こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第39回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
今回の録音はこちらからどうぞ↓
(途中でブツブツと切れてしまって、8回に分かれてます。)
今回のは「フリーテーマ」でした。
今回のメニューはこちら
まずは@猫になりたい薬剤師
PLoS Med . 2021 Jul 14;18(7):e1003691.
PMID: 34260595
ACE阻害剤とARBの併用療法の有効性を検討した論文です。
正常高アルブミン尿を有する高血圧+2型糖尿病に対して、BEN群、VAL群、BEN+VAL群の3群で比較したところ、微量アルブミンに進行するまでの時間はいずれの群間においても差は認められませんでした。
ACE阻害剤とARBの併用についてはこれまでにも報告はいくつもありますが、あまりいい結果が得られてないなという印象です。。。基本的にはどちらかを最高用量投与しておけばいいかなと。
試験デザインのPROBE法についてはキャス中に議論がありましたが、この試験ではアウトカムが検査値であるためそれほど影響はないかもしれませんね。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説
次は@リンコ
Circ J . 2020 Aug 25;84(9):1575-1581.
PMID: 32713878
今回は日本人のCYP2C19遺伝子型によるPCI後のP2Y12阻害剤としてのクロピドグレルとプラスグレルの比較に関するRCTを取り上げます。先日の医療薬学会のシンポジウムで紹介されており気になったので読んでみました。
結果としては、主要アウトカムの発生率は両群で差は認められませんでしたが、CYP2C19の遺伝子型に機能欠如の変異のあるサブグループでは、クロピドグレル群で主要アウトカムの発生率が優位に高くなっておりました。
日本人はこのCYP2C19の機能欠如の変異が外国人と比較して多いことが知られており、本報告ではIMとPMを合わせると67%であり、梅村らの報告(PMID: 18532997)では61%でしたし、クロピドグレル単回投与ではNM群と比較してAUCおよびCmaxが優位に低下することが報告されております。
LOFにおける類似の報告はほかにもありますし、こういった報告をみると積極的にプラスグレルを使用していく必要があるのかなと感じております。薬価のこともありますので遺伝子検査ができればよりよいのかなと。
現在はプラスグレルの適応がPCI後のみでしたが、「虚血性脳血管障害後の再発抑制」の適応拡大の申請がなされているようで、それも楽しみです。(関連記事→プラスグレルの脳梗塞再発抑制効果を確認|Medical Tribune)
その他、今回の論文との関連論文を以下に紹介しておきます。
Prasugrel versus clopidogrel in patients with acute coronary syndromes
・CYP2C19およびCYP2C9の共通多型は、クロピドグレルの薬物動態および薬力学的反応に影響を与えるが、プラスグレルには影響を与えない(PMID: 17900275)
・CYP2C19 LoF変異遺伝子を持つ患者の冠動脈疾患治療におけるクロピドグレルとプラスグレルおよびチカグレロルの有効性および安全性:SR&MA(PMID: 32320492)
・遺伝子型を考慮した経口P2Y12阻害剤の選択と従来のクロピドグレル療法の比較がPCI後の虚血性転帰に及ぼす影響(PMID: 32840598)
・プライマリーPCIにおける経口P2Y12阻害剤の遺伝子型を考慮した戦略(PMID: 31479209)
A Genotype-Guided Strategy for Oral P2Y 12 Inhibitors in Primary PCI
・急性冠症候群とPCI後の患者におけるCYP2C19ガイド下の抗血小板療法の費用対効果(PMID: 32042096)
・韓国のPCI後のSAPTにおけるクロピドグレルvsアスピリン(PMID: 34010616)
次は@たけちゃん
Incretin-Based Drugs and Risk of Intestinal Obstruction Among Patients With Type 2 Diabetes
Clin Pharmacol Ther . 2021 Sep 29.
