
こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第92回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

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今回は「フリーテーマ」でした。
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1人目は@程々な薬剤師
JMA J . 2025 Jul 15;8(3):809-816.
PMID: 40786468

こちらは、経口セマグルチドから皮下注チルゼパチドへの切替によるQOLの改善効果を検討した前向き観察研究です。
対象患者は、平均年齢50歳と比較的若く、HbA1cはベースラインで6.8と比較的コントロールは良かったようです。
QOLの評価指標としてはDTR-QOLが用いられており、こちらは29項目が1~7点での回答となっております。4つの領域が含まれており、それぞれ、領域1:社会活動と日常生活への負担、領域2:不安と治療への不満、領域3:低血糖、領域4治療への満足度が評価されております。
結果として、トータルスコアおよび4つの領域のいずれもにおいて、チルゼパチド切り替え後に改善が認められました。スライドにあるようにHbA1cおよび体重も減少傾向でしたが、有意差はありませんでした。症例数が少ないため、検出力不足の可能性がありそうです。
QOLに関してはいずれの項目においても改善は認められており、全体として切り替えが患者負担の増加に繋がる可能性は低そうです。ただ、個別で見ていくと、消化器症状等の副作用の負担や自己、注射の負担などの影響もあるかもしれませんし、注意していく必要はあるのではないでしょうか。
2人目は@リンコ
Glob Health Med . 2026 Feb 28;8(1):33-38.
PMID: 41743345

こちらは、日本版抗コリン薬リスクスケール(JARS)と便秘薬処方との関連を評価した横断研究です。日本版抗コリン薬リスクスケールでは、抗コリン作用の強度により1-3のスコアが付加されております。かかりつけ薬剤師の登録をしており、5-9剤併用している65歳以上の外来患者が対象となっております。
JARS総抗コリン負荷0と1,2,3,4,5以上での便秘薬処方リスクを評価されております。
結果として、JARS5以上のみで有意な便秘薬処方のオッズ比の増加が認められました。一方、JARS1および2では有意な低下が認められました。
また、JARS3の薬剤の使用は、便秘薬処方の有意なオッズ比の上昇に寄与していたようです。
思っていたよりも差が付かなかった印象です。そもそも総抗コリン負荷0でも29%が便秘薬を服用しており、差が付きにくかった可能性もありそうです。総抗コリン負荷1,2でオッズ比が有意に減少しているのも印象的です。総抗コリン負荷0と5でも処方率の差は8%であり、あまり大きくないようにも思います。
あとは、スコア1の薬剤がどこまで寄与するのかというのが疑問ではあります。先日スコア1の薬剤に関する論文(“抗コリン様作用”を深堀する②─「スコア1」の薬剤の抗コリン様作用─)が出ておりましたが、個人的にはそこまで気にしなくていいように感じています。スコア1の薬剤の評価も知りたいところです。
※JARSの詳細はこちら↓
3人目は@猫になりたい薬剤師
Lancet . 2026 Mar 7;407(10532):988-999.
PMID: 41794437

こちらは、新規作用機序であるアルドステロン合成酵素阻害薬のバクスドロスタットの治療抵抗性高血圧への有効性を評価したプラセボ対照第3相RCTです。右の図にあるように、アルドステロン合成酵素を阻害することで、アルドステロンの合成を抑制し、血圧の上昇を抑制するようです。
ベースラインとしての降圧剤は、利尿剤(100%)、ARB/ACEI(94%)、CCB(88%)等の平均3.7剤使用されていたようで、血圧は147/85程度でした。
結果としては、プラセボ群と比較してバクスドロスタット(2mg/日)群にて、12週間後の24時間SBPが有意に改善しており、群間差は14.0mmHgでした。
有害事象としては、5.5mmol/L>の高K血症(12% vs 3%)、6.0mmol/L>の高K血症(3.0% vs 1.4%)がそれぞれ認められておりました。
比較的大きな差が得られており、十分な効果が見込めるような気がしています。やはり、高カリウム血症には注意しないといけないと思いましたし、ACEIやARBとの併用のリスクも考慮しないといかないと感じました。あとは、長期投与のエビデンスが欲しいですね。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
4人目は@にいやん
Finerenone in Heart Failure with Mildly Reduced or Preserved Ejection Fraction
N Engl J Med . 2024 Oct 24;391(16):1475-1485.
PMID: 39225278

