こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第40回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
今回の録音はこちらからどうぞ↓
(途中でブツブツと切れてしまって、5回に分かれてます。)
今回のテーマは「ビタミン・ミネラル」でした。
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まずは@にいやん
Nihon Jibiinkoka Gakkai Kaiho . 2013 Jan;116(1):17-26.
PMID: 23484369
こちらは味覚障害に対するポラプレジンクによる亜鉛補給の効果を検討したRCTです。
味覚障害でよく処方されますよね。というか胃薬で処方されてるのは見たことないですが。。。
さて結果は、全患者ではポラプレジンクによる亜鉛補給群のほうがプラセボ群より改善傾向にあったものの有意差なし、SDSスコア(うつ症状のスコア)正常患者ではポラプレジンク群で有意に改善しておりました。
全患者でも群間に12%の差があるので、症例数が多ければ有意差はついたのかなという印象です。差は比較的大きいような気がするので、効果は期待してもよいかもしれません。キャス中に教えていただきましたが、「味覚障害」として公知申請が認められているようです(225 ポラプレジンク(耳鼻咽喉科4)|社会保険診療報酬支払基金)。ただ、コロナの味覚障害に使われているようで出荷調整になっていてなかなか入って来ず…
亜鉛濃度をアウトカムとしての報告が多い中で、味覚障害がアウトカムの報告は貴重だと感じました。新薬のノベルジン🄬も亜鉛濃度がアウトカムの試験しかないので、味覚障害への効果について検討してほしいですね。
次は@猫になりたい薬剤師
NPJ Genom Med . 2021 Oct 14;6(1):86.
PMID: 34650087
こちらは、CaまたはCa+VD補充を受けた患者における血清Caおよび25-(OH)VD濃度と長寿、心血管疾患および癌との関係を検討したメンデルランダム化・ゲノムワイドメタ解析です。
メンデルランダム化については以下をご参照ください。
〇サプリメント②遺伝疫学への期待(今村文昭) | 2017年 | 記事一覧 | 医学界新聞
〇Mendelian randomization(メンデルランダム化)とは - 統計学と疫学と時々、助教生活
初めて聞いた概念ですが興味深い概念ですね。まだ理解しきれていませんが。。。
さて結果は、血清Ca濃度においては寿命が短くなるリスクと心血管疾患リスク上昇のリスクと関連したようですが、血清25-(OH)VD濃度では特にリスクの変化は認められなかったようです。
むやみやたらにサプリメントで補給することは避けたほうがいいのかもしれませんね。他の研究でもCaサプリメントはあまりよい結果がなかったような気が…
どうせならアウトカムとして骨折を見てほしかった気もします。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説
次は@リンコ
BMJ Open . 2020 Aug 20;10(8):e033687.
