こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第73回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
録音はこちらからどうぞ↓
今回のテーマは「夏」でした。
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1人目は@にいやん
J Infect . 2019 Jan;78(1):19-26.
PMID: 30134143
こちらは、手足口病に対する手指衛生介入の効果を検討したクラスターランダム化試験です。夏に多い子供の感染症ですね。
アウトカムは手足口病による幼稚園の欠席でしたが、介入に関しては幼稚園の先生のみ、または幼稚園の先生および保護者に指導を行ったようです。介入はスライドにあるような5種類の介入があったようです。幼稚園の先生や保護者に介入し、子供に教育を行ったと考えられます。
結果として、手足口病による幼稚園の欠席は、コントロール群と比較にてIRRが幼稚園のみ群で0.39、幼稚園+家庭群で0.30と、大幅な減少が認められました。
手指衛生の重要性を改めて実感できましたし、他の感染症でも有効ですので、少しで感染症が減るように日々手指衛生の啓発をしていきたいですね。
なお、手足口病の原因のウイルスである「エンテロウイルス」や「コクサッキーウイルス」はエンベロープがないため、アルコール消毒が無効ですので、流水と石鹸による手洗いが必要です。
2人目は@猫になりたい薬剤師
Front Physiol . 2023 Jun 8:14:1143447.
PMID: 37362443
こちらは、ハーフタイム中に手と前腕を冷水に浸すと運動パフォーマンスが向上するかどうかを検討したクロスオーバー試験です。
このプロトコルは、暑熱下(33℃、相対湿度50%)において、1分ごとに5秒間の最大パワーペダリングを行い、25秒間の無負荷ペダリングと休息(30秒)で区切ったもので、15セット行い、2分休憩し、さらにもう15セット。その後15分のハーフタイムを挟み、さらに15セット×2が行われました。そのハーフタイム中に、手と前腕を15〜17度の冷水に冷やす介入が行われました。
結果としては、介入群で後半の第3ブロック、第4ブロックで出力が上昇しました。さらに直腸温の低下も認められました。
イントロを読んでみると、これまでもたくさんの試験がなされており、今回の介入にたどり着いたようです。このアウトカムの改善がどこまで有効かは分かりませんが、比較的簡単な介入ですので、ハーフタイムがあるようなスポーツでは利用できるかもしれません。人数が多いと、大量の水を準備するのが大変かもしれませんが。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
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3人目は@たけちゃん
Environ Int . 2022 Sep:167:107410.
PMID: 35868079
こちらは、日本人における暑熱曝露と糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性高血糖状態および低血糖による入院との関連性を評価したコホート研究です。
日本を11の地域に分け、それぞれの地域での平均気温の75%パーセンタイルをコントロールとして、90%パーセンタイル(暑熱効果)、99%パーセンタイル(猛暑効果)での入院リスクを評価しております。
全国的には75%パーセンタイルの平均気温が22.6℃、90%が26.7℃、99%が29.9℃となっております。
結果としては、高血糖緊急入院も低血糖入院も有意に増加しており、また90%パーセンタイルよりも99%パーセンタイルで増加する傾向が認められております。低血糖も増えるのが意外でした。
本文中には地域別の解析も出ておりますが、それぞれの地域でやや傾向が違いますし、特にリスクの高い地域も見てとれます。どこまで信頼できる数字なのかは分かりませんが。気温が低いことによるリスクはあまりなさそです。
Introductionには、気温が上がることによるホルモンバランスの変化や、脱水による高血糖リスクの上昇、またインスリンの吸収が良くなることによる低血糖などが理由として挙げられております。食事摂取量の低下による低血糖もありうるかなと思います。
平均気温が少しずつ上昇しているという話もありますし、糖尿病患者、特にリスクの高い患者に関しては、十分な注意喚起が必要かもしれません。
4人目は@zuratomo4
J Cosmet Dermatol . 2016 Mar;15(1):58-65.
PMID: 26663394
こちらは、腋毛の処理と臭気強度との関連を評価した研究です。
介入群は、ハサミ、かみそり、ワックスにてそれぞれ腋毛の処理をしております。
結果として、かみそりでのシェービングやワックスでの処理は比較的効果が認められた一方、ハサミでのカットでは効果があまり認められなかったようです。
また、いずれの介入に関しても時間的な効果は長くないようです。
しっかり洗浄するということがまずは大切だと思いますが、シェービングやワックスでの処理は少しプラスになるかもしれません。
5人目は@リンコ
Watermelon-Induced Hyperkalemia: A Case Series
Annals of Internal Medicine: Clinical Cases e231084 (2024)
- PMID: 未収載
こちらは、スイカ関連高K血症の症例報告です。3例の症例が掲載されておりましたので、論文中のTableの一部をスライドに転記しております。
まずスイカの摂取に関しては、3名とも大量に長期間摂取していたことがわかり、高K血症の誘因になったことが推察されます。
既往歴に記載がありますが、いずれの患者もCKDを有しており、カリウム値が上がりやすい状態であったことが推察されます。また、CKDということもありいずれの患者もRAS阻害薬を服用しており、カリウム値の上昇に影響があったのかもしれません。カリウムは6.6-7.4まで上昇しており、一部の患者では症状や心電図変化が認められました。
対処の治療としては、GI療法やポリスチレンスルホン酸Naなどが使われておりますが、β刺激薬のネブライザーを使っているのが珍しいというか、日本ではあまり見られない方法だなと思いました。
さて、カリウムを多く含む食べ物はバナナなど様々ありますが、特にスイカはほとんどが水分なので、大量に摂取しやすいように思います。売っている単位も大きいので、つい大量に食べてしまうのかもしれません。個人的には、そこまでスイカは好きではないので、そんなに食べなくても…とは思いますが。
夏はスイカのシーズンですので、CKD患者には注意喚起していく必要がありそうです。
6人目は@程々な薬剤師
JAMA Dermatol . 2017 Mar 1;153(3):304-308.
PMID: 28114650
こちらは、日焼け対策としてのビーチパラソルと日焼け止めローションの効果を比較したRCTです。
ビーチパラソル群ではビーチパラソル内にとどまり、日焼け止め群はSPF100の日焼け止めを2時間ごとに塗布され、日差しの強いビーチに真昼の3時間半滞在したようです。日焼けから22~24時間後に、各個人のすべての露出部位について臨床的日焼けを評価しております。
結果として、日焼けスコアはビーチパラソル群の方が有意に増加しており、サンバーン(紫外線に当たって肌が赤くなる日焼けのこと)や紅斑もビーチパラソル群で有意に増加しており、日焼け止めローションの方が効果的だったようです。
ちなみにこの試験ではSPF100の日焼け止めローションが使用されておりますが、日本ではSPF 50までしか発売されておりません。ちょっと調べてみましたが、このSPFの数字を20倍することで、日焼けが始まる(紅斑になる)時間を示すようです。SPF50なら、50×20で1000分という感じです。なのでSPF100は2000分となり、1日以上となりますので、そこまでは不要かもしれません。肌への影響も考慮されているのかもしれませんが、そのあたりは分かりませんでした。
私自身は、日に当たると強烈に紅斑ができて、かなり苦痛を伴いますので、外に出る機会があれば日焼け止めを使うので、すごく参考になりました。パラソルなどで日陰に入るのではなく、日焼け止めが有効だということが分かりましたし、理想は日に当たり過ぎないことかなとは思います。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は9/17(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
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