リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

個人的に気になった最新論文約30選の要約(2021.10)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!

論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。

日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。

癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。

 

【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。

それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。

 

今回は2021年10月分を。49取り上げております。

 

 

☆抗糖尿病薬

①「T2DMおよびCKDの患者へカナグリフロジンまたはプラセボを投与して高K血症の発症までの期間、またはK補給剤の使用開始までの期間を検討した、CREDENCE試験の事後解析(n=4,401;ベースラインのK値4.5mmol/L)。高K血症またはK補給剤の投与開始の発生率は、カナグリフロジンの方がプラセボよりも低かった(1,000患者年当たり32.7人 vs 41.9人;HR 0.78;95%CI:0.64-0.95)。また、高K血症(>6.0mmol/L)の発症を低下させ(HR 0.77;95%CI:0.61-0.98)、低K血症(<3.5mmol/L)のリスクには影響を与えなかった(HR 0.92;95%CI:0.71-1.20)。」

Effects of canagliflozin on serum potassium in people with diabetes and chronic kidney disease: the CREDENCE trial

Eur Heart J . 2021 Aug 23;ehab497.

PMID: 34423370

【フリー】

 

②「65歳以上の高齢の2型糖尿病患者において、SGLT-2iの投与開始と、DPP-4iまたはGLP-1RAの投与開始との間で、骨折の発生との関連を検討したコホート研究。137,667名の患者(平均年齢72歳;男性47%)が1:1:1でマッチングされたコホートが得られ、解析が行われた。主要複合アウトカム(非外傷性骨盤骨折、手術を必要とする股関節骨折、または30日以内に介入を必要とする上腕骨、橈骨、尺骨骨折の複合エンドポイント)は、SGLT-2i使用者は、DPP-4i使用者(HR 0.90;95%CI:0.73-1.11)およびGLP-1RA使用者(HR 1.00;95%CI:0.80-1.25)と比較して、骨折のリスクに差はなかった。」

Association of Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors With Fracture Risk in Older Adults With Type 2 Diabetes

JAMA Netw Open . 2021 Oct 1;4(10):e2130762.

PMID: 34705014

【フリー】

 

③経口血糖降下薬でのコントロールが不十分な心血管リスクの高い2型糖尿病の成人患者を対象に、GIPとGLP-1受容体のデュアルアゴニストであるtirzepatide(週1回:5mg(n=329)、10mg(n=328)、15mg(n=338))とインスリングラルギン(n=1,000)との有効性と安全性を比較した非盲検RCT。52週目の平均HbA1c変化率は、グラルギンの-1.44%に対し、tirzepatide 10mgで-2.43%、15mgで-2.58%であった。グラルギンに対する推定治療効果差は、tirzepatide 10mgで-0.99%(多重度調整済み97.5%CI:-1.13 to -0.86)、15mgで-1.14%(-1.28 to -1.00)であり、非劣性マージンの0.3%を両用量で満たした。吐き気(12-23%)、下痢(13-22%)、食欲不振(9-11%)、嘔吐(5-9%)の頻度は、グラルギン(吐き気2%、下痢4%、食欲不振1%未満、嘔吐2%)よりもtirzepatideの方が高かったが、ほとんどの症例は軽度から中等度で、用量漸増期に発生した。低血糖(血糖値が54mg/dL未満または重症)を起こした被験者の割合は、グラルギン(19%)に対してtirzepatide (6~9%)で低かった。MACE-4イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院)は109人に発生し、グラルギンと比較してtirzepatideでは増加しなかった(HR 0.74;95%CI:0.51-1.08)。」

Tirzepatide versus insulin glargine in type 2 diabetes and increased cardiovascular risk (SURPASS-4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, phase 3 trial

Lancet . 2021 Oct 18;S0140-6736(21)02188-7.

PMID: 34672967

【アブストのみ】

 

④「糖尿病患者におけるスタチン使用開始後の糖尿病の進行を評価した後ろ向きコホート研究。スタチン系薬剤による治療開始と比較対象群としてのH2RAまたはPPIによる治療開始とを比較(平均年齢60.1歳、男性94.9%。糖尿病進行の複合アウトカム(新規インスリン投与開始,血糖降下薬クラス数の増加,血糖値200mg/dL以上の測定値が5回以上発生,ケトアシドーシスまたはコントロール不能な糖尿病の新規診断)は、スタチン群55.9%、比較対照群48.0%に認められた(OR 1.37;95%CI:1.35-1.40)。」

Association of Statin Therapy Initiation With Diabetes Progression: A Retrospective Matched-Cohort Study

JAMA Intern Med . 2021 Oct 4;e215714.

PMID: 34605849

【フリー】

 

 

☆抗凝固/抗血小板薬

⑤「頭蓋内動脈狭窄患者を対象にシロスタゾールとクロピドグレルまたはアスピリンによるDAPTとクロピドグレルまたはアスピリンによるSAPTの有効性と安全性を比較した、日本人のハイリスク虚血性脳卒中患者を対象としたRCTの事後解析(DAPT群n=275、SAPT群n=272)。虚血性脳卒中のリスク(HR 0.47;95%CI:0.23-0.95)、および脳卒中、心筋梗塞、血管死の複合リスク(HR 0.48;95%CI:0.26-0.91)は、DAPTの方がSAPTよりも低かったが、重度または生命を脅かす出血のリスク(HR 0.72;95%CI:0.12-4.30)は、治療群間で差がなかった。」

Dual Antiplatelet Therapy Using Cilostazol in Patients With Stroke and Intracranial Arterial Stenosis

J Am Heart Assoc . 2021 Oct 19;10(20):e022575.

PMID: 34622679

【フリー】

 

⑥「急性心筋梗塞のPCI後の最初の1か月間アスピリンとチカグレロルを投与され、虚血イベントや出血イベントが発生していない患者を、de-escalation群(クロピドグレル+アスピリン)(n=1,349)またはactive control群(チカグレロル+アスピリン)(n=1,348)に割り付けた非盲検化RCT。チカグレロルからクロピドグレルに切り替える際には、クロピドグレルのローディング用量を投与しなかった。12か月後、主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、BARCの基準に基づくタイプ2、3、5の出血の複合)が発生したのは、de-escalation群では4.6%、active control群では8.2%であった(HR 0.55;95%CI:0.40-0.76)。心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合項目については、de-escalation群(2.1%)とactive control群(3.1%)(HR 0.69;95%CI:0.42-1.14)の間に有意な差はなかった。BARC 2、3、5の出血の複合は、de-escalation群で発生頻度が低かった(3.0% vs 5.6%;HR 0.52;95%CI:0.35-0.77)。」

Unguided de-escalation from ticagrelor to clopidogrel in stabilised patients with acute myocardial infarction undergoing percutaneous coronary intervention (TALOS-AMI): an investigator-initiated, open-label, multicentre, non-inferiority, randomised trial

Lancet . 2021 Oct 9;398(10308):1305-1316.

