こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!
論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。
日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。
癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。
【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。
それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。
今回は2021年5月分を。60件取り上げております。
☆糖尿病薬関連
①「血糖降下薬の心不全入院(HHF)への影響を検討したRCT40件のネットワークメタ解析。メトホルミン(p=0.55)、SU薬(p=0.51)、GLP-1RA(p=0.16)、DPP4i(p=0.54)は、HHFのリスクに対して中立であった。SGLT2iおよびSGLT2i+DPP4iは、ハザード比(HR)がそれぞれ0.68(95%CI:0.60-0.76)および0.70(95%CI:0.60-0.81)となり、HHFのリスクを低減した。チアゾリジン系薬剤(TZD)の単剤(HR 1.45;95%CI:1.18-1.78)またはDPP4iとの併用(HR 1.49;95%CI:1.18-1.88)によりリスクが増加した。治療法にかかわらず、HbA1cが1%低下するとHHFのリスクが31.3%(95%CI:9~48%)低下した。」
J Clin Endocrinol Metab . 2021 Jun 14;dgab428.
PMID: 34125217
【アブストのみ】
②「EMPA-REG OUTCOME試験の有効性発現時期を検討した研究(n=7,020;エンパグリフロジン10mg(n=2,345),エンパグリフロジン25mg(n=2,342),プラセボ(n=2,333);平均年齢63.1歳;男性72%)。CV死亡に対するエンパグリフロジンの有効性は、59日目に初めて統計的有意性を示し(HR 0.28;95%CI:0.08-0.96)、試験期間中は概ね維持された(HR 0.62;95%CI:0.49、0.77)。エンパグリフロジンによる心不全入院(HHF)のリスク低減は、17日目に統計的有意性を示し(HR 0.10;95%CI:0.01-0.87)、試験全体を通して持続した(HR 0.65;95%CI:0.50, 0.85)。CV死亡またはHHFの複合アウトカムについては、エンパグリフロジンによるリスク低減効果は27日目に統計的有意に達し(HR 0.28;95%CI:0.08- 0.97)、追跡調査期間中も持続した(HR 0.66;95%CI:0.55-0.79)。」
ESC Heart Fail . 2021 Jun 16.
PMID: 34132492
【フリー】
③「SOLOIST-WHF試験(2重盲検RCT;n=1,222)において、ソタグリフロジン200mg1日1回が生存・退院日数(DAOH)を増加させるかどうかを検討。ソタグリフロジン群とプラセボ群では同程度の割合の患者が1回以上入院したが(38.5% vs 41.4%)、ソタグリフロジン群では1回以上入院した患者は少なかった(16.3% vs 22.1%)。ソタグリフロジン群のDAOH率は、プラセボ群よりも3%高かった(RR 1.03;95%CI:1.00~1.06)。この差は、何らかの原因で入院した日数の減少ではなく、主に死亡した日数の減少(RR 0.71;95%CI:0.52~0.99)によるものであった。ソタグリフロジン群はプラセボ群と比較して、追跡期間100日あたりの生存・退院日数が3%(2.9日)多かった(91.8日 vs 88.9日)。この差は、死亡日数の2.6日の差(6.3日 vs 8.9日)と入院日数の0.3日の差(1.9日 vs 2.2日)を反映したものであった。」
Ann Intern Med . 2021 Jun 22.
PMID: 34152828
【アブストのみ】
④「GLP-1RAであるefpeglenatideの心血管および腎アウトカムへの影響を検討したRCT(n=4076;efpeglenatide群n=2,717(4mgと6mgが1:1)、プラセボ群n=1,359;追跡期間の中央値1.81年)。主要アウトカムであるMACEはefpeglenatide群7.0%(3.9件/100人年)、プラセボ群9.2%(5.3件/100人年)に発生した(HR 0.73;95%CI:0.58~0.92)。複合腎イベント(腎機能低下または顕性アルブミン尿)は、efpeglenatide群13.0%、プラセボ群18.4%に発生した(HR 0.68;95%CI:0.57~0.79)。下痢、便秘、吐き気、嘔吐、腹部膨満感は、efpeglenatide群でプラセボ投与群よりも高頻度に発生した。」
Cardiovascular and Renal Outcomes with Efpeglenatide in Type 2 Diabetes
N Engl J Med . 2021 Jun 28.
PMID: 34215025
【アブストのみ】
⑤「メトホルミンを使用している2型糖尿病患者において、全死亡リスクに対するSGLT2阻害薬とスルホニル尿素薬の有効性を比較検討したコホート研究(n=128,293;平均年齢64.60歳;男性95.17%;SGLT2in=23,870;SU剤n=104,423)。SGT2阻害剤は、SU剤と比較して全死亡のリスクを減少させ(HR 0.81;95%CI:0.75-0.87)、発生率差は-5.15/1,000人年(95%CI:-7.16 to -3.02)であった。per-protocol解析では、SGLT2阻害剤の継続使用は、SU剤の継続使用と比較して死亡リスクの低減と関連していた(HR 0.66;95%CI:0.60-0.74;発生率差 -10.10/1,000人年;95%CI:-12.97 to -7.24)。また、追加のper-protocol解析では、SGLT2阻害剤とメトホルミンの併用を継続することは、メトホルミンを併用しないSGLT2阻害剤治療と比較して、死亡リスクの低減と関連していた(HR 0.70;95%CI:0.50-0.97;発生率差 -7.62/1,000人年;95%CI:-17.12 to -0.48)。」
JAMA Intern Med . 2021 Jun 28.
PMID: 34180939
【フリー】
⑥「食事時のインスリンを用いず、長時間または中間型基礎インスリン療法(1日1~2回)を行っている成人2型糖尿病患者におけるCGMの有効性を明らかにするために行われたRCT。CGM(n=116)または従来の血糖値測定器(BGM)モニタリング(n=59)に2:1で割り付け(n=175;平均年齢57歳;女性50%;ベースラインの平均HbA1c9.1%)。主要アウトカムである8か月後の平均HbA1c値は、CGM群ではベースラインの9.1%から8.0%に、BGM群では9.0%から8.4%に低下した(調整後差 -0.4%;95%CI:-0.8 to -0.1%)。CGM群では、BGM群グループと比較して目標血糖値70~180mg/dLの範囲にあるCGM測定時間の平均割合が59%対43%(調整後差 15%;95%CI:8%~23%)、250mg/dL以上の時間の平均割合は11%対27%(調整後の差 -16%;95%CI:-21% to -11%)、平均血糖値は179mg/dL対206mg/dL(調整後の差 -26mg/dL;95%CI:-41 to -12)だった。重度の低血糖イベントは、CGM群で1%、BGM群で2%に発生した。」
JAMA . 2021 Jun 8;325(22):2262-2272.
