こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第60回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
録音はこちらからどうぞ↓
今回は「フリーテーマ」でした。
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1人目は@zuratomo4
J Pain . 2023 Jul;24(7):1229-1239.
PMID: 36842734
こちらは、村八分が痛みに与える影響を検討した研究です。仮想の村八分として、ゲームを使用して行われた研究です。
門外漢のため、解釈がうまくできないので、パスします…
キャスの録音で@zuratomo先生の解説をお聞きくださいませ。
2人目は@程々な薬剤師
Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol . 2022 Sep 1;323(3):R289-R299.
- PMID: 35785965
こちらは、定期的なサウナと運動の心血管機能に対する効果を評価したRCTです。
運動後にサウナを利用するA群、運動後に休憩するB群、何もしない(コントロール)C群の3群に分けられ、主要アウトカムとしては、血圧と最大酸素摂取量が評価されました(最大酸素摂取量は1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量で、持久力の指標になるようです)。
運動は週3回に1時間程度ずつ、筋トレやエアロバイクが行われておりました。サウナは運動後に15分間行われたようです。
結果として、A群とB群の比較にて、A群の方が最大酸素摂取量が大きく、収縮期血圧は8mmHgの低下が認められました。A群とC群の比較は行われておりません(B群とC群の比較は行われております)。ただ、血圧測定のタイミングはよく分からず…
症例数が少ないため評価には注意が必要ですが、何かしらのいい結果が期待できるかもしれないですね。
運動後にすぐサウナに行ける環境ってあるのだろうかと思ったりしましたが、スポーツジムとかに併設されているといいかもしれないですね。
3人目は@猫になりたい薬剤師
BMJ . 2023 May 16;381:e074349.
- PMID: 37192767
こちらは、女性の尋常性ざ瘡に対するスピロノラクトンの有効性を評価したRCTです。
イントロを読んでみると、欧米での治療では抗菌薬(外用及び経口)が長期間処方されることがあり、耐性菌の増加が懸念されているようです。スピロノラクトンは有用性が示唆されているものの、規模が大きなRCTはなされておりませんでした。
評価項目としてはAcne-QoLスコアが使用されました。(Acne-QoLは、4つの領域(自己認識、役割-社会的、役割-情緒的、およびニキビ症状)で報告される7つの回答カテゴリーを持つ19の質問から構成される。各サブスケールは0~30の範囲であり、スコアが高いほどQOLの改善を示す)
結果としては、スピロノラクトン群にてプラセボ群と比較して12週間後のAcne-QoLスコアの改善が認められたようです。ただ、30点満点のスコアで1点の差というのは、有効性に乏しいような気がしています。また、その他の評価項目でも軒並みスピロノラクトン群で上回っておりますので、有効性は期待できそうな印象です。
有害事象には両群にほとんど差はなかったようですが、薬剤の特性上警戒は必要なのではないかと考えています。
ググってみると、自由診療でスピロノラクトンを使用しているケースはあるようですね。
現状ではあくまで保険適応外ですが、治療の選択肢としてはありなのかもしれません。ただ、ここ最近で治療薬が多く発売されておりますので、その優先度は高くないと思います。ガイドラインにもスピロノラクトンの記載はありますが、推奨度C2「炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを主体とする痤瘡にも,スピロノラクトン内服を推奨しない」となっております。
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4人目は@リンコ
Thromb Res . 2023 Jul 8;229:131-138.
PMID: 37453255
こちらは、CKDの心房細動患者におけるワルファリンの治療の質と転帰との関連を評価したコホート研究です。
最近、ワルファリンを使用する機会はめっきり減ってCKD患者くらいになってきたのですが、有用性は微妙だし、コントロールも難しいし、悩ましいんですよね。参考になるかなと思い、この論文を読んでみました。
CKDステージG3からG5D(透析)患者を対象としております。
結果としてTTRはCKDステージが進むほど悪くなり、どちらかというとINRが2を下回るケースが多くなっておりました。TTRは60-70%程度が一つの目安になりますので、平均的にはクリアしていることになります。あと、これは自明ですが、CKDステージの進んでいる群で種々のイベントが多くなっております。
また、TTR別で見ると、TTR70%以上でイベントリスクは少なく、TTRが増加するほどイベントリスクが低減する傾向も見てとれました。
やはりTTRが重要であることを再認識しました。有用性がまだよく分かっていないこともあり、コントロールが難しい患者では中止もやむを得ないかなと感じております。
5人目は@zuratomo4
Ann Intern Med . 2023 Jul;176(7):913-921.
PMID: 37335992
こちらは、70歳以上の高齢者のアスピリン服用が貧血に与える影響を評価したRCT(ASPREE試験)の事後解析です。
結果としては、アスピリン群にてプラセボ群と比較して貧血発生のハザード比が有意に高くなっており、3年目のフェリチン濃度は11.5%アスピリン群で低くなっていたようです。一方、ヘモグロビン濃度はプラセボ群の方が減少する傾向にあったようです。これは相反する結果のため、誤植の可能性が高そうですが、全文が読めずよくわかりません。
アスピリンを服用することは貧血リスクにつながりそうですが、私が思っていたよりも影響は少なそうです。貧血の発生率はアスピリン群年5% vs プラセボ群4%ということですので、許容できる差なのかもしれませんし、10年単位で服用する薬と考えたら大きな差なのかもしれません。大出血のリスクもありますからね。PPI等の有無による差も分かればよかったのではないかと思います。全文読めば書いてあるかもしれませんが…
たけちゃんのブログでの解説↓
最後は@にいやん
Impact of smoking on the eradication of Helicobacter pylori
Helicobacter . 2022 Feb;27(1):e12860.
PMID: 34708484
こちらは、喫煙がピロリ除菌の成功率に影響を与えるかどうかを検討した研究のメタ解析です。
結果としては、全体として喫煙者で除菌失敗リスクが高まり、またタバコの本数が5本以上、除菌治療中の喫煙にてリスクが高まることが分かりました。また、ボノプラザンの使用では差は認められませんでしたが、非使用では喫煙が除菌失敗のリスクとなりました。まあでも今どきボノプラザンを使わない除菌はほとんどないとは思いますが…
喫煙による失敗リスク上昇の原因については、CYP2C19の遺伝子多型の問題や耐性の増加が示唆されているようです。クラリスロマイシンの用量については、喫煙者については400mgよりも800mgの方が除菌率が高いことも報告されています。
喫煙者への除菌は失敗リスクになることがよく分かりましたので、失敗しないために十分な指導が必要ですね。禁煙すること、クラリスロマイシンの用量を増やすこと、あとは整腸剤を使用すれば除菌率が上がるという報告もありますし、副作用予防も含めて使ってもいいのかもしれません。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は8/16(水)22時より、「テーマ:新薬」にて配信予定です。
よろしければご視聴くださいませ!