リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

個人的に気になった最新論文約30選の要約(2021.5)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!

論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。

日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。

癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。

 

【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。

それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。

 

今回は2021年5月分を。46取り上げております。

 

 

 

☆糖尿病関連

①「腎機能障害患者におけるメトホルミンの安全性と有効性を検討した後ろ向きコホート研究のメタ解析。7件の後ろ向きコホート研究のメタ解析の結果、eGFRが45 mL/min/1.73m2以上の場合には全死亡率が低下したが、eGFRが45 mL/min/1.73m2未満の場合には低下しなかった(全体:HR 0.74; 95%CI:0.61–0.88、eGFR>90:HR 0.49; 95%CI:0.36–0.69、60<eGFR<90:HR 0.54;95%CI:0.35–0.82、45<eGFR<60:HR 0.84;95%CI:0.77–0.91、30<eGFR<45:HR 0.81;95%CI:0.62–1.04、eGFR<30:HR 0.95;95%CI:0.57–1.58)。アシドーシスに関する8試験のメタアナリシスでは、eGFRが30 mL/min/1.73m2未満の場合のHRが1.97(95%CI:1.03-3.77)であったことを除き、アシドーシスのリスクは増加しなかった。」

Safety and effectiveness of metformin in patients with reduced renal function: A systematic review

Diabetes Obes Metab . 2021 May 19.

PMID: 34009711

【フリー】

 

②「血糖降下薬の体重および血圧への影響を検討したRCTのメタ解析。9つの薬効分類の21種類の血糖降下薬を評価した424試験(n=276,336人)が対象。体重減少効果は皮下投与のセマグルチドが最も高く、次いで経口投与のセマグルチド、エキセナチド1日2回投与、リラグルチド、SGLT-2阻害剤であるエンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エルトグリフロジンの順であった。また、これらの薬剤は収縮期血圧を最も低下させた。メトホルミンは体重と収縮期血圧の低下に中程度の効果を示した。拡張期血圧は、SGLT-2阻害剤、ピオグリタゾン、エキセナチド1日2回投与、セマグルチドで低下した。」

Comparative efficacy of glucose-lowering medications on body weight and blood pressure in patients with type 2 diabetes: A systematic review and network meta-analysis

Diabetes Obes Metab . 2021 May 28.

PMID: 34047443

【フリー】

 

③「CREDENCE試験の事後解析。2型糖尿病および慢性腎臓病におけるカナグリフロジンの血圧効果と臨床転帰を検討したプラセボ対照RCT(n=4,401;76.4%がベースライン収縮期血圧130mmHg以上、31.2%が抵抗性高血圧)。カナグリフロジンは、3週目までに収縮期血圧を3.50mmHg(95%CI:-4.27 to -2.72)低下させ、その効果は試験期間中に維持された。また、カナグリフロジンは、試験期間中にBP低下剤の追加投与を開始する必要性を減少させた(HR 0.68;95%CI:0.61-0.75)。」

Blood Pressure Effects of Canagliflozin and Clinical Outcomes in Type 2 Diabetes and Chronic Kidney Disease: Insights From the CREDENCE Trial

Circulation . 2021 May 4;143(18):1735-1749.

PMID: 33554616

【アブストのみ】

 

④「糖尿病ではない肥満成人(BMI:32~43)を登録し、低カロリー食を8週間摂取した後、参加者を1年間、次の4つの戦略(中・高強度の運動プログラム+プラセボ(運動群)、リラグルチド投与(3.0mg/日)+通常の活動(リラグルチド群)、運動プログラム+リラグルチド投与(併用群)、プラセボ+通常の活動(プラセボ群))のいずれかに無作為に割り付け。無作為化から治療期間終了までの体重の変化量(主要エンドポイント)と体脂肪率の変化量(副次的エンドポイント)とした。低カロリー食を8週間摂取した後、195例で体重が平均13.1kg 減少。1年の時点で、実治療戦略のすべての群で体重減少量がプラセボ群を上回り、プラセボ群との差は運動群-4.1 kg(95%CI:-7.8 to -0.4)、リラグルチド群-6.8 kg(95%CI:-10.4 to -3.1)、併用群 -9.5 kg(95%CI:-13.1 to -5.9)であった。併用群では運動群と比較して大幅な体重減少が得られたが(差 -5.4 kg;95%CI:-9.0 to -1.7)、リラグルチド群との比較では差は大きくなかった(-2.7kg;95%CI:-6.3 to 0.8)。併用群では体脂肪率が3.9%低下し、運動群(-1.7%;95%CI:-3.2 to -0.2)およびリラグルチド群(-1.9%;95%CI:-3.3 to -0.5)の約2倍低下した。」

Healthy Weight Loss Maintenance with Exercise, Liraglutide, or Both Combined

N Engl J Med. 2021 May 6;384(18):1719-1730.

PMID: 33951361

【アブストのみ】

 

 

☆抗凝固/抗血小板薬

⑤「抗血栓薬(低用量アスピリン、クロピドグレル、VKA、DOACの使用と脳内出血(ICH)の関連を評価した症例対照研究(1:40;症例のn=16,765;平均年齢72.8歳、男性52%)。44.6%がICH発症時に抗血栓薬を服用。ICHとの関連は、低用量アスピリン(症例:28.7% vs 対照:22.6%;aOR 1.51;95%CI:1.44-1.59)およびクロピドグレル(6.2% vs 3.4%;aOR 1.65;95%CI:1.47-1.84)の現在の使用で最も弱く、VKA(12.0% vs 5.0%;aOR 2.76;95%CI:2.58-2.96)の現在の使用で最も強かった。ICHとの関連性は、VKAよりもDOACの方が弱かった(3.0% vs 1.8%;OR 1.83;95%CI:1.61-2.07)。」

Trends in Incidence of Intracerebral Hemorrhage and Association With Antithrombotic Drug Use in Denmark, 2005-2018

JAMA Netw Open . 2021 May 3;4(5):e218380.

PMID: 33950207

【フリー】

 

⑥「薬剤溶出性ステント(DES)によるPCI後6~18ヵ月間、臨床イベントを起こさずにDAPTを維持した患者を対象とし、クロピドグレル75mgを1日1回投与する群(n=2,710)と、アスピリン100mgを1日1回投与する群(n=2,728)に割り付けたRCT。主要評価項目は、全死亡、非致死性心筋梗塞、脳卒中、急性冠症候群による再入院、BARC(Bleeding Academic Research Consortium)出血タイプ3以上の複合とした(intention-to-treat集団)。24ヵ月間の追跡調査では、主要評価項目はクロピドグレル群5.7%、アスピリン群7.7%に発生した(HR 0.73;95%CI:0.59~0.90)。」

Aspirin versus clopidogrel for chronic maintenance monotherapy after percutaneous coronary intervention (HOST-EXAM): an investigator-initiated, prospective, randomised, open-label, multicentre trial

Lancet . 2021 Jun 26;397(10293):2487-2496.