PMID: 34077499
【フリー】
⑦「動脈硬化性疾患を有する、またはそのリスクがある2型糖尿病患者をダパグリフロジンまたはプラセボに無作為に割り付け、性別によるアウトカムへの影響を検討した、DECLARE-TIMI 58試験のサブ解析(n=17,160;追跡期間中央値4.2年;女性37.4%)。CV死亡または心不全による入院は、女性(3.8% vs 4.5%;HR 0.84;95%CI:0.66-1.07)および男性(5.3% vs 6.4%;HR 0.83;95%CI:0.71-0.96、pinteraction = 0.90)、(2)MACE:女性(6.3% vs 6.8%;HR 0.93:95%CI:0.77-1.12)および男性(10.0% vs 10.7%;HR 0.93:95%CI:0.83-1.05、pinteraction = 0.99)、(3)腎転帰:女性(1.4% vs 2.8%;HR 0.50:95%CI:0.35-0.70)および男性(1.5% vs 2.5%;HR 0.55;95%CI:0.42-0.73、pinteraction = 0.64)となり性差はなかった。」
The efficacy and safety of dapagliflozin in women and men with type 2 diabetes mellitus
Diabetologia . 2021 Jun;64(6):1226-1234.
PMID: 33611623
【アブストのみ】
⑧「ベースラインのメトホルミン使用の有無によるGLP-1RAの心血管アウトカムへの影響を検討したRCTのメタ解析(4試験;n=43,456)。GLP-1RAはMACEを13%減少させ(HR 0.87;95%CI:0.82-0.93)、この効果は両サブグループで一貫していた(メトホルミン有:HR 0.91;95%CI:0.85-0.97、メトホルミン無:HR 0.80;95%CI:0.72-0.90)。また、ベースラインでのメトホルミンの有無は、心血管死亡率および全死亡率に対するGLP-1RAの全体的な良好な効果に影響を与えなかった。」
Diabetes Res Clin Pract . 2021 Jun 15;177:108921.
PMID: 34144086
【アブストのみ】
⑨「成人糖尿病患者を対象に行われた超即効型インスリンと即効型インスリンの有効性を比較したRCTのメタ解析。超速効型インスリン製剤による治療は、速効型インスリン製剤と比較して、HbA1cの変化に同等の効果を示した(1型糖尿病:加重平均差(WMD) -0.02%;95%CI:-0.08 to 0.05;I2=61%、2型糖尿病:WMD -0.02%;95%CI:-0.09 to 0.04;I2=19%)。同様に、空腹時血糖値、自己測定血糖値、体重、基礎・ボーラスインスリン投与量、重篤な有害事象の発生率、低血糖の変化についても明らかな差はなかった。速効型インスリン製剤と比較して超速効型インスリン製剤は、流動食試験に基づく1時間および2時間の食後血糖値の上昇を抑制した(食事1時間後の血糖上昇:WMD -0.94 mmol/L;95%CI:-1.17 to -0.72;I2=0%、食事2時間後の血糖上昇:WMD -0.56 mmol/L;95%CI: -0.79 to -0.32; I2=0%)。」
Ultra-rapid-acting insulins for adults with diabetes: A systematic review and meta-analysis
Diabetes Obes Metab . 2021 Jun 9.
PMID: 34105242
【アブストのみ】
☆抗凝固/抗血小板薬
⑩「透析患者の急性冠症候群(ACS)におけるクロピドグレル(n=1,915)とチカグレロル(n=270)の有効性と安全性を検討した後ろ向きコホート試験。12ヵ月後の主要心血管イベント(MAC)(逆確率重み付け(IPTW)によるaHR 1.29;95%CI:1.16-1.44)、死亡(IPTWによるaHR 1.65;95%CI:1.47-1.86)、心臓死(IPTWによるsubdistribution HR(SHR) 1.64;95%CI:1.41-1.91)のリスクは、クロピドグレル群と比較して、チカグレロル群のほうが高かった。大出血イベントについては、クロピドグレルよりもチカグレロルの方でリスクが有意に高かった(IPTWによるSHR 1.49;95%CI:1.34-1.65)。あらゆる出血イベントのリスクについては、両群間に有意な差はなかった(IPTWを用いたSHR 1.05;95%CI:0.95-1.17)。」
Br J Clin Pharmacol . 2021 Jun 3.
PMID: 34080719
【アブストのみ】
⑪「経口抗凝固薬併用のない、冠動脈再灌流後における経口P2Y12単剤療法とDAPTの効果を比較したRCTのメタ解析(6試験;n=24,096)。主要評価項目である全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合アウトカムは、P2Y12阻害剤の単剤投与群2.95%、DAPT群3.27%に認められた(HR 0.93;95%CI:0.79~1.09)、ITT解析集団ではP2Y12阻害剤の単剤投与群2.94%、DAPT群3.36%であった(HR 0.90;0.77~1.05)。P2Y12阻害剤単剤療法は、女性では主要虚血性エンドポイントのリスクを低下させるが(HR 0.64;95%CI:0.46~0.89)、男性では低下させないことが示唆された(HR 1.00;95%CI:0.83~1.19)。出血のリスクは、P2Y12阻害剤単剤療法の方がDAPT療法よりも低かった(0.89% vs 1.83%;HR 0.49;95%CI:0.39~0.63)。」
BMJ . 2021 Jun 16;373:n1332.
PMID: 34135011
【フリー】
⑫「心房細動または機械式心臓弁を有する患者が、予定された手術のためにワルファリンを一時的に中断する際のダルテパリン(n=820)による術後のブリッジング治療の有効性と安全性をプラセボ(n=650)と比較して検討した二重盲検RCT。90日以内の重大な血栓塞栓症(脳卒中,一過性脳虚血発作,近位深部静脈血栓症,肺塞栓症,心筋梗塞,末梢塞栓症,血管死)の発生率は、プラセボ群1.2%、ダルテパリンが1.0%であった(リスク差 -0.3%;95%CI:-1.3~0.8)。大出血の発生率は、プラセボ群2.0%、ダルテパリン群1.3%であった(リスク差 -0.7;95%CI:-2.0~0.7)。」
BMJ . 2021 Jun 9;373:n1205.
PMID: 34108229
【フリー】
⑬「脳卒中または一過性脳虚血発作の二次予防を目的として、DAPTと単剤治療の有効性と安全性を比較したRCTのメタ解析(n=27,358)。単剤療法と比較して、DAPTは脳卒中の再発リスク(RR 0.71;95%CI:0.63-0.81)と複合転帰(脳卒中、一過性脳虚血発作、急性冠症候群、全死亡の複合)(RR 0.76;95%CI:0.69-0.83)を減少させたが、大出血のリスクを増加させた(RR 2.17;95%CI: 1.45-3.25)。サブ解析では、30日以下のDAPTは単剤療法と比較して出血のリスクを増加させた(RR 1.94;95%CI:1.08-3.52)。全ての解析において異質性は低かった(I2≤25%)。」
Circulation . 2021 Jun 22;143(25):2441-2453.
