リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第44回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2022.3.16)(テーマ:睡眠)

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こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第44回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓(2回に分かれております)

 

今回のテーマは「睡眠」でした。

 

メニューはこちら

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今回は@にいやん先生が欠席だったので5題となりました。それに加えて@zuratomo4先生が参加できなかったため4人での配信になっております。

 

まずは@リンコ

Trends in the Prescription of Benzodiazepine Receptor Agonists from 2009 to 2020: A Retrospective Study Using Electronic Healthcare Record Data of a University Hospital in Japan

Healthcare (Basel) . 2021 Dec 13;9(12):1724.

PMID: 34946449

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こちらは九州大学病院の院内での処方におけるベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRA)の処方推移に関する論文です。催眠鎮静剤/抗不安薬を処方された患者のうち、BZRAの処方患者の割合の推移が調査されております。なお、催眠鎮静剤/抗不安薬としてどの薬剤がピックアップされたのか記載はありませんでした。

本調査では、催眠鎮静剤/抗不安薬におけるBZRAの占める割合は2015年、2016年を境に大幅に減少しております。中でも、BZDの割合は大きく減少しておりますが、Z-drugの割合はさほど変わりがないようです。

この要因として、本文中では「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の発刊との関連が示唆されておりました。しかし、同時期にはオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬が発売されており、また診療報酬改定にて向精神薬の処方制限もありました。さらに、BZD処方へのネガティブなキャンペーンもなされております。現場の実感では、ガイドラインの発刊の影響はさほどないのではないかと感じております。

ググってみたら九州大学病院からは以下のような論文も出ておりました。

様々な要因がありますが、処方が減ってきているのは間違いありません。どこも似たような感じなのかなと。

自施設の推移を調べてみたくなりましたし、代替薬の処方動向や安全性の動向にも注視していきたいと思います。

 

 

次は@たけちゃん

Restless legs syndrome in patients with type 2 diabetes: effectiveness of pramipexole therapy

BMJ Support Palliat Care . 2016 Mar;6(1):89-93.

PMID: 25216659

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こちらは2型DM患者のレストレスレッグス症候群(RLS)へのプラミペキソールの効果を検討した論文です。本研究では100名の2型糖尿病患者がスクリーニングされ、8名がIRLSと診断され、最も関連性の高い合併症だったようです。

プラミペキソールの投与にてIRLSスコアは大幅に減少し、PSQI-Jも有意に減少しました。ただ対照群がなかったため、実際薬剤がどの程度寄与したかは不明です。

プラミペキソールの第3相試験の結果を見てみると、実薬群でIRLSが15程度減少しておりますので、同じような効果の度合いではないかと考えております。

糖尿病患者かどうかに関わらず効果は期待できそうです。

日本では他にロチゴチンやガバペンチンエナカルビルがRLSの適応で承認されており、使い分けについても勉強してみたいなと。

 

 

次は@zuratomo4

Does reading a book in bed make a difference to sleep in comparison to not reading a book in bed? The People's Trial-an online, pragmatic, randomised trial

Trials . 2021 Dec 4;22(1):873.

PMID: 34996514

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こちらは睡眠前の読書の睡眠への影響を検討した論文です。

スライドを作ってくれた@zuratomo4先生が欠席となりましたので、みんなで論文を読んでみました。

結果としては、寝る前に15~30分の読書をした群の方が読書をしていない群よりも睡眠の質の改善率が高く、悪化の率は低くなっておりました。「読書は睡眠状況を改善させるのでは?」という発想でなされた試験であり、非盲検試験なので結果は割り引いて考える必要がありそうです。それでも実際に読書をした群でよい結果が出ているので、プラセボ効果を含めた効果を期待できるように思います。

十分に眠れないと生活に支障が出ることがありますし、眠れない状態が続いているときは試してみる価値は十分にあるのではないかと思います。

キャスでは読む本の種類にも影響があるかもしれないとの話になりました。テンションが上がってしまう本は寝る前には読まない方がいいかもしれないですね。

 

 

次は@程々な薬剤師

Effects of resistance exercise training and stretching on chronic insomnia

Braz J Psychiatry . Jan-Feb 2019;41(1):51-57.

PMID: 30328967

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こちらはレジスタンス運動やストレッチが非介入と比較して睡眠を改善させるかどうかを検討した論文です。介入群は4か月間にかけて週3回、1回1時間の介入を受けた群であり、ややハードな介入のように思います。

結果としては、レジスタンス運動やストレッチは不眠症重症度指数を非介入と比較して有意に改善させたようです。しかも非介入と比較して10以上改善しておりますので、ISIスコアとしては1~2段階改善していることになります。これはかなり大きな効果量のように思います。

有効性は高いように思いますが、介入の程度を考えると実際にやるとなれば大変なように思います。もうちょっと楽な取り組みでもいいような気もしますので、不眠が続く時はレジスタンス運動やストレッチに取り組んでみるのもいいのではないでしょうか。

 

 

最後は@猫になりたい薬剤師

A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders

J Clin Sleep Med . 2020 Sep 15;16(9):1567-1577.

PMID: 32536366

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    こちらは重い毛布と軽い毛布での不眠症に与える影響を検討した論文です。重い毛布は8kg(重すぎる場合は6kg)で、軽い毛布は一般的な毛布だったようですね。重い…

  • 結果としては重い毛布群で大幅にISIスコアを改善し、反応率や寛解率もかなり高くなっておりました。
  • 個人的には衝撃の結果でしたね。こんな効果があるのかと。
  • そして、ニトリでは発売されていたんですね!ただし、今年はすでに発売が終わったようです。関連記事↓
  • どうやら年々重くなっていっており、今年は7kgの毛布も発売されていたようですね。
  • こんなまとめ記事も↓

理由はよく分かりませんが、包まれている安心感のようなものがあるんですかね。入院中の患者さんで不眠の方はたくさんいらっしゃるので、導入してみたら面白いかもしれません。

私自身は寝相が悪くて、寝ている途中で180度回転していたり、布団がすべてはだけてしまったりして中途覚醒してしまうことが割と頻繁にあるので、この毛布を試したいなと思いました。来年の冬、お金に余裕があればニトリに買いに行っていきます!

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は4/20(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信する予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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