PMID: 34010616

【アブストのみ】

 

⑦「静脈血栓塞栓症(VTE)、または心房粗動・細動(AF)にてリバーロキサバンを投与された女性とアピキサバン、ダビガトラン、ワルファリンを投与された女性との間で輸血や外科的介入に至る重篤な異常子宮出血(SAUB)のリスクを比較したコホート研究。リバーロキサバンはダビガトラン(HR 1.19;95%CI:1.03-1.38),アピキサバン(HR 1.23;95%CI:1.04-1.47)、ワルファリン(HR 1.34;95%CI:1.22-1.47)と比較して外科的介入のリスクを増加させた。リバロキサバンとダビガトランの比較でのみ輸血リスクの増加が認められた(HR 1.49;95%CI:1.03~2.17)。」

Risk of Severe Abnormal Uterine Bleeding Associated with Rivaroxaban Compared with Apixaban, Dabigatran and Warfarin

Drug Saf . 2021 Jul;44(7):753-763.

PMID: 34014506

【アブストのみ】

 

⑧「ERCPにおけるDAPTの出血リスクをアスピリン単剤と比較検討した試験のメタ解析(6試験)。研究のプール解析の結果、持続的なDAPTにおけるERCP後出血率は全体で5.7%(95%CI:3~10.6)であった。DAPTコホートにおけるERCP後出血は、アスピリンのみのコホートと比較して高くはなかった(OR 1.14;95%CI:0.46~2.81)。」

No Significant Difference in Post-ERCP Bleeding Rates Between Dual Antiplatelet Agents and Aspirin Alone: A Systematic Review and Meta-analysis

J Clin Gastroenterol . 2021 May 24.

PMID: 34028396

【アブストのみ】

 

⑨「動脈硬化性心血管疾患患者を、アスピリンを1日81m投与群と325mg投与群に割り付けた非盲検化RCT。主要有効性評価項目は、全死因死亡、心筋梗塞による入院、脳卒中による入院の複合とし、主要安全性評価項目である大出血による入院とともに、生存時間(time-to-event)解析で評価。15,076例が中央値で26.2ヵ月間追跡。13,537例が無作為化前にすでにアスピリンを服用しており、そのうち85.3%が81mgを連日服用していた。主要評価項目は、81mg群の7.28%と325mg群7.51%に発生した(HR 1.02;95%CI:0.91~1.14)。大出血による入院は81 mg群0.63%と325mg群0.60%に発生した(HR 1.18;95%CI:0.79~1.77)。」

Comparative Effectiveness of Aspirin Dosing in Cardiovascular Disease

N Engl J Med. 2021 May 27;384(21):1981-1990.

PMID: 33999548

【アブストのみ】

 

 

☆循環器関連(抗凝固/抗血小板薬以外)

⑩「既往の心血管疾患の有無にかかわらず、収縮期血圧のベースライン値による降圧治療の主要心血管系イベントのリスクへの影響を検討したRCTのメタ解析(n=344,716;48試験)。無作為化前の平均収縮期/拡張期血圧は、心血管疾患の既往のある参加者(n=157,728)で146/84mmHg、心血管疾患の既往のない参加者(n=186,988)で157/89mmHgであった。追跡期間中央値4.15年の後、12.3%が少なくとも1回の主要心血管系イベント(致死性および非致死性の脳卒中、致死性および非致死性の心筋梗塞または虚血性心疾患、死亡または入院を必要とする心不全の複合)を経験した。ベースライン時に心血管疾患の既往がない参加者において、1,000人年当たりの主要心血管イベント発生率は、比較対照群で31.9(95%CI:31.3~32.5)、介入群で25.9(95%CI:25.4~26.4)であった。また、ベースライン時に心血管疾患の既往がある参加者では、比較対照群で39.7(95%CI:39.0-40.5)、介入群で36.0(95%CI:35.3-36.7)であった。収縮期血圧の5mmHg低下に伴う主要心血管系イベントのハザード比(HR)は、心血管系疾患の既往のない患者では0.91(95%CI:0.89~0.94)、心血管系疾患の既往のある患者では0.89(95%CI:0.86~0.92)であった。」

Pharmacological blood pressure lowering for primary and secondary prevention of cardiovascular disease across different levels of blood pressure: an individual participant-level data meta-analysis

Lancet . 2021 May 1;397(10285):1625-1636.

PMID: 33933205

【フリー】

 

⑪「安定した冠動脈疾患を有する男性を対象に、PDE5i(n=16,548)またはアルプロスタジル(n=1,994)による治療と転帰との関連を検討した観察研究(平均追跡期間5.8年)。死亡はPDE5i群14%、アルプロスタジル群で26%であり、PDE5i群で死亡率が低く(HR 0.88;95%CI:0.79~0.98)、MI、心不全、心血管死亡率、再灌流についても同様の関連性が認められた。」

Association of Phosphodiesterase-5 Inhibitors Versus Alprostadil With Survival in Men With Coronary Artery Disease

J Am Coll Cardiol . 2021 Mar 30;77(12):1535-1550.

PMID: 33766260

【フリー】

 

⑫「PCSK9とプラセボまたはエゼチミブとのMACEへの有効性を検討したRCTのメタ解析(n=89,115;28試験)。PCSK9はプラセボと比較して、MACEのリスクを有意に減少させた(RR 0.83;95%CI:0.79~0.88)が、PCSK9とエゼチミブの間に差は認められなかった(RR 0.70;95%CI:0.40~1.20)。副次的解析では、脳卒中(RR 0.38;95%CI:0.09~1.69)、心筋梗塞(RR 0.95;95%CI:0.47~1.90)、心血管死(RR 0.44;95%CI:0.14~1.43)の予防において、PCSK9はエゼチミブよりも優れていなかった。PCSK9はプラセボと比較して、脳卒中(RR 0.75;95%CI:0.66~0.86)および心筋梗塞(RR 0.81;95%CI:0.76~0.87)の発症を有意に減少させたが、心血管死亡のリスクは減少しなかった(RR 0.96;95%CI:0.86~1.07)。」

Meta-analysis of randomized clinical trials comparing PCSK9 monoclonal antibody versus ezetimibe/placebo in patients at high cardiovascular risk

Atherosclerosis . 2021 Jun;326:25-34.

