リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第56回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2023.3.15)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第56回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

f:id:gacharinco:20200825222540p:plain

今回の録音はこちらからどうぞ↓

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

今回のメニューはこちら

 

今回は2名が欠席だったので、4名での開催となりました。

 

まずは@程々な薬剤師

Football beats hypertension: results of the 3F (Fit&Fun with Football) study

J Hypertens . 2021 Nov 1;39(11):2290-2296.

PMID: 34261954

※キャスで配信したスライドに誤植があったため、訂正しております。

こちらは、運動の習慣のない人を対象とし、健康的なサッカープログラムへの参加が血圧の改善に効果的かどうかを検討した研究です。サッカーのプログラムは週1回90分で1年間行われたようです。

ちょうど配信した日はWBC期間中でしたね。

結果として、サッカー群ではわずかに血圧が減少したのに対し、通常群ではわずかに上昇していました。また、サッカー群では降圧剤が減少した人が多いのに対し、通常群では降圧薬が増量された人が多くなっておりました。

少なくとも、週1回でもサッカーをすることで血圧にはいい影響を与えそうです。体重の減少効果もあったようで、それが血圧に影響している可能性もありそうです。

運動する習慣は血圧管理には重要なことが改めて分かりました。今回は平均年齢が50代後半だったようで、運動する際にはくれぐれもケガには注意してほしいものです。

 

 

次は@猫になりたい薬剤師

Effect of Torsemide vs Furosemide After Discharge on All-Cause Mortality in Patients Hospitalized With Heart Failure: The TRANSFORM-HF Randomized Clinical Trial

JAMA . 2023 Jan 17;329(3):214-223.

        PMID: 36648467

こちらは、心不全で入院した患者を対象に、トラセミドとフロセミドの死亡や入院への影響を検討した非盲検RCTです。

この論文のイントロに記載されておりますが、フロセミドよりもトラセミドの方がバイオアベイラビリティが高く、半減期が長く、また高アルドステロン作用等があります。また、トラセミドの方が有効性は高いことを示す報告が散見されており、今回のRCTが企画されたようでした。

結果として、死亡および入院のいずれにおいても両群に有意差はありませんでした。

トラセミドに有利な結果が出るのではないかと期待されていただけに、意外な結果となりました。

今回の論文では有害事象に関する記載がありませんでしたが、フロセミドとトラセミドではカリウムへの影響が異なりますので、そこが使い分けになるのかなという印象です。あとは、腎障害の差に関しても知りたかったですね。

臨床ではフロセミドが毛嫌いされている印象を受けることもあるのですが、使い分けを考えていく必要があるのではないかと感じました。

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓

 

 

次は@zuratomo4

The effect of hydration on the risk of friction blister formation on the heel of the foot

Skin Res Technol . 2014 May;20(2):246-53.

PMID: 24645912

  • こちらは、水分と靴ずれとの関連を評価した論文です。
  • 配信した3/15が靴の日ということで、この論文を選んだみたいですw
  • さて結果は、皮膚表面の水分が増加することによって負荷に応じた皮膚の温度変化率が増加し、水疱形成のリスクが増加し、靴ずれが増えるかもしれないとのことです。
  • 温泉地へ行って足湯に入る際などは、入り終わった後にしっかり足を拭かないと、その後の靴ずれにつながりかねませんので注意したいですね。
  •  
  •  

    最後は@リンコ

    The influence of information sources on intention changes to receive COVID-19 vaccination: A prospective cohort study in Japan

    Environ Health Prev Med . 2023;28:10.

    PMID: 36725028

こちらは、COVID-19ワクチン接種の意向変化に及ぼす情報源の影響を評価した、日本の前向きコホート研究です。「様子を見てから接種したい」と答えていた人を対象とし、その後の接種状況が調査されています。情報源としては20種類の媒体が検討されました。

今回の一連のCOVID-19のパンデミックにおけるワクチンの情報に関しては、発信の難しさを感じました。地域住民の方に薬剤師としてどのような情報を届ければよいのか悩ましかったです。その参考になればと思い、読んでまとめてみました。

結果として、職場/学校やLINEを情報源とした人は接種しやすい傾向があり、逆にインターネットニュースや動画共有サイトを情報源とした人は接種しにくい傾向があったようです。情報源としては、やはりテレビを参考にしている人が多いという印象です。

statusに関しては、いわゆるヘルスリテラシーと同じように、教育歴や収入とワクチン接種との関連が認められました。

この結果を見て、これだ!というものは特に思いつかないのですが、少なからず医療従事者の情報を参考にしたという方はいらっしゃいました。それほど大きな取り組みはできないにしろ、地道な活動が医療情報を届けていく上で重要だと感じましたし、それは常日頃から続けていくことで、このようなパンデミックの際につながるのではないかと感じました。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は4/19(水)22時より、「テーマ:抗うつ薬」にて配信予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

 ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村