リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第84回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2025.7.16)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第84回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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録音はこちらからどうぞ↓

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

今回のメニューはこちら

 

 

1人目は@リンコ

Comparative effects of angiotensin-converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor blockers on the risk of pneumonia and severe exacerbations in patients with COPD

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2018 Mar 8:13:867-874.

PMID: 29563786

こちらは、COPD患者のCOPD急性増悪と肺炎に対するACEiとARBの影響を比較した後ろ向きコホート研究です。

先日発刊された「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025」において、開始を考慮するべき薬物のリストの中から「誤嚥性肺炎ハイリスクの高血圧患者へのACEiの投与」が削除されましたが、その根拠となった論文の1つとなっております。

90日以上ACEiまたはARBを服用したCOPD患者が対象となっており、PSマッチング後に6,226組が比較されております。

結果としては、重症COPD増悪やCOPD増悪による入院はACEi群で有意に調整リスク比が高くなりました。また、肺炎や死亡に関してはACEi群で多くなっておりました。

誤嚥性肺炎予防にはACEiが有効かもしれないということはこれまで報告されておりましたが、それが覆されたような結果となりました。ただ、ベースラインが平均年齢67歳であり、私たちが普段診ている誤嚥性肺炎の患者さんよりはかなり若い事には注意が必要かと思います。

なお、もう一つの根拠となった論文としては以下が引用されております。

Association between Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Post-Stroke Aspiration Pneumonia(PMID:31635965)

こちらでは、ACEiとARBとで脳卒中後の誤嚥性肺炎との関連性が評価されておりますが、アブストラクトしか読めませんでした。

特に適応外使用に関しては、十分な試験がなく覆ることも多くあると思いますので十分注意しないといけないと思いましたし、適応外使用はエビデンスをしっかり追っていないと時代の最先端を行っていると思ってやっていたら、気付けば一番遅れていることにもなりかねないのかなと感じました。

 

 

2人目は@程々な薬剤師

The Longitudinal Effects of Low Body Mass Index on Unfavorable Physical Health Outcomes Among Older Adults Receiving Homecare Nursing: A Prospective Cohort Study

Res Nurs Health . 2025 Aug;48(4):478-486.

PMID: 40423666

こちらは、日本全国で訪問看護を受けている高齢者(75歳以上)を対象に、好ましくない身体的健康転帰(UPHOs;尿路感染、呼吸器感染、褥瘡または皮膚裂傷、脱水、呼吸困難のコントロール不良、疼痛コントロール不良、外傷性転倒)の発生に対する低BMI(<20kg/m2)の縦断的影響を検討した前向きコホート研究です。

結果としてUPHOsの発生率は、1か月後、3か月後、6か月後のいずれにおいても、低BMI群の方が発生率は高くなっておりました。

低BMIには低栄養等の理由があると思いますので、やはりそういったイベントは多くなりますよね。

個人的に気になったのは、UPHOという指標の妥当性についてです。ごちゃ混ぜになっているような気がしますし、あまり報告もない指標のようですし。Table2.を見る限りでは、それぞれで発生率も大きく異なってますし。

高齢者の低BMIは、何とか食べてもらって栄養をつけてもらう、というよりも、様々なリスクを抱えていることに留意しておく必要があるのではないかと感じました。

 

 

こちらは、薬剤や季節による光線過敏症リスクを評価したJADERを用いた研究です。

薬剤に関してはARBとHCTZとの合剤やケトプロフェン局所製剤、ARB単剤ではロサルタンにシグナルが検出されました。

発症までの期間は薬剤によって特徴がある印象で、その中央値はロサルタン/HCTZおよびバルサルタン/HCTZで50日前後、ケトプロフェンは8日間と、外用剤では発現に早い傾向があるように思いました。季節にも特徴があり、春に多く、冬に少ない傾向がありました。これは服装の影響もあるようで、春になって肌が見えるような服を着だしてから光線過敏症が多くなり、逆に肌を覆うような服を着ることで光線過敏症が少なくなる傾向があるようです。

RORですので薬剤による差は検討できませんが、報告の多い薬剤についてはやはり注意しておかないといけないと感じましたし、特に春には注意しようと思いました。

 

 

4人目は@猫になりたい薬剤師

Morning vs Bedtime Dosing and Nocturnal Blood Pressure Reduction in Patients With Hypertension: The OMAN Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2025 Jul 1;8(7):e2519354.

