リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

個人的に気になった最新論文約30選の要約(2021.3)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!

論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。

日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。

癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。

 

【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。

それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。

 

今回は2021年3月分を。41取り上げております。

 

 

 

☆糖尿病関連

①「ベースラインのCVDがない40歳以上の成人のうち,糖尿病のない人,または最近2型糖尿病と診断された人を抽出した韓国のコホート(n=363,919)を2型糖尿病の有無とインスリン使用の有無で分類した3つのグループに分け、心筋梗塞(MI)、脳卒中、全死亡のハザード比(HR)を分析。平均7.8年の間に心筋梗塞5,275件、脳卒中7,220件、死亡15,834件が発生し、インスリン治療を受けた2型糖尿病群の方が非糖尿病群よりもそれぞれの発生率が高かった(心筋梗塞:HR 2.344;95%CI:1.870-2.938、脳卒中:HR 2.420;95%CI:1.993-2.937、死亡:HR 3.037;95%CI:2.706-3.407)。また、インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者では、非糖尿病患者よりも高かった(心筋梗塞:HR 1.284;95%CI:1.159-1.423、脳卒中:HR 1.435;95%CI:1.320-1.561、死亡:HR 1.135;95%CI:1.067-1.206)。さらに、インスリン治療を受けた2型糖尿病患者は、非治療の2型糖尿病患者よりも高かった(心筋梗塞:HR 1.914;95%CI:1.502-2.441、脳卒中:HR 1.676;95%CI:1.363-2.060、死亡:HR 2.535;95%CI:2.232-2.880)。」

Risk of early mortality and cardiovascular disease according to the presence of recently diagnosed diabetes and requirement for insulin treatment: A nationwide study

J Diabetes Investig . 2021 Mar 4.

PMID: 33662172

【フリー】

 

 

②「インスリン グラルギン(n=407,018)、インスリン デテミル(n=141,588)、またはNPHインスリン(n=26,402)を開始した65歳以上を対象に、低血糖による最初のED訪問または入院までの時間を比較(n=575,008;平均年齢74.9歳;女性53%)。低血糖によるED訪問または入院は7347件(グラルギン:5194件、デテミル:1693件、NPHインスリン:460件)で、3つのコホートの追跡期間の中央値は0.37年(四分位範囲:0.20~0.76年)であった。グラルギンとデテミルの使用開始は、NPHインスリンの使用開始と比較して低血糖のリスクを減少させた(グラルギン vs NPHインスリン:HR 0.71;95%CI:0.63-0.80、デテミル vs NPHインスリン:HR 0.72;95%CI:0.63-0.82)。再発イベントの解析でもHRは同様であった。」

Severe Hypoglycemia Risk With Long-Acting Insulin Analogs vs Neutral Protamine Hagedorn Insulin

JAMA Intern Med . 2021 Mar 1;e209176.

PMID: 33646277

【アブストのみ】

 

 

③「2型糖尿病患者における、インスリン治療に伴う全死亡、心血管死亡、急性心筋梗塞、脳卒中のリスクを評価したRCTのメタ解析(n=24,348;26試験)。インスリンは、全死亡率(RR 0.99;95%CI:0.92-1.06)、心血管死亡率(RR 1.01;95%CI:0.91-1.13)、心筋梗塞(RR 1.02;95%CI:0.92-1.15)、脳卒中(RR 0.87;95%CI:0.68-1.12)の増加とは関連しなかったが、重度の低血糖症リスクを増加させた(RR 2.98;95%CI:2.47-3.61)。すべての解析において、統計的異質性は低かった。」

All-cause mortality and cardiovascular safety of basal insulin treatment in patients with type 2 diabetes mellitus: A systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis

Diabetes Res Clin Pract . 2021 Mar;173:108688.

PMID: 33549676

【アブストのみ】

 

 

④「SGLT2iとGLP-1RAの腎結石リスクを比較したコホート研究。それぞれを開始した40歳以上をマッチングした12,325組(年齢の中央値:61歳、追跡期間の中央値:2.0年)のペアを用いて評価。腎結石の発生率は、SGLT2I群では2.0/1000人年、GLP1 RA群では4.0/1000人年で、発生率の差は-1.9/1000人年(95%CI:-2.8 to -1.0)、HRは0.51(95%CI:0.37-0.71)であった。再発性腎石症は、率の差は-17/1,000人年(95%CI:-33 to -1.5)、HRは0.68(95%CI:0.48-0.97)であった。」

Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors and risk of nephrolithiasis

Diabetologia . 2021 Mar 13.