PMID: 34627490

【アブストのみ】

 

⑦「原因不明の塞栓性脳卒中(ESUS)と左室(LV)機能障害を有する患者においてリバーロキサバン(15mg/日)がアスピリン(100mg/日)よりも脳卒中の再発を抑制することができるかどうかを検討した、NAVIGATE ESUS試験の事後解析(n=502;追跡期間の中央値10.4か月;平均年齢67歳;女性26%)。LV機能障害のある参加者の年換算の主要イベント発生率は、リバーロキサバン群で2.4%(95%CI:1.1~5.4)、アスピリン群で6.5%(95%CI:4.0~11.0)であった(HR 0.36;95%CI:0.14-0.93)。LV機能障害のない6605人の参加者では、リバーロキサバン群(5.3%;95%CI:4.5~6.2)とアスピリン群(4.5%;95%CI:3.8~5.3)で同程度の割合であった(HR 1.16;95%CI:0.93-1.46)。」

Left Ventricular Dysfunction Among Patients With Embolic Stroke of Undetermined Source and the Effect of Rivaroxaban vs Aspirin: A Subgroup Analysis of the NAVIGATE ESUS Randomized Clinical Trial

JAMA Neurol . 2021 Oct 25;e213828.

PMID: 34694346

【フリー】

 

⑧「CYP2C19機能低下対立遺伝子を有する軽度の虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者を対象に、症状発現後24時間以内にチカグレロル(1日目に180mg、2~90日目に90mgを1日2回投与)とクロピドグレル(1日目に300mg、2~90日目に75mgを1日1回投与)に割り付けた中国の二重盲検RCT(n=6,412;チカグレロル群n=3,205、クロピドグレル群n=3,207;年齢の中央値64.8歳;女性33.8%)。両群とも21日間アスピリンを投与された。主要評価項目である90日以内に脳卒中を発症したのは、チカグレロル群では6.0%、クロピドグレル群7.6%であった(HR 0.77;95%CI:0.64~0.94)。重度または中等度の出血はチカグレロル群0.3%、クロピドグレル群0.3%に発生し、全出血はそれぞれ5.3%、2.5%に発生した。」

Ticagrelor versus Clopidogrel in CYP2C19 Loss-of-Function Carriers with Stroke or TIA

N Engl J Med . 2021 Oct 28.

PMID: 34708996

【アブストのみ】

 

⑨「DOACとワルファリンにおけるAKIリスクを比較したコホート研究(n=20,683)。各DOACは、ワルファリンと比較してAKIのリスクを有意に低下させた(ダビガトランの加重HR 0.65;95%CI:0.53~0.80;リバーロキサバンの加重HR 0.85;95%CI:0.73~0.98;アピキサバンの加重HR 0.81;95%CI:0.72~0.93)。」

The Risk of Acute Kidney Injury with Oral Anticoagulants in Elderly Adults with Atrial Fibrillation

Clin J Am Soc Nephrol . 2021 Oct;16(10):1470-1479.

PMID: 34407990

【アブストのみ】

 

⑩「DOACの患者間および患者内での血中濃度の変動を評価した研究(n=152;男性63%;平均年齢73.9歳)。0週目、2週目、8週目にDOACのトラフおよびピーク濃度で採血。個人間および個人内のばらつきは変動係数(CV)を算出することで評価した。個人間変動については、推奨用量のDOACを使用している患者のCVは、トラフ値で48%~81%、ピーク値で25%~69%であった。一方、個人内変動は大幅に低く、推奨用量のDOACを使用している患者のCVは、トラフ値で18%~33%、ピーク値で15%~29%であった。VKA投与量とクレアチニンクリアランスは、DOACのトラフ濃度と逆相関していたが、BMIとDOACのトラフ濃度には関連性が認められなかった。」

Inter- and intra-individual concentrations of direct oral anticoagulants: The KIDOAC study

J Thromb Haemost . 2021 Oct 19.

PMID: 34664401

【フリー】

 

⑪「化学療法、標的療法、免疫療法、放射線療法(単独または併用)を受けており、標準的な治療法や予防的な抗凝固療法の適応がない外来のがん患者において,経口抗凝固薬の有効性と安全性を評価したRCTのメタ解析(10試験(VKA6件、DOAC4件))。VKAは、予防を行わない場合と比較して、6ヵ月後の死亡率(RR 0.93;95%CI:0.77~1.13)、12ヵ月後の死亡率(RR 0.95;95%CI:0.87~1.03)へ影響を与えなかった。肺塞栓症と症候性DVTに対するVKAの効果については、VKAを使用しない場合と比較して有意差はなかった(それぞれ、RR 1.05;95%CI:0.07~16.58、RR 0.08;95%CI:0.01~1.42)。また、VKAは12ヵ月後の大出血および小出血を増加させた(大出血-RR 2.93;95%CI:1.86〜4.62;RD 107/1000人;95%CI:48〜201、小出血-RR 3.14;95%CI:1.85〜5.32;RD 167/1000人;95%CI:66〜337)。DOACは、予防を行わない場合と比較して、3~6ヵ月後の死亡率に影響を与えず(RR 0.94;95%CI:0.64~1.38)、肺塞栓症のリスクをわずかに減少させ(RR 0.48;95%CI:0.24~0.98;RD 24/1000人;95%CI:35人減~1人減)、症候性DVTは変わらず(RR 0. 58;95%CI:0.30〜1.15)、大出血(RR 1.65;95%CI:0.72〜3.80)、小出血(RR 3.58;95%CI0.55〜23.44)を増加させなかった。」

Oral anticoagulation in people with cancer who have no therapeutic or prophylactic indication for anticoagulation

Cochrane Database Syst Rev . 2021 Oct 8;10(10):CD006466.

PMID: 34622445

【アブストのみ】

 

⑫「アピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバンの消化管出血(GIB)発生率を比較した後ろ向きマッチングコホート研究(アピキサバンn=2,157、ダビガトランn=494、リバーロキサバンn=3,217)。リバーロキサバンはアピキサバンと比較して、GIB(100人年あたり3.2件 vs 2.5件;HR 1.42;95%CI:1.04~1.93)および重症GIB(100人年あたり1.9件 vs 1.4件;HR 1.50;95%CI:1.00~2.24)の発生率が高かった。また、ダビガトランと比較してもGIB発生率が高かった。心房細動患者のみを対象とした場合、リバーロキサバンは、アピキサバン(HR 1.40;95%CI:1.01~1.94)およびダビガトラン(HR 2.04;95%CI:1.17~3.55)よりも全体のGIB発生率が高かった。」

Rivaroxaban Is Associated With Higher Rates of Gastrointestinal Bleeding Than Other Direct Oral Anticoagulants : A Nationwide Propensity Score-Weighted Study

Ann Intern Med . 2021 Oct 12.