PMID: 34587280
こちらはSGLT2iと比較してのGLP1RAとDPP4iの入院を要する腸閉塞のリスクを検討した観察研究です。
結果としては、GLP1aとDPP4iのいずれもがSGLT2iと比較してリスクの上昇と関連しておりました。
全文が読めてないので、マッチングや交絡因子の調整等が気になりますが、、、
GLP1aは作用機序から想像できますが、DPP4iについては作用機序から想像できず個人的には驚きました(しかもDPP4iの方がリスク高そう)。ほんとかな…
pubmedで検索したら以下の報告があり、やはりいずれもでリスクが上昇しており、DPP4iの方がリスクは高かったようです。頭に入れておきたいですね。
Incretin-based drugs and intestinal obstruction: A pharmacovigilance study
(PMID: 32418731)
@たけちゃんのブログでの解説
次は@にいやん
Concealed renal insufficiency and adverse drug reactions in elderly hospitalized patients
Arch Intern Med . 2005 Apr 11;165(7):790-5.
PMID: 15824299
こちらは隠れ腎機能不全(血清クレアチニン値は正常値だが、eGFR60mL/min/1.73m2未満)において薬剤性有害事象が増えるかどうかを検討した研究です。
結果としては、隠れ腎機能低下患者および顕性腎機能低下患者において水溶性薬剤による有害事象の増加が認められました。水溶性薬剤≒腎排泄型薬剤ととらえると、腎機能低下による影響が有害事象という形で現れたと考えることができます。
特に高齢患者は筋肉量低下等にてクレアチニン値が検査上は低く出てしまう可能性がありますので、それをしっかり念頭に置いておく必要がありますね。シスタチンCを測定することも代案ですし、怪しいときは提案できるように準備しておきたいですね。
ちなみに、にいやん先生は以下の書籍でこの論文を知ったようです。評判のよい書籍なので、気になった方はポチッとしてみてください。
次は@zuratomo4
J Med Virol . 2021 Oct;93(10):5833-5838.
- PMID: 34076901
こちらはCOVID-19感染症へのイベルメクチンの有効性を検討したRCTです。
結果として、死亡率や入院期間はイベルメクチン群で減少傾向だったものの有意差はつかなかったようです。
何かと話題のイベルメクチンですが、なかなかいい結果が出ないですね。何回か試験をしたうちのチャンピオンデータを見せられても困るんですが。
しばらくは日本のRCTを待つとしましょうか(感染患者が減ってきているので、対象者を探すのも大変かもしれませんが…)。
他の薬が開発されてきているので、イベルメクチンにこだわる必要性はあまりないように思いますが、医療費の観点から考えると、他の治療薬と同等程度であれば使用を検討できるかもしれません。ただ、まずは結果を出してもらわないと…
最後は@程々な薬剤師
Topical Minoxidil Exposures and Toxicoses in Dogs and Cats: 211 Cases (2001-2019)
J Am Anim Hosp Assoc . 2021 Sep 1;57(5):225-231.
PMID: 34370845
こちらは犬・猫におけるミノキシジル外用剤の曝露と毒性についてのレビューです。
外用ミノキシジルをうっかり口にしてしまった犬・猫211例のうち、87例で中毒症状が認められたようです。亡くなった例も多く報告されてますね。
ユニークな報告ですごく勉強になりました。
今回は以下のブログを参考にされたようです。
わたくしはペットを飼ってないので詳しいことは分からないのですが、ペットを飼っているご家庭ではOTCの管理や廃棄方法にも注意が必要そうです。特にこのような毒性の高いものに関しては重要ですね。ペット同様に小さな子供がいるご家庭も注意したほうがよいかと思います。
ちなみに私は個人輸入した経口のミノキシジルでの有害事象の症例を経験したことがありまして久しぶりに思い出しました。
ミノキシジルの毒性についてはこちらのブログに丁寧にまとめてありましたので、よろしければご参考にされてください。
@程々な薬剤師のstand.fmでの解説
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は10/20(水)22時より、「フリーテーマ」にて配信する予定です。
よろしければご視聴くださいませ!