PMID: 33715024

【アブストのみ】

 

 

⑤「高齢の2型糖尿病患者を対象としたGLP-1 RAまたはSGLT2阻害薬の心血管アウトカムを検討した試験のメタ解析(n=93,502;11試験)。GLP-1製剤は、65歳以上の高齢者において主要心血管イベント(MACE)、心血管死、脳卒中、心筋梗塞を減少させた(HR 0.86;95%CI:0.80-0.92)。同じ年齢のサブグループでは、SGLT2阻害剤はMACEを減少させたが(HR 0.90;95%CI:0.83-0.98)、MACEの構成要素には影響を与えなかった。また、SGLT2阻害剤は心不全による入院を減少させ(HR 0.62;95%CI:0.51-0.76)、腎不全の複合エンドポイントを減少させた(HR 0.57;95%CI:0.43-0.77)。75歳以上の患者を対象としたメタアナリシスでも、同様の結果が得られた。」

GLP-1 receptor agonists and SGLT2 inhibitors for older people with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis

Diabetes Res Clin Pract . 2021 Mar 8;174:108737.

PMID: 33705820

【アブストのみ】

 

  

☆抗凝固/抗血小板薬関連

⑥「DOACとワルファリンの腎アウトカム(急性腎障害、腎機能の悪化、血清クレアチニンの倍増、末期腎疾患を含む)の発生率およびハザード比(HR)を報告しているRCTおよび観察研究のメタ解析(n=285,201(DOAC:n=166,338,ワルファリン:n=118,863);18試験)。DOAC群はワルファリン群と比較してすべての腎転帰の発生率が低かった(急性腎障害:HR 0.70; 95% CI:0.64-0.76、腎機能の悪化:HR 0.83;95%CI:0.76、血清クレアチニンの倍増:HR  0.58; 95%CI:0.41-0.82、末期腎疾患:HR 0.82;95%CI:0.78-0.86)。」

Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants Provide Less Adverse Renal Outcomes Than Warfarin In Non-Valvular Atrial Fibrillation: A Systematic Review and MetaAnalysis

J Am Heart Assoc . 2021 Apr 6;10(7):e019609.

PMID: 33728927

【フリー】

 

 

⑦「心房細動を有する血液透析患者132名を対象に、目標INRを2〜3としたVK拮抗薬、リバーロキサバン10mgを1日1回投与、またはリバーロキサバンとビタミンK2を投与する群に割り付け、主要評価項目として致死性および非致死性の心血管イベントの複合の発生率を比較したRCT(追跡期間の中央値:1.88年)。主要エンドポイントの発生率はVKA群で63.8/100人年、リバーロキサバン群で26.2/100人年、リバーロキサバンとビタミンK2群で21.4/100人年であった。推定ハザード比はVKA 群と比較してリバーロキサバン群で 0.41(95%CI:0.25-0.68)、リバーロキサバンとビタミン K2 群で0.34(95%CI:0.19-0.61)であった。VKA 群と比較した生命を脅かす大出血のハザード比は、リバーロキサバン群で0.39(95%CI:0.17-0.90)、リバーロキサバンとビタミン K2 群で0.48;95%CI:0.22-1.08)であった。」

Safety and Efficacy of Vitamin K Antagonists versus Rivaroxaban in Hemodialysis Patients with Atrial Fibrillation: A Multicenter Randomized Controlled Trial

J Am Soc Nephrol . 2021 Mar 22;ASN.2020111566.

PMID: 33753537

【アブストのみ】

 

 

⑧「DOACとワルファリンの骨折リスクを比較した試験のメタ解析(29研究(コホート研究5件、RCT24件);n=388,209)。DOAC を投与された患者は、ワルファリンを投与された患者よりも骨折のリスクが低く(RR 0.84;95%CI:0.77-0.91;I2=38.9%)。また、DOACはワルファリンに比べて股関節骨折のリスクを有意に低下させ(RR 0.89;95%CI:0.81-0.98)、椎体骨折のリスクに有意差がなかった(RR 0.74;95%CI:0.54-1.01)。」

Fracture Risks in Patients Treated With Different Oral Anticoagulants: A Systematic Review and Meta-Analysis

J Am Heart Assoc . 2021 Apr 6;10(7):e019618.