PMID: 34004550

【フリー】

 

⑬「高TGおよびHDL低値で心血管リスクの高い患者に対して、ω-3カルボン酸(CA)を1日4g摂取する群(n=5,175)と、不活性の比較対象であるコーン油を摂取する群(n=5,207)に無作為に割り付け、心血管イベントへの影響を検討したRCT(平均年齢62.5歳;女性34.6%)。コーン油と比較して、血漿中濃度の達成度が最も高い三分位の主要評価項目(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建術、入院を要する不安定狭心症の複合)に対する調整ハザード比は、EPAが0.98(95%CI;0.83-1.16)、DHAが1.02(95%CI:0.86-1.20)であった。」

Association Between Achieved ω-3 Fatty Acid Levels and Major Adverse Cardiovascular Outcomes in Patients With High Cardiovascular Risk: A Secondary Analysis of the STRENGTH Trial

JAMA Cardiol . 2021 May 16;e211157.

PMID: 33993205

【アブストのみ】

 

⑭「心房細動と心血管疾患を有する22,635人(年齢の中央値70歳;男性53.9%;追跡期間の中央値2.1年)に対するリズムコントロール(抗不整脈薬またはアブレーション)とレートコントロールの診断後の期間ごとの有効性を比較した韓国のコホート研究。心房細動の早期治療(診断後1年以内に開始)を受けた患者では、レートコントロールと比較してリズムコントロールのほうが主要複合転帰(心血管疾患による死亡、虚血性脳卒中、心不全による入院、急性心筋梗塞)のリスクが低かった(100人年あたりの加重発生率:リズムコントロール 7.42 vs レートコントロール 9.25;HR 0.81;95%CI:0.71~0.93)。心房細動の治療が遅れている(診断後1年以降に開始された)患者においては、主要複合転帰のリスクにリズムコントロールとレートコントロールの間に差は認められなかった(100人年あたりの加重発生率:リズムコントロール 8.67 vs レートコントロール8.99;HR 0.97;95%CI:0.78~1.20)。」

Treatment timing and the effects of rhythm control strategy in patients with atrial fibrillation: nationwide cohort study

BMJ . 2021 May 11;373:n991.

PMID: 33975876

【フリー】

 

⑮「収縮期血圧130~180mmHgで、心血管疾患のリスクが高いが糖尿病や脳卒中既往のない9,361例を、強化治療(目標収縮期血圧<120 mmHg)群と 標準治療(目標収縮期血圧<140 mmHg)群に無作為に割り付けたRCT。追跡期間中央値3.33年の時点で、主要転帰である心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、急性非代償性心不全、心血管死の複合の発生率と全死因死亡率は、強化治療群のほうが標準治療群よりも有意に低かった(主要転帰発生率 1.77%/年 vs 2.40%/年;HR 0.73;95%CI:0.63~0.86;全死因死亡率 1.06%/年 vs 1.41%/年;HR 0.75;95%CI:0.61~0.92)。重篤な有害事象のうち、血圧低下、電解質異常、急性腎障害または急性腎不全、失神の頻度は、強化治療群のほうが有意に高かった。」

Final Report of a Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control

N Engl J Med . 2021 May 20;384(20):1921-1930.

PMID: 34010531

【アブストのみ】

 

  

☆抗菌薬/感染症関連

⑯「イングランドにおける経口弱毒化1価ロタウイルスワクチン導入後の5年間の各年における年齢別罹患率比(IRR)および回避された推定症例数の算出を目的とした研究。ロタウイルス感染症は206,389件、全原因による急性胃腸炎( (AGE)の入院は3,657,651件であった。ワクチン導入後の5年間で、ロタウイルス感染症はすべての年齢層で69~83%、1歳未満の乳児で77~88%減少し、年間11,386~11,633例が回避された。全原因AGEによる入院は、ワクチン導入後の5年間で、すべての年齢層で12~35%、1歳未満児で25~48%減少し、年間24,474~49,278件の入院が回避された。また、全原因胃腸炎による入院を回避できたのは、ワクチンを接種していない年齢層、主に高齢者であり、少なくとも50%、最大で80%という間接的な防御の強い証拠が示された。」

Sustained declines in age group-specific rotavirus infection and acute gastroenteritis in vaccinated and unvaccinated individuals during the five years since Rotavirus vaccine introduction in England

Clin Infect Dis . 2021 May 27;ciab460.

PMID: 34043765

【アブストのみ】

 

⑰「抗生物質の使用と転帰に関するプロカルシトニン(PCT)ガイドの抗生物質スチュワードシップの効果に対する年齢の関連を調査するために行われた、抗生物質治療(介入群)と標準治療を比較したRCTのメタ解析(n=9,421;28試験)。患者を年齢によって4つのグループ(75歳未満[n = 7,079]、75~80歳[n = 1,034]、81~85歳[n = 803]、85歳以上[n = 505])に層別化。 主要評価項目である平均抗生物質治療期間は、対照患者と比較してPCTガイド下の患者で抗生物質投与日数の調整済み差 -1.99日(95%CI:-2.36 to -1.62)、-1.98(95%CI:-2.94 to -1.02)、-2.20(95%CI:-3.15 to -1.25)、-2.10(95%CI:-3.29 to -0.91)、4つの年齢層で24、22、26、24%有意に減少し、年齢層による差はなかった。いずれの年齢層においても、死亡リスクの増加は見られなかった。」

Duration of antibiotic treatment using procalcitonin-guided treatment algorithms in older patients: a patient-level meta-analysis from randomized controlled trials

Age Ageing . 2021 May 17;afab078.

PMID: 33993243

【フリー】

 

⑱「外科手術後の人工関節感染症患者を対象に、6週間の抗菌薬投与群(n=193)と12週間の抗菌薬投与群(n=191)を比較する非盲検RCT(n=410)。主要アウトカムである抗生物質治療終了後2年以内の感染持続(最初の原因菌による感染の持続または再発で、抗生物質の感受性パターンが登録時のものと表現型的に区別できないものと定義)は、6週間投与群では18.1%、12週間投与群では9.4%に発生した(リスク差 8.7%;95%CI:1.8~15.6)。」

Antibiotic Therapy for 6 or 12 Weeks for Prosthetic Joint Infection

N Engl J Med . 2021 May 27;384(21):1991-2001.