PMID: 33926204
【フリー】
⑭「心血管イベントおよび脳血管イベントのリスクが高い患者の脳卒中予防に対するチカグレロルのネットワークメタアナリシス。チカグレロルと他の受容体拮抗薬(P2Y12)阻害薬およびアスピリンの単剤または併用を比較(26試験;n=124,495)。コントロールと比較して、チカグレロルとアスピリンの併用は、虚血性脳卒中のリスクを20%有意に減少させた(リスク比 0.80;95%CI:0.71-0.89)。チカグレロル単剤での治療は、虚血性脳卒中に有意な影響を与えなかった(リスク比 0.88;95%CI:0.77-1.00)。大出血は、アスピリン単独療法と比較して、抗血小板薬単剤療法では同程度の範囲であったが、抗血小板薬併用療法では相対リスクが2倍になった。死亡リスクについては、チカグレロルとアスピリンの併用で大きな差はなかった(リスク比 0.99;95%CI:0.91-1.07)。」
Stroke . 2021 Jun 24;STROKEAHA120032670.
PMID: 34162232
【アブストのみ】
☆循環器関連(抗凝固/抗血小板薬以外)
⑮「抗動脈硬化療法(AT;抗血小板薬、スタチン、RAS阻害薬の同時使用と定義)が、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を受けた患者に長期的な臨床効果をもたらすかどうかを検討した後ろ向きコホート研究。日本の14施設でTAVRを受けた患者2518人(男性31%;年齢中央値85歳;追跡期間の中央値693日)を、抗動脈硬化療法患者(AT;n=567)とそうでない患者(ATなし;n=1,951)に分けた。ATなしの群と比較して、AT群は2年全死亡率(11.7% vs 16.5%;log-rank p=0.002)および2年心血管死亡率(3.5% vs 6.0%;log-rank p=0.017)が有意に低かった。傾向スコアマッチングコホート(各495名;追跡期間の中央値710日)では、AT群の患者はATなしの患者に比べて2年心血管死亡率が低かった(3.8% vs 6.2%;log-rank p=0.024)」
Heart Vessels . 2021 Jun 8.
PMID: 34101028
【アブストのみ】
⑯「メトプロロールとカルベジロールの糖尿病リスクを比較検討した後ろ向きコホート研究。糖尿病とHFを有する患者のうち、メトプロロールまたはカルベジロールの投与開始者について1:1の傾向スコアマッチングを行い、24,239組(平均年齢77.7歳;男性39.1%)を特定。抗糖尿病薬投与開始エピソードがメトプロロール使用者(曝露群)では発生率(IR) 33. 5/100人年、カルベジロール使用者(比較群)ではIR 33. 4/100人年で有意差はなかった(aHR 0.97;95%CI:0.94- 1.01)。同様に、メトプロロールはインスリン投与開始(aHR 0.98;95%CI:0.93~1.04)、重度の高血糖イベント(aHR 0.98;95%CI:0.93~1.02)などの副次的なアウトカムのリスクを有意に増加させることはなかった。」
Pharmacoepidemiol Drug Saf . 2021 Jun 8.
PMID: 34101945
【アブストのみ】
⑰「血液透析患者の心不全イベントに対する鉄の静脈内投与の用量別での効果を検討することを目的とした試験(PIVOTAL試験のサブ解析)(n=2,141;追跡期間の中央値で2.1年)。初回の致命的または非致命的な心不全イベントは、高用量群4.7%、低用量群6.7%に発生した(HR 0.66;95%CI:0.46-0.94)。初回および再発の心不全イベントは、鉄の高用量投与群で5.8%、低用量投与群で9.4%発生した(HR 0.59;95%CI:0.40-0.87)。」
JACC Heart Fail . 2021 Jul;9(7):518-527.
PMID: 34119470
【アブストのみ】
⑱「透析患者におけるNSAIDと心臓・脳血管系主要有害事象(MACCE)および死亡率との関連性を検討した韓国のクロスオーバー試験。症例期間はイベント発生日の1~30日前とし、対照期間はイベント発生日の61~90日前と91~120日前とした。各事象の前120日以内にNSAIDに曝露した後、MACCEと死亡を経験した透析患者はそれぞれ3433人と8524人であり、NSAIDsはMACCEs(aOR 1.37;95%CI:1.26-1.50)および死亡率(aOR 1.29;95%CI:1.22-1.36)のリスクを有意に増加させた。非選択的なNSAIDはMACCEと死亡率のリスクを有意に増加させたが、選択的COX-2阻害剤はそうではなかった。MACCEおよび死亡リスクは用量依存的には増加しなかった。」
Nephrol Dial Transplant . 2021 Apr 26;36(5):909-917.
PMID: 31943085
【アブストのみ】
⑲「トラネキサム酸(TXA)の静脈内投与と総血栓塞栓イベント(TE; 静脈血栓症、肺塞栓症、静脈性TEs、心筋梗塞・虚血、脳梗塞・虚血)および死亡率との関連を検討したプラセボ対照RCTのメタ解析(216試験;n=125,550)。TEの発生はTXA投与群で2.1%、対照群で2.0%であり、リスクとの関連は認められなかった(リスク差 0.001;95%CI:-0.001 to 0.002)。」
JAMA Surg . 2021 Apr 14;156(6):e210884.
PMID: 33851983
【アブストのみ】
⑳「経皮的大動脈弁留置術(TAVI)を受けた大動脈弁狭窄症(AS)患者に対するスタチンの有効性を検討した観察研究(n=2,588;平均年齢84.4歳;女性69.3%;追跡期間の中央値660日)。傾向スコアマッチングにより936組のペアを同定。入院時のスタチン投与は、全死因死亡率(aHR 0.76;95%CI:0.58-0.99)および心血管死亡率(aHR 0.64;95%CI:0.42-0.97)の有意な低下と関連していた。冠動脈疾患(CAD)の既往とスタチンの有無によって4群に分けて比較したところ、CADの既往がなくスタチンを投与された患者を基準とすると全死亡率に有意な差があり、CADの既往があるにもかかわらずスタチンを投与されなかった患者の予後が最も悪かった(aHR 1.33;95%CI:1.12~1.57)。」
BMJ Open . 2021 Jun 11;11(6):e044319.
PMID: 34117043
【フリー】
㉑「敗血症および敗血症性ショックの患者への超短時間作用性β阻害薬(エスモロールまたはランジオロール)を投与による死亡率を比較したRCTのメタ解析(6試験;n=572)。超短時間作用性β阻害薬投与は、28日後の死亡率の低下と有意に関連していた(RR 0.68;95%CI:0.54-0.85;I2=31%;リスク低減率 18.2%;NNT=5.5)。」
Chest . 2021 Jun;159(6):2289-2300.