PMID: 33759542

【フリー】

 

 

⑨「弁膜症性心房細動患者におけるワルファリンと比較したDOACの有効性と安全性を評価した後ろ向きコホート研究。傾向スコアでマッチ56,336人のうち、DOACの使用はワーファリンの使用と比較して虚血性脳卒中または全身性塞栓症のリスク(HR 0.64;95%CI:0.59-0.70)および大出血イベント(HR 0.67;95%CI:0.63~0.72)の低下と関連していた。薬剤別ではアピキサバン(HR 0.54;95%CI:0.47~0.61およびHR 0.52;95%CI:0.47-0.57)、リバーロキサバン(HR 0.74;95%CI:0.64-0.86およびHR 0.87;95%CI:0.79-0.96)、ダビガトラン(HR 0.81;95%CI:0.68-0.97およびHR 1.03;95%CI:0.81~1.31)だった。」

Effectiveness and Safety of Direct Oral Anticoagulants Versus Warfarin in Patients With Valvular Atrial Fibrillation : A Population-Based Cohort Study

Ann Intern Med . 2021 Mar 30.

PMID: 33780291

【アブストのみ】

 

 

⑩「エドキサバンの低用量レジメン(LDER;30mgを1日1回(減量群:15mg)と高用量レジメン(HDER;60mgを1日1回(減量群:30mg)における正味の臨床転帰(NCO)の発現率を比較したRCT。主要NCO(脳卒中/全身性塞栓症[SEE]、大出血、死亡)は、LDERの方で頻度が低かった(7.26% vs 8.01%;HR 0.90;95%CI:0.84~0.98)。二次評価(脳卒中による障害、生命を脅かす出血、全死亡)および三次評価(脳卒中、SEE、生命を脅かす出血、全死亡)は、2つの投与レジメン間で同等であった。脳卒中/SEEのリスクはLDERで有意に高かった(2.04% vs 1.56%;HR:1.31;95%CI:1.12~1.52)。一方、大出血、頭蓋内出血、消化管出血、および生命に関わる出血の発生頻度は、HDERに比べてLDERで有意に低かった。」

Randomized, Double-Blind Comparison of Half-Dose Versus Full-Dose Edoxaban in 14,014 Patients With Atrial Fibrillation

J Am Coll Cardiol . 2021 Mar 9;77(9):1197-1207.

PMID: 33663737

【フリー】

 

 

⑪「経口抗凝固薬(OAC)投与中に出血で入院した66歳以上の成人を対象に、OACの再開を時変共変量として調整した血栓症、出血、死亡の原因別調整ハザード比(HR)を算出したコホート研究。消化管出血(n=4,297;63.3%)、頭蓋内出血(n=805;11.9%)、その他の出血(n=1,691;25.0%)の患者(n=6,793)を対象とした。コホート参加時、57%にワルファリンが、43.0%にDOACが処方されていた。経口抗凝固薬が再開されたのは70.5%であり、再開までの期間の中央値は46日(四分位範囲6~550)であった。抗凝固薬の再開は、血栓症の発生率(調整後のHR 0.60;95%CI:0.50~0.72)と死亡率(調整後HR 0.54;95%CI:0.48~0.60)を低下させ、再出血の発生率(調整後HR 1.88;95%CI 1.64~2.17)を上昇させることがわかった。」

Rates of rebleeding, thrombosis and mortality associated with resumption of anticoagulant therapy after anticoagulant-related bleeding

CMAJ . 2021 Mar 1;193(9):E304-E309.

PMID: 33649169

【フリー】

 

 

⑫「血栓溶解療法を受けた初回の虚血性脳卒中患者6252例(年齢中央値69歳、男性60%、追跡期間の中央値2.5年)における症状発現から血栓溶解療法までの時間と死亡/虚血性脳卒中の再発の複合症状の長期的な発生率との関連を検討した観察研究(中央値:138分)。90分以内の血栓溶解療法と比較して、血栓溶解療法までの時間が90分を超えると、複合転帰の発生率が高かった(91~180分:aHR 1.25;95%CI:1.06~1.48、181~270分:aHR 1.35;95%CI:1.12~1.61)。」

Time to Thrombolysis and Long-Term Outcomes in Patients With Acute Ischemic Stroke: A Nationwide Study

Stroke . 2021 May;52(5):1724-1732.

