リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第58回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2023.5.17)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第58回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓(2回に分かれております)

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

メニューはこちら

 

 

1人目は@たけちゃん

Lactulose versus polyethylene glycol for disimpaction therapy in constipated children, a randomized controlled study

Sudan J Paediatr . 2019;19(1):31-36.

PMID: 31384086

こちらは、小児の便秘に対するラクツロースとPEG(ポリエチレングリコール)の有効性を比較したRCTです。

日本ではPEGとしてモビコールが発売されていますね。ラクツロースは便秘に適応のある製剤が増えてきました。

さて結果は、開始2日目ではPEG群の方が有意に排便が得られておりましたが、7日目には全員に排便が得られたようです。PEGの方が有利な結果のように見えますが、本文ではPEGの費用の高さが問題視されており、ラクツロースも十分な代替薬となるという結論になっています。

ラクツロースとPEGとでは、ラクツロースの方が有効性が高いという報告は多くあります。以下はコクランレビューです。2010年と古く、研究数が多くないため解釈には注意が必要かもしれません。

Lactulose versus Polyethylene Glycol for Chronic Constipation(PMID:20614462)

ただ、確かに日本でもPEGは薬価が高いので、ラクツロースで効果が得られるのであれば、そちらでもいいのかもしれません。

 

 

2人目は@zuratomo4

Playing Minecraft Improves Hippocampal-Associated Memory for Details in Middle Aged Adults

Front Sports Act Living . 2021 Jul 5;3:685286.

              PMID: 34291204

こちらは、中年(40~49歳)を対象にMinecraft(通称:マイクラ)が認知機能を改善できるかどうかを検討した研究です。

私はやったことがなく、ゲーム性を上手く表現できないので、以下の公式サイトをご参照ください。

研究の結果としては、介入による有意な改善効果が認められた項目もあるようですが、評価項目が多すぎて偶然のような気もします。

この論文を根拠として、記憶力改善のためにプレイすることを勧めることは難しそうですが、楽しみながらプレイし、結果として記憶力の改善につながればラッキーくらいのイメージでいいのではないでしょうか。

 

 

3人目は@猫になりたい薬剤師

The Effect of Magnesium Supplementation on Vascular Calcification in CKD: A Randomized Clinical Trial (MAGiCAL-CKD)

J Am Soc Nephrol . 2023 May 1;34(5):886-894.

  • PMID: 36749131

こちらは、Mg補充がCKD患者の石灰化を抑制できるかどうかを検討したRCTです。

CKD患者の血清Mg高値は、生存率の改善や心血管イベントの抑制、CKDの進行抑制などが報告されておりますので、補充の効果を検討しましたが…

結果としては、全文は読めておりませんので詳細は分かりませんが、MgOH補充群とプラセボ群を比較して冠動脈石灰化(CAC)スコアに差はなかったようです。

12か月という追跡期間が短かったこと、症例数が少なかったことは結果が出なかった原因かもしれませんが、現状では補充は積極的には勧められない印象です。

 

こちらは、インクレチン関連薬であるGLP-1アナログ製剤とDPP-4阻害薬がSGLT2阻害薬と比較して腸閉塞リスクと関連するかどうかを検討したコホート研究です。

結果として、GLP-1アナログ製剤もDPP-4製剤も腸閉塞リスク増加と関連しており、ハザード比はDPP-4阻害薬の方が大きい傾向でした。ただ、NNHはさほど大きい数字ではないようにも思います。

GLP-1アナログ製剤は機序やその有害事象からもリスクはありそうでしたが、DPP-4阻害薬はさほど胃腸障害関連の副作用が目立たないので意外でした。ただ、そもそもSGLT-2阻害剤が優秀過ぎるので、腸閉塞リスクを減らしているんじゃないかと思ったりもします。

初めて読んだ論文だと思っていたのですが、すでにたけちゃんがエビテンで一昨年紹介してましたね。私のコメントもほとんど同じで…(笑)

 

 

5人目は@程々な薬剤師

Efficacy and Safety of E-Cigarette Use for Smoking Cessation: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials

Am J Med . 2023 May 4;S0002-9343(23)00295-4.

  • PMID: 37148992

こちらは、ニコチン電子タバコと電子タバコ以外の従来の禁煙療法での禁煙効果の有効性を検討した5つのRCTのメタ解析です。

結果としては、ニコチン電子タバコ群で有意に禁煙達成が多くなっておりました。

本文が読めないので詳細は分からないですが…

現在、内服の禁煙補助剤が出荷停止中なので、それにとって代わるような様々な方法があるのはいいことだなと感じました。禁煙できるのが第一ですので、どんな方法でも禁煙ができるのであればいいのかなと思います。

 

 

最後は@リンコ

Benefits and harms of drug treatment for type 2 diabetes: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials

BMJ . 2023 Apr 6;381:e074068.

PMID: 37024129

こちらは、13種類のDM関連薬の2型DMに対する有益性と有害性を検討した816のRCTのメタ解析です。13のDM関連薬は、SGLT2i、GLP1RA、フィネレノン、チルゼパチド、メトホルミン、DPP4i、Basal insulin、Bolus insulin、Basal Bolus insulin、グリニド、SU剤、α-GI、チアゾリジンとなっています。

結果としては、SGLT2iおよびGLP1RAにおいて総死亡、心不全入院、末期腎不全のイベントが低下しておりました。また、フィネレノンも様々なアウトカムで改善傾向が認められましたが、研究数が少ないので割り引いて考えて方がいいように思います。チルゼパチドもまだ研究数が少ないようで、95%信頼区間が広くなっております。メトホルミンはもっていい結果が出てもよさそうな気もしますが…

また、それぞれの薬効群で特有の有害事象が増加傾向にあるようです。

体重をアウトカムとした解析もなされており、チルゼパチド、GLP-1RA、SGLT-2i等で現状が認められた一方、SU薬、インスリン製剤、チアゾリジン系で体重増加が認められておりました(fig5参照)。

新たに発売されてきた薬効群の効果量は大きいなという印象です。使える患者にはしっかり使っていかないといけないことを改めて実感しました。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は6/20(水)22時より、「テーマ:認知症」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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