PMID: 34042388

【アブストのみ】

 

⑲「新たに肺結核と診断された患者を対象とした非盲検化RCTで、リファペンチンを用いる2つの4ヵ月レジメンと、リファンピン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトールを用いる標準的な6ヵ月レジメン(対照)とを比較。4ヵ月レジメンは、リファンピンの代わりにリファペンチンを用いるものと、リファンピンの代わりにリファペンチン、エタンブトールの代わりにモキシフロキサシンを用いるものであった。主要有効性転帰は12ヵ月の時点での結核なしでの生存とした。無作為化された2,516例のうち2,343例がイソニアジド、リファンピン、フルオロキノロン系に耐性を示さない結核菌培養陽性であり(微生物学的適格集団;対照群 768 例、リファペンチン–モキシフロキサシン群 791 例、リファペンチン群 784 例)、主要転帰を評価しえたのは2,234例であった(評価可能集団;対照群726例、リファペンチン–モキシフロキサシン群756例、リファペンチン群752例)。モキシフロキサシン併用のリファペンチンは、対照に対して非劣性を示し(転帰不良の割合 15.5% vs 14.6%;差 1.0%;95%CI:-2.6 to 4.5)、評価可能集団でも非劣性を示した(11.6% vs 9.6%;差 2.0%;95%CI:-1.1 to 5.1)。モキシフロキサシン非併用のリファペンチンは、いずれの集団においても対照に対して非劣性を示さなかった(微生物学的適格集団における転帰不良の割合 17.7% vs 14.6%;差 3.0%;95%CI:-0.6 to 6.6;評価可能集団における転帰不良の割合 14.2% vs 9.6%;差 4.4%;95%CI:1.2~7.7)。投与期間中にグレード3以上の有害事象が対照群の 19.3%、リファペンチン–モキシフロキサシン群の 18.8%、リファペンチン群の 14.3%に発現した。」

Four-Month Rifapentine Regimens with or without Moxifloxacin for Tuberculosis

N Engl J Med . 2021 May 6;384(18):1705-1718.

PMID: 33951360

【フリー】

 

⑳「P. aeruginosa菌血症を発症した患者を対象とした多施設共同レトロスペクティブ研究(9カ国、25施設)。β-ラクタム+アミノグリコシドまたはキノロンの併用療法とβ-ラクタム単剤療法の死亡率との関連を評価した。対象となった1119例のうち、843例が単剤治療を受け、276例が併用療法(アミノグリコシド系59%、キノロン系41%)を受けた。主要評価項目である30 日間の全死亡率は、全体で16.9%であり、併用療法群16.3%、単剤療法群17.1%とは同等であった(P=0.765)。多変量Cox回帰では、併用療法は死亡率の低下とは関連しなかった(HR 0.98;95%CI:0.64-1.53)。」

Combination versus monotherapy as definitive treatment for Pseudomonas aeruginosa bacteraemia: a multicentre retrospective observational cohort study

J Antimicrob Chemother . 2021 May 16;dkab134.

PMID: 33993273

【アブストのみ】

 

㉑「培養が陰性の入院中の肺炎患者を対象に、病院ごとの抗菌薬のde-escalationの実施状況と、転帰との関連を評価した観察研究。肺炎で入院した成人のうち、血液および/または呼吸器の培養が陰性で、キノロン系以外の抗MRSA薬と抗緑膿菌薬の両方を投与された患者を対象とし、De-escalationは4日目に両方の経験的薬剤を中止し、他の抗生物質を継続することと定義。14,170人の患者のうち、13%は病院の4日目までに両方とも中止した。病院のde-escalation率は2~35%であった。傾向調整分析では、デエスカレーションを行った患者はその後のICUへの転室(調整OR 0.38;95%CI:0.18~0.79)、LOS(調整平均オッズ比 0.76:0.75~0.78)、費用(0.74;95%CI:0.72~0.76)が低かった。」

De-escalation of Empiric Antibiotics Following Negative Cultures in Hospitalized Patients With Pneumonia: Rates and Outcomes

Clin Infect Dis . 2021 Apr 26;72(8):1314-1322.

PMID: 32129438

【アブストのみ】

 

㉒「C. difficile感染症の成人入院患者を対象とし、治療中の環境汚染率の変化への影響を検討した前向き非盲検RCT。被験者はフィダキソマイシン、経口バンコマイシン、メトロニダゾールのいずれかを投与する群に割り付けられた(n=31)。フィダキソマイシン(-0.36 log10 CFU/day;95%CI:-0.52 to -0.19)とバンコマイシン(-0.17 log10 CFU/day;95%CI:-0.34 to -0.01)は、メトロニダゾール(-0.01 log10 CFU/day;95%CI:-0.10 to 0.08)と比較して、C. difficile菌の排出量をより急速に減少させた。バンコマイシン(6.3%;95%CI:4.7~8.3%)とフィダキソマイシン(13.1%;95%CI:10.7~15.9%)は、メトロニダゾール(21.4%;95%CI:18.0~25.2%)に比べて、環境汚染率が低かった。」

Impact of Oral Metronidazole, Vancomycin, and Fidaxomicin on Host Shedding and Environmental Contamination with Clostridioides difficile

Clin Infect Dis . 2021 May 21;ciab473.

PMID: 34017999

【アブストのみ】

 

㉓「低酸素状態(sPO2が92%未満または酸素投与必要)と全身性炎症(CRP>75mg/L以上)を併発したCOVID-19で入院した成人患者を対象にトシリズマブの効果を評価することを目的としたRCT。通常の標準治療のみ群とトシリズマブを400mg~800mg(体重による)静注投与を追加する群でランダム化。登録された21,550人の患者のうち4116人の成人がトシリズマブの評価対象となり、そのうち82%は全身性コルチコステロイドを投与されていた。全体では、トシリズマブ群2022人のうち31%、通常のケア群2094人のうち35%が28日以内に死亡した(RR 0.85;95%CI:0.76-0.94)。トシリズマブ群では主要評価項目である28日以内の退院率が高かった(57% vs 50%;RR 1.22;95%CI:1.12-1.33)。ベースラインで人工呼吸管理を受けていない患者ではトシリズマブ群で、人工呼吸管理または死亡の複合エンドポイントに到達する可能性が低かった(35% vs 42%;RR 0.84;95%CI:0.77-0.92)。」

Tocilizumab in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial

Lancet . 2021 May 1;397(10285):1637-1645.

