リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第89回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2025.12.17)(テーマ:筋肉)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第89回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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録音はこちらからどうぞ↓(2回に分かれておりますし、最初は色々トラブルで…)

 

今回のテーマは「筋肉」でした。

 

今回のメニューはこちら

 

 

1人目は@zuratomo4

Effect of different physical activities on erectile dysfunction in adult men not receiving phosphodiesterase-5 inhibitors therapy: A systematic review and meta-analysis

Andrology . 2024 Nov;12(8):1632-1641.

PMID: 38937909

こちらは、PDE5阻害薬療法を受けていない成人男性におけるEDに対する様々な身体活動の影響を評価したRCTのメタ解析です。主要評価項目としては、国際勃起機能指標(IIEF)スコアが評価されております。

結果としては、種々の運動の介入にてIIEFスコアの改善が認められました。運動の種類によっては、サブ解析にて有意差が認められない運動もありましたが、症例数が少ない影響は大きそうです。

特に、有酸素運動は十分に効果が期待できそうです。将来の性生活を考えて運動するというのは、人によってはいい動機となるかもしれません。

 

 

こちらは、高齢者施設入所者のフレイルとサルコペニアの予防・発症遅延を目的とした、リングフィットアドベンチャー(RFA)を用いた運動トレーニングプログラムの有効性を評価したRCTです。通常ケア群とRFAを週2回・30分/回の追加群とで種々のスコアが検討されております。

結果として、骨粗鬆症性骨折研究指数(フレイル状態の指標)およびサルコペニアの診断基準(四肢骨格筋量指数、握力、歩行速度)は、PFA群で有意な改善が認められました。

スコアのそれぞれの点数の意義についてはあまりよく分からないのですが、握力はすごく改善しているのが分かります。PFAに握る動作があることが要因かもしれませんが…

ゲームで楽しみながらフレイルとサルコペニアの予防や発症遅延ができるのならいいことですね。高齢者施設では様々なレクレーションが取り入れておりますが、PFAを取り入れるのはレクレーションかつフレイル・サルコペニア対策として有用そうです。

比較的高額であることは辛いところですが、高齢者にも取り組みやすいとは思いますので、検討には値しそうです。

よく知らない人のために、RFAの一応リンクを貼っておきます。

 

 

3人目は@程々な薬剤師

Creatine Kinase Elevations and Risk of Renal Failure and Dialysis in Patients With Rhabdomyolysis

Cureus.2025 Jun 22;17(6):e86536.

PMID: 40698228

こちらは、紋筋融解症診断後7日以内のCKレベルと腎不全および透析の転帰を評価した観察研究です。横紋筋融解症の診断後3日以内にCK値が1,000U/L以上と特定された約7万人が対象となっております。

結果としては、CK値1,000~5,000U/Lを対照群として、それぞれ層別化されたCK値ではいずれも透析や重度腎障害(Cre≧4)のリスクが上昇しており、CK値の上昇とともにリスクは増加する傾向となっております。

これだけの大規模な研究は初めてだったようで、大変勉強になりました。そんなに出会わない症例なので、あまり病態を理解できておらず。MSDマニュアルで解説されております(横紋筋融解症 - 03. 泌尿器疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版)。薬剤性につきましては、重篤副作用疾患別対応マニュアルにまとまっております。

透析については一時的だったのかどうか、死亡への影響、さらには横紋筋融解症の原因についても解析があるといいなと感じました。

Cureusの論文であることがLimitationになるのかもしれませんが…

 

                  •  

4人目は@猫になりたい薬剤師

Do dietary supplements prevent loss of muscle mass and strength during muscle disuse? A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

Front Nutr . 2023 May 11:10:1093988.

PMID: 37252241

こちらは、下肢を固定した、または長期間の安静を保った健康な被験者におけるサプリメントの筋肉量や筋肉低下への影響を評価したRCTのメタ解析です。ロイシン、クレアチン、必須アミノ酸、プロテインなどの様々なサプリメントの20RCTが対象となっております。

結果として、下肢除脂肪量には有意な改善が認められておりますが、筋力やその他のアウトカムには差が認められませんでした。

全体的に症例数が少なく、サプリメントもごちゃ混ぜになっているので、何とも言えない結果だなと。十分なエビデンスを知りたいところですが、デザイン的にも効果的にもなかなか難しそうですね。

キャスでは、ラジオ体操の話題になりました。ラジオ体操もいくつかエビデンスが出てますし、続けることで何かしらいいことがあるかもしれません。

Japanese radio calisthenics prevents the reduction of skeletal muscle mass volume in people with type 2 diabetes(日本のラジオ体操は、2型糖尿病患者の骨格筋量の減少を予防する。PMID:32098897)

Taiso practice and risk of functional disability and dementia among older adults in Japan: The JAGES cohort study(日本の高齢者における体操の実践と機能障害および認知症のリスク:JAGESコホート研究。PMID:39686945)(プレスリリース→ラジオ体操で認知症リスクが18%低下)

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓

 

 

5人目は@リンコ

The efficacy and safety of sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors in patients aged over 80 years with heart failure

ESC Heart Fail . 2025 Jun;12(3):2087-2097.

PMID: 39829330

こちらは、80代以上の心不全患者へのSGLT2阻害薬の有効性と安全性を評価した後ろ向きコホート研究です。フレイル患者に対するSGLT2阻害薬の有効性を知りたくて論文を検索しておりました。SGLT2阻害薬の大規模研究のサブ解析でフレイル患者の解析をしていた論文がいくつか見つかりましたが、いずれも平均年齢が60台程度と比較的若く、さらに高齢者の研究を探していたところ、この研究が見つかりました。

結果として、SGLT2使用群では非使用群と比較して主要複合アウトカムである全死亡や心不全入院が有意に減少しておりました。

サブ解析では臨床フレイル尺度(CFS)別の解析がなされており、最もフレイルの進行したCFS7-9にてSGLT2群で有意に主要複合アウトカムの減少が認められております。その他のフレイル尺度の分類も、症例数不足で有意差が出ていないような印象です。また、栄養の指標であるGNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)は、いずれの分類においても有意な減少が認められております。

SGLT2阻害薬はリスクが強調されがちですが、この研究を見る限りでは、「SGLT2阻害薬を投与しない理由として高齢やフレイルは不適切かもしれない」と感じます。ただ、研究としてはマッチングされていない後ろ向きコホート研究であり、ベースラインは非SGLT2阻害薬群でより重症であることが明確ではありますので、エビデンスレベルは高くないように感じます。フレイルに関してはサブ解析でもあります。さらなる研究に期待したいところではあります。

 

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は1/21(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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