PMID: 33657854

【アブストのみ】

 

 

⑬「高齢のACS患者において、強力なP2Y12阻害剤(プラスグレルまたはチカグレロル)の有効性と安全性をクロピドグレルと比較検討したRCTのメタ解析(n=10,792;9試験)。クロピドグレルと比較した場合、強力なP2Y12阻害剤のMACEリスク(HR 0.94;95%CI:0.85~1.06;I2=9%)および全死亡(HR 0.89;95%CI:0.74-1.07;I2=29%)は同等であったが、心血管死亡のリスクは減少し(HR 0.82;95%CI:0.68-0.98;I2=16%)、大出血のリスクは増加した(HR 1.27;95%CI:1.04-1.56;I2=0%)。サブ解析ではチカグレロはクロピドグレルと比較して、全死亡(HR 0.73;95%CI:0.55-0.98)および心血管死亡(HR 0.70;95%CI:0.54-0.90)を減少させた。」

Potent P2Y12 inhibitors versus Clopidogrel in elderly patients with acute coronary syndrome: Systematic review and meta-analysis

Am Heart J . 2021 Mar 15;237:34-44.

PMID: 33737060

【アブストのみ】

 

  

⑭「高齢者の薬剤溶出性ステントを用いたPCI後のDAPTを標準的な期間と短期間(3か月以下、その後P2Y12阻害剤の単剤投与)の安全性と有効性を比較したRCTのメタ解析(n=8,961;4試験)。標準的な期間と比較して、短期間のDAPTは大出血の発生率(RR 0.70;95%CI:0.47; 1.05;I2=68%)および有効性の複合エンドポイント(RR 0.85;95%CI:0.63; 1.14)と同程度であった。」

Safety and efficacy of very short dual antiplatelet therapy followed by P2Y12 inhibitor monotherapy in older patients undergoing percutaneous coronary intervention: meta-analysis of randomised controlled trials

Age Ageing . 2021 Mar 22;afab047.

PMID: 33755049

【アブストのみ】

 

 

☆循環器関連(抗凝固/抗血小板薬以外)

⑮「急性虚血性脳卒中(AIS)患者へのエダラボンの効果をプラセボまたは無治療と比較したRCTのメタ解析(7試験;n=2,069)。死亡率は3ヵ月後の追跡調査で、エダラボン群で有意に低下した(RR 0.55(95%Cl:0.43-0.7;I2=0))であった。3ヵ月後の追跡調査での神経学的障害の改善に関するRRは、4つのRCTで1.54(95%CI:1.27-1.87;I2=0)であり、エダラボンを2週間使用した研究でのRRは1.42(95%CI:1.10〜1.83;I2=0%)、エダラボンを1週間使用した研究では1. 64(95%CI:1.24-2.16;I2=0%)、平均年齢が60歳以上の患者を対象とした試験では1.52(95%CI:1.24-1.87;I2=0%)、平均年齢が60歳未満の患者を対象とした試験では1.80(95%CI:1.05-3.08;I2=0%)であった。」

Clinical effects and safety of edaravone in treatment of acute ischaemic stroke: A meta-analysis of randomized controlled trials

J Clin Pharm Ther . 2021 Feb 27.

PMID: 33638896

【フリー】

 

 

⑯「HFpEFのスピロノラクトンによる治療の腎機能悪化(WRF;CRE2.0倍増)リスクをプラセボと比較して評価したTOPCAT試験の事後解析。WRFは260名(14.7%)に発症し、スピロノラクトン群ではプラセボ群に比べて発症率が高かった(17.8% vs 11.6%;OR 1.66(95%CI:1.27~2.17))。」

Spironolactone in Patients With Heart Failure, Preserved Ejection Fraction, and Worsening Renal Function

J Am Coll Cardiol . 2021 Mar 9;77(9):1211-1221.

