こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第43回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
今回の録音はこちらからどうぞ↓
ちょうど冬季五輪でカーリングが行われてたので、そわそわしながらの配信でした(笑)
今回は「フリーテーマ」でした。
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まずは@zuratomo4
PLoS One . 2021 Jan 22;16(1):e0245688.
PMID: 33481870
こちらは種々のマスクの性能を比較した研究です。参加者7名にそれぞれマスクを装着し、遮断率を検討しております。オリンピックではこのKN95というマスクをよくテレビで見かけましたね。
結果は上記のようになっており、N95の性能の良さが明確になった一方で、それ以外のマスクにはさほど差がなかったようです。どうやらフィットするかどうかが非常に重要だったようです。
マスクの種類も大切ですが、自分の顔にあったマスクを使用しないと、せっかく使用しているマスクが無意味になるかもしれませんね。
次は@リンコ
Nudges for COVID-19 voluntary vaccination: How to explain peer information?
Soc Sci Med . 2022 Jan;292:114561.
PMID: 34823128
今回は行動経済学の論文を取り上げてみました。コロナワクチンは多くの方に有用でありますが、一般の方にどのようにして推奨していこうかと悩んみながら今日に至ります。いわゆる「ナッジメッセージ」としてどのようなメッセージが有効なのかを知りたくてこの論文を読みました。
日本語版はこちら→「ワクチン接種の後押し:自律的な意思決定を阻害しないナッジ・メッセージを目指して」
本研究では、対象者に対してどのようなメッセージを送るとワクチンの接種意図等に影響を与えるのかを検討しました。今回は「peer information」ということで、周りの人や同じ立場の人と同じような行動をとりやすいという性質を利用した研究となっております。また、「自律的な意思決定を阻害しないナッジメッセージ」を念頭にすすめられております。
結果は、高齢層ではコントロール群と比較して、B群のメッセージにて接種意向が有意に高まり、またB群・C群のメッセージにて支払意思額が有意に増加しました。しかし、若年層はいずれのメッセージも有意差がありませんでした。
さらに「ナッジメッセージが自律性及び精神的負担に及ぼす影響」については、C群で高齢層では「つらい」、若年層では「強制的」「改善すべき」と感じた割合が有意に多かったようです。
高齢層には使えそうですが、若年層には効果がなさそうですね。逆にもともと接種の意向がない人には反発を受けるのではないかとも感じました。悩ましいですが、やはり一人一人の不安や心配と向き合っていかないといけないのではないかと感じました。気軽に相談できる体制を構築しておくことも重要な気がします。
次は@猫になりたい薬剤師
Cardiovasc Diabetol . 2021 Jun 22;20(1):125.
PMID: 34158057
こちらはインスリン治療とMACEイベントの関連性を検討した、RCTの事後解析です。
低LDL-CかつACSを有する2型DM患者を対象に、インスリン群とインスリン非使用群でMACEイベントの発生率への影響が検討されました。
結果としては、種々の因子の調整後でもインスリン使用群でMACEイベントの発生率が有意に高くなりました。また、心不全入院も有意に増加しております。
事後解析のためランダム化が破綻しており、インスリン群の方がより重症者が含まれているので、少し割り引いて考えたほうがよさそうです(調整されているとは思いますが)。
ディスカッションもしましたが、最近はインスリンの導入が減ってきている印象です。DPP4i、SGLT2i、GLP1RAといった優秀な薬剤が最近発売されてきていますし、過度な血糖コントロールのリスクが周知されてことが要因かと思います。あとこの研究も含めて、インスリン自体の有用性がイマイチ示されていないことも原因かと思います。
もちろんインスリンが必要な患者層もあるかと思いますが、ますますインスリン離れが進んでいきそうな気がしています。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
次は@程々な薬剤師
Ropinirole Patch Versus Placebo, Ropinirole Extended-Release Tablet in Advanced Parkinson's Disease
Mov Disord . 2020 Sep;35(9):1565-1573.
PMID: 32396257
こちらはロピニロールパッチ(ハルロピ🄬テープ)の第3相試験で、ロピニロール錠およびプラセボと比較しての優越性および非劣性が検証されております。評価項目としては「UPDRSパートⅢスコア」が採用されております(参考:UPDRSのスコア表 | パーキンソン病診療に関するお役立ち情報 | エーザイ Medical.eisai.jp 医療関係者の皆様へ)。
結果としては、プラセボと比較してスコアが有意に改善し、ロピニロール錠との比較では非劣性となりました。
パーキンソン病の患者さんは嚥下機能の低下が徐々に進行していきますので、有用な選択肢になるのではないかと思います。ただ、ニュープロパッチもありますし、何でもかんでもパッチになればいいというわけではないと思いますし、値段もそれなりにしますので、そういったあたりも考慮して薬剤の選択ができればいいのではないかと思います。
次は@にいやん
Sci Rep . 2018 Nov 2;8(1):16252.
PMID: 30389956
こちらは月経困難症による痛みへの温熱療法の有効性を検討した試験のメタ解析となっております。ただ最終的に組み込まれた試験がかなり少なくなっております。
結果としては、鎮痛薬や無治療と比較してヒートパッチによる温熱療法は痛みを有意に改善しました。
鎮痛薬と比較して有効なのは驚きました。
月経困難症の治療は低用量ピルだとは思いますが、副作用であったり、妊娠の希望であったりと服用できないケースもあるかと思いますし、鎮痛薬はあくまで対症療法でリスクもあります。そういった場合には特に有用なのではないかと感じました。
男としてはこの分野になるとどうしても口が出しにくくなりますので、このようなちょっとした知識を持っておくことは大切なのではないかと思いました。女性では常識だったりして…エビテンメンバーに女性がいない…
Hum Reprod . 2017 Jul 1;32(7):1364-1372.
PMID: 28531319
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最後はたけちゃんの時間です。こちらは禁欲期間と精子の運動特性との関連を検討した論文です。
- 結果としては、精液量、精子濃度、総精子数では4~7日間の禁欲の方が、精子速度、進行性、高活性化では2時間の方がよりよい数値となっておりました。
- 期間が短くても長くてもそれぞれに特徴がありそうですね。
- 本文の結論を読む限りでは、今回の結果では結論づけることは難しいようで、さらなる試験が必要とのことです。今後の研究の発展に期待したいです。
- 妊活をされている方、不妊治療中の方にはとても重要なCQではないかと感じました。たけちゃんもそろそろ??
@たけちゃんのブログでの解説↓
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は3/16(水)22時より、「テーマ:睡眠」にて配信する予定です。
よろしければご視聴くださいませ!