PMID: 33434497
【アブストのみ】
㉒「65歳以上の高齢者のCVD一次予防のためのスタチン使用と非使用を比較した観察研究のメタ解析(10件の観察研究(コホート研究9件、症例対照研究1件;n=815,667))。全体の統合推定値では,スタチン治療は全死亡(HR 0.86;95%CI:0.79~0.93)、CVD死亡(HR 0.80;95%CI:0.78~0.81)、脳卒中(HR 0.85;95%CI:0.76~0.94)のリスクを有意に低下させ、心筋梗塞のリスクとの関連は有意ではなかった(HR 0.74;95%CI:0.53~1.02)。全死亡リスクに対するスタチンの有益な関連性は、年齢が高くなっても(75歳以上:HR 0.88;95%CI:0.81~0.96)、男性(HR 0.75;95%CI:0.74~0.76)と女性(HR 0.85;95%CI:0.72~0.99)の両方で有意に維持されていた。しかし、この全死亡リスクとの関連は糖尿病のある人でのみ有意であり(HR 0.82;95%CI:0.68~0.98)、糖尿病のない人では有意ではなかった。」
BMC Med . 2021 Jun 22;19(1):139.
PMID: 34154589
【フリー】
☆抗菌薬/感染症関連
㉓「男性と性交渉のある男性で、無症候性の直腸クラミジアに罹患している人をDOXY(100mg1日2回7日間;n=290)またはAZM(1g単回投与;n=297)投与群に割り付けたRCT。修正ITT集団において、微生物学的治癒はDOXY群で96.9%(95%CI:94.9~98.9)、AZM群で76.4%(95%CI:73.8~79.1)に認められ、調整後のリスク差は19.9%(95%CI:14.6~25.3)であった。吐き気、下痢、嘔吐を含む有害事象は、ドキシサイクリン群33.8%、アジスロマイシン群で45.1%に報告された(リスク差 -11.3%;95%CI:-19.5 to -3.2)。」
Azithromycin or Doxycycline for Asymptomatic Rectal Chlamydia trachomatis
N Engl J Med . 2021 Jun 24;384(25):2418-2427.
PMID: 34161706
【アブストのみ】
㉔「上気道感染症(URTIs)の抗生物質治療に関する簡単なタブレットベースの情報を提供することが、患者の抗生物質に対する期待と、家庭医の抗生物質処方行動に与える影響を評価したRCT。参加者は、診察の直前に、URTIの抗生物質治療の無益性、抗生物質に伴う副作用、健康的な食事と運動の利点(アクティブコントロール)に関するプレゼンテーションを視聴するよう3群に割り付けられた。プレゼンテーションを見る前と後に、参加者は7ポイントのリッカート尺度を用いて上気道感染症の治療に抗生物質が有効であるという信念の強さと、抗生物質を処方されたいという希望を評価しました。「無益性」または「副作用」のプレゼンテーションを見た参加者は、対照群に比べて、抗生物質を受け取ることへの期待が大きく減少した。平均減少率は、無益群で1.1(95%CI:0.8-1.3)、副作用群で0.7(95%CI:0.4-0.9)、対照群で0.1(95%CI:0-0.3)であった(Cohen d = 0.7; P <.001)。」
Ann Fam Med . May-Jun 2021;19(3):232-239.
PMID: 34180843
【フリー】
㉕「MRSAによる皮膚・軟部組織感染症(SSTI)におけるバンコマイシン、リネゾリド、テジゾリド、ダプトマイシンの有効性と安全性を検討したRCTのメタ解析(20試験;n=7,804)。メタ解析では、リネゾリドがバンコマイシンよりも臨床的成功率(OR 1.46;95%CI:1.07~1.99)および微生物学的成功率(OR 1.89;95%CI:1.24~2.86)の向上に優れていることが示唆された。その他の比較については、統計的な差は認められなかった。一方、安全性に関しては、いずれの抗生物質にも有意な差はなかった。」
Infect Dis Ther . 2021 Jun 18.
PMID: 34143418
【アブストのみ】
㉖「PCV13ワクチンが急性中耳炎(AOM)および急性副鼻腔炎(AS)の発症率に影響を与えるかどうかを検討した後ろ向きコホート研究。PCV13ワクチンプログラム(2011~18年)の影響を、PCV13以前の時代(2000~10年)と比較して全体および年齢別に評価。2000年から2018年にかけてAOMの発症率は50%(人口1,000人あたり62人から31人)減少し、副鼻腔炎は18%(人口1,000人あたり33人から27人)減少した。PCV13時代には、AOMの発生率は減少し(発生率比(IRR) 0.70;95%CI:0.70-0.70)、それと並行して抗生物質の使用率も減少した(IRR 0.65;95%CI:0.64-0.65)。またPCV13時代には、PCV13時代以前と比較してASの発症率が減少しており(IRR 0.88;95%CI:0.88-0.88)、これは主に65歳以下の年齢層での減少によるものだった。一方、65歳以上ではASの発症率の増加が認められた(IRR 1.03;95%CI:1.02-1.03)。副鼻腔炎に対する抗生物質の処方率は、65歳未満で減少していた。」
J Antimicrob Chemother . 2021 May 22;dkab167.
PMID: 34021757
【アブストのみ】
㉗「TMP/SMX投与後の真の腎障害リスクを検討したコホート研究。TMP/SMX投与後のクレアチニン推定GFRおよびシスタチンC推定GFRが20%以上低下した場合を真の腎毒性と定義。TMP/SMX投与前後に血清クレアチニンとシスタチンCを同時に測定した19例のうち、52.6%に腎毒性が認められた。」
J Infect Chemother . 2021 Aug;27(8):1193-1197.
PMID: 33832848
【アブストのみ】
㉘「所要時間90分以上の大規模な非心臓手術後の合併症または全死因死亡率に対するデキサメタゾン(手術直後および第1日目に0.2mg/kg)の効果を評価するために行われた二重盲検RCT(n=1,184;デキサメタゾン群n=595,プラセボ群n=589)。術後14日目に、デキサメタゾン群17.0%、プラセボ群19.9%が主要評価項目である術後合併症を発症または死亡した(調整オッズ比 0.81;95%CI:0.60~1.08)。胸部以外の手術を受けた参加者(n=1038)の層では、主要アウトカムが発生したのはデキサメタゾン群13.3%、プラセボ群18%であった(調整オッズ比 0.70;95%CI:0.50~0.99)。有害事象が報告されたのは、デキサメタゾン群47.0%、プラセボ群48.6%であった(P=0.46)。」
BMJ . 2021 Jun 2;373:n1162.
PMID: 34078591
【フリー】
㉙「妊娠中の母親のインフルエンザワクチン接種と幼児期の健康アウトカムとの関連を評価した後ろ向きコホート研究。28,255人の子ども(女性49%;妊娠37週以上で生まれた子ども92%)のうち、10,227人(36.2%)は妊娠中に季節性インフルエンザワクチンの接種を受けた女性から生まれた。平均3.6年間の追跡調査の結果、母親のインフルエンザワクチン接種と小児喘息との間に有意な関連は認めなかった(発症率 3.0 vs 2.5/1000人年;差 0.53/1000人年;95%CI:-0.15 to 1.21;調整後HR 1.22;95%CI:0.94~1.59)。また、新生物(0.32 vs 0.26/1000人年;差 0.06/1,000人年;95%CI:-0.16~0.28;調整後HR 1.26;95%CI:0.57~2.78)、感覚機能障害(0.80 vs 0.97/1,000人年;差 -0.17/1,000人年;95%CI:-0.54 to 0.21;調整後HR 0.82;95%CI:0.49~1.37)も同様であった。妊娠中の母親のインフルエンザワクチン接種は、幼児期の感染症(発生率 184.6 vs 179.1/1000人年;差 5.44/1000人年;95%CI:0.01~10.9;調整後発生率比(IRR) 1.07;95%CI:0.99~1.15)、緊急および入院患者の医療サービス利用(511.7 vs 477.8/1,000人年;差 33.9/1,000人年;95%CI:24.9~42.9;調整後IRR 1.05;95%CI:0.99~1.16)とは有意に関連しなかった。」
Association of Maternal Influenza Vaccination During Pregnancy With Early Childhood Health Outcomes
JAMA . 2021 Jun 8;325(22):2285-2293.