PMID: 33663739

【アブストのみ】

 

 

⑰「大動脈解離の治療を受けた患者における、β遮断薬、ACEI、ARB、またはその他の降圧薬(コントロール群)を長期間使用した後の転帰を比較した後ろ向きコホート研究。6978名の参加者のうち、3492名がβ遮断薬を、1729名がACEIまたはARBを、1757名がその他の抗高血圧薬を投与された。アウトカムは全死亡、大動脈瘤または解離による死亡、大動脈手術、主要な心臓および脳血管系の有害イベント、再入院、透析導入とした。複数の傾向スコアで調整した結果、3群間でいずれの臨床特性にも有意差はなかった。また、ACEIまたはARB群とβ遮断薬群の間で、すべてのアウトカムのリスクに差は認められなかった。再入院のリスクは、対照群と比較してACEIまたはARB群(HR 0.92;95%CI:0.84-0.997)およびβ遮断薬群(HR 0.87;95%CI:0.81-0.94)であった。全死亡リスクは、ACEIまたはARB群(HR 0.79:95%CI:0.71-0.89)およびβ遮断薬群(HR 0.82;95%CI:0.73-0.91)で、対照群に比べて低かった。」

Association of Long-term Use of Antihypertensive Medications With Late Outcomes Among Patients With Aortic Dissection

JAMA Netw Open . 2021 Mar 1;4(3):e210469.

PMID: 33656527

【フリー】

 

 

⑱「魚の摂取量と心血管イベントおよび死亡率リスクとの関連を検討した4つのコホート研究からのメタ解析(平均年齢54.1歳;n=191,558;男性47.9%)。PURE試験の9.1年間の追跡調査では、魚の摂取がほとんどない場合(50 g/月以下)と比較して、350 g/週以上の摂取は主要CVD(HR  0.95;95%CI:0.86-1.04)および総死亡(HR 0.96;95%CI:0.88-1.05)のリスクと関連しなかった。一方、血管疾患患者の3つのコホートでは主要CVDリスク(HR 0.84;95%CI:0.73-0.96)および総死亡リスク(HR 0.82;95%CI:0.74-0.91)のHRは、175g/週(または約2人前/週)以上の摂取量が50g/月以下と比較して最も低く、350g/週以上の摂取量ではHRの明らかな低下は見られなかった。」

Associations of Fish Consumption With Risk of Cardiovascular Disease and Mortality Among Individuals With or Without Vascular Disease From 58 Countries

JAMA Intern Med . 2021 Mar 8;e210036.

PMID: 33683310

【フリー】

 

 

⑲「日本人のHFrEF患者を対象に、エナラプリル(10mg×2回/日)と比較してのサクビトリル/バルサルタン(200mg×2回/日)の有効性と安全性を評価したRCT(n=225;追跡期間の中央値33.9か月)。主要複合アウトカムであるCV死亡およびHF入院は、両群間に有意差は認められなかった(HR 1.09;95%CI:0.65-1.82)。また、サクビトリル/バルサルタンはエナラプリルと比較して、ベースラインからのNT-proBNPの早期かつ持続的な低下が認められた(差:2週目 25.7%、6ヶ月目18.9%)。」

Efficacy and Safety of Sacubitril/Valsartan in Japanese Patients With Chronic Heart Failure and Reduced Ejection Fraction - Results From the PARALLEL-HF Study

Circ J . 2021 Apr 23;85(5):584-594.

PMID: 33731544

【フリー】

 

 

⑳「RAASi投与中に高カリウム血症(K≧5.3mEq/L)を発症した高齢者(n=49,571;平均年齢79歳)を対象に、その対応と再発率を検討した後ろ向きコホート研究。薬理学的介入を受けた患者(23%)では、RAASiの中止(74%)、RAASiの減量(15%)、利尿薬の増量(7%)、新規利尿薬(3%)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(1%)の順であった。1年以内の高カリウム血症の再発は34%。介入しなかった場合の35%と比較して、RAASiを中止した場合、高カリウム血症の再発の累積発生率は低かった(29%)(HR 0.82;95%CI:0.78~0.85)が、RAASiの減量(36%)(HR 0.94;95%CI:0.86~1.02)、新規利尿薬(32%)(HR 0.95;95%CI:0.78~1.17)では差がなく、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(55%)(HR 1.30;95%CI:1.04~1.63)では再発リスクが増加した。RAASiの中止は、介入を行わなかった場合と比較して、1年間の心血管イベント(HR 0.96;95%CI:0.91~1.02)および全死亡(HR 1.05;95%CI:0.96~1.15)のリスク上昇とは関連しなかった。」

Ambulatory Treatments for RAAS Inhibitor-Related Hyperkalemia and the 1-Year Risk of Recurrence

Clin J Am Soc Nephrol . 2021 Mar 8;16(3):365-373.