PMID: 34633836

【アブストのみ】

 

⑬「高齢の大外傷患者において、受傷時の抗凝固薬・抗血小板薬の服用と短期および長期の転帰との関連性を定量化することを目的としたコホート研究(n=1,323)。18.8%が抗凝固剤を服用、28.7%が抗血小板剤を服用しており、52.5%はどちらも使用していなかった。0.6%は抗凝固剤と抗血小板剤の両方を服用していた。いずれかの抗凝固剤の使用は、抗凝固剤を使用していない場合と比較して、院内死亡率のオッズが高かった(調整済みOR(AOR) 2.38;95%CI:1.58~3.59)。受傷後6ヵ月目の拡張グラスゴーアウトカムスケール(GOS-E)では、抗凝固剤の使用の有無、抗血小板剤の使用の有無、抗凝固剤の使用なしの間に差は認められなかった(抗凝固剤-AOR 0.71;95%CI:0.48~1.05、抗血小板剤AOR 1.02;95%CI:0.73~1.42)。」

Association between anticoagulants and mortality and functional outcomes in older patients with major trauma

Emerg Med J . 2021 Oct 5;emermed-2019-209368.

PMID: 34610958

【アブストのみ】

 

 

☆循環器関連(抗凝固/抗血小板薬以外)

⑭「高カリウム血症(K>5.0mmol/L)後6カ月以内にRASiを中止した場合と継続した場合のアウトカム(死亡率、主要有害心血管イベント(MACE、心血管死、心筋梗塞、脳卒中による入院の複合)、高カリウム血症の再発の3年間のリスク)を比較検討した観察研究。高カリウム血症を発症したRASiの新規使用者5669人(年齢中央値72歳、女性44%)のうち、25%が6カ月以内にRASi治療を中止した。RASiの投与を継続した場合と比較して、治療の中止は、死亡(絶対的リスク差 10.8%;HR 1.49;95%CI:1.34-1.64)およびMACE(リスク差 4.7%;HR 1.29;95%CI:1.14-1.45)の3年リスクが高くなったが、高カリウム血症の再発リスクは低かった(リスク差 -9.5%;HR 0.76;95%CI:0.69-0.84)。」

Stopping renin-angiotensin system inhibitors after hyperkalemia and risk of adverse outcomes

Am Heart J . 2021 Oct 2;243:177-186.

PMID: 34610282

【フリー】

 

⑮「同程度の血圧コントロール下で、ベナゼプリル(10 mg/日)とバルサルタン(160 mg/日)の併用療法が、ベナゼプリル(20 mg/日)またはバルサルタン(320 mg/日)の単独療法よりも微量アルブミン尿を予防するかどうかを評価した非盲検化RCT(追跡期間の中央値66 ヵ月)。併用療法群27.0%、ベナゼプリル群28.1%、バルサルタン群31.8%の患者が微量アルブミン尿に達した。加速時間モデルを用いて推定された加速因子は、ベナゼプリルが併用療法と比較して1.410(95%CI:0.806〜2.467)、ベナゼプリルがバルサルタンと比較して0.799(95%CI:0.422〜1.514)、バルサルタンが併用療法と比較して1.665(95%CI:1.007〜2.746)であった。推定加速因子のグループ間の差は、事前に定義された交絡因子の調整後も有意ではなかった。」

Preventing microalbuminuria with benazepril, valsartan, and benazepril-valsartan combination therapy in diabetic patients with high-normal albuminuria: A prospective, randomized, open-label, blinded endpoint (PROBE) study

PLoS Med . 2021 Jul 14;18(7):e1003691.

PMID: 34260595

【フリー】

 

⑯「高齢者の高血圧治療を強化するための新規薬の追加と用量の最大化の比較を行った後ろ向きコホート研究(n=178,562;新規薬追加群25.5%、用量最大化群74.5%)。投与量の最大化と比較して新薬の追加は強化の持続性が低い(平均治療効果:3ヵ月目で-15.2%;95%CI:-15.7% to -14.6%、12ヵ月目で-15.1%;95%CI:-15.6% to -14.5%)が、平均SBPの低下幅はわずかに大きかった(3ヵ月目で-0.8 mmHg(95%CI:-1.2 to -0.4 mmHg)、12ヵ月目で-1.1 mmHg(95%CI:-1.6 to -0.6 mmHg))。」

Adding a New Medication Versus Maximizing Dose to Intensify Hypertension Treatment in Older Adults : A Retrospective Observational Study

Ann Intern Med . 2021 Oct 5.

PMID: 34606315

【アブストのみ】

 

⑰「CCBが他の降圧薬クラスと比較して主要な心血管有害事象の発生率を低下させる効果に違いがあるかどうかを検討した、第一選択のCCBと他の降圧クラスを比較したRCTのメタ解析。合計23件のRCT(ジヒドロピリジン系18件,非ジヒドロピリジン系4件,指定なし1件),153,849人の高血圧症患者を対象とした。全死亡率は、CCBの第一選択薬と他の降圧薬との間に差はなかった。利尿薬と比較して、CCBは主要な心血管イベントを増加させ(RR 1.05;95%CI:1.00~1.09)、うっ血性心不全イベントを増加させた(RR 1.37;95%CI:1.25~1.51)。β遮断薬と比較して、CCBは主要心血管系イベント(RR 0.84;95%CI:0.77~0.92)、脳卒中(RR 0.77;95%CI:0.67~0.88)、心血管系死亡(RR 0.90;95%CI:0.81~0.99)の発生を抑制した。ACEiと比較して、CCBは脳卒中を減少させ(RR 0.90;95%CI:0.81〜0.99)、うっ血性心不全を増加させた(RR 1.16;95%CI:1.06〜1.28)。ARBと比較して、CCBは心筋梗塞を減少させ(RR 0.82;95%CI:0.72〜0.94)、うっ血性心不全を増加させた(RR 1.20;95%CI:1.06〜1.36)。」

Calcium channel blockers versus other classes of drugs for hypertension

Cochrane Database Syst Rev . 2021 Oct 17;10(10):CD003654.

PMID: 34657281

【アブストのみ】

 

⑱「ACCORD-BP試験およびSPRINT試験におけるベースラインの拡張期血圧(DBP)による全死亡と心血管死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中を含む複合心血管エンドポイント(CVE)への影響を検討(n=14,094;平均年齢66.2歳;男性60.4%)。ベースラインDBPと全死亡(例:ベースラインDBP 50 vs 80 mm Hg;HR 1.48;95%CI:1.06-2.08)および複合CVE(例:ベースラインDBP 50 vs 80 mm Hg;HR 1.45;95%CI:1.27-3.04)との間には、全参加者において有意な非線形の関連が認められた。全死因死亡に対するベースラインDBPと治療群割り付けの相互作用の結果は、統計的有意性に達しなかった。集中治療と標準治療の比較では、ベースラインDBPが50mmHgの場合の死亡のHRは1.80(95%CI:0.95-3.39)、ベースラインDBPが80mmHgの場合のHRは0.77(95%CI:0.59-1.01)であった。全体として、複合的なCVEについて、ベースラインのDBPと治療群の割り当てとの間に相互作用は認められなかった。ベースラインDBP値が80mmHg(HR 0.78;95%CI:0.62-0.98)および90mmHg(HR 0.74;95%CI:0.55-0.98)の範囲では、集中治療と標準治療に割り付けられた患者の複合CVEの有意な減少が認められた。」

Association Between Baseline Diastolic Blood Pressure and the Efficacy of Intensive vs Standard Blood Pressure-Lowering Therapy

JAMA Netw Open . 2021 Oct 1;4(10):e2128980.