PMID: 34100870
【フリー】
㉚「敗血症または敗血症性ショックの重症患者において、プロカルシトニンを使用して抗生物質の中止を誘導することが、死亡率、抗菌薬治療期間、および入院期間に与える影響を評価したメタ解析(n=4,292;12試験)。28日死亡率の相対リスクは0.89(95%CI:0.79~0.99)、抗菌薬投与期間は-1.98日(95%CI:-2.76 to 1.21)、ICU滞在期間は-1.21日(95%CI:-4.16 to 1.74)であった。」
Expert Rev Anti Infect Ther . 2021 Jun 4;1-10.
PMID: 34027785
【アブストのみ】
㉛「中等度から重症のCOVID-19の治療における標準治療(SOC)単独(n=1,053)とSOC+レムデシビルとデキサメタゾン(n=1,694)の効果を比較したコホート研究。30日後の死亡率は、SOC+レムデシビルとデキサメタゾン群12.6%で、SOCのみの19.7%に比べて低かった(加重OR 0.47;95%Cl:0.38-0.57)。同様に、機械的換気(MV)への進行も抑制された(OR 0.36;95%CI:0.29-0.46)。」
Clin Infect Dis . 2021 Jun 10;ciab536.
PMID: 34111274
【フリー】
㉜「Covid-19肺炎で入院した成人患者に対するトファシチニブの有効性と安全性を検討したRCT(n=289;89.3%にステロイド投与)。トファシチニブ10mgを1日2回またはプラセボを最長14日間または退院まで投与した。主要評価項目である28日目までの死亡または呼吸不全の累積発生率は、トファシチニブ群で18.1%、プラセボ群で29.0%であった(RR 0.63;95%CI:0.41~0.97)。28日目の全死亡はトファシチニブ群2.8%、プラセボ群5.5%であった(HR 0.49;95%CI:0.15~1.63)。重篤な有害事象はトファシチニブ群14.1%、プラセボ群12.0%に発生した。」
Tofacitinib in Patients Hospitalized with Covid-19 Pneumonia
N Engl J Med . 2021 Jun 16;NEJMoa2101643.
PMID: 34133856
【フリー】
㉝「COVID-19へのファビピラビルの有効性と安全性を検討した9試験のメタ解析。メタ解析の結果、入院後7日間においてファビピラビル群は対照群に比べて臨床的に有意な改善が認められた(RR 1.24;95%CI:1.09-1.41)。ファビピラビル群は対照群に比べて入院後14日目にウイルス除去率が高かったが、有意ではなかった(RR 1.11;95%CI:0.98-1.25)。補助的酸素療法の必要性も有意差がなかった(RR 0.93;95%CI:0.67-1.28)。ICUへの転入や有害事象は両群間で統計的な差はなかった。」
Sci Rep . 2021 May 26;11(1):11022.
PMID: 34040117
【フリー】
㉞「COVID-19におけるレムデシビルの有効性を標準治療と比較評価したRCTのメタ解析(4試験;n=7,324)。レムデシビルは対照群と比較して、主要アウトカムである死亡率の改善は認められなかった(OR 0.92;95%CI:0.79~1.07)。臨床症状の改善率は対照群に比べてレムデシビル群で有意に高く(OR 1.52;95%CI:1.24~1.87)、臨床症状の改善までの時間も早かった(HR 1.28;95%CI:1.12~1.46)ことが確認された。また、重篤な有害事象の発生率はレムデシビル投与群で有意に減少した(RR 0.75;95%CI:0.62~0.90)。」
BMJ Open . 2021 Jun 24;11(6):e048416.
PMID: 34168031
【フリー】
㉟「COVID-19へのトシリズマブの有効性を検討したRCTのメタ解析(8試験;n=6,481)。トシリズマブはプラセボ/対照と比較して、28~30日目の全死亡率の低下と関連していた(RR 0.89;95%CI:0.82~0.96)。重症患者のサブグループでは、死亡率の低下は認められなかった(RR 0.94;95%CI:0.74-1.19)。トシリズマブは、機械的換気(MV)、死亡またはMVの複合エンドポイント、集中治療室(ICU)入室のリスクを有意に減少させた。」
Tocilizumab in the treatment of COVID-19 - a meta-analysis
QJM . 2021 May 19;hcab142.
PMID: 34010403
【フリー】
㊱「米軍関係者におけるmRNA COVID-19ワクチンの免疫後の心筋炎についての症例報告。合計23名の男性患者(現役軍人22名、退職者1名;年齢中央値25歳)が、mRNA COVID-19ワクチン接種後4日以内に急性の著明な胸痛を呈した。すべての軍人は以前から健康で、高いレベルの体力を持っていた。7人がBNT162b2-mRNAワクチンを、16人がmRNA-1273ワクチンを接種した。合計20名の患者が、適切に間隔を空けた2回目の接種後に症状を発症しました。すべての患者で,心筋トロポニン値が有意に上昇した。急性期に心臓MRIを受けた8名の患者では、全員が心筋炎の臨床診断と一致する所見を示した。すべての患者は簡単な支持療法を受け、本報告書の作成時には回復していた。」
Myocarditis Following Immunization With mRNA COVID-19 Vaccines in Members of the US Military
JAMA Cardiol . 2021 Jun 29.
PMID: 34185045
【フリー】
㊲「Novavax社のCOVID-19ワクチン(NVX-CoV2373)の安全性と有効性を検討したRCT。18~84歳の成人を対象に,NVX-CoV2373またはプラセボの5μgを21日間隔で2回筋肉内投与することを1:1の割合で割り付け(n=15,187;65歳以上27.9%)。2回目の注射から7日以上経過して感染が報告されたのは、ワクチン群10名、プラセボ群96名で、ワクチンの有効性は89.7%(95%CI:80.2~94.6)であった。重度の感染症が5例報告されたがいずれもプラセボ群であった。事後解析の結果、B.1.1.7(またはα)変異体に対する有効性は86.3%(95%CI:71.3~93.5)、B.1.1.7以外の変異体に対する有効性は96.4%(95%CI:73.8~99.5)であった。」
Safety and Efficacy of NVX-CoV2373 Covid-19 Vaccine
N Engl J Med . 2021 Jun 30;NEJMoa2107659.
