こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第71回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
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今回のテーマは「腎機能と薬」でした。
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1人目は@たけちゃん
Income Level and Impaired Kidney Function Among Working Adults in Japan
JAMA Health Forum . 2024 Mar 1;5(3):e235445.
PMID: 38427342
こちらは、日本の就労成人の所得水準と腎機能障害との関連を評価した横断研究です。
日本の現役世代の約40%(加入者数3,000万人)をカバーする全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している34~74歳の成人が対象となっています。
結果として、 所得が最も低い十分位(下位10パーセンタイル)は、所得が最も高い十分位(上位10パーセンタイル)と比較して、急速なCKD進行(年間eGFRが5mL/min/1.73m2以上低下と定義)のリスクが有意に上昇し、また腎代替療法(透析または腎移植)開始のリスクも上昇しました。中でも、男性および糖尿病のない人でより顕著に差が認められました。
いわゆるSDH(健康の社会的決定要因)の分野の研究ですが、低所得は種々のリスクとの関連が示唆されており、その一つかなと思います。日本は国民皆保険であり、年1回の健康診断もありますが、それでも低所得と高所得では差があったようです。皆保険といえど低所得者は医療にかかることが負担になると思いますし、健康への意識も所得により差があると思います。
所得格差を改善するのは難しいことだと思いますので、より低所得の方が医療にかかりやすい環境を整えることが重要なのではないかと思いました。
@たけちゃんのブログでの解説↓
2人目は@程々な薬剤師
Ther Clin Risk Manag . 2021 Dec 7:17:1321-1331.
PMID: 34908841
こちらは、CKD患者の腎機能と心血管リスクに及ぼす経口炭酸水素ナトリウムの効果を評価した研究のメタ解析です。11のRCTがメタ解析に含まれておりますが、ほとんどがオープンラベルであり、また参加者数も比較的少なめです。
結果として、eGFR低下の変化は炭酸水素ナトリウム群で有意に減少しております。ただ研究によって期間がまちまちであるので、どのくらいの期間での結果なのかは定かではありません。
期間が分からないというのは前提ですが、CKDステージ3-5の患者が対象となっておりますので、eGFRで4ml/min/1.73m2の差というのは比較的大きな差なのではないかと思います。
メタ解析だと実際の差が見えにくいので、このメタ解析に含まれていて比較的規模の大きな個別のRCT(PMID:32268897 , PMID:31598912)を読むとよいかもしれません。
キャスで紹介しましたが、血圧には関与しなかったというメタ解析もあります(PMID:36758154)。
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3人目は@リンコ
Clin Kidney J . 2024 Feb 20;17(2):sfae021.
PMID: 38404365
こちらは、CKD患者におけるK吸着薬の種類による死亡率と高K入院への影響を検討した後ろ向きコホート研究です。対象者は100日以上連続してK吸着薬を処方されたCKD患者ですが、SZC(ロケルマ🄬)は極端に患者数が少なくなっております。発売間もない事や薬価が高いことが要因かと思います。
さて結果としては、SZC群よりもCPS群やSPS群の方が死亡+高K血症の複合アウトカムの発生リスクが大きくなっておりました。複合アウトカムのほとんどは死亡となっておりました。
また、観察期間終了時のRASiの使用率はSZC群で多くなっておりましたが、便秘はいずれの群でもほとんど差はありませんでした。
SCZ群は症例数が少なすぎ、また中止率が180日で約50%、300日で80%であり、他群は180日で10%程度、300日で10-20%です。そのため、この結果をどのくらい受け入れればいいのかが悩ましいところです。SZCは薬価がかなり高額ですので、使いにくいですし、それなりのメリットがなければ医療経済的にも使用するのははばかられます。
SZC群の参加者が多い観察研究やRCTが望まれる気がしています。
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4人目は@にいやん
Renin-Angiotensin System Inhibition in Advanced Chronic Kidney Disease
N Engl J Med . 2022 Dec 1;387(22):2021-2032. - PMID: 36326117
こちらは、高度CKD患者におけるRAS阻害薬の中止と継続とで、3年後のeGFRを比較したRCTです。参加者数は411名とやや少なめになっています。
- 結果としては、3年後のeGFRにおいて群間差は認められませんでした。また、末期腎不全や腎代替療法への以降に関しても有意差はありませんでした。
- これまでの研究では結果が一致していなかったようですが、今回は差がないという結果になりました。患者数が十分ではないため、末期腎不全や腎代替療法への移行に関しては、検出力不足の可能性がありそうです。
- 研究の結果が一致していないようなので、差があってもそれほど大きくないことが予想されます。ある程度CKDが進行すれば、無理して継続する必要はないかもしれないですし、逆に無理して止める必要もないのかもしれません。
5人目は@zuratomo4
BMJ Open . 2020 Aug 11;10(8):e038247.
PMID: 32784262
こちらは、第2世代抗精神病薬(SGA)とCKDとの関連を評価したコホート内症例対象研究です。
結果としては、SGAの服用歴とCKDとの関連は、現在の使用および過去の使用歴ともに関連が認められました。また、短期の使用と長期の使用はいずれもCKDと関連が認められました。
抗精神病薬とCKDとの関連は初めて論文を読みましたが、症例対象研究であり、また対象者も少ないことから、実際にどれくらいリスクがあるかは分かりません。頭の片隅に置いておいて、新たな研究が出ればまた読んでみたいと思います。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は7/17(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
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