リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第55回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2023.2.25)(テーマ:飲食物)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第55回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓

 

今回のテーマは「飲食物」でした。

 

メニューはこちら

 

 

まずは@たけちゃん

Effects of an Optimized Aged Garlic Extract on Cardiovascular Disease Risk Factors in Moderate Hypercholesterolemic Subjects: A Randomized, Crossover, Double-Blind, Sustainedand Controlled Study

Nutrients . 2022 Jan 18;14(3):405.

PMID: 35276764

こちらは、黒にんにくの血圧降下効果を検討した二重盲検ランダム化クロスオーバー試験です。CVDリスクのある患者としてLDL-C>115mg/dLの方が対象となっております。黒にんにく群では、熟成黒にんにく(ABG)の抽出物であるS-アリル-L-システイン(SAC)を1錠あたり1.25mg含むABG抽出物250mgが用いられ、1日1錠服用したようです。各群6週間服用後の血圧変化が評価されております。

結果としては、収縮期血圧に関してはABG群とプラセボ群で差は認められませんでしたが、拡張期血圧で差が認められました。性別では男性のみに効果が認められております。

拡張期血圧のみで差があったり、女性では差がなかったりと一貫性がありませんので、偶然差がついたのかなという印象があります。

以前、@程々な薬剤師にんにくの降圧効果についてエビテンで取り上げられておりましたが、そちらでは収縮期血圧、拡張期血圧ともに有効性が認められておりました。そう考えるとわざわざ黒にんにくにする必要はないのかもしれません。

ちなみに、今流行りのChat GPTに黒にんにくの作り方を聞いてみましたので、よろしければご参考にされてください。

 

 

次は@程々な薬剤師

Spicy food and self-reported fractures

Clin Nutr . 2019 Oct;38(5):2239-2245.

PMID: 30316535

こちらは、辛い食品の摂取と骨折との関連を評価したコホート研究です。

2004年から2008年にかけて行われており、辛い食品の摂取頻度、辛さのレベル(弱い辛さ、中辛、激辛)と摂取期間が評価され、骨折は自己申告となっております。

結果としては、辛い食品を食べない人と比べて、いずれの辛さのレベルに関しても有意に骨折をしやすくなっております。摂取期間との関連もあったようです。

全文が読めないので詳細は分かりませんが、辛い物が直接影響しているのか、辛い物を好きな人の性格が影響しているのか、気になるところです。キャスでは辛い物好きは危険な行動をとりやすいかもしれないとかMの気質があるかもしれないとか、いろんな意見が出ましたが果たして…

Chat GPTには辛い物の摂取と骨折との関連は否定されました。

 

 

こちらは、納豆アレルギーとマリンスポーツの関連を検討した研究です。

twitterで流れてきて興味があったので読んでみました。

結果としては、マリンスポーツの経験は納豆アレルギーとの関連があることが示唆されました(調整オッズ比278.0って見たことない数字ですね!)。また、マリンスポーツの中でもサーフィンとの関連が示唆され、スキューバダイビングやウインドサーフィンとは関連しませんでした。

経験年数も関連しなかったのですが、n数が少ないことが影響していると考えられ、経験年数が多い方がアレルギーリスクの高い傾向は見られました。また、年間の経験数週は多い方がアレルギーリスクが高まっておりました。

この関連する理由について本文中では以下のように書かれています。

納豆の主要アレルゲンはポリ-γ-グルタミン酸(PGA)であり、これは発酵中に枯草菌が作り出す納豆粘質物の成分である。(中略)

天然の PGA は、納豆菌などの一部の原核生物には細胞外に存在するが、刺胞動物の刺胞カプセルの細胞内にのみ検出されている。クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物は、刺すときに刺胞内に PGA を生成する。クラゲでは、PGAがカプセル内の陽イオンを引き付け、カプセル内の浸透圧の急激な変化を伴う線虫の排出に重要である。したがって、毒に含まれるPGAは、海中でクラゲに刺されることで皮膚に接触している可能性がある。(中略)

我々は、サーフィンはクラゲに刺される可能性が高いため、納豆アレルギーにおけるPGAへの感作の危険因子であると仮定しました。

(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。)

これは初めて知りましたね。

ちなみに、サーフィンとは関連があったのに他のマリンスポーツと関連しなかったことについては以下のように書かれております。

サーフィンは表層のウォータースポーツであり、クラゲは表層に棲息している。したがって、サーファーは他のマリンスポーツに比べてクラゲに刺される確率が高いかもしれない。実際、納豆アレルギー群のすべてのサーファーが、特に夏場にしばしばクラゲに刺された経験を持っていました。サーファーたちは1回につき数時間理想的な波を待ち、ウェットスーツではなく海水着しか着ないことが多いため、体の大部分が長時間海にさらされ、クラゲに刺される危険性が高くなります。一方、スキューバダイビングは定期的にウェットスーツを着用し、ウィンドサーフィンは短時間海に浮くだけである。