PMID: 34668944

【フリー】

 

⑲「初めてACEIまたはARBを処方された患者を5年間追跡調査し、新規糖尿病発症リスクを、スタチン服用有無を含めて検討した韓国のコホート研究(n=11,703;ACEi24.9%、ARB75.1%)。ACEIを服用している患者は、ARBを服用している患者に比べて、スタチンを使用している場合(HR 0.13;p < 0.001)、していない場合(HR 0.15;p=0.009)ともに、新規糖尿病発症率が有意に低かった。年齢60歳以上(HR 1.49;p=0.010)、BMI25以上(HR 1.96;p<0.010)、カルシウム拮抗薬の使用(HR 1.47;p=0.010)、利尿薬の使用(HR 1.48;p=0.010)は、スタチン使用時の新規糖尿病発症の危険因子であった。」

Angiotensin-converting enzyme inhibitors versus angiotensin receptor blockers: New-onset diabetes mellitus stratified by statin use

J Clin Pharm Ther . 2021 Oct 20.

PMID: 34668200

【アブストのみ】

 

⑳「駆出率40%以上のクラスII~IVの心不全患者(n=5,988)を対象に、通常の治療に加えてエンパグリフロジン(10mgを1日1回投与)(n=2,997)またはプラセボ(n=2,991)に割り付け、心不全イベントへの有効性を検討したRCT(追跡期間の中央値26か月)。エンパグリフロジンは、心血管死、心不全による入院、点滴治療を必要とする心不全の救急・緊急外来受診の複合リスクを減少させた(14.4% vs 18.2%;HR 0.77;95%CI:0.67-0.87)。この効果は、無作為化後18日目に統計的に有意となった。エンパグリフロジンは、集中治療を必要とした心不全による入院の総数を減らし(HR 0.71;95%CI:0.52-0.96)、血管拡張剤または強心剤を必要としたすべての入院の総数を減らした(HR 0.73;95%CI:0.55-0.97)。プラセボ群と比較して、エンパグリフロジン群では、外来での利尿薬の増量を報告した患者が少なかった(16.1% vs 20.4%;HR 0.76;95%CI:0.67-0.86)。」

Effect of Empagliflozin on Worsening Heart Failure Events in Patients With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction: EMPEROR-Preserved Trial

Circulation . 2021 Oct 19;144(16):1284-1294.

PMID: 34459213

【フリー】

 

㉑「心不全患者へのSGLT-2iの全死亡,心血管死亡,心不全による入院に対する個別の安全性と有効性を評価したRCTのメタ解析(4試験;n=15,684)。加重平均フォローアップ期間は20.1カ月。全死亡のHRは0.91(95%CI:0.82~1.01)であった。心血管死亡率は14%減少し(HR 0.86;95%CI:0.76~0.96)、心不全による入院は31%減少した(HR 0.69;95%CI:0.61~0.77)。」

Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors in patients with heart failure: a systematic review and meta-analysis of randomized trials

Eur Heart J Qual Care Clin Outcomes . 2021 Oct 7;qcab072.

PMID: 34617565

【アブストのみ】

 

㉒「ω3脂肪酸サプリメントのAF発症への影響を検討したRCTのメタ解析(7試験;n=81,210;用量≦1g/日(g/d) 72.6%、>1g/d 27.4%;平均年齢65歳;女性39%;加重平均追跡期間4.9年)。ω3脂肪酸サプリメントの使用は心房細動のリスク増加と関連していた(HR 1.25;95%CI:1.07-1.46)。投与量で層別した解析では、1g/d以下の試験(HR 1.12;95%CI:1.03-1.22)に比べて、1g/d以上の試験(HR 1.49;95%CI:1.04-2.15)でHRが大きかった。」

Effect of Long-Term Marine Omega-3 Fatty Acids Supplementation on the Risk of Atrial Fibrillation in Randomized Controlled Trials of Cardiovascular Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis

Circulation . 2021 Oct 6.

PMID: 34612056

【アブストのみ】

 

 

☆抗菌薬/感染症関連

㉓「血液透析患者における呼吸器系フルオロキノロン系薬剤(LVFX,MLFX)の心臓安全性をアモキシシリン製剤(AMPC,CVA/AMPC)と比較検討した後ろ向きコホート研究。264,968人(男性51%;平均年齢61歳)の透析患者と626,322件の抗生物質治療エピソードが含まれ、呼吸器系フルオロキノロン系治療40.2%とアモキシシリン系治療59.8%であった。呼吸器系フルオロキノロン系抗生物質治療は、アモキシシリン系抗生物質治療と比較して、心臓突然死の5日間の相対的および絶対的リスクが高かった(加重HR 1.95;95%CI:1.57~2.41;治療エピソード10万回あたりの加重リスク差 44.0;95%CI:31.0~59.2)。」

Analysis of Respiratory Fluoroquinolones and the Risk of Sudden Cardiac Death Among Patients Receiving Hemodialysis

JAMA Cardiol . 2021 Oct 20.

PMID: 34668928

【フリー】

 

㉔「合併症を伴わない緑膿菌血流感染症(BSI)に対する抗菌薬の短期投与(7-11日)と長期投与(12-21日)を比較した後ろ向きコホート研究。in vitro活性を有する抗菌薬の投与を受けた290例を対象とし、そのうち33%は短期コース(中央値9日)、67%は長期コース(中央値15日)で治療を受けた。結果、長期コース群と短期コース群の間で、再発リスクおよび30日後の死亡率に有意な差は認められなかった(16% vs 11%;IPTW調整後のHR 0.68;95%CI:0.34~1.36)。長期投与群は、短期投与群と比較して、180日以内の緑膿菌感染症の再発リスクを有意に減少させなかった(19% vs 12%;IPTW調整後のHR 0.57;95%CI:0.29~1.10)。」

Short versus prolonged courses of antimicrobial therapy for patients with uncomplicated Pseudomonas aeruginosa bloodstream infection: a retrospective study

J Antimicrob Chemother . 2021 Sep 30;dkab358.

