リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第39回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2021.12.15)(フリーテーマ(今年印象に残った論文))

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こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

第41回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

 

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今回の録音はこちらからどうぞ↓

今回は「フリーテーマ(今年印象に残った論文)」でした。

 

メニューはこちら

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まずは@リンコ

Comparative Effectiveness of BNT162b2 and mRNA-1273 Vaccines in U.S. Veterans

N Engl J Med . 2021 Dec 1.

PMID: 34942066

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今回はCOVID-19に対するファイザー製(BNT-162b2)とモデルナ製(mRNA-1273)の有効性を比較した後ろ向きコホート研究を紹介します。なお、2回接種のワクチンの有効性の効果を評価した研究となっております。

結果として、COVID-19感染や症候性COVID-19、入院、ICU入院に関してはファイザー製ワクチンの方が有意にリスクが高くなっております。死亡には差がついておりません。

この理由としては、discussionに以下のように記載があります。

「A difference in effectiveness between the BNT162b2 and mRNA-1273 vaccines might be the result of the different mRNA content of the vaccines (100 μg for mRNA-1273 vs. 30 μg for BNT162b2), the different interval between the priming and boosting doses (4 weeks for mRNA-1273 vs. 3 weeks for BNT162b2), or other factors, such as the lipid composition of the nanoparticles used for packaging the mRNA content.」

(BNT162b2ワクチンとmRNA-1273ワクチンの有効性の違いは、ワクチンのmRNA含有量の違い(mRNA-1273は100μg、BNT162b2は30μg)、プライミングとブースティング投与の間隔の違い(mRNA-1273は4週間、BNT162b2は3週間)、あるいはmRNA含有物を包むナノ粒子の脂質組成などの他の要因によってもたらされるかもしれません)

この研究では副反応の評価がなされていませんが、これまでの報告を見る限りでは、モデルナ社製は効果が高い反面、副反応の発生率も高くなる傾向がありそうです。

せっかく接種するのなら効果が高いほうがいいかな…と個人的には思っております。

なお3回目の接種ではモデルナ社製は用量が半量になりますので、今回の研究のような差はなくなるかもしれません。

※配信時にはpubmedに収載されておりませんでしたが、その後収載されました。

 

 

次は@程々な薬剤師

Efficacy and Safety of OC-01 (Varenicline) Nasal Spray on Signs and Symptoms of Dry Eye Disease: the ONSET-2 Phase 3, Randomized Trial

Ophthalmology . 2021 Nov 9;S0161-6420(21)00836-8.

PMID: 34767866

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こちらは、バレニクリン点鼻のドライアイへの効果を検討した研究です。

バレニクリンは禁煙補助薬として内服薬が薬事承認されておりますが、点鼻することにより鼻腔内の三叉神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体に作用するようで、それにより流涙作用を促すようです。

今回のアウトカムであるシルマーテストスコアは以下のページをご参考にされてください。

ドライアイの検査|ドライアイの治療と検査|ドライアイはデコボコアイ|大塚製薬

さて今回の研究の結果は、主要アウトカムであるシルマーテストスコアの10mm以上の改善を達成した患者の割合がバレニクリン群で有意に改善したようです。

この結果にどのくらいのインパクトがあるのか悩ましいですが…今回は第3相試験とのことですので、今後薬事承認されるのかどうか注目していきたいですね。

 

 

次は@たけちゃん

Empagliflozin in Heart Failure with a Preserved Ejection Fraction

N Engl J Med . 2021 Oct 14;385(16):1451-1461.

PMID: 34449189

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こちらはエンパグリフロジンのNYHA分類Ⅱ-ⅣのHFpEF患者への有効性を検討したRCTです。全文を読んでみたところ、性差は45%が女性となっておりました。

結果としては、主要アウトカムである心血管死と心不全入院の複合アウトカムは有意に減少し、それぞれの個別のアウトカムでは心血管死は有意差がつきませんでしたが、心不全入院は有意に減少しておりました。

心血管死に有意差がつかなかったのは残念ですが、ようやくHFpEFへの効果が期待できる薬剤が出てきたという印象です。まだ現段階では保険適応はありませんので、今後の承認を楽しみにしておきたいと思います。

※たけちゃんがキャス中に紹介していたHFrEF+HFpEFの試験は以下になります。

Effect of empagliflozin in patients with heart failure across the spectrum of left ventricular ejection fraction

(左室駆出率のスペクトラムごとの心不全患者におけるエンパグリフロジンの効果)

@たけちゃんのブログでの解説↓


 

次は@にいやん

ARNI versus ACEI/ARB in Reducing Cardiovascular Outcomes after Myocardial Infarction

ESC Heart Fail . 2021 Oct 19.

PMID: 34664407

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    こちらは心筋梗塞後の患者へのARNIであるサクビトリル/バルサルタンとACEIおよびARBの心血管アウトカムへの効果を評価した後ろ向きコホート研究です。

結果は、複合アウトカム(心血管死、心筋梗塞、心不全入院)において vs ACEIおよび vs ARBのいずれでもARNI群で有意に減少しており、個別のアウトカムでは心血管死のみ有意に減少しておりました。

観察研究ではありますが、大幅に減少しておりますので十分に有効性が期待できるのかなと思っております。

機序的には心不全入院も減りそうですが、この試験ではACEIおよびARBの両群で有意差がつきませんでした。これがちょっと不思議なんですよね。

今回は観察研究ですし、症例数も少ないので今後の研究を楽しみにしておきたいと思います。

 

 

次は@猫になりたい薬剤師

Aspirin versus clopidogrel for chronic maintenance monotherapy after percutaneous coronary intervention (HOST-EXAM): an investigator-initiated, prospective, randomised, open-label, multicentre trial

Lancet . 2021 Jun 26;397(10293):2487-2496.

                            PMID: 34010616

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こちらはPCI後のSAPTとしてのクロピドグレルとアスピリンの有効性を検討したRCT(PROBE法)です。今年、@猫になりたい薬剤師のブログで一番アクセスが多かった記事のようです。みなさん気になるんですね。

結果として、クロピドグレル群でアスピリン群よりも複合アウトカムの発生が少なかったようです。個別のアウトカムの結果は表のようになっております。

個人的にはこの結果は意外だったんですよね。韓国なので日本と同じようにCYP2C19のPMが多いからクロピドグレルには不利なんじゃないかと思ってたんですよね。

これを見る限りでは、基本的にはクロピドグレルを残したほうがよさそうですね。

類似の研究はあると思うので、それも参考にしたいと思います。

@猫になりたい薬剤師のブログでの解説

 

 

最後は@zuratomo4

Characteristics of "chūnibyō" identified by a questionnaire

PLoS One . 2021 Nov 24;16(11):e0260375.

PMID: 34818343

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さて今年最後に紹介するのは、まさかの「中二病」の論文ですw

twitterでも話題になってましたが、すごい論文ですよね。素晴らしいですよ。

著者の方はこの中二病に対してクソ真面目に向き合ってらっしゃいますね。本文を読んでいてそのように感じました。

ただ、私の力ではこの論文の解説ができないです(汗)

ご興味ありましたら是非とも一度本文を読んでみてください。

一応、上記3項目のうち2項目該当すると…ということで感度や特異度があらわされていますが、なかなか実用は難しいのかなという印象です。

今後の研究の進展に期待していきたいと思います。

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

次回は1/19(水)22時より、「テーマ:2021年に発売された新薬」にて配信する予定です。

よろしければご視聴くださいませ!

 

 

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