(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。)

まだ仮説段階のようですが、納得できますね。

キャスでも紹介しましたが、周辺情報を調べていたら関連論文を見つけたので紹介しておきます。

ホタテガイの養殖は北日本の地方で納豆による過敏症反応の潜在的なリスクを持つ

Scallop aquaculture has a potential risk of natto-induced hypersensitivity reactions in a local area of northern Japan

Allergol Int . 2023 Jan;72(1):128-134. PMID: 35817698

 

 

次は@猫になりたい薬剤師

Consumption of 2 Green Kiwifruits Daily Improves Constipation and Abdominal Comfort-Results of an International Multicenter Randomized Controlled Trial

Am J Gastroenterol . 2023 Jan 9.

      PMID: 36537785

こちらは、グリーンキウイフルーツの便秘症状への有効性を評価したクロスオーバー試験です。

キウイ群では2個/日のキウイを摂取、対照群では食物繊維のサイリウム7.5g/日を摂取しております。これはいずれも食物繊維を6gずつ摂取できる量のようですね。サイリウムはこの用量で有効性が確認されているようですね。

なお、評価項目である完全自然排便(CSBM)の回数は、週に1.5回以上の増加が指標となっていたようです。

結果としては、キウイフルーツ群でCSBM回数が1.69回/週の増加となっており、またサイリウム群と比較しても有意にCSBM回数が増加していたようです。また機能性便秘患者群やIBS-C患者群のいずれにおいても1.5回以上の改善が認められておりました。

キウイ2個/日でも便秘の改善効果がありそうですが、キャスでも議論になったように費用が問題となるかもしれません。1個100円前後するんですね。自分で買わないから知りませんでした。シーズンになると祖父宅から山のようにキウイがもらえる環境なので…

嗜好の問題もあり毎日続けるのは難しいかもしれませんが、補助くらいの感覚で使っていくのは良いかもしれません。

 

 

次は@zuratomo4

≪ヤクルト1000≫

Beneficial effects of Lactobacillus casei strain Shirota on academic stress-induced sleep disturbance in healthy adults: a double-blind, randomised, placebo-controlled trial

Benef Microbes . 2017 Apr 26;8(2):153-162.

PMID: 28443383

≪ピルクル≫

Lactobacillus paracasei subsp. paracasei NY1301 株含有飲料摂取による疲労感の軽減効果と睡眠の質の改善効果―疲労感の自覚のある被験者を対象とした ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較研究―

薬理と治療 49,12, 2135 - 2148 (2021)

  • 今回は類似論文の2つが紹介されました。1つ目は、ヤクルト1000の学業ストレスによる睡眠障害への有効性を評価した二重盲検RCT、2つ目は、ピルクルの疲労感の軽減効果と睡眠の質の改善効果を評価した二重盲検RCTです。
  •  
  • ヤクルト1000の試験に関しては、様々な項目に関して評価されており、そのうち一部の項目にのみ有意差が認められております。
  • ピルクルの試験に関しては、全文が読めなかったので、機能性の科学的根拠に関する点検表を読みましたが、こちらも一部の項目でのみ有意差が認められている印象です。

いずれの商品も機能性表示食品なので仕方がない部分もありますが、この結果を見て使いたいとは思わないです。

この商品が爆売れするとは…機能性表示食品は闇が深そうですし、リテラシーが問われますね。

こちらは、砂糖入りおよび人工甘味料入りソーダと慢性腎臓病(CKD)との関連を評価したコホート研究のメタ解析です。

日常的にソーダを飲まない人を対照群として、日常的に砂糖入りソーダを飲む群と人工甘味料入りソーダを飲む群とで比較されれております。

結果としては、砂糖入りソーダ群で有意にCKDリスクが上昇しましたが、人工甘味料入りソーダでは上昇しませんでした。

CKDリスクを考えると、砂糖入りソーダよりも人工甘味料入りソーダの方が安全なのかもしれません。味はそんなに変わらないんですかね。。。

Chat GPTにどちらが健康的かを聞いてみましたが、まだ人工甘味料のリスクがはっきりとわかっていないようで、明確な答えはありませんでした。当たり前ですが、過度な摂取は控えましょう。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は3/15(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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