PMID: 32819927
こちらはVB12欠乏患者へのVB補給としての筋注と経口投与を比較したRCTです。
現在の保険適応は、VB12欠乏に対しては筋注(および静注)のみであり経口には適応がありません。これは萎縮性胃炎や胃切患者では十分に吸収されないと考えられているからです。ただ、筋注は導入の用法が煩雑であり、維持期もスケジュール管理が面倒です。内服で管理できば利便性が高いです。また、高齢者の貧血でVB12欠乏が時々あり、実際に内服で処方されている症例もあるのですが、用法がはっきりしていないんですよね。他の論文を読んでも分3での維持は多いと思うのですが、それで処方されている例も少なくなく…
そんな背景があり今回の論文を読んでみました。
結果としての血清VB12濃度の正常割合は、今回のプロトコルではPPT解析にて筋注群の方が高くなりましたが、ITT解析では差はありませんでした。
キャス中の質問で答えられなかったのですが、PPT解析で26週の方が52週よりも群間に差があるのは、26週から52週にかけて経口群でVB12血中濃度が目標に達しておらず17例が脱落していることが、52週で差が縮まっている原因と考えられます。
ITT解析で差は見られていないとはいえ、やや筋注群に有利な結果になっているかと思います。ただ、大きな差ではないと思いますし、筋注は煩雑ですのでまずは経口でスタートしてダメなら筋注に変更したり、投与量を増やしてもいいのではないかと思います。プロトコルで維持期は1mg/週となっているので、メコバラミン500μg 2錠/週ですね。そんなに少なくてもいいんですね。(今回の論文ではシアノコバラミンを使用していますが、メコバラミンでもほとんど同じか、メコバラミンの方が成績はよくなるのではないかと考えています。)
でも安い薬剤なので、今更経口に保険適応追加とはならないですよね。。。
薬剤師としては、ベースラインでPPIとメトホルミンの服用率が調べられていたことが興味深かったですね。どちらもVB12欠乏の要因になると考えられているので、これは重要なことかと思います。メトホルミンの服用率はやや群間に差があり、経口群で10%低かったのでもしかすると結果に影響を与えたかもしれませんが、、、
最後に、先日twitterでVB12過剰の死亡リスクの論文を教えてもらいましたので、そういった点も留意していきたいです。
Association of Plasma Concentration of Vitamin B12 With All-Cause Mortality in the General Population in the Netherlands(PMID: 31940038)
次は@程々な薬剤師
Biomed Res Int . 2018 Jul 5;2018:1837634.
PMID: 30069463
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こちらは風邪症状へのVC追加摂取の効果を検討したRCTのメタ解析です。
- 結果は、普段からのVC摂取していた群でプラセボと比較して風邪の罹患期間が平均差(日数)(MD)-0.56ということで、半日程度改善しておりました。治療時のみの追加では差がなかったようです。
- うーん、何とか差がついたかなという印象ではありますが…
- 詳細を見てみると、おおよその罹病期間は5-6日程度ですので、それが半日程度減るかもしれないという感じですね。
- 何か有害事象が起こる可能性は低そうなので摂取を否定することはないですが、勧めることもなさそうです。
- キャス中にはコクランも紹介しましたので、そのURLと以前まとめたスライドも上げておきます。
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Vitamin C for preventing and treating the common cold(PMID:23440782)
次は@たけちゃん
Hypovitaminosis D is associated with erectile dysfunction in type 2 diabetes
Endocrine . 2016 Sep;53(3):831-8.
- PMID: 26758995
こちらは、2型DMの方のVD不足とEDとの関連を検討した研究です。
結果としては、25(OH)Dレベルが低い(25nmol/l未満)T2DM患者は、25(OH)D>50nmol/lの患者と比較して、陰茎IMTなどが高く、IIEF-5スコアやテストステロン濃度、海綿体収縮ピーク速度(PSV)などが低くなっておりました。
この結果をもって、「T2DM男性において、25(OH)D不足と勃起不全の間に有意な関連があることが示された」と本論文では結論付けられております。
今回のスコアの差が、実際にどの程度の差があるのかということが難しいのですが…(全文読めれば、IIEFスコアの詳細が見れるのかもしれませんが)、試してみる価値はあるかもしれないですね。
@たけちゃんのブログでの解説
最後は@zuratomo4
Nutr J . 2021 Oct 31;20(1):89.
PMID: 34719404
こちらはCOVID-19へのVDの予防・治療効果を検討したRCTのメタ解析です。
結果としては、VD欠乏やVD投与をしても感染の予防にはならず、院内死亡リスクにも影響しなかったという結果でした。
そんなものですよね。。。
キャス中にも話しましたが、何かあればVDを入れたがる傾向がありますよね。よく論文を見る気がします。そして、ネガティブなデータが量産されている気がします。なので、ポジティブな結果が出ても"偶然"ということも十分可能性がありますので注意して論文を読んでいきたいものです。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は12/15(水)22時より、「フリーテーマ(今年印象に残った論文)」にて配信する予定です。
よろしければご視聴くださいませ!