リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第85回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2025.8.20)(テーマ:ステロイド)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第85回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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録音はこちらからどうぞ↓(4回に分かれております)

 

 

 

今回のテーマは「ステロイド」でした。

 

今回のメニューはこちら

 

 

1人目は@程々な薬剤師

Comparative Efficacy of Mometasone Nasal Spray Combined with Different Doses of Desloratadine, and Montelukast in Childhood Allergic Rhinitis: A Randomized Clinical Trial

Iran J Allergy Asthma Immunol . 2024 Jul 27;23(4):366-373.

PMID: 39549290

こちらは、小児アレルギー性鼻炎におけるモメタゾン点鼻薬への経口抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬の有効性を評価したRCTです。モメタゾン点鼻薬に加え、第1群にはデスロラタジンシロップ2.5mg/5ccを、第2群にはデスロラタジンシロップを1日2回投与した(12歳未満は2.5mg、12歳以上は5mg)。第3群にはモンテルカスト錠5mg、第4群にはデスロラタジンシロップとモンテルカスト錠5mgを1日1回投与した。デスロラタジンは、日本では発売されてないですね。

アウトカムとしては、鼻閉、鼻汁、くしゃみ、鼻掻痒感のスコア(各0-3点)からなるTNSSスコアの変化量が評価されております。

結果として、1日2回デスロラタジン追加群とデスロラタジンおよびモンテルカストの追加群で、1日1回デスロラタジン投与群および1日1回モンテルカスト投与群よりも優れていたようです。また、各個別の症状スコアにおいては、鼻閉スコアのみ同様に優れていたようです。

対象患者数が少ないせいか、各群でベースラインが大きくずれていて、特に差がついた治療群でベースラインのスコアが大きく、年齢がやや高かったことは気になりますが。

他の研究も参考にしないといけないとは思いますが、それなりに効果はあるのかなという印象です。

 

 

2人目は@Fizz_DI

The Assessment of the Efficacy of Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors in Patients with Glucocorticoid-induced Diabetes by Continuous Glucose Monitoring

Intern Med . 2017 Oct 1;56(19):2555-2562.

PMID: 28883231

こちらは、ステロイド性糖尿病患者11名を対象に、持続血糖モニタリング(CGM)を用いてDPP-4阻害薬の有効性を評価した後ろ向き観察研究です。DPP-4阻害薬治療開始前および開始後1~4週間のCGMによる血糖プロファイルが調査されております。11人全員のベースラインや結果が表にまとめられています。

ステロイド使用の目的はバラバラ、使用量は50mg/day前後が多かったようです。今回のステロイド性糖尿病は、随時血漿グルコース値が200 mg/dL以上に上昇した場合と定義されております。

結果として、血糖値は139mg/dL→124mg/dlへ低下しております。また、低血糖は認められなかったようです(Fig.1では、やや70mg/dLを下回っている気もしますが…)。

ステロイド性糖尿病の治療のアウトカムを考えると、高血糖を引き起こさないことが重要ですので、低血糖の副作用が少ないDPP-4阻害薬の使用が適しているようにも思います。ただ、DPP-4阻害薬で治療できる程度であればいいですが、インスリンが必要となってくるケースもあると思いますので、それはそれで仕方ないのかなと。今回の11例は、たまたま血糖値が大幅に上昇しなかった症例とも考えられるかと思います。治療期間にもよるのかなという印象です。

 

 

こちらは、重篤なうつ病におけるズラノロンの有効性と安全性を評価した第3相RCTです。日本では昨年、塩野義製薬によって承認申請がなされておりますが、発売はまだのようです(うつ病治療薬候補ズラノロンの国内における製造販売承認申請について| 塩野義製薬)。作用機序としては、「GABAA受容体の正のアロステリックモジュレーターとして機能すると仮定されており、シナプスGABAA受容体の調節を介してのみ作用すると考えられているベンゾジアゼピンとは異なり、ズラノロンはシナプスおよびシナプス外GABAA受容体の両方を調節し、それぞれ相動性および持続性シナプス後電流を増強することが示されています。また、異なるシナプスGABAA受容体においてジアゼパムと相動性GABAA受容体の相乗的な活性を示しており、ベンゾジアゼピンとは異なる結合部位があることが示唆されております。」とのことですが、よく理解できず…