PMID: 33933206

【フリー】

 

㉔「COVID-19に対する回復期血漿の有効性と安全性を検討したRCT(n=11,558)。回復期血漿群24%と通常ケア群24%が28日以内に死亡し、両群間で有意差はなかった(死亡率比 1.00;95%CI:0.93-1.07)。回復期血漿の投与は、28日以内に退院する患者の割合には有意な影響を及ぼさなかった(回復期血漿群66% vs 通常ケア群66%;率比 0.99;95%CI:0.94-1.03)。無作為化時点で侵襲的人工呼吸を行っていなかった患者のうち、侵襲的人工呼吸への移行または死亡という複合エンドポイントを達成した患者の割合には、有意な差はなかった(回復期血漿群29% vs 通常ケア群29%;率比 0.99;95%CI:0.93-1.05)。」

Convalescent plasma in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised controlled, open-label, platform trial

Lancet . 2021 May 29;397(10289):2049-2059.

PMID: 34000257

【フリー】

 

㉕「HIV陰性の18~84歳の成人または HIV 陽性で医学的に安定している18~64歳の成人を、NVX-CoV2373ワクチンを2回接種する群とプラセボを接種する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け。南アフリカで行われ、参加者の約30%はベースライン時に血清抗 SARS-CoV-2抗体陽性であった。ベースライン時に抗体陰性であった2,684例(HIV陰性94%;HIV陽性6%)において、ワクチン群の15例、プラセボ群の29例が主に軽症~中等症のCovid-19を発症した(ワクチンの有効率 49.4%;95%CI:6.1~72.8)。HIV 陰性の参加者におけるワクチンの有効率は 60.1%(95%CI:19.9~80.1)であった。配列決定した41の分離株のうち、38 株(92.7%)がB.1.351変異株であり、事後解析によるB.1.351変異株に対するワクチンの有効率はHIV陰性の参加者では51.0%(95%CI:-0.6 to 76.2)であった。」

Efficacy of NVX-CoV2373 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant

N Engl J Med . 2021 May 20;384(20):1899-1909.

PMID: 33951374

【フリー】

 

㉖「イスラエルにおけるCOVID-19ワクチンBNT162b2の有効性を検討した観察研究。16歳以上のSARS-CoV-2感染者数は232,268人、COVID-19入院者数は7,694人、COVID-19重症・重篤入院者数は4,481人、COVID-19死亡者数は1,113人であった。2021年4月3日までに16歳以上の6,538,911人のうち72.1%がBNT162b2を2回接種して完全に予防接種を受けた。2回目の接種後7日以上経過した時点でのワクチン効果の調整済み推定値はSARS-CoV-2感染に対して95.3%(95%CI:94.9-95.7;ワクチン未接種者の発生率 91.5/100,000人日、完全接種者の発生率 3.1/100,000人日、無症候性SARS-CoV-2感染症に対して91.5%(95%CI:90.7-92.2;40.9 vs 1.8/100,000人日)、 症候性COVID-19に対して97.0%(95%CI:96.7-97.2;32.5 vs 0.8/100,000人日)、COVID-19関連の入院に対して97.2%(95%CI:96.8-97.5;4.6 vs 0.3/100,000人日、重症または重篤なCOVID-19関連の入院に対しては97.5%(95%CI:97.1-97.8;2.7 vs 0.2/100,000人日)、COVID-19に関連した死亡に対しては96.7%(95%CI:96.0~97.3;0.6 vs 0.1/100,000人日)だった。」

Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data

Lancet . 2021 May 15;397(10287):1819-1829.

PMID: 33964222

【フリー】

 

㉗「医療従事者の症候性および無症候性のSARS-CoV-2感染に対するBNT162b2ワクチンの接種の有効性を検討した後ろ向きコホート研究。合計6710名の医療従事者(平均年齢44.3歳;女性66.5%)が中央値で63日間追跡調査を受け、88.7%の医療従事者が少なくとも1回のBNT162b2ワクチン接種、82.2%が2回接種、11.3%が未接種であった。症候性 SARS-CoV-2 感染症は、完全にワクチンを接種した医療従事者8名とワクチンを接種していない医療従事者38名に発生した(発生率 あたり 4.7 vs 149.8/100,000人日;調整発生率比(IRR) 0.03;95% CI:0.01-0.06)。無症状の SARS-CoV-2 感染は、完全にワクチンを接種した医療従事者19人とワクチンを接種していない医療従事者17人に発生した(発生率:11.3 vs 67.0/100,000 人日;調整IRR 0.14;95%CI:0.07-0.31)。」

Association Between Vaccination With BNT162b2 and Incidence of Symptomatic and Asymptomatic SARS-CoV-2 Infections Among Health Care Workers

JAMA . 2021 Jun 22;325(24):2457-2465.

PMID: 33956048

【フリー】

 

㉘「英国の高齢者におけるBNT162b2またはChAdOx1-Sワクチンの有効性を検討した観察研究。2021/1/4以前に接種した患者におけるBNT162b2の効果は接種後10~13日目に認められ、ワクチン効果は70%(95%CI:59%~78%)に達し、2回目の接種後14日目からは89%(85%~93%)の接種効果が認められた。2021/1/4以後に接種した患者におけるBNT162b2では、ワクチン接種後28~34日目にワクチン効果が61%(51~69%)に達した。ChAdOx1-Sでは、ワクチン接種後14~20日目に効果が見られ、28~34日目には60%(41%~73%)の効果に達し、35日目以降は73%(27%~90%)に増加した。BNT162b2を1回接種した被験者では、症候性疾患に対する予防効果に加えて、緊急入院のリスクが43%(33%~52%)、死亡のリスクが51%(37%~62%)減少した。また、ChAdOx1-Sを1回投与した被験者では、緊急入院のリスクがさらに37%(3%~59%)減少した。」

Effectiveness of the Pfizer-BioNTech and Oxford-AstraZeneca vaccines on covid-19 related symptoms, hospital admissions, and mortality in older adults in England: test negative case-control study

BMJ . 2021 May 13;373:n1088.

PMID: 33985964

【フリー】

 

㉙「12~15歳へのBNT162b2ワクチンの有効性と安全性をプラセボと比較検討したRCT。12~15歳の2260人がワクチン接種を受け、1131人がBNT162b2、1129人がプラセボを受けた。副作用は、主に一過性の軽度から中等度の反応性(主に注射部位の痛み(79~86%)、疲労感(60~66%)、頭痛(55~65%))が見られ、ワクチン関連の重篤な有害事象はなかった。SARS-CoV-2 感染の既往が認められない参加者において、投与2日後以降に発症した Covid-19症例はBNT162b2接種群では認められず、プラセボ接種群では16症例、観察された(ワクチンの有効率:100%;95%CI;75.3~100)。」

Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents

N Engl J Med . 2021 May 27;NEJMoa2107456.

