
こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第91回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

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今回は「テーマ:注射薬」でした。
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1人目は@程々な薬剤師
J Bone Miner Res . 2022 Feb;37(2):340-348.
PMID: 34787342

こちらは、骨粗鬆症患者におけるデノスマブとビスホスホネート(BP)製剤とで顎骨壊死(ONJ)リスクを比較した後ろ向きコホート研究です。3068名(女性89%;年齢中央値69歳)が対象となっております。骨粗鬆症患者が対象となっておりますので、「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」における低用量デノスマブまたは低用量ビスホスホネートに当たります。また、顎骨壊死に関しては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎)」にもまとまっております。
結果として、観察患者年10,000あたりのONJ発生率は、デノスマブ投与患者で28.3、BP関連ONJ患者で4.5であり、率比は6.3(95%CI:2.1-22.8)、ハザード比は3.49(95%CI:1.16-10.47)と、デノスマブ群で有意に高かったです。
デノスマブ群は1年当たり約350人に1名の発生ですので、比較的発生率は高めのような印象です。ポジションペーパーでは、0~30.2人/10万人年と記載されておりますので、10倍ほどになっており、さすがに今回の報告は多すぎるように思います。一方、低用量ビスホスホネートは、ポジションペーパーでは22.9/10万人年と記載されておりますので、逆に今回の報告は少なめになっていますね。
他の大規模な研究とは別の結果になった研究の解釈は難しいですが、偏っている可能性があることを念頭に置いておく必要があるように思います。診断基準の違いもあるのではないかと感じました。
2人目は@zuratomo4
The fear of needles: A systematic review and meta-analysis
J Adv Nurs . 2019 Jan;75(1):30-42.
PMID: 30109720

こちらは、「針恐怖症」の有病率とその個人特定を評価した研究のメタ解析です。
観察研究35件が対象になっており、それだけ注目されうる分野なのだと感じました。
結果としては、年齢では若年の方が、性別では女性の方が針恐怖症のリスクが高かったようです。病院職員は27%との報告もあるようで、また子供に関しては教育することで半数程度に低減したとの報告もあるようです(論文→Does a child's fear of needles decrease through a learning event with needles?)。
治療の妨げやワクチン忌避にもつながる可能性があるので少ないに越したことはないですが、これは仕方ないですかね。教育で改善する可能性があるというのは、すごく重要なことだと感じました。評価尺度が種々あるようで、結果の評価には注意が必要なようです。
3人目は@リンコ
Open Forum Infect Dis . 2025 May 30;12(6):ofaf313.
PMID: 40567999

こちらは、セフトリアキソンの皮下投与と静脈内投与での薬物動態を比較した研究です。セフトリアキソン1g/日を静脈内または皮下投与された患者を対象とした観察研究となっております。
セフトリアキソンは汎用される抗生剤で、1日1回で投与できるため在宅でもよく使われます。特に終末期ではルートが取れないこともあり、実際に皮下投与も時々見受けられます。
結果としては、血漿中濃度の平均投与直後値においては、静注群の方が有意に上昇しておりましたが、平均トラフ値に差はありませんでした。AUCはP値の記載がなかったですが、おそらく差はないかと思います。ちなみに、バイオアベイラビリティは99%だったようです。
腎機能別の投与量としても、MIC=2mg/Lに対して、静注と皮下注で差はほとんどなかったようです。副作用も考慮すると、CCr15mL/min程度では減量して良さそうです。
どうしても皮下投与は静注に比べると吸収速度が落ちてしまうので、投与直後の血中濃度は上がりにくいですが、それは仕方ないですね。fT>MICの評価を見ても、大きな影響はないのではないかと感じております。
実際の治療効果に関してはこの研究からでは読み解けませんが、毛中濃度の推移を考慮すると、ルートが取れない際に限っては十分に代替手段になるかと思います。
4人目は@猫になりたい薬剤師
JAMA Netw Open . 2024 Sep 3;7(9):e2432427.
PMID: 39259542

こちらは、慢性背部痛に対するオープンラベルプラセボ(OLP)注射の有効性を評価したRCTです。介入群ではOLPが1回注射され、対照群では通常ケアが継続されました。治療後1か月時点の疼痛強度(0-10段階)であり、追跡期間は1年間でした。
結果として、1か月後の疼痛強度はOLP群で有意に低下しておりましたが、1年間は持続しなかったようです。うつ病、怒り、不安、睡眠障害等の副次的アウトカムの改善効果も認められたようです。また、30%の疼痛軽減や50%の疼痛軽減の割合に関しても、OLP群で多い傾向があったようです。(※Hedges g:効果量のこと。0.2で小さい効果、0.5で中程度、0.8以上で大きい効果と解釈される)
さらに機能的MRI(fMRI)では、痛み調節経路(下降性疼痛抑制系)を活性化させていることが分かったと書かれております。
有効性は可もなく不可もなくというか、ちょっとくらいは足しになっているのかもしれないというような結果ですかね。他の試験では有効な結果も認められているので、ちょっと意外でした。MRIの結果もあるので、有効性は本物かもしれません。何かしらの心理的な影響があるのでしょうか。
で、このOLPが何に役立つのかという議論をキャスでもしたのですが、本文を読んだ感じでは治療の補助という感じですかね。どうやらOLPを注射するだけでなく、その有効性の説明もあったようです。そういった心理社会的な介入と合わせて治療を進めていくということでしょうか。OLPの研究は最近よく見かけるので、さらなる研究に期待したいです。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は3/18(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
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