本試験では、ズラノロン30mg/日または20mg/日とプラセボ群が比較されており、主要評価項目として、15日目の17項目のハミルトンうつ病評価尺度合計スコア(HDRS-17)のベースラインからの変化量(CFB)でした。

結果として、15日目のHDRS-17のベースラインからの変化量に差はありませんでした。ただし、重症患者(ベースラインHDRS-17スコア≥24)におけるズラノロン30mgの事後解析では、15日目のHDRS-17においてプラセボ対比で有意な改善が認められております。有害事象の発生率は、ズラノロン群とプラセボ群で同程度であり、個別でも特に差はなさそうです。

この試験結果を見る限りでは、効果は限定的なようにも思えますが。検索してみたところ日本の臨床試験はまだ論文化されていないようですし、50mgの投与が検討されている試験も散見されます。

新たな作用機序のようなので楽しみですが、効果がどうですかね。

 

 

4人目は@猫になりたい薬剤師

Sodium Zirconium Cyclosilicate for Management of Hyperkalemia During Spironolactone Optimization in Patients With Heart Failure

J Am Coll Cardiol . 2025 Mar 18;85(10):971-984.

PMID: 39566872

こちらは、HFrEF患者におけるスピロノラクトン使用時の高K血症の管理にジルコニウム(SZC)が有効かどうかを検討したRCTです。非盲検導入期間中、スピロノラクトンの漸増投与(目標用量:50 mg/日)を受け、高カリウム血症が認められた患者がSZCを開始しております。そして、カリウム値が正常(3.5-5.0 mEq/L)となった参加者は、6ヶ月間SZCを継続する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられております。

結果として、主要アウトカムである「スピロノラクトン25mg以上維持およびレスキューなしでのK値正常の割合」は、SZC群71%、プラセボ群36%と、有意にSZC群で多くなりました。高カリウム血症までの時間や高カリウム血症によるスピロノラクトンの減量/中止までの時間もSZC群で有意に減っておりました。

心血管死または心不全増悪イベントはSZC群で多かったようですが、症例数が少ないため参考程度でしょうか。低K血症はSZC群で7例認められましたが、プラセボ群では認められておりません。

結果は、そりゃそうでしょう、というものでしたが、あと気になるのは長期的なアウトカムです。SZC群で心血管死または心不全増悪イベントがやや増えておりますので気になるところです。まだまだ薬価が高い薬剤ですので、十分なアウトカムが求められると思いますし、できれば他のK吸着薬との比較もしてほしいと感じました。

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説

 

5人目は@リンコ

Risk and severity of herpes zoster in patients with rheumatoid arthritis receiving different immunosuppressive medications: a case-control study in Asia

BMJ Open . 2017 Jan 5;7(1):e014032.

PMID: 28057661

こちらは、RA患者におけるRA関連薬と帯状疱疹リスクを評価した症例対象研究です。

「帯状疱疹診療ガイドライン2025」では、帯状疱疹の疫学として、年齢(50歳未満と比べて50歳以上で多い)、性別(女性の方が発症率は高い)、季節(夏に多い)と合わせて、免疫異常として免疫抑制療法が記載されております。こちらの試験では、MTXや糖質コルチコイド等の影響が評価されております。

結果としては、MTXや糖質コルチコイド、またバイオ製剤(TNF阻害薬)の使用患者において帯状疱疹発症のオッズ比が有意に高くなっておりました。特に糖質コルチコイドでは用量依存の傾向も認められました。リウマチで高用量のステロイドを服用している症例は、そんなに多くない気もしますが。

高齢者での帯状疱疹の発症率は年間1%程度ですので、今回の結果を参考に考えてもそれほどリスクが高いわけではないかもしれません。ただ、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクもありますし、ワクチン接種にて高確率で予防ができることを考えると、ワクチン接種を推奨したいところです。免疫抑制剤使用者では生ワクチンが禁忌ですので、不活化ワクチンが選択されることとなります。定期接種となり5歳刻みでの助成が始まっておりますので、対象年齢になれば確実に接種していただきたいですね。

 

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は9/17(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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