こちらは、LVEF>40%の心不全患者を対象に、フィネレノンの有効性をプラセボと比較して評価したRCTです。主要アウトカムとしては、心不全増悪イベントと心血管死の複合アウトカムでした。
ベースラインの平均年齢は72歳、SBPは129mmHg、平均LVEFは52%、平均BMIは30、心不全の入院歴は60%にあったようです。また、ベースラインの薬剤としてはβブロッカーや利尿剤は8割以上で使われたいたようですが、SGLT2阻害薬は13%程度だったようです。追跡期間の中央値は32か月でした。
結果としては、フィネレノン群でプラセボ群と比較して100人年あたり14.9 vs 177となり、フィネレノン群で有意なリスク低下が認められました。個別のイベントでは、心不全増悪は有意に減少しましたが、心血管死や総死亡に有意差は認められませんでした。
有害事象としては、5.5mmol/L>の高K血症(14.3% vs 6.9%)、6.0mmol/L>の高K血症(0% vs 5%)認められており、収縮期血圧<100mmHgの低血圧(18.5% vs 12.4%)で認められました。
HFpEFで有効性を示せたのは大きいですね。新たな治療の選択肢となりそうです。死亡に差が付かなかったので、評価が分かれる可能性はありそうです。個人的に、心不全は入院を繰り返す疾患なので、入院が減るのは重要な有効性だと思っております。有害事象の印象としては、他のMRAと似たような感じになっているかと思います。他剤との比較の研究も見ていたいですね。
5人目は@zuratomo4
Sci Rep . 2026 Feb 9;16(1):7889.
PMID: 41663726

こちらは、ライブコンサートとライブストリーミングコンサートとでどちらの方が生理的および心理的ウェルビーイングが高いかを比較したRCTです。並行デザインにおいてライブコンサート(クラシックおよびポップ)と同時上映のライブストリーミングが比較されており、記入式質問票および心拍数(HR)や心拍変動(HRV)にてウェルビーイングが評価されております。
結果として、ライブコンサート群にて演奏に対する評価は高くなり、感動の評価であるカム・マタも高くなりました。また、心拍数は有意に高くなりました。
そうですよね、といった結果ですね。私もライブコンサートの方が好きですね。やっぱり実際のライブでないと得られないものは大きいように思います。でも、どうしても参加できない場合もあるので、そんな時はストリーミングでもいいので見たいですね。
6人目は@たけちゃん
Front Pharmacol . 2023 May 23:14:1184552.
PMID: 37288109

こちらは、中等症から重症アレルギー性鼻炎に対する経鼻コルチコステロイドの比較有効性および受容性を検討したRCTのネットワークメタ解析です。
薬剤としては、スライドにある6種類の薬剤が解析の対象となっております。主要アウトカムは総鼻症状スコア(TNSS)改善における有効性および治療受容性(試験脱落)であり、通年性アレルギーと季節性アレルギーで分けて解析されております。
結果としては、SMDで評価されており、季節性においてはMFがもっとも有効となりましたが、数値的にはほとんど差がないように思います。一方、通年性においてはBUDが最も有効と評価されており、他剤とも少し差はありそうです。ただ、日本ではブデソニドの点鼻は発売されていません。
一方、治療受容性についてはいずれもプラセボと比較して有意差は認められませんでした。
全体的にはそれほど差はないのかなという印象です。1日1回がいいのか2回がいいのか、またデバイスの使いやすさや液だれの感じでも個人によって好みには差が出るのかなという印象ですし。花粉症患者である私的には、現在市販のフルナーゼを使用しておりますが、1日2回であること、容器が瓶であること、噴霧量が安定しないことが不満ですので、そういった部分での好き嫌いはあるのかもしれません。
本当に季節性と通年性で効果に差があるのか、というのも疑問ではありますが、、、
@たけちゃんのブログでの解説↓
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は4/15(水)22時より、「テーマ:新人に読ませたい論文」にて配信予定です。
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