PMID: 34192426
【フリー】
㊳「845人の米国人を対象に、COVID-19陰謀説とSARS-CoV-2ワクチン接種意向、公衆衛生勧告への協力、公衆衛生政策への支持との関連を調査すること、および陰謀説に対処するための戦略を知るために信頼できるCOVID-19情報源を調査。参加者の33%がCOVID-19に関する1つ以上の陰謀を信じていた。陰謀を信じていた参加者は、信じていなかった参加者に比べてワクチン接種の意向が3.9倍低く、COVID-19の公衆衛生政策への支持が少なかった。COVID-19の情報源として信頼されているものにはいくつかの重要な違いがあったが、COVID-19に関する情報源として全体的に最も信頼されていたのは医師であり、90%の参加者が医師を信頼していた。」
COVID-19 conspiracy beliefs, health behaviors, and policy support
Transl Behav Med . 2020 Oct 8;10(4):850-856.
PMID: 32910819
【フリー】
㊴「日本における新型コロナウイルスワクチンへのためらいの割合の調査結果。分析した23,142件の回答のうち、COVID-19ワクチンのためらいの割合は11.3%(95%CI:10.9~11.7%)であった。この割合は、若年層や女性回答者で高く、特に若年層の女性回答者では15.6%であったのに対し、高齢の男性回答者では4.8%と最も低い割合だった。ワクチンを接種しない理由として最も多く挙げられたのは、7割以上の回答者で副反応への懸念であった。日本におけるCOVID-19ワクチンのためらいの割合は、海外での先行研究と同程度であり、若年層では高齢者の2倍以上の割合であった。躊躇の要因としては、性別が女性であること、一人暮らしであること、社会経済的地位が低いこと、特に高齢者では重度の心理的苦痛があることなどが挙げられた。」
COVID-19 Vaccine Hesitancy and Its Associated Factors in Japan
Vaccines (Basel) . 2021 Jun 17;9(6):662.
PMID: 34204465
【フリー】
☆その他
㊵「50歳以上の高齢者(n=6,295)を対象に、ポリファーマシーの全死因および原因別死亡率との関連を調査。5~9種類の長期服用薬を毎日服用している場合をポリファーマシー、10剤以上を高度ポリファーマシーと定義。6年間の追跡調査で、ポリファーマシー(19.3%)および高度ポリファーマシー(2.4%)は、無投薬と比較してそれぞれHR 1.51(95%CI:1.05-2.16)および2.29(95%CI:1.40-3.75)にて全死亡と関連していた。また、心血管疾患(CVD)による死亡リスクをそれぞれ2.45(95%CI:1.13-5.29)および3.67(95%CI:1.43-9.46)倍に高めた。」
J Gerontol A Biol Sci Med Sci . 2021 Jun 3;glab155.
PMID: 34079992
【アブストのみ】
㊶「ポリファーマシーとCOVID-19の転帰との関連を検討した研究のシステマテックレビュー。総サンプルは474,342、そのうちCOVID-19陽性患者は10,519人、COVID-19陽性患者のうち4,818人がポリファーマシーを経験していた。対象となった7件の研究のうち5件で、ポリファーマシーとCOVID-19患者の負の臨床転帰との関連が認められた。ポリファーマシーは、COVID-19検査結果陽性の相対リスクの増加(P<0.01)、男性COVID-19患者の死亡(P<0.001)、急性腎障害の発生率の増加(P=0.003)、および薬物有害事象(P<0.001)と関連していた。抗精神病薬は、COVID-19感染男性(OR 1.71;95%CI:1.18~2.48)および女性(OR 1.96;95%CI:1.41~2.73)の死亡リスク増加や重度のCOVID-19罹患率(OR 2.79;95%CI:2.23~3.49)の増加と関連していた.」
Polypharmacy among COVID-19 patients: A systematic review
J Am Pharm Assoc (2003) . 2021 May 26;S1544-3191(21)00188-6.
PMID: 34120855
【フリー】
㊷「ポリファーマシーを受けている高齢者のコホートにおいて、他の薬剤を維持したままスタチン系薬剤の使用を中止することの臨床的意味を評価した後ろ向きコホート研究。コホートには、ポリファーマシー患者29,047人(平均年齢76.5歳;男性62.9%)が含まれていた。20.0%が他の薬を継続しながらスタチンを中止し、68.9%が比較対照者とマッチング。維持群と比較して、中止群では心不全による入院(HR 1.24;95%CI:1.07~1.43)およびあらゆる心血管転帰による入院(HR 1.14;95%CI:1.03~1.26)、総死亡(HR 1.15;95%CI:1.02~1.30)、全緊急入院(HR 1.12;95%CI:1.05~1.19)のリスクが増加した。」
Am J Psychiatry . 2021 Apr 26;appiajp202020071038.
PMID: 34125221
【フリー】
㊸「慢性腎臓病患者における潜在的に不適切な処方(PIMs)の有病率を検討した横断研究。3624名のCKD患者を対象とし、ステージ3、4、5のCKD患者はそれぞれ79%、15%、6%であった。ステージ3、4、5のCKD患者のうち、少なくとも1つのPIPMを有していたのは、それぞれ22%、78%、69%であった。ロジスティック回帰の結果、ステージ4、5のCKD患者は、ステージ3の患者と比較して、PIMsを持つ確率が7~14倍であることがわかった(p<0.001)。またPIMsは、女性(OR 1.25;p=0.008)、ポリファーマシーの増加(OR 1.30-1.57;p≦0.01)と関連していた。」
J Gen Intern Med . 2021 Jan 27.
PMID: 33506400
【フリー】
㊹「アルツハイマー病および関連する認知症(ADRD)の外来患者における潜在的に不適切な薬剤(PIMs)の使用に関する横断研究。2.1%(n= 4,651,563)がADRDを有する高齢者であり、そのうち33.2%が少なくとも1つのCog-PIM(認知機能障害や衰えに関連した潜在的に不適切な薬剤の使用)を報告していた。抗コリン系のCog-PIMは、ADRD患者の20.5%に認められたのに対し、非ADRD患者では8.1%だった。抗精神病薬によるPIMは、ADRD患者の15.5%に認められたのに対し、非ADRD患者では0.8%であった。ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系受容体作動薬の催眠薬(Z剤)のCog-PIMは、ADRD患者の10.9%、非ADRD患者の10.7%で報告された。ADRDの状態は、Cog-PIM報告全体(aOR 2.74;95%CI:1.20-6.27)、特に抗コリン剤と抗精神病薬(それぞれaOR 3.35;95%CI:1.24-9.03およびaOR 22.80;95%CI:5.80-89.50)の有意な予測因子であった。」
Drugs Real World Outcomes . 2021 Jun 10.
