CI:0.57-0.75)と有意にSGLT2阻害薬群で有意に低下しており、痛風による救急受診や入院も有意に減少しておりました。
類似の研究もありますし、コホート研究ではありますが、ある程度信頼できる結果なのかなと思っております。
SGLT-2阻害薬で尿酸値が低下することは知られておりますので、それが影響しているのか、それともSGLT-2阻害薬ならではの他の要因があるのか気になるところです。全文読めればそのあたりも分かるかもしれませんが、アブストラクトしか読めませんでしたので。
心不全でループ利尿薬を使うとどうしても尿酸値が上昇しますし、尿酸生成抑制薬を使いたくなるのですが、SGLT-2阻害薬が使えればそういったことも防げるのではないかとも感じました。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は10/18(水)22時より、「テーマ:スポーツ」にて配信予定です。
よろしければご視聴くださいませ!