
こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第87回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

録音はこちらからどうぞ↓(3回に分かれております)
今回のテーマは「痛み止め」でした。
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1人目は@猫になりたい薬剤師
Lancet Neurol . 2024 Apr;23(4):382-392.
PMID: 38364831

こちらは、従来の経口予防治療でコントロール不良な発作性片頭痛の予防治療におけるアトゲパントの安全性と有効性を評価した二重盲検RCTです。アトゲパントはCGRP受容体拮抗薬で、まだ発売はされておらず、製造販売承認をしている段階です。リメゲパント(ナルティーク🄬OD錠)が先に承認され、発売が開始されてますね。
さて結果としては、1日1回のアトゲパント投与にて、月間の片頭痛日数がプラセボ群と比較して有意に改善しております。本文が読めないのでベースラインの片頭痛回数は分かりませんが、他の試験を参考にすると10回程度なのかなと思います。
また副作用に関してはそんなに目立たない印象ですね。
効果に関してはこの程度でいいのかどうか片頭痛患者に聞いてみないと分かりませんが、それなりに効果は得られているのかなという印象です。患者の話を聞いていると、片頭痛回数だけでは捉えられないQOLへの片頭痛の影響もあるようなので、そんな症状も楽になるといいのですが。注射薬は制限が多いので、経口薬が発売されるのはいいことですね。ナルティークの話にはなりますが、処方医の制限は無いようなので、それは良かったと思います。
注射製剤との有効性を比較したRCTも見てみたいと思いました。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
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2人目は@zuratomo4
BJPsych Open . 2025 Sep 12;11(5):e208.
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PMID: 40936464

こちらは、治療抵抗性うつ病に対する亜酸化窒素(=笑気ガス)のプラセボ対照RCTです。
介入群は笑気ガス吸入+生食静注、対照群は酸素吸入+ミダゾラム静注で、4週間にわたって週1回投与されたようです。主要アウトカムとしては、6週間後のうつ病重症度の指標であるMADRSで評価されました。
結果としては、介入群でMADRSが20.5%減少、対照群で9.5%減少しましたが、その差に有意差はありませんでした。有害事象については介入群で多い傾向が認められましたが、基本的には一過性だったようです。
差がつかなかったのはサンプルサイズの問題かなという印象もあります。それはパイロット試験なので仕方ないのかなと。治療薬が十分ではない分野のようですので、少しでも有効な薬剤があるといいのですが。
3人目は@にいやん
PLoS One . 2019 Apr 17;14(4):e0215356.
PMID: 30995259

こちらは、トラマドールの消化性潰瘍出血リスクを評価した症例対象研究です。消化性潰瘍症例約18,000例に対して、それぞれ4例がマッチングされております。比較対照として、コデインの出血リスクも評価されております。トラマドールは、ノルアドレナリンおよびセロトニンの再取り込み阻害作用による出血リスク増加リスクがあります。
結果として、トラマドールのオッズ比は2.1となり、有意に出血リスクを高まる結果となりました。一方、コデインもオッズ比1.9となり、有意なリスク上昇が認められました。
トラマドール、コデインの両剤でリスクが高まっており、解釈が難しい結果となっています。他の研究の結果も参考にしないといけないですし、残存交絡因子の影響を考慮しないといけないと思いますが、本研究はややオッズ比が大きすぎるような気もしています。
セロトニン関連薬は出血リスクとしては忘れがちな薬剤ですし、医師はあまり意識していない印象なので、注意して見ていきたいと思います。
4人目は@程々な薬剤師
Alcohol . 2020 May:84:21-25.
PMID: 31689482

- こちらは、二日酔い後の倦怠感、頭痛、吐き気に対するロキソプロフェンの有効性を評価した医師対象のRCTです。二日酔いの症状が発現した時にロキソプロフェンを服用し、その服用前と服用3時間後での倦怠感などをVASにて評価しました。
- 結果としては、プラセボとの比較にてVASスコアの改善に有意差は認められませんでした。副次的評価項目のうち頭痛は有意にVASスコアが改善されましたが、吐き気は改善されませんでした。吐き気に関しては、服用3時間後で両群ともほとんど消失しているようですね。
- NSAIDなので頭痛が改善するのは十分考えられますが、その他は残念な結果となりました。二日酔いを起こさない程度に飲酒するというのが大切なことなのかもしれませんが、下戸の私には全く気持ちが分かりません(笑)
- 対象者が医師という事で、個人的には特有の交絡因子があるかもしれないと気になりました。
5人目は@リンコ
Cardiovascular Safety of Celecoxib, Naproxen, or Ibuprofen for Arthritis
N Engl J Med . 2016 Dec 29;375(26):2519-29.
PMID: 27959716

こちらは、関節炎に対するセレコキシブ、ナプロキセン、またはイブプロフェンの心血管安全性を評価したRCTです。多くは変形性関節症の患者だったようです。以前発売されていた選択的COX-2阻害剤ロフェコキシブが、心血管系への有害事象にて発売中止となっていることもあり、今回の試験がなされたようです。
結果としては、平均投与期間20カ月、平均追跡期間34カ月において、主要複合アウトカム(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)はセレコキシブ群とナプロキセン群およびイブプロフェン群と比較して有意差はありませんでした。また、副次的アウトカムについては、出血イベント、腎イベント、総死亡でセレコキシブ群において有意にリスクが低下しておりました。
セレコキシブ群のリスクは払拭できましたし、むしろセレコキシブの方がリスクを回避できる結果となりました。NSAIDを使う時は、セレコキシブを積極的に選択した方がいいような気がします。
中止率が高かったのは、NSAIDなので必ずしも続ける必要はないと思うので、仕方ないかなとは思います。また、解析方法に関しては、有害事象を見ているのでOn-Treatment解析の結果を重要視した方がいいようです。
6人目は@Fizz_DI
Acetaminophen Use During Pregnancy and Children's Risk of Autism, ADHD, and Intellectual Disability
JAMA . 2024 Apr 9;331(14):1205-1214.
PMID: 38592388
こちらは、妊娠中のアセトアミノフェン使用と小児の自閉症、ADHD、知的障害リスクを評価した前向きコホート研究です。スウェーデンの調査であり、対象となった小児約250万人のうち、185,909人(7.5%)に妊娠中のアセトアミノフェンの暴露あったようです。
結果として、暴露を受けなかった小児と曝露を受けた小児の10歳時における粗絶対リスクは、自閉症でHR 1.05(95%CI:.02~1.08)、ADHDでHR 1.07(95%CI:1.05~1.10)、知的障害でHR 1.05(95%CI:1.00~1.10)と暴露群で有意に増加しておりました。しかし、未知の交絡因子の影響を除外した同胞対照解析では、自閉症(HR 0.98;95%CI:0.93-1.04)、ADHD(HR 0.98;95%CI:0.94-1.02)、知的障害(HR 1.01;95%CI:0.92-1.10)となり、いずれのアウトカムに関しても有意差はありませんでした。
トランプ氏の発現で話題にはなりましたが、こちらの研究では否定的です。HRが1付近に集約しているので、影響があってもわずかといったところでしょうか。私自身はまだその他の論文を読み込めていませんが、有識者の意見を聞いている限りでは、様々な研究はあるが、自閉症との関連は否定的な印象です。
米国は科学が軽んじられているような状況になってきておりますので、日本はしっかりと守っていかないといけませんね。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は11/19(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
よろしければご視聴くださいませ!