PMID: 34114133
【フリー】
㊺「睡眠薬の長期有効性を検討した後ろ向きコホート研究(睡眠薬を開始した238名の女性と447名の非使用者をマッチング;平均年齢49.5歳)。過去2週間の睡眠障害(入眠困難、頻回の覚醒、早朝覚醒)を自己申告し、5段階のリッカート尺度を用いて、どの夜も困難ではない(評価1)から週に5日以上困難である(評価5)までの範囲で評価。ベースライン時の睡眠障害の評価はほぼ同じで、睡眠薬使用者の平均スコアは、入眠困難2.7、頻回起床3.8、早朝覚醒2.8、非使用者の評価はそれぞれ2.6、3.7、2.7であった。1年後の評価は、薬の使用者では、「入眠」が2.6、「頻回起床」が3.6、「早朝覚醒」が2.8、非使用者では、それぞれ平均2.3、3.5、2.5であった。1年後の変化はいずれも統計的に有意ではなく、薬の使用者と非使用者の間にも違いは見られなかった。2年間の追跡調査の結果は一貫しており、薬の使用者は非使用者に比べて睡眠障害が統計的に有意に減少することはなかった。」
BMJ Open . 2021 May 11;11(5):e045074.
PMID: 33975865
【フリー】
㊻「急性心房細動の治療において静注Mg+とプラセボを比較したRCTのメタ解析(6試験;n=745)。標準治療に加えてMg2+を静注することは、標準治療単独に比べて心拍コントロール(63% vs 40%;OR 2.49;95%CI:1.80-3.45)および洞調律への移行(21% vs 14%;OR 1.75;95%CI:1.08-2.84)の達成に優れていた。また、Mg2+の静脈内投与を受けた患者ではプラセボと比較してフラッシングが頻繁に認められた(9% vs 0.4%;OR 19.79:95%CI:4.30-91.21)。サブグループ解析では、プラセボと比較した場合、高用量(5g以上)と比較して、低用量(5g以下)のMg2+静注がリズムコントロールに優れていることが示された(16% vs 13%;OR 1.23:95%CI:0.65-2.32)。」
J Cardiol . 2021 Jun 20;S0914-5087(21)00151-9.
PMID: 34162502
【アブストのみ】
㊼「認知症高齢者におけるAChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)の使用と抗ムスカリン薬のカスケードとの関連を検討した後ろ向きコホート研究。AChEIの使用を開始した認知症高齢者47,059人を対象。これらの患者のほとんどはドネペジル(83.1%)で開始され、次いでリバスチグミン(12.3%)、ガランタミン(4.6%)であった。AChEI処方後6ヵ月以内に3.7%が抗コリン薬の使用を開始した(ドネペジル(3.9%)、リバスチグミン(2.6%)、ガランタミン(2.9%))。Cox比例ハザード分析では、ドネペジルの使用者は、リバスチグミンと比較して抗コリン薬の投与を受けるリスクが高いことが明らかになった(aHR 1.55;95%CI:1.31-1.83)。」
Antimuscarinic Cascade Across Individual Cholinesterase Inhibitors in Older Adults with Dementia
Drugs Aging . 2021 May 24.
PMID: 34027602
【アブストのみ】
㊽「片頭痛に対するメマンチンの有効性を検討したRCTのメタ解析(3試験)。対照群と比較して、メマンチン治療は毎月の発作頻度の大幅な減少(平均差(MD) -2.14;95%CI:-2.83 to -1.46)、片頭痛日数の減少(MD -4.17;95%CI:-6.40 to -1.93)、Migraine Disability Assessment(MD -5.63;95%CI:-6.46 to -4.79)が、急性疼痛治療薬使用(MD -1.23; 95%CI:-4.63 to 2.17)への明らかな影響は見られなかった。」
Clin Neuropharmacol . 2021 May-Jun 01;44(3):94-98.
PMID: 33961371
【フリー】
㊾「片頭痛発作時におけるeptinezumab100mg(n=242)の有効性と安全性をプラセボ(n=238)と比較したRCT(n=480;平均年齢44歳;女性84%)。eptinezumab群の方がプラセボ群と比較して、統計学的に有意に早く頭痛の痛みがなくなり(中央値 4時間 vs 9時間;HR 1.54;P < 0.001)、最も気になる症状がなくなった(中央値 2時間 vs 3時間;HR 1.75;P < 0.001)。点滴後 2 時間の時点で頭痛の痛みがなくなったのは、eptinezumab群で 23.5%、プラセボ群で 12.0%であった(群間差 11.6%;95%CI:4.78%-18.31%;OR 2. 27;95%CI:1.39-3.72)、最も気になる症状がなかったのは55.5%と35.8%(群間差 19.6%;95%CI:10.87%-28.39%;OR 2.25;95%CI:1.55-3.25)であった。24 時間以内にレスキュー薬を使用した患者は、プラセボ群に比べて統計的に有意に少なかった(31.5% vs 59.9%;群間差 -28.4%;95%CI:-36.95% to -19.86%;OR 0.31;95%CI:0.21-0.45)。有害事象は、eptinezumab群10.9%とプラセボ群10.3%に発生した。」
JAMA . 2021 Jun 15;325(23):2348-2356.
PMID: 34128999
【フリー】
㊿「調整ロボットシステム(WEINAS)による抗がん剤混注と安全キャビネット(BSC)での手作業の混注とで汚染リスクを比較。リスクの高いフルオロウラシル、シクロホスファミド、ゲムシタビンが対象となった。3種類の薬剤全てで外部汚染が測定された。フルオロウラシルのバイアルで検出された汚染は平均904.33ng/バイアルと最も高く、次いでシクロホスファミド(43.51ng/バイアル)、ゲムシタビン(保護されていないバイアルで5.92ng/バイアル,保護されているバイアルで0.66ng/バイアル)であった。全体としてロボットシステムの混注による環境汚染は、BSC内での手作業による混注に比べて大幅に減少した。特に、手作業での混注と比べ、ロボットでの混注時の輸液バッグの表面汚染は、シクロホスファミドで約9倍(10.62 ng/cm2 vs 90.43 ng/cm2)、フルオロウラシルで約2倍(3.47 ng/cm2 vs 7.52 ng/cm2)、ゲムシタビンで約23倍(2.61 ng/cm2 vs 62.28 ng/cm2)に低減した。」
J Oncol Pharm Pract . 2021 Jun 24;10781552211023571.
PMID: 34162245
【フリー】
51「脳卒中生存者におけるSSRIのRCTのメタ解析(4試験(フルオキセチン3件,シタロプラム1件);n=6,549)。SSRIによる6ヵ月間の治療は、プラセボと比較して、骨折のリスクを2.36(95%CI:1.64-3.39)増加させたが、転倒、痙攣、脳卒中の再発のリスクは統計的に有意に増加させなかった。」
Stroke . 2021 Jun 25;STROKEAHA120032973.
