こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第61回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
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今回のテーマは「新薬」でした。
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1人目は@たけちゃん
JAMA . 2022 Feb 8;327(6):534-545.
PMID: 35133415
こちらは、基礎インスリンにチルゼバチド(マンジャロ🄬)を加えた際の有効性と安全性を検討したRCTです。基礎インスリンとしてはグラルギンが使用されております。
チルゼパチドとしては、5mg、10mg、15mgがそれぞれ週1回投与されております。
結果としては、40週間の投与にてプラセボ群と比較してHbA1cは5mgで1,24%、10mgで1.53%、15mgで1.47%減少し、体重はそれぞれ7.1kg、9.1kg、10.5kg減少しております。
一方、副作用としての低血糖はプラセボと比べて各群で差がなく、低血糖リスクは低いことが示されました。
ベースラインのBMIが高いことを踏まえても、この体重の減少は圧巻ですね。そりゃあダイエット目的での使用が注目されるわけですね。有害事象としての消化器症状には注意が必要ですが。
心血管イベントへの有効性は現在試験が進行中ですので、結果が待たれます。
キャス中にも話しましたが、デバイスがアテオスなので使い切りタイプのため患者さんにとって利便性は高いですが、6規格ありますので薬局としては在庫の問題が悩ましいです。
2人目は@程々な薬剤師
Muscle Nerve . 2023 Feb;67(2):124-129.
- PMID: 36504406
こちらは、エダラボンの経口薬であるエダラボン🄬内用懸濁液2.1%の安全性を評価した非盲検シングルアーム試験です。ALSに対してはエダラボンの静注薬であるラジカット🄬注30mgがすでに承認されており、利便性を高めるために経口薬が開発されたようです。薬物動態学的および生物学的同等性試験により、エダラボンの経口投与量105mgは、現在承認されているエダラボンの静脈内投与量60mgと同様の薬物動態プロファイルを有することが示されており、今回はALS患者における経口エダラボンの長期安全性と忍容性が評価されております。
結果としては、多くの患者で有害事象が認められたものの、さほど懸念される項目はなかったことで忍容性が確かめられました。経口薬の登場にて間違いなく利便性は向上するので、素晴らしいことだとは思います。
なお、有効性については静注薬の臨床試験で報告されておりますが、なんとか差がついたという印象で、効果はあまり期待できないような気がしています。難病の薬剤は難しいですね…キャス中では有効性のアウトカムの妥当性について議論となりましたが、悩ましいところですね。
3人目は@zuratomo4
Geriatr Gerontol Int . 2023 Apr;23(4):275-281.
- PMID: 36894171
こちらは、ドネペジルの貼付剤であるアリドネ🄬パッチの有効性と安全性を評価した二重盲検非劣性RCTです。アリドネパッチ27.5mgがドネペジル錠5mg、アリドネパッチ55mgがドネペジル錠10mgに相当するようです。なお、内服の3mgに相当するパッチ製剤は発売されておりません。おそらくは貼付剤の半減期が長く、反復貼付にてピークに達するまでは300時間程度かかるため、低用量の製剤が不要なのだと考えられます。
本試験では、アリドネパッチ27.5mgとドネペジル錠5mgの有効性と安全性が比較されました。
結果としては、認知機能の評価スコアであるADAS-cogの差が非劣性マージンを満たしており、両群の非劣性が示されました。有害事象としては、やはり貼付剤のため皮膚障害が目立ったようです。QT延長もアリドネパッチ群でやや多かったようです。
この試験を経て発売されたのではありますが、果たしてニーズはあるのか…貼付剤にはリバスチグミンがありますし、すでにジェネリックが発売されておりますので、敢えてドネペジルの貼付剤を選ぶことがあるのでしょうか…
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4人目は@猫になりたい薬剤師
こちらは、アセチルシステイン外用製剤ゲル10%(リネイル🄬ゲル)の巻き爪矯正補助効果を検討した研究です。まだ論文化されておらず、インタビューフォームから結果を持ってきております。
リネイルゲルは、専用の爪矯正具である巻き爪マイスター🄬と併用することで、巻き爪治療の補助的な役割を果たします。リネイルゲルは薬価未収載であり、自由診療となるようです。
作用機序は「爪のケラチンに含まれるシスチンのジスルフィド結合を還元して開裂し、爪の微細構造や強度に影響を与えることで爪を軟化させると考えられる。」と、添付文書に書かれております。
試験の結果として、主要アウトカムである「爪矯正具装着から第8日における遠位爪幅狭小化率70%の達成割合」は、リネイルゲル群47.5%、プラセボ群25.6%と大幅に改善しておりました。有害事象はリネイルゲル群にて観察されませんでした。
アウトカムの妥当性の判断は難しいですが、有効性は十分に期待できるのではないかと思います。
有用な薬剤が存在せず、当院では液状フェノールを使用して治療することもありました。そういった意味では、リネイルゲルのような薬剤が発売される意義は大きいのではないかと思います。NNT=5ですので、治療してみる価値は十分にありそうです。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
5人目は@リンコ
Auris Nasus Larynx . 2023 Aug;50(4):521-533.
PMID: 36599786
こちらは、中耳炎に対する1.5%レボフロキサシン点耳液(コムレクス🄬)の有効性と安全性を評価した研究です。
ド忘れていたのですが、レボフロキサシンはオフロキサシン(タリビッド🄬)のラセミ体でしたね。理論的にはコムレクス点耳液はタリビッド点耳液の10倍の有効成分が配合されているようです。
アウトカムとしては、デジタル内視鏡画像を用い、それを独立した効果安全性評価委員会が行っておりますので、厳密に行われている印象です。
結果としては、プラセボ群と比較してレボフロキサシン群で3つの臨床症状の消退が大幅に減少しておりました。膿性耳漏の消退も大幅に改善しておりました、菌消失率にも大差がついておりますが、レボフロキサシン群ではMRSAや緑膿菌の一部で耐性が認められていたようです。
プラセボと比較すると十分に効果がありそうな印象です。キャスでも話しましたが、以前に耳鼻科の医師と話した時に、膿があったら作用してほしい部位に届かないから意味がないと言われたのを思い出しました。決してそうではないことが示されたわけではありますが、それも確かだとは思いますし、まずは洗浄することも重要だとは思います。
あと、どうせならタリビッド点耳液と比較してほしかったんですけどね。これでは採用変更の決定打にならないように思います。タリビッドの有効性がはっきりしていないというか、昔の薬で臨床試験のデザインが不十分だったので、プラセボ対照でしかたなかったのかなとも感じております。
最後は@にいやん
Mod Rheumatol . 2023 Jul 4;33(4):680-689.
PMID: 36053757
こちらは、関節リウマチにおけるメトトレキサート皮下注射製剤(メトジェクト🄬皮下注)の経口製剤と比較しての有効性と安全性を評価した報告になります。
メトトレキサート皮下注は経口製剤と同様に週1回投与され、メトトレキサート皮下注7.5mgと経口製剤の8mgが等価換算されております。
結果として、12週後のACR20反応率は両群で同等であり、メトトレキサート皮下注の有効性が示されたことになります。また、有害事象については特に消化器症状が皮下注群で低下したとのことです。
基本的に経口製剤が使えるのであれば、コストと利便性からは経口製剤を使用すべきであり、どのような方が皮下注製剤の適応になるのかを考えないといけないですが、今回の試験で示されたように消化器症状で服用できない方くらいでしょうか。
メトトレキサートはRAのキードラッグですので新たな投与経路ができるのは良いことだとは思いますが、適応となる患者はそれほど多くないかもしれません。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は9/20(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
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