リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第45回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2022.4.20)(フリーテーマ)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第45回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓


 

今回は「フリーテーマ」でした。

 

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今回は@にいやん先生が欠席だったので5題となりました。

 

まずは@程々な薬剤師

Warfarin is associated with higher rates of epistaxis compared to direct oral anticoagulants: A nationwide propensity score-weighted study

J Intern Med . 2022 Apr 12.

PMID: 35411982

こちらはDOACとワルファリンの鼻血のリスクを比較したコホート研究です。

対象となったDOACはアピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバンで、5年間追跡され93件の鼻血が報告されております。

アブストラクトのみしか読めないため、得られる情報が限られております。

結果として、ワルファリン群はアピキサバン群、リバーロキサバン群と比較して有意に鼻血リスクが高くなっておりました。ダビガトラン群では出血が認められなかったため比較ができなかったようです。

鼻血に特化した報告は初めて読みましたが、他の出血同様に鼻血のリスクもDOAC群で低いようですね。5年の追跡で全体で93例の鼻血なので、全体的なリスクは比較的低いのかもしれません(鼻血の程度にもよりますが…)。

ワルファリンとDOACだったら、様々なメリットやデメリットを考慮すれば基本的にはDOACを使う方がよさそうですが、ここぞというときにはワルファリンをうまく使いたいですね。

あとはキャス中にも話しましたが、エドキサバンのリアルワールドデータがなかなか出てこないですね。日本ではよく売れているようですが…

 

 

次は@猫になりたい薬剤師

Myopericarditis following COVID-19 vaccination and non-COVID-19 vaccination: a systematic review and meta-analysis

Lancet Respir Med . 2022 Apr 11;S2213-2600(22)00059-5.

PMID: 35421376

こちらは、COVID-19ワクチンと非COVID-19ワクチン接種後の心筋炎リスクを比較した研究のメタ解析です。

それぞれ11研究ずつで検討されており、COVID-19ワクチンはほぼ4億回接種のデータですね。すごい数。

結果として、心筋炎の発症リスクに両群間で有意差は認められず、全体で33.3例/100万回接種、COVID-19群で18.2例/100万回接種、非COVID-19群で56.0例/100万回接種となりました。

非COVID-19ワクチン群では、特に天然痘ワクチン接種後で高くなっていたようです。

また、男性、30歳未満、mRNAワクチン接種後(vs 非mRNA接種後)、2回目ワクチン接種後(vs 1,3回目接種)でリスクが高くなっておりました。

COVID-19ワクチンにて心筋炎のリスクが話題となりましたが、他のワクチンと差がなかったのは意外でした。大規模なデータが迅速に取れたからこそ出てきたのかなと感じております。

論文を読んでいると発症頻度や予後を考慮すると心筋炎のリスクはさほどないように感じますが、やはり親の立場になると慎重にならざるを得ないのかなと思いました。

 

 

次は@リンコ

Time until onset of acute kidney injury by combination therapy with "Triple Whammy" drugs obtained from Japanese Adverse Drug Event Report database

PLoS One . 2022 Feb 9;17(2):e0263682.

PMID: 35139129

こちらは、JADERデータベースをもとにした「Triple Whammy」薬剤によるAKI発症までの時間を評価した論文です。

「Triple Whammy」薬剤とはRASi、利尿剤、NSAIDsのことを指します。

AKIの基準は本文中に記載がありませんでしたが、一般的には「1. ΔsCr≧0.3 mg/dL(48 時間以内)2. sCr の基礎値から1.5倍上昇(7日以内)3. 尿量0.5 mL/kg/時以下が6時間以上持続」のいずれかを満たした場合といわれております。

参考:AKI(急性腎障害診療ガイドライン2016)

結果としては、単剤ではNSAIDs群で9日、利尿剤群で16日、RASi群で112日となり、2剤群では2剤目にNSAIDを追加した群やNSAIDsに利尿剤を追加した群で中央値が1桁となりました。また、3剤併用群ではn数がやや少なめになっておりますが、単剤と同じような結果となりました。

全体的なリスクとしては、NSAIDs>利尿剤>RASiの順で、開始後短期間での腎障害発症リスクがあることが分かりました。

本研究は、データの欠損により除外された症例が多かったため留意しておく必要があります。

1剤、2剤、3剤でのAKIリスクを検討するためにRORの算出もされておりましたが、データベースの特徴上あまり参考にしない方がよさそうなので取り上げるのは止めておきました。

NSAIDsによるリスクの大きさがよくわかる論文ではありましたが、キャス中にも紹介したのですが、現在多く処方されているセレコキシブは腎障害のリスクが少ないかもしれないという論文もあり、個人的には気になっているところです(→Adverse effects of cyclooxygenase 2 inhibitors on renal and arrhythmia events: meta-analysis of randomized trials)。

今回取り上げたJADERデータベースは、日本における有害事象の自発報告のデータベースであり、解釈には注意が必要です。

参考:2.JADER を用いた研究発表の際に留意すべきチェックリストの提案

 

 

次は@たけちゃん

Long-term kidney and systemic effects of calorie restriction in overweight or obese type 2 diabetic patients (C.Re.S.O. 2 randomized controlled trial)

Diabetes Res Clin Pract . 2022 Mar;185:109804. 

PMID: 35219762

こちらは、2型糖尿病の方のカロリー制限の腎機能への影響を検討した研究の論文です。

対象となったのは、40歳以上の2型糖尿病で、BMI≧27、Cr<1.2、Alb尿≦300mg/24hを満たした患者でした。カロリー制限は25%のカットが行われたようです。

結果として、開始6か月ではカロリー制限群でeGFRが大幅に低下しましたが、6-24か月では両群間に差はなかったようです。ベースラインと比較すると、カロリー制限群では有意な低下が認められなかったものの、カロリー制限なし群で有意差が認められています。ただ、その変化したeGFRが0.2mL/min程度なので、誤差のような気もします。

カロリー制限群ではやや体重減少も認められたようです。

全体的にさほどメリットは感じませんでした。これくらいのメリットなら好きなものを食べたいな…と。今回は2年間の試験ですので、この積み重ねなのかもしれないですけどね。

 

 

最後は@zuratomo4

Beyond Ramen: Investigating Methods to Improve Food Agency among College Students

Nutrients . 2021 May 14;13(5):1674.

PMID: 34069308

  • こちらは、大学生への食生活改善のための介入を行った研究です。具体的には、「(1)週1回の料理教室、(2)週6回の宅配ミールキット(1キット3食)を実施し、大学生の食行動、食事の質、家庭での調理頻度の改善」を評価しました。

  • 介入は非常にユニークで凝った内容になっておりますので、ご興味がありましたら本文をご覧ください。
  • 結果は、各参加者の健康的な食事指数(HEI)で評価しておりますが、介入群での改善は認められませんでした。
  • 結局はやる気の問題なんですかね…料理は好き嫌いがあると思いますので、介入したとしてもそれがずっと続くかどうかというのはまだ別の話なのかなという感想です。多分私も介入されたとしてすぐに元に戻りそうです。
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今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は5/18(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信する予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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