PMID: 34167325
【アブストのみ】
52「40歳以上の男性患者418名を対象に、一晩に2回以上の夜間頻尿と高血圧症および降圧剤(AHT)との関連性を検討した後ろ向きコホート研究。カルシウム拮抗薬(CCB)を服用している患者は、AHTを服用していない患者よりも夜間頻尿を経験していた(CCB単独、CCB+他のAHT、他のAHT単独での夜間頻尿回数はそれぞれ、1.77±1.07、1.90±1.19、1.48±0.98、対してAHTを服用していない患者では1.35±1.08であり、それぞれp=0.014、p<0.0001、p=0.91であった)。多変量解析では CCB(OR 2.68;p<0.0001)と年齢(OR 1.06;p<0.0001)は、臨床的に重要な夜間頻尿と独立して関連していた。」
Calcium Channel Blockers Are Associated with Nocturia in Men Aged 40 Years or Older
J Clin Med . 2021 Apr 9;10(8):1603.
PMID: 33918949
【フリー】
53「血液透析患者へのエリスロポエチン投与による脳卒中リスクを検討した後ろ向きコホート研究(n=12,948)。エリスロポエチン投与群では、非投与群に比べて脳卒中のリスクは増加せず(aHR 1.03;95%CI:0.92-1.15)、脳卒中のサブタイプ別でも同様の結果であった(虚血性脳卒中:HR 1.08;95%CI:0.93-1.26、出血性脳卒中:HR 0.96;95%CI:0.78-1.18、特定不能の脳卒中:HR 1.03;95%CI:0.80-1.32)。」
J Am Heart Assoc . 2021 Jun 26;e019529.
PMID: 34176302
【フリー】
54「中等度から重度の喘息患者における3剤併用療法(ICS/LABA/LAMA)と2剤併用療法(ICS/LABA)を比較したRCTのメタ解析(20試験;n=11,894;平均年齢52歳;女性57.7%)。3剤併用療法は2剤併用療法と比較して、重症増悪リスクの低減(22.7% vs 27.4%;リスク比 0.83;95%CI:0.77~0.90;9試験;n=9,932例)および喘息コントロールの改善(標準化平均差(SMD) -0.06;95%CI:-0.10 to -0.02)、ACQ-7スケールの平均差( -0.04;95%CI:-0.07 to -0.01;14試験;n=11,230)と有意に関連していた。死亡率(0.12% vs 0.12%;リスク比 0.96;95%CI:0.33~2.75;17試験;n=11,595例)に有意な差は認められなかった。3剤併用療法は、ドライマウスおよび発声障害の増加と有意に関連していた(3.0% vs 1.8%;リスク比 1.65;95%CI:1.14~2.38;10試験;n=7,395例)。」
JAMA . 2021 Jun 22;325(24):2466-2479.
PMID: 34009257
【フリー】
55「過体重または肥満の成人におけるフェンテルミン/トピラマート療法と体重減少および有害事象との関連を検討したRCTのメタ解析。フェンテルミン/トピラマート療法では、プラセボと比較して平均7.73kg(95%CI:6.60~8.85)の体重減少が認められた。体重減少はフェンテルミン/トピラマートの投与量に関連しており、プラセボと比較して3.75/23mgでは3.55kg(95%CI:2.22-4.8)、7.5/46mgでは7.27kg(95%CI:6.40-8.13)、15/92mgでは8.25kg(95%CI:6.92-9.79)の平均体重減少が認められた。プラセボと比較しての主な有害事象は、味覚異常(OR 8.86;95%CI:5.65-13.89)、知覚異常(OR 8.51;95%CI:6.20-11.67)、口渇(OR 6.71;95%CI:5.03-8. 94)、注意力障害(OR 4.48;95%CI:2.39-8.41)、過敏性(OR 4.10;95%CI:2.29-7.33)、感覚減退(OR 3.81:95%CI:1.32-11.00)などの症状があった。」
Obesity (Silver Spring) . 2021 Jun;29(6):985-994.
PMID: 33864346
【アブストのみ】
56「痛みを伴う糖尿病性末梢神経障害(PDPN)に対するガバペンチンとデュロキセチンの有効性と安全性を検討したRCTのメタ解析(3試験;n=290)。デュロキセチンとガバペンチンを投与された患者間で、VAS(平均変化量差 -1.23;95%CI:-6.09~3.62)、睡眠干渉スコア(平均変化量差 0.42;95%CI:-0.15 to 1.00)等の全てのスコアで有意差は認められなかった。」
Int J Clin Pract . 2021 Jun 25;e14576.
PMID: 34171158
【アブストのみ】
57「不安障害、強迫性障害、ストレス関連障害へのSSRIおよびSNRIの有効性を検討したRCTのメタ解析(135試験;n=30,245)。すべての薬剤は、プラセボと比較して内向性症状の総合指標においてすべての症状領域で、またすべての診断カテゴリーの患者においてプラセボよりも有効であった(標準化平均差(SMD) -0.56;95%CI:-0.62 to -0.51;p < 0.001)。」
PLoS Med . 2021 Jun 10;18(6):e1003664.
PMID: 34111122
【フリー】
58「デクスメデトミジンは、他の鎮静剤やプラセボと比較して、ICUで非侵襲的換気(NIV)を開始した成人の急性呼吸不全患者におけるせん妄のリスク、死亡率、挿管や人工呼吸の必要性、ICU滞在期間を減少させるかどうかを検討したRCTのメタ解析(12試験;n=738)。デクスメデトミジンの使用は、他の鎮静法やプラセボと比較して、挿管のリスク(RR 0.54;95%CI:0.41-0.71)、せん妄(RR 0.34;95%CI:0.22-0.54)、ICU滞在期間(平均差(MD) -2.40日; 95%CI:-3.51 to -1.29日)を減少させた。デクスメデトミジンの使用は、徐脈(RR 2.80;95%CI:1.92-4.07)および低血圧(RR 1.98;95%CI:1.32-2.98)のリスク増加と関連していた。」
Chest . 2021 Jun;159(6):2274-2288.
PMID: 33434496
【アブストのみ】
59「放射線造影剤の静脈内投与が長期的腎障害と関連しているかどうかを検討した観察研究(n=156,028;平均年齢53歳;男性44%;ベースラインのeGFRの平均値86 mL/min/1.73 m2)。6ヵ月後のeGFRと造影剤の関連性を示すエビデンスはなく、eGFRの変化は平均で-0.4mL/min/1.73m2(95%CI:-4.9 to 4.0)であった。同様に、腎代替療法の必要性(リスク差(RD) 0.07%;95%CI:-0.47% to 0.61%)、死亡率(RD 0.3%;95%CI:-2.9% to 3.2%)、急性腎障害(RD 4.3%;95%CI:-2.7% to 12.9%)との関連性を示す証拠はなかった。」
Association of Intravenous Radiocontrast With Kidney Function: A Regression Discontinuity Analysis
JAMA Intern Med . 2021 Jun 1;181(6):767-774.
PMID: 33818606
【フリー】
60「オピオイドとZドラッグの併用による過量服用のリスクを検討したコホート研究。510,529人の曝露患者と同数をマッチング。過剰服用によるイベントは、曝露患者では52.5件/1万人年、基準患者では14.4件/1万人年で、調整後のハザード比は2.29(95%CI:1.79-2.91)となった。」
Am J Psychiatry . 2021 Jul;178(7):643-650.
PMID: 33900810
【アブストのみ】
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!