リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第37回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2021.8.18)(フリーテーマ)

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こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第37回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

月1回開催、第37回と言うことで3周年となりました!

パチパチ―

これからも細々と続けていきたいと思います♪

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今回の録音はこちらからどうぞ↓

(回線の調子が悪かったので9回に分かれてしまいました…なかなか上手く配信できませんね。。。)

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

メニューはこちら↓

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まずは@程々な薬剤師

Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events

JAMA Intern Med . 2015 Apr;175(4):542-8.

PMID: 25705824

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最近サウナがよくテレビで取り上げられていて、少しブームなのかなと感じています。

さてこちらは、サウナの本場フィンランドで行われたサウナの利用頻度と心血管イベントの関連を比較した論文です。

結果としては週1回のサウナ利用者と比較して週2~3回および週4~7回の利用者の方が、種々のイベントリスクが減少したようです。

キャスでも話していましたが、そもそも週0回じゃなく週1回が比較対象というのがおもしろいですね。

日本でいう風呂みたいな感覚でサウナを利用しているんですかね。

交絡因子はたくさん考えられますが、健康にはいい影響がありそうだなという印象です。

ただ、田舎にはサウナがほとんどなく…

 

 

次は@zuratomo4

Nasal Dilator Strip is an Effective Placebo Intervention for Severe Obstructive Sleep Apnea

J Clin Sleep Med . 2017 Feb 15;13(2):215-221.

PMID: 27707442

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こちらは実質的にはCPAPとブリーズライト®(のようなもの;nasal dilator strip(NDS))の有効性を比較した研究ですが、CPAPの有効性を検討する試験におけるプラセボとしてNDSが有効かどうかを検討した試験のようです。

これまではCPAPの対照群に明らかに辛い設定をしなければならず、対照群の条件設定が必要だったようです。

結果としては、AHI(無呼吸・低呼吸指数)、TST(総睡眠時間)、ESS(エプワース眠気尺度)、BDI(抑うつ症状)等の項目においてCPAP群の方が改善を認めたようです。

また、NDS群ではベースラインと比較すると各項目で改善が認められており、プラセボ群としての有効性も認められたようです。

このようなプラセボ群の設定を検討する試験デザインの論文を読んだことがなかったので大変勉強になりました。

確かにCPAPは明らかにメリットのある治療法なので、プラセボ群の設定は重要なのかなと感じました。

 

 

次は@にいやん

Calcium Channel Blockers Are Associated with Nocturia in Men Aged 40 Years or Older

J Clin Med . 2021 Apr 9;10(8):1603.

PMID: 33918949

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こちらはカルシウム拮抗薬(CCB)の夜間頻尿への影響を調査した研究です。

結果として、CCB服用患者は非服用患者と比較して有意に夜間頻尿のリスクが高かったとのことです。

他の降圧剤は差がなかったようですね。

チアジド系利尿薬に差が出なかったのは意外でした。偶然の可能性もあるので、他の研究も確認しておきたいところです。

また、年齢別でのサブ解析では 若年者の方で頻尿になりやすい傾向があるようです。

興味深い結果ですし、頭には入れておきたいなと。

個人的には、CCBと頻尿の関連を失念しておりましたので、日常業務でまた活かしていきたいと思います。

 

 

次は@たけちゃん

Semaglutide versus dulaglutide once weekly in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 7): a randomised, open-label, phase 3b trial

Lancet Diabetes Endocrinol . 2018 Apr;6(4):275-286.

PMID: 29397376

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こちらは、メトホルミン単剤でコントロール不良な2型糖尿病患者を対象に低用量と高用量のセマグルチドおよびデュラグルチドの有効性と安全性を検討したRCT(SUSTAIN 7)です。

SUSTAIN 7 | 糖尿病トライアルデータベース

結果としては、低用量・高用量ともに、デュラグルチド群よりもセマグルチド群の方が有意にHbA1cおよび体重を減少させていたようです。

個人的には、消化器症状の発現率がこの差につながっている可能性が高いのではないかと感じています(高用量の消化器症状の発現率はほとんど同じだったようですが、、、)。

たけちゃんが言っていた透析患者への使用については何とも言えませんが、体重への影響は透析患者にとって重要だと思いますので気になるところです。

セマグルチドは内服が承認されておりますし、GLP-1は長期アウトカムも期待されているので、今後使用が増えてきそうですね。

たけちゃんのブログでの解説↓

 

 

次は@リンコ

Subcutaneous REGEN-COV Antibody Combination to Prevent Covid-19

N Engl J Med . 2021 Aug 4.

                    PMID: 34347950

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先日承認を受け、今話題となっているCOVID-19治療薬で抗体カクテル療法薬のロナプリーブ® (カシリビマブ/イムデビマブ)ですが、その家庭内感染予防効果を検討した論文です。

家庭内接触者がCOVID-19の診断を受けた方を対象としたRCTで、28日以内の症候性COVID-19感染を主要アウトカムとしております。

結果として、主要アウトカムはカシリビマブ/イムデビマブ投与群で大幅に減少、またその症候性感染の期間も大幅に短縮されております。

さらに、無症候性感染の予防効果も認められております。

プラセボ群の家庭内感染率がやや低い気はしますが、この試験が2021年初頭に行われており、まだその頃は強力な変異株が広がっていなかったこと、参加者の8割で接触者が1人だったことが理由として考えられるのではないかと思います。

ワクチン接種に関しては、時期的にもほとんど接種していないのではないかと思われます。

またこの試験は皮下投与で行われたということも注目ポイントですね。

現在承認されているのは点滴静注ですので、それと比べると手技も楽になりますので、医療現場としては朗報かなと思います。

ただ、今はまだまだ流通も国が担っており、数も限られておりますので、まずは治療者が優先されるべきだと思います。

後々、この試験のように接触者に対してカシリビマブ/イムデビマブが家庭内接触者に使用できるようになれば感染者の拡大に歯止めが効くかもしれません。

それと費用もかなり高いようなので、そのことも念頭に置かないといけないと思います。

 

 

最後は@猫になりたい薬剤師

Safety and immunogenicity of heterologous versus homologous prime-boost schedules with an adenoviral vectored and mRNA COVID-19 vaccine (Com-COV): a single-blind, randomised, non-inferiority trial

Lancet . 2021 Aug 6;S0140-6736(21)01694-9.

PMID: 34370971

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COVID-19に対するプライムブースト異種ワクチン接種法の有効性ということで、ファイザー社製ワクチンのBNTとAZ社製ワクチンのChAdの2回接種のそれぞれの組み合わせでの抗体価の上昇を比較した試験です。

結果としては、ChAd/ChAdよりもChAd/BNTの方が9倍程度抗体価が高く、またBNT/BNTよりもBNT/ChAdの方が半分程度になるという結果となりました。

全体としては、2回目にBNTを使用した方が抗体価が上がりやすそうです。

どうしてこのような結果になるのか不思議ではありますが、mRNAワクチンの接種の重要性を感じました。

日本でもChAdの接種が開始されましたので、将来的にはこのような混合での接種がなされる可能性も念頭に置いておきたいものです。

猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓


 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は9/15(水)22時より、テーマは「運動療法」にて配信する予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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