PMID: 34590681

【アブストのみ】

 

㉕「傾向スコアマッチングを用い、入院後2日以内にレムデシビル(RDV)を投与された患者(n=28,855)と、投与されなかった患者(n=16,687)の生存アウトカムを調べたコホート研究。RDV投与群の10.6%と15.4%が14日以内と28日以内に死亡したのに対し、非RDV投与群は15.4%と19.1%であった(14日目の死亡率-HR 0.76;95%CI:0.70-0.83、28日目の死亡率-HR 0.89;95%CI:0.82-0.96)。」

Remdesivir treatment in hospitalized patients with COVID-19: a comparative analysis of in-hospital all-cause mortality in a large multi-center observational cohort

Clin Infect Dis . 2021 Oct 1;ciab875.

PMID: 34596223

【フリー】

 

㉖「COVID-19に対するフルボキサミン(100mg、1日2回、10日間)(n=741)の有効性と安全性をプラセボ(またはここでは報告されていない他の治療群)(n=756)と比較したRCT(平均年齢は50歳;女性58%)。主要評価項目であるCOVID-19により救急部門で6時間以上観察された患者、またはCOVID-19により三次病院に転院した患者の割合は、プラセボと比較してフルボキサミン群で低く(11% vs 16%;RR 0.68;95%ベイズCI(BCI):0.52-0.88)、優越性の確率は99.8%となり、事前に規定した優越性の閾値97.6%を上回った(リスク差5.0%)。死亡は、フルボキサミン群で17名、プラセボ群で25名認められた(OR 0.68;95%CI:0.36-1.27)。」

Effect of early treatment with fluvoxamine on risk of emergency care and hospitalisation among patients with COVID-19: the TOGETHER randomised, platform clinical trial

Lancet Glob Health . 2021 Oct 27;S2214-109X(21)00448-4.

PMID: 34717820

【フリー】

 

㉗「症状のある Covid-19(発症後5日以内)患者で、疾患進行のリスク因子が 1 つ以上ある非入院患者をソトロビマブ500mgの用量で単回注入する群とプラセボを投与する群に割り付けたRCT。ITT集団である 583 例(ソトロビマブ群n=291、プラセボ群n=292)を対象とし、ソトロビマブ群では1%、プラセボ群では7%が入院または死亡に至る病勢進行を起こした(相対リスク減少 85%;97.24%CI:44~96)。プラセボ群では、5名の患者が集中治療室に入院し、うち1名は29日目までに死亡した。安全性は868人の患者(ソトロビマブ群n=430、プラセボ群n=438)で評価され、ソトロビマブ群では患者の17%、プラセボ群では19%で有害事象が報告された。重篤な有害事象は、ソトロビマブ群ではプラセボ群に比べて少なかった(2% vs 6%)。」

Early Treatment for Covid-19 with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibody Sotrovimab

N Engl J Med . 2021 Oct 27.

PMID: 34706189

【フリー】

 

㉘「COVID-19の入院患者に対するトシリズマブへの有効性を検討したRCTおよび観察研究のメタ解析(52試験(RCT9件、観察研究43件);n=27,004)。RCTおよび観察研究のいずれにおいても、tocilizumabの使用は死亡率の低下と関連しており、RCTでは11%(RR 0.89;95%CI:0.82~0.96)、観察研究では31%(RR 0.69;95%CI:0.58~0.83)であった。侵襲的人工呼吸の必要性は、RCTでは19%減少したが(RR 0.81;95%CI:0.71~0.93)、観察研究では有意な減少は認められなかった。」

Tocilizumab administration for the treatment of hospitalized patients with COVID-19: A systematic review and meta-analysis

Respirology . 2021 Oct 3.

PMID: 34605114

【フリー】

 

㉙「標準的な酸素療法を受けているCOVID19肺炎患者に対するSarilumabの有効性と安全性を検討したRCT。Sarilumabと通常の治療を併用する群(実験群)(n=99)と通常の治療のみを行う群(対照群)(n=102)に割り付け、全患者にメチルプレドニゾロン1mg/kg/日を少なくとも3日間投与した。主要評価項目である15日目までに重度の呼吸不全(Brescia-COVIDスケールスコア≧3)に進行した患者の割合は、サリルマブ群で16.16%、対照群で15.69%であった(RR 1.03;95%CI:0.48-2.20)。」

Efficacy and Safety of Sarilumab in patients with COVID19 Pneumonia: A Randomized, Phase III Clinical Trial (SARTRE Study)

Infect Dis Ther . 2021 Oct 17;1-14.

PMID: 34658006

【フリー】

 

㉚「入院したcovid-19の中等症患者において、治療用ヘパリンと予防用ヘパリンとの有効性と安全性と比較したRCT(平均年齢60歳;男性56.8%)。28日目に主要複合転帰(死亡、侵襲的機械式人工呼吸、非侵襲的機械式人工呼吸、集中治療室への入院の複合)が発生したのは、治療的ヘパリン群16.2%と予防的ヘパリン群21.9%であった(OR 0.69;95%CI:0.43~1.10)。死亡は、治療的ヘパリン群1.8%と予防的ヘパリン群7.6%に発生した(OR 0.22;0.07~0.65)。静脈血栓塞栓症は、治療的ヘパリン群では0.9%、予防的ヘパリン投与群2.5%に(OR 0.34;0.07~1.71)、大出血は治療的ヘパリン群では0.9%、予防的ヘパリン群1.7%に発生した(OR 0.52;0.09~2.85)。」

Effectiveness of therapeutic heparin versus prophylactic heparin on death, mechanical ventilation, or intensive care unit admission in moderately ill patients with covid-19 admitted to hospital: RAPID randomised clinical trial

BMJ . 2021 Oct 14;375:n2400.

PMID: 34649864

【フリー】

 

㉛「COVID-19のハイリスク入院患者(Dダイマー値が正常上限の4倍以上、または敗血症による凝固障害スコアが4以上のCOVID-19の入院成人患者)の血栓予防において、治療用量の低分子ヘパリン(LMWH)(エノキサパリン)と施設標準の予防用量または中間用量のヘパリンとの効果を評価したRCT(n=253;標準量投与群n=124、治療量投与群n=129;平均年齢66.7歳;男性53.8歳)。有効性の主要評価項目(静脈血栓塞栓症(VTE)、動脈血栓塞栓症(ATE)、またはあらゆる原因による死亡)を満たしたのは、標準用量のヘパリン投与群41.9%(VTE28.2%、ATE3.2%、死亡25.0%)、治療用量のLMWH投与群28.7%(VTE11.7%、ATE3.2%、死亡19.4%)であり(RR 0.68;95%CI:0.49-0.96)、血栓塞栓症の減少(29.0% vs 10.9%;RR 0.37;95%CI:0.21-0.66)などが含まれた。大出血の発生率は、標準用量のヘパリンで1.6%、治療用量のヘパリンで4.7%であった(RR 2.88;95%CI:0.59-14.02)。主要評価項目は、ICU以外の患者(36.1% vs 16.7%;RR 0.46;95%CI:0.27-0.81)で減少したが、ICU患者(55.3% vs 51.1%;RR 0.92;95%CI:0.62-1.39)では減少しなかった。」

Efficacy and Safety of Therapeutic-Dose Heparin vs Standard Prophylactic or Intermediate-Dose Heparins for Thromboprophylaxis in High-risk Hospitalized Patients With COVID-19: The HEP-COVID Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med . 2021 Oct 7.

