リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第52回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2022.11.16)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第52回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓

 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

メニューはこちら

 

 

まずは@リンコ

Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors and Risk of Hyperkalemia in People With Type 2 Diabetes: A Meta-Analysis of Individual Participant Data From Randomized, Controlled Trials

Circulation . 2022 May 10;145(19):1460-1470.

PMID: 35394821

こちらは、2型糖尿病患者におけるSGLT-2阻害薬と高K血症のリスクを評価したメタ解析です。有名なプラセボ対照の6RCTがメタ解析の対象となっておりますが、うち4つが心不全、2つがCKD患者を対象とした試験となっております。

結果としては、主要アウトカムである重篤な高カリウム血症はSGLT-2阻害薬群で有意に減少しておりました。また、副次的アウトカムである軽度高K血症も減少し、低K血症は変わりありませんでした。

心不全の治療薬は血清カリウム値に影響を与えるものが多く、調整に苦労することが多いのですが、SGLT-2阻害剤は悪い影響を与える可能性が少なそうなので、使いやすい薬剤だという印象です。

 

次は@たけちゃん

A Retrospective Investigation on Electric Bidet Use as a Possible Cause of Anal Incontinence

J Anus Rectum Colon . 2021 Jul 29;5(3):268-273.

PMID: 34395939

こちらは、ウォシュレットの使用を中止することで便失禁が減るかどうかを検討した後ろ向き観察研究です。フォローアップできた49人が対象となっており、うち6人は粘液排出のみで、便失禁があったのは43人だったようです。

結果は、フォローアップまでの期間が中央値4週間の期間で、便失禁のスコアが有意に減少し、また便失禁の割合も有意に減少しておりました。

私はウォシュレットを使わないので、使う方の気持ちはあまり分からないのですが…

ウォシュレットの刺激が肛門には悪影響なんですかね。もし困っている方がいらっしゃれば提案してみるといいかもです。排便を誘発するために使うケースもあったりするんですかね。

今回の論文と同じ著者が、ウォシュレットの使用による肛門症状と院内感染を引き起こす可能性について報告されておりますので、これも参考に…

Bidet Toilet Use May Cause Anal Symptoms and Nosocomial Infection

@たけちゃんのブログでの解説↓

 

次は@程々な薬剤師

Viscosupplementation for knee osteoarthritis: systematic review and meta-analysis

BMJ . 2022 Jul 6;378:e069722.

PMID: 36333100

こちらは、膝へのヒアルロン酸の関節内注射の有効性を検討したメタ解析です。週1回とか2週間に1回とか短期間で使っている方がいらっしゃいますよね。

結果は、関節内注射群にて有意に疼痛強度を減らしていますが、標準化平均値差(SMD)で0.08という差です。臨床的に重要な最小の群間差を0.37に設定していたようなので、大きく及びませんでした。また、VASスケールの評価でも有意に改善させておりますが、2mmしか改善しておりません。

効果が全くないことはなさそうですが、実感できるような効果ではなさそうです。当院の外来では、効果があるのであれば続けましょう、と医師から患者さんに伝えてあるようです。効果が明確ではなく、侵襲も伴いますので、最低限にしておきたいところですね。

ちなみに、「変形性関節症治療の国内外のガイドライン」では、推奨度はBとなっております。

 

 

次は@猫になりたい薬剤師

Association of Video Gaming With Cognitive Performance Among Children

JAMA Netw Open . 2022 Oct 3;5(10):e2235721.

PMID: 36279138

  • こちらは、ビデオゲームをすることで認知機能を向上させることができるかどうかを検討した症例対象研究です。週に21時間以上ビデオゲームをした群とビデオゲームをしなかった群とに分けられております。

アウトカムとしては、機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いた指標が用いられており分かりにくいのですが、結果としては反応抑制とワーキングメモリ(作業記憶)を含む認知能力が向上したようです。

ビデオゲームは子供の攻撃力を高めることがすでに指摘されているのですが、悪い事だけではないかもしれませんね。ただ、週21時間は長すぎる気もするので、何事もほどほどに。

 

こちらは、66歳以上のCOPD患者における吸入抗コリン薬が尿閉を増やすかどうかを検討したコホート内症例対象研究です。

  • 結果として、スライドには男性の解析が示されておりますが、過去の使用、現在の使用、新規使用のいずれもで有意に尿閉は増加しており、新規使用や現在の使用で特に多くなっておりました。サブ解析を見ると、前立腺肥大のある患者での新規使用でより多くなっているようです。一方、女性ではいずれの使用状況においても有意差はありませんでした。
  • 高齢の男性においては、前立腺肥大を伴うケースが多いですので、特に注意しながら導入していかないといけませんし、排尿の状態を観察していかなければいけませんね。
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    最後は@zuratomo4

    The influence of sexual activity on athletic performance: a systematic review and meta-analyses

    Sci Rep . 2022 Sep 16;12(1):15609.

    PMID: 36114261

こちらは、30分から24時間前までの性行為が運動に及ぼす影響を検討した研究のメタ解析です。対象はほとんどが男性となっております。これを真面目に評価する人がいるのですね、素晴らしいです。そんなの影響あるに決まってるじゃないですか、と思っていましたが…

結果としては、有酸素運動、骨格筋運動、筋力運動のいずれにおいても有意差はつかず、影響がないとのことでした。そんなはずは…

特に運動部なんかでは大事な大会がある前日は控えるようにと言われていたようにも思いますが、自由にしてもよさそうですね。何か言われたら、この論文を示せばいいのです。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は6/15(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信する予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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