PMID: 34043894

【フリー】

 

 

☆その他

㉚「退院後のフォローアップを含む包括的薬物レビュー(CMR)(n=922)の効果を、レビューのみ(n=823)と通常のケア(n=892)と比較して検討したクラスターランダム化試験。1日以上入院していた65歳以上の患者2,637人が対象(女性51.5%;年齢中央値81歳;服薬数中央値9剤)。予定外の病院受診(入院+緊急外来受診)の粗発生率は患者年あたり1.77であった。主要アウトカムである12 ヵ月以内の予定外の病院受診の発生率は、介入群と通常のケアとの間に差はなかった(調整後率比;CMR 1.04;95%CI:0.89-1.22、CMR+退院後のフォローアップ 1.15;95%CI:0.98-1.34)。」

Effects of Hospital-Based Comprehensive Medication Reviews Including Postdischarge Follow-up on Older Patients' Use of Health Care: A Cluster Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2021 Apr 1;4(4):e216303.

PMID: 33929523

【フリー】

 

㉛「米国の65歳以上の高齢者において、転倒リスクを高める薬剤の処方が増加しているかどうか、またそれが転倒関連死亡率の増加と同時に起こっているかどうかを検討。37万4,972人の転倒関連死亡者と、7,858,177,122人の転倒リスク増加薬の使用があり、転倒による年齢調整後の死亡率は、1999年の10万人当たり29.40人から2017年の10万人当たり63.27人に増加した。転倒リスク増加薬の処方を1回以上受けた人の割合は、1999年の57%から2017年の94%に増加した(傾向のp<0.0001)。」

Trends in fall-related mortality and fall risk increasing drugs among older individuals in the United States,1999-2017

Pharmacoepidemiol Drug Saf . 2021 Aug;30(8):1049-1056.

PMID: 33534172

【アブストのみ】

 

㉜「バダデュスタットの安全性と有効性をダルベポエチン アルファと比較評価した、貧血を有する新規透析慢性腎臓病(新規 DD-CKD)患者と長期透析慢性腎臓病(長期 DD-CKD)患者を対象とした 2 件の第3相非盲検非劣性RCT(n=3,923(1:1に割り付け);新規DD-CKD:n=369,長期DD-CKD:n=3,554)。主要評価項目である初回のMACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)はバダデュスタット群18.2%とダルベポエチンアルファ群19.3%に発生(HR 0.96;95%CI:0.83~1.11)。ヘモグロビン値の変化量の群間差の平均は、新規 DD-CKD 試験では 24~36 週目で-0.31g/dL(95%CI:-0.53 to -0.10)、40~52 週目で-0.07g/dL(95%CI:-0.34 to 0.19)であり、長期 DD-CKD 試験ではそれぞれ-0.17g/dL(95%CI:-0.23 to 0.10)、-0.18g/dL(95%CI:-0.25 to -0.12)であった。」

Safety and Efficacy of Vadadustat for Anemia in Patients Undergoing Dialysis

N Engl J Med . 2021 Apr 29;384(17):1601-1612.

PMID: 33913638

【アブストのみ】

 

㉝「ESAによる治療歴がなく、Hb値10g/dL未満の透析導入前の慢性腎臓病(NDD-CKD)患者と、ESA による治療歴があり,Hb値8~11 g/dL(米国)または 9~12 g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者を対象とした2件の第3相非盲検RCT。バダデュスタットをESAであるダルベポエチンアルファと比較。それぞれの試験で、ESAによる治療歴のないNDD-CKD患者1,751例とESAによる治療歴のあるNDD-CKD患者 1,725例が無作為化。バダデュスタットの投与を受けた1,739例とダルベポエチンアルファの投与を受けた1,732例を対象としたプール解析では、主要評価項目であるMACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)のHRは1.17(95%CI:1.01~1.36)であり、事前に設定した非劣性マージンの1.25を満たさなかった。24~36 週目までのヘモグロビン値の変化量の群間差の平均は、ESAによる治療歴のない患者を対象とした試験では 0.05 g/dL(95%CI:-0.04~0.15)、ESA による治療歴のある患者を対象とした試験では-0.01g/dL(95%CI:-0.09 to 0.07)であり、事前に設定した非劣性マージンの-0.75g/dLを満たした。」

Vadadustat in Patients with Anemia and Non-Dialysis-Dependent CKD

N Engl J Med . 2021 Apr 29;384(17):1589-1600.

PMID: 33913637

【アブストのみ】

 

㉞「デキサメタゾンの手術後の悪心・嘔吐を予防効果および手術部位感染のリスクを検討したRCT。2時間以上の手術で皮膚切開の長さが5 cmを超え、術後に1泊入院する緊急性のない非心臓手術を受ける成人患者(n=8,725)を、麻酔中にデキサメタゾン8mgを静脈内投与する群(n=4,372)と、プラセボを投与する群(n=4,353)に無作為に割り付けたRCT。そのうち13.2%(デキサメタゾン群576人、プラセボ群572人)が糖尿病を罹患していた。主要解析対象となった8678例のうち、手術部位感染はデキサメタゾン群8.1%、プラセボ群では9.1%に発生(糖尿病で調整したリスク差 -0.9%;95.6%CI:-2.1 to 0.3)。術後24時間以内の悪心・嘔吐は、デキサメタゾン群42.2%、プラセボ群53.9%に発生し(RR 0.78;95% CI:0.75~0.82)、糖尿病のない患者における高血糖イベントは、デキサメタゾン群0.6%、プラセボ群0.2%に発生した。」

Dexamethasone and Surgical-Site Infection

N Engl J Med . 2021 May 6;384(18):1731-1741.

PMID: 33951362

【フリー】

 

㉟「持続的寛解状態にあるRA患者において、csDMARDsの半量への漸減を行う群(n=78)が、漸減を行わずに継続する群(n=77)とを比較して、再燃のリスクに及ぼす影響を評価したRCT(n=155;平均年齢55.1歳;女性66%)。主要評価項目である再燃(ベースラインから12カ月のフォローアップまでの間に疾患再発が発生した患者の割合で、疾患活動スコア(DAS)が1.6(RA寛解の閾値)以上、DASスコアの0.6単位以上の上昇、および少なくとも2つの腫れた関節の組み合わせと定義)は、半量投与のcsDMARD群では25%に発生したのに対し、非漸減群では6%に発生した(RR 18%;95%CI:7~29%)。」

Effect of Half-Dose vs Stable-Dose Conventional Synthetic Disease-Modifying Antirheumatic Drugs on Disease Flares in Patients With Rheumatoid Arthritis in Remission: The ARCTIC REWIND Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 May 4;325(17):1755-1764.