PMID: 33608262

【フリー】

 

 

㉑「EPA-DHAおよびVD補給のAF発症に及ぼす影響を検討するために、EPA-DHA(EPA 460 mg/d+DHA 380 mg/d)とビタミンD3(2,000 IU/d)を投与する群(n=6,272解析)、EPA-DHAとプラセボを投与する群(n=6,270)、ビタミンD3とプラセボを投与する群(n=6,281)またはプラセボ2個を投与する群(n=6,296)に無作為に割り付けて行われたRCT(n=25,119;平均年齢66.7歳;女性50.8%)。中央値5.3年の追跡期間中に、主要評価項目である心房細動の発生は900人であった。EPA-DHAとプラセボの比較試験では、心房細動が3.7%と3.4%に発生した(HR 1.09;95%CI:0.96-1.24)。ビタミンD3とプラセボの比較では、心房細動が発生したのはそれぞれ3.7%と3.4%であった(HR 1.09;95%CI:0.96-1.25)。2つの試験薬の間に相互作用の証拠はなかった(P=0.39)。」

Effect of Marine Omega-3 Fatty Acid and Vitamin D Supplementation on Incident Atrial Fibrillation: A Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Mar 16;325(11):1061-1073.

PMID: 33724323

【アブストのみ】

 

 

☆抗菌薬/感染症関連

㉒「生後6か月から10歳の小児の市中肺炎に対する高用量アモキシシリンの5日間投与と10日間投与とを比較したRCT(n=281;年齢の中央値2.6歳)。臨床的治癒は介入群88.6%、対照群90.8%に認められた(リスク差 -0.016;97.5%信頼限界 -0.087)。14~21日目の臨床的治癒は、介入群85.7%、対照群84.1%に認められた(リスク差 0.023;97.5%信頼限界 -0.061)。」

Short-Course Antimicrobial Therapy for Pediatric Community-Acquired Pneumonia: The SAFER Randomized Clinical Trial

JAMA Pediatr . 2021 Mar 8;e206735.

PMID: 33683325

【アブストのみ】

 

 

㉓「人工呼吸器関連菌性肺炎に対するテジゾリドとリネゾリドの有効性を比較した非劣性RCT。テジゾリド200mgを1日1回7日間静脈内投与する群(n=366)とリネゾリド600mgを12時間ごとに10日間静脈内投与する群(n=360)に割り付け。グラム陽性菌血症を併発している患者の治療期間は14日間とした。主要評価項目は、28日目の全死因死亡率    (ACM:非劣性マージン10%)および治癒判定時の臨床効果(TOC:非劣性マージン12.5%)であった。テジゾリドの28日目のACM発生率は28.1%、リネゾリドは26.4%(差 -1.8%;95%CI:-8.2~4.7)で非劣性を示した。TOCではテジゾリドの非劣性は証明されなかった(テジゾリド56.3% vs リネゾリド63.9%;差 -7.6%;97.5%CI:-15.7~0.5)。」

A Phase 3, Randomized, Double-Blind Study Comparing Tedizolid Phosphate and Linezolid for Treatment of Ventilated Gram-Positive Hospital-Acquired or Ventilator-Associated Bacterial Pneumonia

Clin Infect Dis . 2021 Mar 15;ciab032.

PMID: 33720350

【フリー】

 

 

㉔「米国退役軍人省(VA)の病院における接触予防策とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の伝播との関連を推定するために行われた後ろ向きコホート研究。米バージニア州の108病院を対象とし、200万人以上の個人が560万件以上の入院を経験し、そのうち14.1%がMRSAサーベイランス検査で接触予防策をとっていたと推定された。推定された伝播の減少率は43%(95%CI:38%~48%)から51%(95%CI:46%~55%)であった。10年間の調査期間全体では、接触予防策により感染が47%(95%CI:45%~49%)減少した。大規模施設や入院時のスクリーニングの遵守率が高い施設では、小規模施設や入院時のスクリーニングの遵守率が低い施設と比較して、接触予防策に関連した追加的な感染減少が観察された(RR 0.84;95%CI:0.74-0.96および0.74;95%CI:0.58-0.9)。」

Association Between Contact Precautions and Transmission of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in Veterans Affairs Hospitals

JAMA Netw Open . 2021 Mar 1;4(3):e210971.