PMID: 34617959

【フリー】

 

㉜「COVID-19 で重度の低酸素血症を呈する(10L/min以上の酸素または機械的換気を必要とする)患者において、最大10日間の静注デキサメタゾン12 mg/日(n=491)と6 mg/日(n=480)の効果を比較したRCT(年齢の中央値65歳;女性31%)。主要アウトカムである28日目に生命維持装置(侵襲的人工呼吸、循環補助、腎代替療法)なしで生存していた日数の中央値は、12mg群で 22.0日(IQR:6.0~28.0 )、6mg群で20.5日(IQR:4.0~28.0日)であった(調整済み平均差 1.3 日;95%CI:0~2.6日)。28日目の死亡率は、12mg群で27.1%、6mg群で32.3%であった(調整済みRR 0.86;99%CI:0.68-1.08)。敗血症性ショックおよび侵襲性真菌感染症を含む重篤な有害反応は、12mg群で11.3%、6mg投与群で13.4%に発生した(調整RR 0.83;99%CI:0.54-1.29)。」

Effect of 12 mg vs 6 mg of Dexamethasone on the Number of Days Alive Without Life Support in Adults With COVID-19 and Severe Hypoxemia: The COVID STEROID 2 Randomized Trial

JAMA . 2021 Oct 21.

PMID: 34673895

【フリー】

 

㉝「SARS-CoV-2感染症およびCOVID-19関連の入院に対するBNT162b2ワクチンの有効性を最大6カ月間評価した米国の後ろ向きコホート研究(n=3,436,957;年齢の中央値45歳;女性52.4%)。完全にワクチンを接種した人の SARS-CoV-2 感染症に対する有効性は 73%、COVID-19 関連の入院に対する有効性は 90%であった。SARS-CoV-2 感染症に対する有効性は、完全接種後1カ月間は88%であったが5カ月後には47%に低下した。デルタ型の感染症に対するワクチンの有効性は、完全接種後1カ月間は93%と高かったが、4カ月後には53%に低下した。」

Effectiveness of mRNA BNT162b2 COVID-19 vaccine up to 6 months in a large integrated health system in the USA: a retrospective cohort study

Lancet . 2021 Oct 16;398(10309):1407-1416.

PMID: 34619098

【フリー】

 

㉞「肝硬変患者におけるBNT162b2およびmRNA-1273ワクチンとCOVID-19感染および入院との関連を評価した後ろ向きコホート研究。傾向スコアを用いてワクチン未接種群とマッチング(n=20,037;ワクチン群の年齢の中央値69.1歳;男性97.2%;mRNA-1273ワクチン51%、BNT162b2ワクチン49%)。いずれかのワクチンの1回目の接種を受け、42日以上の経過観察を行った患者の約99.7%が2回目の接種を受けた。mRNAワクチンを1回接種28日後でCOVID-19感染症が64.8%減少し、COVID-19感染症による入院や死亡を100%防ぐことができた。1回目の投与によるCOVID-19感染の減少の関連性は、代償性肝硬変(66.8%)に比べて非代償性肝硬変(50.3%)では低かった。2回目の投与を受けた場合、COVID-19感染症が78.6%減少し、7日後のCOVID-19による入院または死亡が100%減少した。」

Association of BNT162b2 mRNA and mRNA-1273 Vaccines With COVID-19 Infection and Hospitalization Among Patients With Cirrhosis

JAMA Intern Med . 2021 Oct 1;181(10):1306-1314.

PMID: 34254978

【フリー】

 

㉟「医療従事者を対象としたmRNA COVID-19ワクチン接種後の自己申告による高リスクのアレルギー歴と自己申告によるアレルギー反応との関連を評価した研究。医療従事者52998人(平均年齢42歳;女性72.0%)がコホートに含まれ、そのうち97.6%がmRNA COVID-19ワクチンを2回接種し、0.9%が高リスクアレルギーの既往歴を報告した。高リスクのアレルギー歴を持つ人と持たない人では、1回目または2回目のワクチン接種後に、より多くのアレルギー反応が報告された(11.6% vs 4.7%)。調整モデルでは、高リスクのアレルギー歴は、アレルギー反応のリスクの増加と関連しており(調整相対リスク[aRR] 2.46;95%CI:1.92-3.16)、じんましん(aRR 3.81;95%CI:2.33-6.22)と血管浮腫(aRR 4.36;95%CI:2.52-7.54)でリスクが最も高かった。」

Association of Self-reported High-Risk Allergy History With Allergy Symptoms After COVID-19 Vaccination

JAMA Netw Open . 2021 Oct 1;4(10):e2131034.

PMID: 34698847

【フリー】

 

㊱「BNT162b2ワクチン接種後の心筋炎、発症率と重症度を検討したイスラエルのコホート研究。ワクチン接種を受けた 16 歳以上の対象者250万人超のうち、54 例が心筋炎の基準に合致した。接種を1回以上受けた人における心筋炎の発症率は、100,000 人あたり 2.13 例(95%CI:1.56~2.70)と推定された。発症率がもっとも高かったのは 16~29 歳の男性であった(100,000 人あたり 10.69 例;95%CI:6.93~14.46)。心筋炎症例の 76%は軽症、22%は中等症と分類され、1 例は心原性ショックを伴った。心筋炎発症後の追跡期間中央値83日の時点で1 例が再入院し、1 例が退院後に原因不明で死亡していた。」

Myocarditis after Covid-19 Vaccination in a Large Health Care Organization

N Engl J Med . 2021 Oct 6;NEJMoa2110737.

PMID: 34614329

【フリー】

 

㊲「イスラエルにおけるCovid-19に対するBNT162b2ワクチンを接種した後の心筋炎の調査。2020年12月20 日~2021 年 5 月 31 日のすべての心筋炎症例のデータを後ろ向きにレビュー。心筋炎の発生を解析するため、初回接種後と2回目の接種(間隔は21日)後のリスク差を算出し、2 回目の接種後30日時点でのワクチン未接種者と比較した率比を求めた。2回目の接種後と初回接種後とのリスク差は、全体では 100,000人あたり1.76(95%CI:1.33~2.19)であり、16~19 歳の男性でもっとも大きかった(差 13.73/100,000;95%CI:8.11~19.46)。過去のデータに基づく期待値と比較した標準化発症比は 5.34(95% CI 4.48~6.40)であり、16~19 歳の男性における2回目の接種後がもっとも高かった(13.60;95%CI:9.30~19.20)。完全接種者における 2 回目の接種後 30 日時点でのワクチン未接種者と比較した率比は 2.35(95%CI:1.10~5.02)であり、これも 16~19 歳の男性がもっとも高く(8.96;95%CI:4.50~17.83)、6,637 例に1例の率で発生した。」

Myocarditis after BNT162b2 mRNA Vaccine against Covid-19 in Israel

N Engl J Med . 2021 Oct 6;NEJMoa2109730.

