リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第74回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2024.9.18)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第74回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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録音はこちらからどうぞ↓

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

今回のメニューはこちら

 

 

1人目は@猫になりたい薬剤師

Immunogenicity and safety of a booster dose of a self-amplifying RNA COVID-19 vaccine (ARCT-154) versus BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine: a double-blind, multicentre, randomised, controlled, phase 3, non-inferiority trial

Lancet Infect Dis . 2024 Apr;24(4):351-360.

PMID: 38141632

こちらは、明治製菓ファルマより発売されたCOVID-19に対するレプリコンワクチンであるARCT-154(コスタイベ筋注🄬)の有効性と安全性を同じくCOVID-19ワクチンであるBNT162b2(コミナティ筋注🄬)と比較して評価した第Ⅲ相非劣性RCTです。mRNAワクチンを4回目のブースターとして投与した際の効果を評価しており、日本で行われました。1価起源株のワクチンを使用しております。

結果として、中和抗体幾何平均抗体価(GMT)はGMT比1.43となり、また血清反応率(抗体反応の定義:追加接種前の中和抗体価(定量下限未満の場合は定量下限の1/2)から4倍以上の上昇)は、65.2% vs 51.6%と13.6%優れておりました。起源株1価ワクチンではありますが、オミクロン変異株への有効性も確認されたようです。

抗体価のみの試験なので実際の予防効果はまだ分かりませんが、十分な効果が見込まれるのではないかと思います。実際に使用するのはJN.1株のワクチンですが、基本的には有効性に変わりないのではないかと思います。免疫が従来型のmRNAワクチンよりも長持ちするのではないかとも言われておりますので、実際の有効性が気になるところです。

ただ、1本16人分で希釈が必要というのは、現場としては非常に使いにくいです。来年は接種側の利便性を改善して欲しいですね。

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説

 

 

2人目は@にいやん

Antipyretic Effectiveness of Oral Acetaminophen Versus Rectal Acetaminophen in Pediatric Patients With Fever

Hosp Pediatr . 2022 Jun 1;12(6):e201-e207.

PMID: 35634881

こちらは、小児の発熱におけるアセトアミノフェン内服と坐剤での解熱効果を比較した5つのRCTのメタ解析です。

本文のTable.1にそれぞれの試験の概要がまとめられておりますが、38.5℃以上または39℃以上で解熱剤が使用されており、用量は10-20mg/kgの間だったようです(日本の添付文書は10-15mg/kgです)。

結果としては、解熱剤使用1時間後および3時間後において、内服群と坐剤群での差は認められませんでした。坐薬の方が早そうな印象なので意外な気がします。

ブロモグラムを見ても、概ねどの試験でも結果は一致しており、差がないということの信憑性は高いのではないかと思います。メタ解析に含まれている論文が全文読めず、詳細が分からなかったのは残念でしたが。

どちらでも良さそうですので、好みや状態に合わせて使い分ければいいのではないでしょうか。

 

 

PMID: 39141654

こちらは、犬、猫、鳥、魚、その他のペットの飼育と死亡率を評価したコホート研究です。多い順に、犬(44%)、猫(24%)、鳥(10%)となっています。追跡期間4年の間に、377人(2.4%)の死亡が確認されています。

結果として、全体としてはオッズ比0.74で有意に死亡率が低下し、ペットの種類別では犬のみ有意な減少が認められています。全体としてオッズ比は1を下回っており、有意差がつかなかったのは、飼っている割合が少なく、症例数が少ないことが原因かと思いますので、ペットの飼育がある程度死亡率を減らす傾向にあるのではないかと感じております。

そんな報告があったところで、動物嫌いの私は飼う気にはならないのですが、、、

散歩で運動が増えることも要因の1つなんですかね?

本文中では、それぞれの動物を飼っている人と飼っていない人の特徴が細かく解析されていて、興味深いです。

以前には、日本人高齢者の認知症発症に対する犬飼育の保護効果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37860160/)も報告されており、犬の飼育は何かしらいいことがあるのかもしれませんね。

@たけちゃんのブログでの解説↓

 

 

4人目は@リンコ

Fremanezumab for the Preventive Treatment of Chronic Migraine

N Engl J Med . 2017 Nov 30;377(22):2113-2122.

      PMID: 29171818

こちらは、慢性片頭痛の予防治療としてのフレマネズマブの有効性と安全性をプラセボと比較して評価した第Ⅲ相RCTです。当院で使用を開始するとのことで、今回は論文を選択しました。

フレマネズマブ(アジョビ🄬)は抗CGRP抗体であり、2種類の投与法(1か月に1回225mg、3か月に1回675mg)にて承認されております。今回の試験では、1か月に1回の投与法で初回に675mgを投与している点に注意が必要です。

結果としては、3か月に1回の投与法および1か月に1回の投与法のいずれにおいても、主要アウトカムである12週での月の頭痛回数の変化量をプラセボよりも有意に減らしております。ベースライン13回からは4回、プラセボと比べて2回程度の頭痛を減らしており、数値としてもそれなりに有効なのではないかと感じております。

有害事象に関しては注射部位反応が多く認められましたが、それ以外では特に差がありませんでした。

抗CGRP抗体に関しては、「CGRP 関連新規片頭痛治療薬ガイドライン」にあるように、投与医師が制限されております。ただ、発売されて3年経ち、特に重篤な副作用が報告されているわけではなさそうなので、この体制はいつまで続くのだろうかと、疑問でございます。

 

 

5人目は@程々な薬剤師

SGLT-2 inhibitors, GLP-1 receptor agonists, and DPP-4 inhibitors and risk of hyperkalemia among people with type 2 diabetes in clinical practice: population based cohort study

BMJ . 2024 Jun 26:385:e078483.

PMID: 38925801

こちらは、2型糖尿病患者の高カリウム血症リスクに関して、SGLT-2i、GLP-1RA、DPP-4iで比較した後ろ向きコホート研究です。それぞれのペアでマッチングされており、高カリウム血症は5.0mmol/Lと定義されております。

結果として、SGLT-2i vs DPP-4iはHR 0.75、GLP-1RA vs DPP-4iはHR 0.79、SGLT-2i vs GLP-1RAはHR 0.92となり、いずれも有意な差が認められております。

まだ機序は明確ではないようですが、特にDPP-4iとの比較では類似の研究がいくつも報告されているので、信頼性が高そうです。

今回は糖尿病患者を対象とした研究ですが、心不全等ではカリウム値が上昇する薬剤を多く使用しますので、そういった意味でも併用する意義はあるのかもしれません。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は10/16(水)22時より、「テーマ:肥満~食欲の秋~」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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