PMID: 33720369

【フリー】

 

 

㉕「院内発症肺炎(HAP)および人工呼吸器関連肺炎(VAP)におけるカルバペネム系抗菌薬の有効性を他の抗菌薬レジメンと比較したRCTのメタ解析(n=5,498;20試験)。死亡率は,カルバペネムの使用によるリスク比(RR)は0.84(95%CI:0.74~0.96;P=0.01)であった。VAPの割合(33%未満、33%~66%、66%以上)で層別すると、RRはそれぞれ0.95(95%CI:0.77~1.17)、0.78(95%CI:0.57~1.07)、0.81(95%CI:0.65~0.99)であった。カルバペネムの使用は、耐性が発現する傾向を示し(RR 1.40;95%CI:0.95-2.06)、96%の確率で耐性が発現していた。」

Carbapenem Antibiotics for the Empiric Treatment of Nosocomial Pneumonia: A Systematic Review and Meta-analysis

Chest . 2021 Mar;159(3):1041-1054.

PMID: 33393468

【アブストのみ】

 

 

㉖「ペニシリンとセファゾリンの二重のアレルギーについて評価した研究のメタ解析(n=6,147;77試験)。ペニシリンアレルギーのある6,001人のうち44人にセファゾリンアレルギーが確認された(0.7%;95%CI:0.1-1.7%;I2=74.9%)。これはペニシリンアレルギーが確認された被験者(3.0%;95%CI:0.01-17.0%;I2=88.2%)よりも確認されていない被験者(0.6%;95%CI:0.1-1.3%;I2=54.3%)。また、セファゾリンアレルギーの既往がある16名でペニシリンアレルギーが確認され、メタ解析上の頻度は3.7%(95%CI:0.03-13.3%I2=64.4%)となった。」

Assessment of the Frequency of Dual Allergy to Penicillins and Cefazolin: A Systematic Review and Meta-analysis

JAMA Surg . 2021 Apr 1;156(4):e210021.

PMID: 33729459

【アブストのみ】

 

 

㉗「成人急性副鼻腔炎に対する標準用量のアモキシシリン(875mg)+クラブラン酸塩(125mg)(n=78)と高用量のアモキシシリン+クラブラン酸塩(アモキシシリンの量が2倍)(n=79)(それぞれ1日2回、7日間投与)の有効性を検討したRCT(n=157;平均年齢48.5歳;女性74.5%)。3日目の時点で、標準用量群44.3%、高用量群36.4%が「かなり良くなった」または「症状がない」と報告し、その差は-7.9%(95%CI:-24.4%~8.5%)であった。下痢は3日目までに、標準用量40.8%、高用量43.1%に報告された。」

High-Dose vs Standard-Dose Amoxicillin Plus Clavulanate for Adults With Acute Sinusitis: A Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2021 Mar 1;4(3):e212713.

PMID: 33755168

【フリー】

 

 

㉘「3日間の治療で安定していた市中肺炎患者において、5日間のβ-ラクタム薬の追加投与の必要性を評価することを目的としたRCT。中等度の重症市中肺炎で入院した成人患者(18歳以上)で、β-ラクタム薬による治療を3日間行った後、事前に規定した臨床的安定性基準を満たした患者をβ-ラクタム薬による治療(アモキシシリン1g+クラブラン酸125mgを1日3回経口投与)(n=151)またはプラセボ(n=152)を5日間追加投与した(n=303;年齢の中央値73歳;女性41%)。ITT解析では、15日目に治癒したのはプラセボ群77%、β-ラクタム群68%で、非劣性が示された(群間差 9.42%;95%CI:-0.38~20.04)。有害事象の発生率は治療群間で同等であった(プラセボ群14% vs β-ラクタム群19%)。」

Discontinuing β-lactam treatment after 3 days for patients with community-acquired pneumonia in non-critical care wards (PTC): a double-blind, randomised, placebo-controlled, non-inferiority trial

Lancet . 2021 Mar 27;397(10280):1195-1203.