PMID: 34614328

【フリー】

 

㊳「フランスの医師のワクチン接種に対する意見、実践、認識、およびワクチン忌避の割合と相関関係の調査(n=1,795)。42.2%が中程度のワクチン忌避を示していたが、ほぼ全員(93.7%)がワクチン接種に強く賛成していた。ワクチン忌避の割合は、感染症専門医(12.3%)と小児科医(27.7%)で最も低かった。ワクチン忌避の医師は、ワクチン忌避のほとんどない医師に比べて、予防接種情報源への信頼度が低く、ワクチンの安全性を疑うことが多かった。忌避しない医師と比較して、ワクチン忌避の医師は、ワクチン接種に関する医療コースを受講した回数が少なく、季節性インフルエンザのワクチンを接種したり、患者にワクチンを勧めたり、ワクチンを忌避している患者にワクチンを接種するように説得したりする傾向が低かった。」

Vaccine hesitancy among hospital staff physicians: A cross-sectional survey in France in 2019

Vaccine . 2021 Jul 22;39(32):4481-4488.

PMID: 34210575

【フリー】

 

 

☆その他

㊴「変形性関節症(OA)および/または慢性腰痛症(CLBP)を有する若年者(65歳未満)と比較して、高齢者(65歳以上)における非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用に伴う安全性のリスクを評価することを目的とした日本の後ろ向きコホート研究。対象となった288,715名のうち、OA、CLBP、またはその両方を有する患者は、それぞれ23.7%、60.5%、15.8%であった。高齢者は非経口NSAIDを経口NSAIDよりも頻繁に使用していたが(それぞれ57.8%、38.7%)、若年者は同等の使用率であった(それぞれ50.7%、52.8%)。10,000人年あたりのイベント発生率は高齢者の方が若年層よりも高く、消化器障害(GI)は29.68 vs 16.61、腎障害は124.77 vs 39.88、心筋梗塞(AMI)は27.41 vs 10.90であった。」

Safety risk associated with use of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in Japanese elderly compared with younger patients with osteoarthritis and/or chronic low back pain: A retrospective database study

Pain Pract . 2021 Sep 19.

PMID: 34538031

【フリー】

 

㊵「変形性膝関節症および変形性股関節症の疼痛および身体機能に対するNSAIDs、オピオイド、パラセタモールの異なる製剤および用量の有効性および安全性を評価したRCTのSR&MA(192試験;n=102,829;90種類(NSAIDsが68種類、オピオイドが19種類、パラセタモールが3種類)の製剤と用量を検討。5種類の経口製剤(ジクロフェナク150mg/日、etoricoxib60および90mg/日、rofecoxib25および50mg/日)は、臨床的に意義のある最小の痛みの軽減よりも、より顕著な治療効果が99%以上の確率で得られた。ジクロフェナク外用薬(70~81mg/日、140~160mg/日)は92.3%以上の確率で、すべてのオピオイドは53%以下の確率で、臨床的に意義のある最小の痛みの軽減よりも顕著な治療効果を示した。経口NSAIDs、局所NSAIDs、オピオイドでは、それぞれ18.5%、0%、83.3%の確率で、有害事象による脱落のリスクが高まっていた。経口NSAIDs、局所NSAIDs、およびオピオイドのそれぞれ29.8%、0%、89.5%で、あらゆる有害事象のリスクが増加していた。)

Effectiveness and safety of non-steroidal anti-inflammatory drugs and opioid treatment for knee and hip osteoarthritis: network meta-analysis

BMJ . 2021 Oct 12;375:n2321.

PMID: 34642179

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㊶「外来で使用されるトラマドールをコデインと比較して、死亡率やその他の有害な臨床転帰との関連を評価した後ろ向きマッチングコホート研究。研究期間中にトラマドールまたはコデインの調剤を受けた合計368,960例(1:5でマッチング)が対象となった(平均年齢53.1歳;女性57.3%)。コデインと比較して、トラマドールの投与は全死亡リスク(13.00 vs 5.61/1000人年;HR 2.31;95%CI:2.08-2.56)、ARD(絶対差) 7.37/1000人年;95%CI:6.09-8.78)、心血管イベント(10.03 vs 8.67/1000人年;HR 1.15;95%CI:1.05-1.27、ARD 1.36;95%CI:0.45-2.36/1000人年)、および骨折(12.26 vs 8.13/1000人年;HR 1.50;95%CI:1.37-1.65;ARD 4.10;95%CI:3.02-5.29/1000人年)の上昇と有意に関連した。なお、転倒、せん妄、便秘、オピオイド乱用/依存、睡眠障害のリスクについては、有意な差は認められなかった。」

Association of Tramadol vs Codeine Prescription Dispensation With Mortality and Other Adverse Clinical Outcomes

JAMA . 2021 Oct 19;326(15):1504-1515.

PMID: 34665205

【フリー】

 

㊷「ブチルスコポラミンを予防的に投与することで自然喘鳴が減少するかどうかを検討したRCT(スコポラミン群:20mgを1日4回皮下投与(n=79)、プラセボ群(n=78);年齢の中央値76歳;女性56%)。主要評価項目は、グレード2以上の死前喘鳴の発生(範囲:0-3;0:ガラガラ音なし、3:ドア開口部に立って聞こえるガラガラ音)。死前喘鳴は、スコポラミン群13%、プラセボ群27%に発生した(差 14%;95%CI:2%~27%)。副次的なアウトカムについては、死前喘鳴が出るまでの時間は、ハザード比(HR) 0.44(95%CI:0.20-0.92;48時間後の累積発生率:スコポラミン群8%,プラセボ群17%)。スコポラミン群とプラセボ群では、不穏状態(28% vs 23%)、口渇(10% vs 15%)、尿閉(23% vs 17%)にそれぞれ認められた。」

Effect of Prophylactic Subcutaneous Scopolamine Butylbromide on Death Rattle in Patients at the End of Life: The SILENCE Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Oct 5;326(13):1268-1276.

