こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第70回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
録音はこちらからどうぞ↓
今回は「フリーテーマ」でした。
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1人目は@にいやん
Epilepsy Behav . 2021 Apr:117:107832.
PMID: 33626490
こちらは、FDA有害事象報告システム(FAERS)による抗けいれん薬と薬剤性肝障害との関連を評価した報告です。
FEARSにて報告された薬剤性肝障害のうち、抗てんかん薬使用あり群と使用なし群とで比較し、RORを用いて評価されております。
結果としては、スライドの表にあるように、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、バルプロ酸、ラモトリギン、クロバザム、レベチラセタム、ジアゼパムにてシグナルが検出されましたが、他の薬剤では検出されませんでした。
報告ベースの研究ですので、単に薬剤間の比較はできませんが、副作用として肝障害のリスクのある薬剤と、リスクの低い薬剤があるのかもしれません。全文が読めないため詳細がわかりませんが、ただ単に報告が少ないだけの可能性もあるので、解釈には注意が必要かとは思います。
2人目は@たけちゃん
Tob Induc Dis . 2024 Jan 5:22.
PMID: 38188940
こちらは、喫煙欲求と関連する食品および飲料について調査した横断研究です。
日本人657名を対象としており、その内訳は、喫煙者479人(紙巻きたばこ242人、加熱式たばこ237人)、非喫煙者178人となっております。
結果としては、ビール、ウイスキーなどのアルコール飲料、コーヒー、また脂肪分の多い食品は、喫煙欲求の高さと関連しておりました。果物、牛乳などの乳製品、甘酸っぱい味は喫煙欲求の低さと関連しておりました。
タマゴが先か、ニワトリが先かという議論もありそうな話題ですが、なんとなく想像できた結果ですね。私は非喫煙者で、非飲酒者ですが、なんとなく飲み会で見かける景色と似ている気がします。食事のメニューを工夫することで、喫煙本数が少なくなる可能性はありそうですね。
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3人目は@zuratomo4
Int Arch Allergy Immunol . 2011;156(1):75-80.
- PMID: 21447962
こちらは、季節性鼻炎患者における鼻毛の密度が喘息発症リスクに影響するかどうかを評価した研究です。
233人の参加者が、鼻毛の量によって3群に分けられ(少ない/ほとんどない、中等度、多い)、喘息と鼻毛密度の関連が評価されております。
結果としては、32.2%に喘息が認められ、喘息の割合は、少ない群、中等度群、多い群でそれぞれ44.7%、26.2%、16.7%であり、鼻毛が少ないと喘息の発症リスクが有意に上昇しました(OR(vs 中等度) 0.41;95%CI:0.21-0.78、OR(vs 多い) 0.19;95%CI:0.06-0.55)。
どうやら鼻毛の密度と喘息の割合には関連がありそうですが、鼻毛には粒子除去能があることが要因となっているようです。
キャスでも話しましたが、私は花粉症ですので、花粉症と鼻毛の関係も気になるところです。喘息の研究を参考にすると、鼻毛の密度は多い方がよいのかもしれません。次シーズンはボーボーで迎えましょうかね。
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4人目は@リンコ
What Patients Call Their Inhalers Is Associated with "Asthma Attacks"
J Am Board Fam Med . 2023 Aug 9;36(4):650-661. - PMID: 37468217
こちらは、患者が吸入器を何と呼ぶかが喘息発作と関連するかどうかを調査した横断研究です。
- 吸入器の呼び方を標準(ブランド名、吸入器の種類(コントローラー、レスキュー))と非標準(色、デバイスの種類、独自の名称)とで分類しております。それぞれはベースラインで差が澪t目られており、有意差があったものとしては、人種、出身地域、喘息歴、喫煙環境がなどが挙げられております。
- 結果としては、非標準群は、標準群より全身ステロイド暴露や喘息による救急受診、喘息による入院のそれぞれの発生比率は有意に高くなっておりました。
- この要因についてはっきりしたことは分かりませんが、ベースラインが正確に聞き取れていなかったことがありそうな気がしています。有意差がついていない項目のいくつかは、有意差がつきそうな気がするので…
- この研究の結果は、非標準で呼んでいる人を見かけたたら標準の呼び名にすれば解決するものではないと思いますし、非標準で呼ぶ方は少し注意していきたいですね。
5人目は@程々な薬剤師
Eur J Clin Pharmacol . 2024 Apr 29.
PMID: 38684558
こちらは、心血管(CVD)リスクの絵によるリスクコミュニケーションによる介入が、スタチンのアドヒアランスに及ぼす効果を評価した研究です。VIPVIZA study(PMID:30522919)のサブ解析となっております。
スタチンを服用している512人が対象となっており、頸動脈超音波の結果の図版を見せる群とみせない群に割り付けられております。
結果としては、3年間の追跡において、図版を見せた方がアドヒアランスが有意に高くなったようです。結果の図を見る限りでは、比較的早期に両群に差がついている印象です。
やはり図などを用いて説明する方が理解しやすいと思いますし、それがアドヒアランスに繋がるということだと思います。特にスタチンに関しては症状がない状態で服用するため、薬識を十分に理解していないと、アドヒアランス低下につながると思います。服用開始時はもちろん重要ですが、服用中も継続的にその継続意義を伝えていきたいものです。
6人目は@猫になりたい薬剤師
Serious Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Using Diltiazem With Apixaban or Rivaroxaban
JAMA . 2024 May 14;331(18):1565-1575.
PMID: 38619832
こちらは、心房細動患者におけるジルチアゼムとアピキサバンまたはリバロキサバンとの併用による出血リスクを評価した後ろ向きコホート研究です。ジルチアゼムの対照群としては、メトプロロールが設定されております。
ジルチアゼムはCYP3A4の阻害薬であり、またP-gpの阻害薬でもあり、DOACのAUCを上昇することが考えられています。
結果としては、主要アウトカムである出血に関連した入院と最近の出血を伴う死亡の複合は、ジルチアゼム群で有意に増加しておりました。ジルチアゼム120mg以下群と120mg超群とでは、120mg超群でより出血リスクが増加しております。
相互作用のリスクは指摘されておりましたが、こうやって報告されることでその相互作用が実感できました。同類薬のベラパミルも同じような性質があるので、同様のリスクはありそうですし、また他のDOACも代謝経路を考えると同様の影響がありそうです。
レートコントロール薬としてCa拮抗薬を選ばないといけないケースは少ないと思いますし、DOACと併用する際はβブロッカーを優先して選択する必要があるように思います。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は6/19(水)22時より、「テーマ:腎機能と薬」にて配信予定です。
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