リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2023.3)(「患者中心の医療の方法」の輪読会が終わりました!そして、次は…)

こんにちは!リンコ(@manaunoda)です!

 

2022年年8月より同僚の家庭医2人と一緒に行っていた「患者中心の医療の方法」の輪読会が終わりました!1か月に1章、18章だったので1年半かかりました。長かったですが、毎回毎回充実した時間を過ごすことができました。

私自身、初めて知る概念でしたので慣れるまでが大変でした。今回使用した「患者中心の医療の方法」は翻訳された書籍で、この日本語がむちゃくちゃ分かりにくい!翻訳本の翻訳本が必要なくらいの分かりにくさでしたね。これも苦労する一因となりました。

1年半の輪読会で「患者中心の医療」についての理解を深めることができましたし(十分に理解するにはまだ時間がかかりそうですが…)、なによりもいい意見交換ができたことは良かったです。医療とは何か、患者とはどういう存在か、医療者の役割とは、など薬剤師になってから一番考えた時間だったかもしれません。

毎回担当をローテーションしていったので、3章ごとに私の担当があったわけですが、都度こちらのブログでスライドを紹介したり、学んだことをシェアしておりました。最後の方は内容が薄くなっていたので、ブログを書いたのは6回担当したうちの4回だけになりましたが。

 

「第3章 第1の構成要素:健康,疾患,病気の経験を探る」

 

「第6章 第3の構成要素:共通の理解基盤を見出す」

 

「第9章 学習者中心の教育」

 

「学生・研修医教育について」

 

 

最後の輪読会では一番印象に残ったスライドを選んでその理由を共有しました。スライドは全部で200枚を超えたので、選ぶのが大変でしたね。

私の選んだ一枚はこちらです。

このスライドを選ん理由についてですが、スライドの中にある「専門家同士の会議」という言葉がすごく印象に残っています。なるほどなー、と思いました。私はこれまで、医療における「患者の役割」を考えたことがありませんでした。確かに、患者は「自分の専門家」という位置づけがあるなと。医療は「医療の専門家」と「自分の専門家」の会議ということですね。「患者の役割」については別のスライドも紹介しておきます。

これまで医療従事者としてのコミュニケーション技法として、患者からどのようにして情報を引き出すか、そのためにはどんな質問をすればよいか、ということは学んできました。ただ、患者自身に役割があることには気づいていませんでした。患者自身のことは患者が一番よく分かっているわけです。患者自身の状態を十分に的確に話さないと診断が適切にできない可能性もありますし、また治療方針に関しても患者の意向によって異なる選択肢を提示しないといけないかもしれませんし。そういった意味では、患者自身の役割は非常に重要ですし、患者自身がそれに気づく必要がありますし、医療従事者は十分に引き出す努力をしないといけないと思います。そして、患者がしっかり役割を果たし、専門家同士で会議を行うことで、共通の理解基盤を見出すことができ、患者中心の医療につながっていくのだと思います。

輪読会を進めていく中では、「医療者はどこまで患者に干渉するのか?」ということもよく考えました。患者の健康には、家族や友人、コミュニティ、文化、教育、経済状況など本書で言うところの「コンテクスト」がいくつも関係してきます。より健康になる可能性を高めるには、このコンテクストに介入していく必要があります。もちろん病気の原因を取り除く努力をすることは医療者にとって重要な役割だとは思いますが、やはり患者自身の考えが重要になってくるんだと思います。あまりに強い介入は拒まれたり、反発を招くのではないかと。「患者中心の医療の方法」の原則からすると、あらゆるコンテクストを聞き取ることが重要です。しかし、かなりプライベートに踏み込むことになるので、聞き取りにしろ、介入にしろ、信頼関係を十分に築いた上で行わないといけないのではないかとも感じました。

 

それともう一つ印象に残ったスライドを紹介しておきます。

「患者中心の医療の方法」では、学生・研修医等への教育方法として「学習者中心の教育」についてもいくつかの章で取り上げられておりました。その中で印象的に残ったスライドです。私の勤める病院ではちょうど令和4年度より実習生の受け入れを始めましたので、実習生への教育を考える上でも非常に参考になりました。

①の「疾患を取り扱うための医学的知識と技術能力を身につける」の必要性については当たり前のことですね。「技術」についても触れてるのがいいなと思いました。

②の「専門職に「なる」」は実習で身につける意義が大きい項目だと思います。通常の学生生活ではなかなか身につかない項目でしょう。専門職を見て学ぶことが多くなるとは思いますので、しっかりその見本となるような行動をとらないといけないと再認識しましたし、様々な経験を積ませることで自覚を持たせてあげることができたらいいなと感じました。

また③の「癒すことを学ぶ」についてはあまり考えたことがありませんでした。なかなか「癒し」を学ぶプログラムはないですからね。私自身も学んでこなかったように思います。「癒すこと」については患者さんとのふれあいによって身につくのかなと思います。幸い病院い入院中の患者さんは時間を持て余していることが多いので、ゆっくり患者さんと話せる時間を作れると、「癒すことを学ぶ」ことができるのではないかと考えております。(働き始めてから、患者さんとゆっくり話していると、「早くしろ!」と言われかねないですね(笑))。薬剤師が関われることは少ないかもしれませんが、患者さんによっては薬剤師が「癒し」の対象になる人もいるでしょうから、そのような方には少しでも力になりたいものです。

 

そして最後に。「患者中心の医療の方法」は医師向けに書かれた書籍でした。それゆえに医師がどのようなことを考えて仕事をしており、医療においてどのような役割があるのかを学ぶきっかけにもなりました。医師には診察において問診・診断・患者への説明など多岐にわたる役割があることを再認識しました。その中で、自分たち薬剤師の役割は何なのか?ということを考えました。それは薬に関すること全般に責任を持つことだと思いましたし、鑑査・処方提案・調剤・DI、患者への説明・フォロー、また医療チームの一員として患者をサポートすることなどの役割があるのではないかと感じました。

この輪読会学んだことを今後の薬剤師業務の中でしっかりと活かしていきたいと思います。

 

 

「患者中心の医療の方法」の輪読会が終わって解放されるのかと思いきや、「次は何しよ?」と言われまして。ということで、3月からは「家族志向のプライマリケア」の輪読会が始まりました!次は家庭医3人と私の計4人で進めていくことになりました。26章あるので、かなり長い戦いになりそうです(笑)

てことで、また気が向けばブログで進捗を書いていきたいと思います。

 

 

いろいろと勉強していたら、「患者中心の医療の方法」についてとても分かりやすい動画がありましたので、紹介しておきます。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

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