こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第51回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
今回の録音はこちらからどうぞ↓
※今回は通信環境が良くなく、途切れ途切れになってしまいました。冒頭部分のみ紹介しておきます。一応録画はツイキャス上で公開されております。
今回のテーマは「泌尿器科」でした。
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まずは@にいやん
JAMA Intern Med . 2020 Mar 1;180(3):411-419.
PMID: 31930360
こちらは、男性のOABへの行動療法と薬物療法の併用の有効性を検討したRCTです。
3群に分けて試験が行われており、行動療法としては骨盤底筋トレーニングや排泄延期、暴行膀胱日誌が、薬物療法としてはαブロッカーが使用されておりました。
結果として、開始6週間後では薬物療法群と比較して行動療法群および併用群において有意な排尿回数の減少が認められました。また、いずれも併用療法となった12週間後では3群間に有意な差は認められませんでした。
行動療法って意外と効果があるんだなという印象ですし、骨盤底筋トレーニングは女性の頻尿のトレーニングだと思っていたので、男性にも効果的かもしれないことが分かりました。薬物療法はプラセボ効果も働けば多くの効果が期待できそうだと思っていたのですが、行動療法と差がついたのは驚きです。にいやんがキャス中に紹介してくれた論文(PMID:22092152)では、抗コリン薬による薬物療法と行動療法では有意差がついていなかったようです。
なかなか行動療法を指導する機会はないかもしれませんが、男性の頻尿について相談を受けた際の武器として知っておいて損はないと思いました。私もそろそろ仲間入りをするかもしれないので、改めて勉強しておかないといけません。
次は@リンコ
Yakugaku Zasshi . 2022;142(9):993-998.
PMID: 36047226
こちらは、ジスチグミンによる有害事象と血清BChE濃度との関連を検討した観察研究です。コリンエステラーゼについては、ChE測定法のガイドにまとめられておりますが、コリンエステラーゼはAChEとBChEの2種類あり、一般的に検査にて測定されるChEはBChEのことのようです。それぞれの生体内での役割としては、AChEは神経、筋肉、赤血球などに存在し、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解し、ChEは血清、肝臓及び膵臓に多く存在しブチリルコリンを分解しますが、その生理的役割はまだよくわかってないようです。
今回の研究では、有害事象発現時と非発現時の各種因子を比較し、有害事象の関連因子を検討しております。有害事象発現時にジスチグミンは全例で中止となったようです。
さて結果は、年齢・性別・腎機能に関してはオッズ比に有意差がつかずに有害事象のリスクとはなりませんでしたが、ジスチグミンの体重当たりの用量や血清BChE濃度の低下は有害事象のリスクとなりました。
観察研究のため、様々な限界がこちらの試験にはありそうですが、一つの参考にはなるのではないかと思いました。特に、毒薬ということで過剰に避けられているイメージがありますが、血清BChE濃度を定期的に測定することで安全に使用できるかもしれません。腎排泄への寄与があるので、腎機能には注意が必要かと思いますし、絶食時の血中濃度上昇にも注意が必要です。
ジスチグミンは、死亡に至るコリン作動性クリーゼが発現したため、2010年に手術後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難の適応において、用量が最大20mgから5mgへ変更されております(参考:ウブレチド錠 添付文書改訂のお知らせ)。十分に注意しながら、必要な患者さんには適切に使用できるようにしていきたいものです。
個人的には、この添付文書改訂のことを、@たけちゃんと@にいやんの若者達が知らなかったことが衝撃でした。。。
次は@程々な薬剤師
Can J Diabetes . 2022 Jun;46(4):392-403.e13.
PMID: 35513988
こちらは、SGLT2阻害薬と尿路感染症との関連を検討したコホート研究です。2つのコホート研究にて、それぞれDPP4i、GLP-1RAと比較しているようです。
結果としては、コホート1のvs DPP4iではハザード比に有意差がつかず、またコホート2のvs GLP-1RAではSGLT2i群で有意に尿路感染症が減少していたようです。
全体的にイベント数が少ないことが気になったのと、SGLT2iに関してはRCTがたくさんあるので、RCTやRCTのメタ解析の方が信頼性は高いのかなと感じました。
一般的にSGLT2iでは尿路感染症が増加すると言われているので意外な結果なのもしれませんが、個人的にはキャス中に発言したように増加するのは尿路感染症ではなく、性器感染症なのではと思っております。キャス後にいくつか論文を検索しましたが、性器感染症は概ね増加が報告されている一方、尿路感染症は増加しないという報告と増加するという報告がありました。
@猫になりたい薬剤師がブログで関連論文を取り上げてくれました。
SGLT2i発売後は尿路感染症への注意喚起がなされていたような気がしますが、性器感染症へ注意喚起を十分にしていく必要があるのではないかと個人的には感じております。
次は@猫になりたい薬剤師
J Am Osteopath Assoc . 2016 Oct 1;116(10):647-52.
PMID: 27669068
- こちらは、ヒト腎盂腎モデルを利用して行われた、ジェットコースターに乗ると腎結石が排出されやすくなるかどうかを検討した研究です。キャス中は落ちまくってご迷惑をおかけしました。。。
- スライドにあるようなモデルを作成して行われましたが、このモデルは成人用尿管鏡・腎臓鏡シミュレータ(Ideal Anatomic社製)を改造し、患者代理(患者の腎臓と尿路に見立てたシュミレーターを透明なシリコンで作って中の様子を観察できるようにした)として機能するように再成型されたようです。
- さて結果としては、ビッグサンダーマウンテンに20回乗車したところ、前方座席では16.7%、後方座席では63.9%で腎結石が通過したようです。
とてもユニークな研究ですが、実際に腎結石時に適応できるかどうかが気になるところです。どうやらエビテンメンバーで尿路結石で苦しんだことがあるのは私だけのようですが、この研究を知っておりますので、次回尿路結石による激痛が出た時は是非ともジェットコースターに乗りたいと思っております。問題は近くに遊園地がないことで、たどり着けるかどうか…てことで、次回、私が尿路結石になるのを楽しみにお待ちください!でもなりたくない!
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説↓
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次は@たけちゃん
Am J Obstet Gynecol . 2006 Dec;195(6):1730-5.
PMID: 17132474
- こちらは、過活動膀胱が改善することで性生活も改善するかどうかを検討した非盲検前向き試験の予備的解析です。薬剤としての介入はオキシブチニンの経皮吸収剤が用いられております。対象者は女性が大半だったようです。
- 結果としては、性への関心や恥ずかしさ、性生活でのOAB、パートナーとの関係性でいずれも有意に改善している方が多かったようです。OABの改善がこれらのアウトカムの改善につながっている印象です。
- 考えたことがなかったのですが、過活動膀胱も性生活と関連するんですね。特に女性は気になってしまうのかなと。治療の目的としてはありなのかもしれませんね。
- @たけちゃんのブログでの解説↓
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最後は@zuratomo4
Radiol Case Rep . 2022 Mar 2;17(5):1457-1463.
PMID: 35265240
こちらは、尿道異物に関する文献レビューです。
えーっと、これは解説不能です(笑)@zuratomo4がこちらで取り上げられている21の論文を全てチェックして、取り残された異物を3枚のスライドにまとめてくださいましたので、そのスライドを紹介します。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は11/16(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信予定です。
よろしければご視聴くださいませ!