PMID: 34609452

【フリー】

 

㊸「2017-2019年における、米国における治療薬と非治療薬の使用による急性有害事象のための救急(ED)受診の調査。96,925例(平均年齢49歳、女性55%)、すなわち人口1,000人当たり年間6.1(95%CI:4.8~7.5)件の有害事象によるED受診があり、38.6%(95%CI、35.2~41.9%)が入院したと推定された。有害事象によるED受診の母集団率は、65歳以上の患者の方が65歳未満の患者よりも高かった(人口1,000人あたり12.1 vs 5.0)。全体では、有害事象によるED受診のうち69.1%が治療目的の薬物使用であったが、45歳未満では52.5%が非治療目的の薬物使用であったと推定された。バルビツール酸系薬剤(6.3%)、ベンゾジアゼピン系薬剤(11.1%)、非オピオイド系鎮痛剤(15.7%)、抗ヒスタミン剤(21.8%)では治療目的での有害事象による受診の割合が最も低かった。年齢層別にみると、有害事象で救急外来を受診する頻度が高かった薬剤の種類と使用目的は、65歳以上の患者では、抗凝固剤の治療目的での使用(人口1,000人当たり4.5)と糖尿病薬の治療目的での使用(人口1,000人当たり1.8)、45~64歳の患者では糖尿病薬の治療目的での使用(人口1,000人あたり0.8)、25歳から44歳の患者におけるベンゾジアゼピン系薬剤の非治療的使用(人口1,000人当たり1.0)、5歳未満の小児における監督されていない薬物曝露(人口1,000人当たり2.2)および抗生物質の治療的使用(人口1,000人当たり1.4)などがあった。」

US Emergency Department Visits Attributed to Medication Harms, 2017-2019

JAMA . 2021 Oct 5;326(13):1299-1309.

PMID: 34609453

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㊹「抗うつ薬の使用と高齢者の脳卒中や死亡率のリスクを検討したコホート研究。対象となった1,068,117人のうち、20%が追跡期間中に抗うつ薬の処方を受け、17%が脳卒中を発症し、3%が死亡した。脳卒中または死亡を経験するリスクは、抗うつ薬非使用者と比較して、抗うつ薬の現在の使用者(HR 1.04;95%CI:1.02-1.06)、最近の使用者(HR 3.34;95%CI:3.27-3.41)、過去の使用者(HR 2.06;95%CI:2.02-2.10)で高かった。抗うつ薬の現在の使用は、脳卒中リスクの増加(HR 1.56;95%CI 1.50-1.61)と関連していたが、死亡リスクは減少していた(HR 0.93;95%CI:0.91-0.94)。」

Antidepressant use and stroke or mortality risk in the elderly

Eur J Neurol . 2021 Oct 10.

PMID: 34632668

【フリー】

 

㊺「手根管症候群に対する局所ステロイド注射の長期的な治療効果を評価するために行われた5年間のRCT(n=111;平均年齢52.9歳;女性73.0%;)。患者は、80mgのメチルプレドニゾロン(mPSL)(n=37)、40mgのmPSL(n=37)、またはプラセボ(生理食塩水)(n=37)に割り付けられた。5年後の追跡調査では、プラセボと比較して症状の重症度スコアのベースラインから5年後までの平均変化量は、mPSL80mg群(0.14;95%CI:-0.17 to 0.45)、mPSL40mg群(0.12;95%CI:-0.19 to 0.43)で有意な差はなかった。試験手に対するその後の外科的治療が行われたのは、mPSL80mg群83.8%、mPSL40mg群91.9%、プラセボ群97.3%であった。 また、1年後から5年後までの間に外科的治療を受けた被験者は、mPSL80mg群で10.8%、mPSL40mg群10.8%、プラセボ群5.4%であった。注射から手術までの平均日数は、mPSL80mg群で180日、mPSL40mg日、プラセボ群で121日であった。」

Extended Follow-up of Local Steroid Injection for Carpal Tunnel Syndrome: A Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2021 Oct 1;4(10):e2130753.

PMID: 34677593

【フリー】

 

㊻「アルツハイマー型認知症の可能性が高く、非薬物療法に反応しない焦燥感があり、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)スコアが45点以上の患者に対するミルタザピンの有効性と安全性を評価した二重盲検RCT(n=204;ミルタザピン群n=102、プラセボ群n=102)。12週目の平均CMAIスコアは、ミルタザピン群とプラセボ群で有意差はなかった(調整平均差-1-74;95%CI:-7.17 to 3.69)。有害事象はミルタザピン群66%、プラセボ群64%で同程度であった。」

Study of mirtazapine for agitated behaviours in dementia (SYMBAD): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial

Lancet . 2021 Oct 23;398(10310):1487-1497.

PMID: 34688369

【フリー】

 

㊼「酸抑制剤による小児および若年成人の骨折リスクを評価した観察研究のメタ解析(6試験;n=90万人以上)。PPIの使用と非使用による骨折のプールRRは、小児では1.17(95%CI:1.1~1.25)、若年成人では1.2(95%CI:0.87~1.65)であった。一方、H2RAの使用は、小児(RR 1.08;95%CI:0.99-1.17)および若年成人(RR 1.08;95%CI:0.82-1.42)において、骨折リスクとの有意な関連は認められなかった。」

Use of acid-suppressive drugs and risk of fracture in children and young adults: a meta-analysis of observational studies

Eur J Clin Pharmacol . 2021 Oct 27.

PMID: 34705066

【アブストのみ】

 

㊽「成人の消化管出血患者を対象にトラネキサム酸と通常治療またはプラセボを比較したRCTのメタ解析(高用量7試験、低用量5試験)。トラネキサム酸高用量静注の使用は、死亡率(RR 0.98;95%CI:0.88~1.09;I2=63%)や出血(RR 0.92;95%CI:0.82~1.04;絶対リスク差 -0.7%;95%CI:-1.5 to 0.3)を減少させなかったが、深部静脈血栓症(RR 2.01;95%CI:1.08~3.72;I2=0%)、肺塞栓症(RR 1.78;95%CI:1.06~3.0;I2=0%)、痙攣(RR 1.73;95%CI:1.03~2.93)がわずかに増加した。低用量のトラネキサム酸静注・経腸投与は、死亡率を低下させなかった(RR 0.62;95%CI:0.36-1.09;I2=0%)が、再出血のリスク(RR 0.5;95%CI:0.33-0.75;I2=9%)および手術の必要性(RR 0.58;95%CI:0.38-0.88;I2=11%)を低下させた。」

Tranexamic Acid in Gastrointestinal Bleeding: A Systematic Review and Meta-Analysis

Crit Care Med . 2021 Oct 27.

PMID: 34709209

【アブストのみ】

 

㊾「腹部手術を受ける高齢者において、術中のデクスメデトミジン静注(15分かけて0.5μg/kgの負荷投与後、1時間ごとに0.2μg/kgの維持投与)(n=344)がプラセボ(生理食塩液)(n=331)と比較して、術後の消化管機能に及ぼす影響を評価したRCT(平均年齢70.2歳、男性65.9%)。主要アウトカムである最初の腹膜炎を起こすまでの時間(中央値 65時間 vs 78時間;p< .001)、初便までの時間(中央値 85時間 vs 98時間;P = 0.001)、入院期間(中央値 13日 vs 15日;P = 0.005)はデクスメデトミジン群で対照群よりも有意に短かった。術後の胃腸機能(I-FEEDスコアで測定)とせん妄の発生率は、デクスメデトミジン群と対照群で同等であった。」

Effect of Intraoperative Dexmedetomidine on Recovery of Gastrointestinal Function After Abdominal Surgery in Older Adults: A Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2021 Oct 1;4(10):e2128886.

PMID: 34648009

【フリー】

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

 

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