PMID: 40632538

こちらは、降圧剤の朝服用と夜服用での血圧コントロールの差を比較した非盲検RCTです。降圧剤としては、オルメサルタン20mg/アムロジピン5mgが使用され、12週間後までの変化を評価しております。

結果としては、夜服用群の方で夜間の収縮期血圧を平均3.0mmHg、拡張期血圧を1.4mmHg有意に下げたようです。しかし、その他のアウトカムであるoffice、24時間、日中、朝の血圧に差はなかったようです。

全体的に大きな差は認められず、いつ服用してもいいのかなという印象です。

キャスでも紹介されておりましたが、いくつか同様の研究が報告されており、読んだ感じでは朝でも夜でもどっちでもいいかなーという印象です。

Antihypertensive Medication Timing and Cardiovascular Events and Death: The BedMed Randomized Clinical Trial(PMID: 40354045)

Timing of Antihypertensive Drug Therapy: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials(PMID: 37212152)

Cardiovascular outcomes in adults with hypertension with evening versus morning dosing of usual antihypertensives in the UK (TIME study): a prospective, randomised, open-label, blinded-endpoint clinical trial(PMID: 36240838)

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説

 

 

5人目は@zuratomo4

Do rescuer body mass index and smoking habits affect cardiopulmonary resuscitation quality?: A manikin simulation study in nurses

Medicine (Baltimore) . 2025 Jul 4;104(27):e43226.

PMID: 40629602

こちらは、救助者の体格がCPRの手技に影響を与えるかどうかを検討した前向き研究です。病院勤務の比較的経験の浅い看護師を対象に行われました。

結果としては、身長や体重、BMIでいずれも有意差が認められました。(体格で差が出ていることを考えると、男性よりも女性で成功率が高いのはおかしい気もしますが。)

実際に訓練をしてみるとなかなか難しいですし、長時間行うとなると体力も必要となります。体重が多い方が、胸部圧迫には有利なのかもしれません。

 

 

6人目は@Fizz_DI

A randomized, placebo-controlled crossover trial of a decaffeinated energy drink shows no significant acute effect on mental energy

Am J Clin Nutr . 2020 Mar 1;111(3):719-727.

PMID: 31990972

こちらは、ノンカフェインのエナジードリンクの気分や認知機能への影響を評価した二重盲検クロスオーバー試験です。

試験に用いたノンカフェインのエナジードリンクには、VB6,葉酸,VB12,タウリンおよび測定不可能な程度のカフェイン等が含まれており、プラセボ飲料は色を似せて作られたようです。

結果として、Nバック課題、反応時間テスト、フランカー課題、RVIPテストのいずれにおいても有意差が認められませんでした。

ノンカフェインのエナジードリンクは意味がないかもしれないですね。プラセボ効果は得られる気はしますが。どうせならカフェイン入りのエナジードリンクも対照としてほしかったとは思います。

 

 

7人目は@たけちゃん

Fall risk stratification in older adults: low and not-at-risk status still associated with falls and injuries

Age Ageing . 2025 Mar 3;54(3):afaf064.

PMID: 40139220

こちらは、「転倒リスクなし」に分類された高齢者の転倒率および負傷率(障害を伴う転倒率)を評価した前向きコホート研究です。研究には「転倒リスクあり」に分類された高齢者も含まれており、転倒率等が比較されております。

転倒は「発作や急性脳卒中によるものではない、地面、床、またはそれ以下の高さで静止する予期せぬ出来事」、障害を伴う転倒は「裂傷、打撲、関節損傷(腫脹、関節脱臼など)、骨折、頭部外傷など、目に見える皮膚損傷を引き起こした転倒、または救急外来(ER)受診を必要とするほどの重傷」とそれぞれ定義されました。

結果として、観察期間中央値31.2か月の調査にて、「リスクなし」群での転倒率は41.3%であり、「リスクあり」群の64.0%より有意に少なくなっておりました。障害を伴う転倒率に差は認められませんでした。

歩行速度との関連も評価されており、歩行速度の遅さは転倒率の上昇との関連が認められたようです。

「転倒リスクなし」と評価されていても多くの方が転倒することが理解できましたし、障害を伴う転倒率に差が認められなかったことを考えると、転倒によるリスクは大きく感じました。転倒リスクの有無にかかわらず、高齢者は転倒リスクのケアをしていくことが重要なのではないでしょうか。

 

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は8/20(水)22時より、「テーマ:ステロイド」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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