PMID: 33944875

【フリー】

 

㊱「低用量クエチアピン投与開始と2型糖尿病の発症の関連を、SSRI投与開始者と比較検討したコホート研究(54,616組)。マッチングコホートでは、糖尿病発症(抗糖尿病薬の初回処方またはHbA1c6.4%以上)のグループ間の差は有意ではなかった(罹患率(IR) 9.49 vs 9.58; IRR  0.99;95%CI:0.87-1.13)。」

Association of Low-Dose Quetiapine and Diabetes

JAMA Netw Open . 2021 May 3;4(5):e213209.

PMID: 33961038

【フリー】

 

㊲「スタチンの胎児毒性を検討したメタ解析(n=1,267,240;6試験)。スタチンの使用は、心臓異常(OR 2.53;95%CI:0.81-7.93)およびその他の先天性異常(OR 1.19;95%CI:0.70-2.03)を含む先天性異常を増加させないことが示された(OR 1.48;95%CI:0.90-2.42)。」

Fetal toxicity associated with statins: A systematic review and meta-analysis

Atherosclerosis . 2021 Jun;327:59-67.

PMID: 34044205

【フリー】

 

㊳「高リン血症と1つ以上の血管石灰化の危険因子(65歳以上、閉経後、糖尿病など)を有する血液透析患者を対象に、炭酸ランタン(n=1154)または炭酸カルシウム(n=1155)のいずれかに無作為に割り付け、血清リン酸値が3.5mg/dL~6.0mg/dLになるように調節した非盲検化RCT(年齢中央値69歳;女性40.5%)のうち、80.2%)。追跡期間の中央値の3.16年後、複合心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞または脳卒中、不安定狭心症、一過性脳虚血発作、心不全または心室性不整脈による入院)はランタンカルシウム群13.8%、炭酸カルシウム群12.5%に発生した(発生率 4.80 vs 4.30/100人年;差 0.50/100人年(95%CI: -0.57 to 1.56);HR 1.11;95%CI:0.88 to 1.41)。全死亡(差 0.43/100人年;95%CI:-0.63 to 1.49);HR 1.10;95%CI:0.88 to 1.37)および股関節骨折(差 0.10/100人年;95%CI:-0.26 to 0.47;HR:1.21;95%CI:0.62~2.35)には有意な差はなかった。炭酸ランタン群では、心血管死亡(差 0.61/100人年;95%CI:0.02~1.21;HR 1.51;95%CI:1.01~2.27)および二次性副甲状腺機能亢進症(差 1.34;95%CI:0.49~2.19);HR 1.62;95%CI:1.19~2.20)のリスクが高かった。有害事象は、炭酸ランタン群25.7%、炭酸カルシウム群23.4%に発生した。」

Effect of Treating Hyperphosphatemia With Lanthanum Carbonate vs Calcium Carbonate on Cardiovascular Events in Patients With Chronic Kidney Disease Undergoing Hemodialysis: The LANDMARK Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 May 18;325(19):1946-1954.

PMID: 34003226

【フリー】

 

㊴「オピオイドの投与量と使用期間に関連する有害事象のリスクを推定したカナダのクラスターランダム化試験(n=3,486;平均年齢69.6歳;男性57.7%のうち1511名参加)。累積使用期間が90日以上の場合、オピオイド関連有害事象のリスクは、1~30日の場合に比べて2倍以上増加していた(調整後HR 2.56;95%CI:1.25~5.27)。また、1日の平均投与量が90MME(MME:1日のモルヒネmg相当量)以上の場合、90MME以下の場合に比べて3倍のリスク増加が認められた(調整後HR 3.51;95%CI:1.58-7.82)。」

Association of Opioid Consumption Profiles After Hospitalization With Risk of Adverse Health Care Events

JAMA Netw Open . 2021 May 3;4(5):e218782.

PMID: 34003273

【フリー】

 

㊵「オピオイド依存症患者におけるオピオイドアゴニスト(OAT)治療と全死因および特定死因との関連性を検討したメタ解析(n=3,852;15試験+n=749,634;36試験)。コホート研究では、OAT服用期間中の全死亡率はOAT休止期間中の全死亡率の半分以上であった(RR 0.47;95%CI:0.42-0.53)。メタドン(RR 0.47;95%CI:0.41-0.54)とブプレノルフィン(RR 0.34;95%CI:0.26-0.45)では、関連性に違いはなかった。OAT服用期間中は、自殺(RR 0.48;95%CI:0.37-0.61)、癌(RR 0.72;95%CI:0.52-0.98)、薬物関連(RR 0.41;95%CI:0.33-0.52)、アルコール関連(RR 0.59;95%CI:0.49-0.72)、および心血管関連(RR 0.69;95%CI:0.60-0.79)の死亡リスクが低かった。メタドン治療の最初の4週間では、全死亡および薬物中毒の発生率は、OATの残りの期間の発生率の約2倍であったが(RR 2.01;95%CI:1.55-5.09)、ブプレノルフィンでは発生しなかった(RR 0.58;95%CI:0.18-1.85)。全死亡率は、OAT中止後の4週間で6倍高く(RR 6.01;95%CI:4.32-8.36)、OATを受けていない残りの期間でも2倍の割合であった(RR 1.81;95%CI:1.50-2.18)。OAT治療は、投獄中(RR 0.06;95%CI:0.01-0.46)および出所後(RR 0.09;95%CI:0.02-0.56)の死亡リスクの低下と関連していた。」

Association of Opioid Agonist Treatment With All-Cause Mortality and Specific Causes of Death Among People With Opioid Dependence: A Systematic Review and Meta-analysis

JAMA Psychiatry . 2021 Jun 2;e210976.

