リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2022.12)(学生実習受け入れと「患者中心の医療の方法」)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

今年度、初めての学習実習を受け入れ、その内容についてはこちらのブログにまとめました。

 

今回の学生実習に当たっては、ブログで何度か書いております「患者中心の医療の方法」の輪読会をしていることが大変役に立ちました。

「患者中心の医療の方法」の第3部(8~12章)は「患者中心の医療の方法の学習と指導」であり、学生・研修医教育についてちょうど学んだところでした。ここで学んだことを思い出しながら実習を進めておりました。

 

今回は、特に実習で参考になった部分のスライドをいくつか紹介します。

この3つはもちろん薬剤師にとっても学ぶべき領域ですので、意識して教育を行いました。

1に関してですが、知識はとくかく与え続けました。処方箋上のアリア第5巻で麻生が言っていました。「知らないと、助けられないじゃないですか。」と。そうなんですよね、知らないとどうしようもないんです。国試に関係あることも関係ないこともたくさん教えました。短期間だったので身につけるのは難しかったのかもしれませんが、覚悟はできたかもしれません。技術的能力としてのコミュニケーション能力ももちろん大切ですし、私は非常に重要視しております。認知症等でコミュニケーションが取れない患者さんも多いのですが、そうでない患者さんとは積極的に接してもらうようにしていました。患者コミュニケーションは、反省を繰り返しながら数をこなすしかありません。患者さんから聞きたい話を聞きだしたり、指導内容を理解し守ってもらうには高度な技術が必要だと思っています。今回の実習では毎回振り返り反省できていたのは良かったと思います。

2については、私たちの働いている姿を見せるのが一番だと思いますので、私自身も見られているのを意識しながら指導を行っておりました。回診に参加したり、カンファレンスに参加したりしましたので、そこで感じることはあったのではないかと思っていたのですが、実習生と話をしていると、意外とそれ以外の普段の内線での質問の対応や何気ない他職種との会話を見ていたようで、そこから「薬剤師とは?」を学ぶことが多かったようですね。

 

3の「癒すことを学ぶ」についてはスライドをつけておきます。

また、「癒す者」に重要な8つの技術も紹介されております。

(小さなことを行うこと、時間をとること、心を開いて聴くこと、何か好きなもの愛するものを見つけること、障壁を取り除くこと、患者に説明させること、権限を共有すること、献身的であること)

これついては、実習の短期間では難しかったなという印象です。2が身につかないと難しい印象もありますし、どうしても多くの臨床での経験が必要になってくると思います。技術的な能力も非常に重要かと思います。一つの近道は「患者の書いた書物」や「患者のことが書かれた書物」を読むことだと思います。1,2冊私のおすすめ書籍を読んでもらったのですが、効果があったかどうかはよく分からず…

 

この考え方は独特な気もしますが、患者を教育の対象とすれば、確かに学習者と教師の関係は患者と医療者との関係と似ていると言えそうです。と思い意識して取り組んだのですが、結局うまく解釈することができませんでした。

 

1は時代の流れと言いますか、教育全体の中で変わってきているのだと思います。それなりにできたのではないかと思います。

2もその通りだとは思うのですが、それは学習者が目的や到達点を十分に理解している場合でないと成り立ちにくいのかなと思いましたし、ある程度教師側がリードする必要があるように感じました。

3については難しかったですね。確かに教え過ぎかなと思うことは時々ありました。取捨選択がなかなか難しかったです。特に、「絶対に国試には出ない事柄」を教えるかどうかは悩ましかったですね。少しでも減らせるような工夫は必要かと思います。

4に関しては、もう少し自分で調べてまとめるとか、調べたことを治療に反映させるとかということが必要だった気がしています。

5は日報に頼り過ぎていたかもしれませんね。しっかりフィードバックの時間を確保し、直接伝える必要があったのではないかと感じています。

 

これが大切なのは十分に理解できるのですが、このご時世ではなかなか難しいですね。プライベートなことを聞けば理解はできるかもしれませんが、どこまで掘っていいものなのかと。実習だからと割り切ってもいいかもしれませんが、学習者側の問題もありますからね。事前に大学側から情報があってもよかったかもしれませんが、生徒一人一人の性格まで把握するのは難しでしょうし。ただ、実習を成功させるには学習者の性格や背景などを早い段階で把握することが必要だと思いますので、実習初期に食事会をしたり、雑談を多めにするなどの工夫は必要なように感じました。

 

共通の理解基盤の必要性は十分に理解できたのですが、やってみると難しい部分が多かったです。特にゴールが難しかったですね。学生がゴールを明確にできていればいいですが、それは難しいと思いますし、我々がゴールを提示しないといけないのでしょうけど、なかなか明確なゴールが見つけられなかったですね。大学側に質問してみましたが、やはり明確に提示してくれることはなかったですし、難しいですよね。抽象的にゴールを示すことはできますが、具体的にと言われるとどこまでやればいいのか悩ましかったですね。ここは大きな反省点ではありますし、来年の受け入れの際には今年よりうまくできるように考えておきたいです。

 

このスライドに関しては先ほどと同じになりますが、到達目標を早い段階で確認し、共通認識にすることができていなかったなと思います。その他の項目は概ね問題なかったのですが、薬学生以外にも実習生はいますし、同じ患者さんに何人もの実習生が関わってしまうと患者さんの負担にもなるので気を付けなければならないと、他職種と話していて気づきました。

 

この中では特に「質問攻めにする」に注意しないといけないと感じました。特に難しい問題をし過ぎないことですね。「分からない」と答えることは、学生にとって辛いことなのかもしれませんし、その回答が多くなってしまうと精神的にもしんどいのかなと。こちらとしては、このくらいは知っておいてほしいと思って質問することはあるのですが、それが追い込んでいることもあるかもしれません。答えられなくても大丈夫という安全性を担保する必要があるように思います。一つの工夫としては、後輩薬剤師にも同じ質問をして、彼女にも「分からない」と言わせることで、少し安心はできたのかなと思っております。

 

今回の学生は、それほど「うまくできない」ことがなかったのでその際のフォローに関しては実践できていません。学生によっては上手くいかないことが多いこともあると思いますので、十分に留意しておかないといけないとは感じました。

振り返りに関しては、前述したように十分ではなかったように感じています。毎日は難しくても週に何回かは振り返りをしたいですね。患者とのコミュニケーションという意味では、都度振り返れていましたが、それほど感情的な部分までは考えることができてなかったような気がしています。死期が迫っている患者と接する機会はほとんどなかったのですが、接する機会があってもいいのかもしれませんね。

 

全体を通して

「患者中心の医療の方法」の輪読会をしていたおかげで、学生実習を深めることができました。とても参考になりました。

上手くいったこともいかなかったこともありますが、毎回反省しながら次に活かせればと思いますし、学生にとってよりよい実習になるように努力していきたいです。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

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