PMID: 34076676

【アブストのみ】

 

㊶「NSAIDの曝露とeGFR<60ml/min per 1.73 m2の発症リスクとの関連を評価し、NSAIDの種類間のリスクを比較することを目的とした後ろ向きコホート研究(n=1,982,488)。追跡期間の中央値6.3年後、eGFR<60 ml/min per 1.73 m2の発症が14%、eGFRが30%以上低下した事象が21%記録された。各患者のベースライン特性を調整した結果、非ステロイド系抗炎症薬の投与は、非ステロイド系抗炎症薬を投与しない場合と比較して、eGFR<60ml/min/1.73m2(HR 1.71;95%CI:1.67~1.75)およびeGFR≧30%低下(HR 1.93;95%CI:1.89~1.96)の発生リスクが有意に高いことが示され、中でもetoricoxibは、eGFR<60ml/min/1. 73m2あたりのeGFRが60ml/min未満(HR 3.12;95%CI:2.69~3.62)、eGFRが30%以上低下(HR 3.11;95%CI:2.78~3.48)のリスクが最も高く、イブプロフェンはeGFRが60ml/min未満(HR 1.12;95%CI:1.02~1.23)、eGFRが30%以上低下(HR 1.32;95%CI:1.23~1.41)のリスクが最も低かった。」

Comparative Risks of Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs on CKD

Clin J Am Soc Nephrol . 2021 Jun;16(6):898-907.

PMID: 33910887

【アブストのみ】

 

㊷「高K血症治療としてのインスリンの標準的な投与戦略(10単位)と代替戦略(5単位、0.1単位/kg、10単位未満等)の低血糖リスクおよびカリウム低下への影響を検討した10件のレトロスペクティブコホート研究(n = 3437)のメタ解析。その結果、低血糖(OR 0.55;95%CI:0.43-0.69;I2=8%)および重症低血糖(OR 0.41;95%CI:0.27-0.64;I2=0%)のオッズは、代替投与のほうが低かった。カリウムの減少については差が認められなかった(平均差-0.02mmol/L;95%CI:-0.11 to 0.07;I2=53%)。」

Reduced alternative insulin dosing in hyperkalemia: A meta-analysis of effects on hypoglycemia and potassium reduction

Pharmacotherapy . 2021 May 16.

PMID: 33993515

【アブストのみ】

 

㊸「低ナトリウム血症の主診断で入院した患者(n=11,213)とマッチさせた対照者(n=44,801)とを比較し、利尿剤の種類による低Na血症リスクを検討した症例対象研究。多変量ロジスティック回帰において、低Na血症による入院リスクはフロセミドの使用でaOR 0.61(95%CI:0.57-0.66)、amilorideの使用でaOR 1.69(95%CI:1.54-1.86)、スピロノラクトンの使用でaOR 1.96(95%CI:1.78-2.18)であった。新たに治療を開始した場合のORは、フロセミドのaOR 1.23(95%CI:1.04~1.47)からスピロノラクトンのaOR 3.55(95%CI:2.75~4.61)までの範囲であった。継続的に使用する場合のORは、フロセミドで0.52(95%CI:0.47-0.57)、アミロライドで1.62(95%CI:1.47-1.79)、スピロノラクトンで1.75(aOR:1.56-1.98)であった。」

Non-thiazide diuretics and hospitalization due to hyponatraemia: A population-based case-control study

Clin Endocrinol (Oxf) . 2021 May 12.

PMID: 33978246

【フリー】

 

㊹「費用を理由に医薬品を服用していないと回答したプライマリケア患者786人を,必須医薬品の無料配布(n=395)または通常の医薬品アクセス(n=391)のいずれかに割り付けた非盲検化RCT(女性56%;65歳未満83%)。主要アウトカムである2年後の適切な処方薬の服用率は、無料配布群で38.7%、通常アクセス群で28.6%であった(絶対差 10.1%;95%CI:3.3~16.9)。糖尿病のコントロール(HbA1c 0.27;95%CI:-0.25 to 0.79)、収縮期血圧(-3.9;95%CI: -9.9 to 2.2)、LDLコレステロール(0.26;95%CI:-0.08 to 0.60)については統計的に有意な差はなかった。2年間の総医療費は、無料配布の方が低かった(中央値の差 1,117カナダドル;95%CI:445~1,778カナダドル)。」

Adherence at 2 years with distribution of essential medicines at no charge: The CLEAN Meds randomized clinical trial

PLoS Med . 2021 May 21;18(5):e1003590.

PMID: 34019540

【フリー】

 

㊺「10%トラネキサム酸(TXA)マウスウォッシュが、DOACで治療を受けている患者の抜歯後の出血を減少させるかどうかを調査した二重盲検RCT。患者は10%TXA(n=106;平均年齢74.8歳;男性76%)またはプラセボ(n=112;平均年齢72.7歳;男性57%)のマウスウォッシュに無作為に割り付けられ、抜歯前に1回、その後は1日3回、3日間マウスウォッシュを使用するように指示された。主要評価項目である抜歯後7日目までの口腔内出血は、TXA群では26.4%、プラセボ群では28.6%に発生した(RR 0.92;95%CI:0.60~1.42)。TXAは周術期出血(出血スコア 4±1.78 vs 4±1.82)および早期出血(率比 0.76;95%CI:0.42~1.37)の発生率を低下させなかった。遅発性出血(率比 0.32;95%CI:0.12~0.89)および複数回の抜歯後の出血(率比 0.40;95%CI:0.20~0.78)はTXA群で低かった。」

Tranexamic acid and bleeding in patients treated with non-vitamin K oral anticoagulants undergoing dental extraction: The EXTRACT-NOAC randomized clinical trial

PLoS Med . 2021 May 3;18(5):e1003601.

PMID: 33939696

【フリー】

 

㊻「成人および青年の重症でコントロール不能な喘息患者におけるTezepelumabの有効性を検討した二重盲検RCT。Tezepelumab(210mg)の皮下投与を4週ごとに52週間行う群(n=529)とプラセボ群(n=532)に割り付け。喘息増悪の年間発生率は、Tezepelumab群で0.93(95%CI:0.80~1.07)、プラセボ群で2.10(95%CI:1.84~2.39)であった(率比 0.44;95%CI:0.37~0.53)。52 週の時点で、Tezepelumab群ではプラセボ群よりも気管支拡張薬投与前の FEV1 が大幅に改善し(0.23 L vs 0.09 L;差 0.13 L;95%CI:0.08~0.18)、6 点満点の喘息コントロール質問票(ACQ-6)のスコア(-1.55 vs -1.22;差 -0.33;95%CI:-0.46 to -0.20)、喘息 QOL 質問票(AQLQ)のスコア(1.49 vs 1.15;差 0.34;95%CI:0.20~0.47)、喘息症状日誌(ASD)のスコア(-0.71 vs -0.59;差 -0.12;95%CI:-0.19 to -0.04)も大幅に改善した。」

Tezepelumab in Adults and Adolescents with Severe, Uncontrolled Asthma

N Engl J Med . 2021 May 13;384(19):1800-1809.

PMID: 33979488

【アブストのみ】

  

 

 

今回は以上になります!

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