PMID: 33773631

【アブストのみ】

 

 

㉙「COVID-19患者へのレムデシビルの有効性と安全性を検討したRCTのメタ解析(n=13,544;5試験)。レムデシビルを5日間投与された患者は、対照群に比べて臨床的な改善が見られ(OR 1.68;95%CI:1.18-2.40)、10日間投与群とプラセボ群の間には有意な差は見られなかった(OR 1.23(95%CI:0.90-1.68)。レムデシビルを投与された患者では退院の可能性が高く(10日間群 vs 対照群:OR 1.32;95%CI:1.09-1.60、5日間群 vs 対照群:OR 1.73;95%CI:1.28-2.35)、回復の可能性も高かった(10日間群 vs 対照群:OR 1.29(95%CI:1.03-1.60); 5日間群 vs 対照薬群:OR 1.80(95%CI:1.31-2.48))。一方、レムデシビル投与後の死亡率の改善は認められず、レムデシビル投与と有害事象のリスク増加との間に有意な関連性は認められなかった。」

Clinical efficacy and safety of remdesivir in patients with COVID-19: a systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials

J Antimicrob Chemother . 2021 Mar 24;dkab093.

PMID: 33758946

【フリー】

 

 

㉚「COVID-19の成人患者を対象に、トシリズマブの治療効果と安全性をプラセボまたは標準治療と比較したRCTのメタ解析(n=6,314;8試験)。主要アウトカムである28日目の死亡率は、トシリズマブ群が24.4%、対照群が29.9%であり、両群間に有意差は認められなかった(OR 0.92;95%CI:0.66-1.28;I2=62%)。トシリズマブ群は、対照群と比較して28日目の機械的換気(MV)およびICUへの入室率が低かった(MV使用:OR 0.75;95%CI:0.62-0.90;I2=11%、ICUへの入室:OR 0.51;95%CI:0.28-0.92;I2=30%)。治療に起因する有害事象(AE)(OR 1.03;95%CI:0.71-1.49;I2=43%)、重篤なAE(OR 0.86;95%CI:0.67-1.12;I2=0)、感染症(OR 0.87;95%CI:0.63-1.20;I2=0%)のリスクについては、これらの2つの治療群間に有意な差はなかった。」

The effect of tocilizumab on COVID-19 patient mortality: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

Int Immunopharmacol . 2021 Mar 24;96:107602.

PMID: 33812260

【フリー】

 

 

㉛「軽度のCOVID-19に対するイベルメクチンの有効性を検討するために、イベルメクチン1日あたり300μg/kg体重を5日間投与する群(n=200)とプラセボを投与する群(n=200)に無作為に割り付けたRCT(n=400;年齢の中央値37歳;女性58%)。症状が消失するまでの期間(中央値)は,イベルメクチン群が10日(IQR;9~13)であったのに対しプラセボ群は12日(IQR;9~13)であった(症状消失のHR 1.07;95%CI:0.87~1.32)。21日目までに、イベルメクチン群では82%、プラセボ群では79%が症状を消失した。」

Effect of Ivermectin on Time to Resolution of Symptoms Among Adults With Mild COVID-19: A Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Apr 13;325(14):1426-1435.

PMID: 33662102

【フリー】

 

 

㉜「COVID-19の疑いで体調不良となった65歳以上または50歳以上で少なくとも1つの合併症を有する人を、通常のケア+アジスロマイシン500mgを1日3日間投与(n=500)、通常のケア+他の介入(n=823)、または通常のケアのみ(n=797)に無作為に割り付けた非盲検試験(n=2,120)。アジスロマイシン+通常ケア群の80%、通常ケアのみ群の77%が28日以内に回復したが、自己申告による最初の回復までの期間に有意差はなかった(HR 1.08;95%CI:0.95~1.23)。」

Azithromycin for community treatment of suspected COVID-19 in people at increased risk of an adverse clinical course in the UK (PRINCIPLE): a randomised, controlled, open-label, adaptive platform trial

Lancet . 2021 Mar 20;397(10279):1063-1074.

PMID: 33676597

【フリー】

 

 

㉝「ICU入院したCOVID-19患者を対象に予防的抗凝固薬としてのエノキサパリンの中間用量(1mg/kg/日;n=276)と標準用量(40mg/日;n=286)の有効性と安全性を評価したRCT(n=562;年齢の中央値:62歳,女性42.2%)。主要評価項目(静脈または動脈血栓症、体外式膜灌流による治療、または30日以内の死亡の複合)は、中間用量群45.7%、標準用量群44.1%に発生した(絶対リスク差:1.5%(95%CI:-6.6% to 9.8%);OR 1.06(95%CI:0.76-1.48)。大出血は中間用量群2.5%、標準用量群1.4%に発生し(リスク差 1.1%(片側97.5%CI:-∞~3.4%);OR 1.83(片側97.5%CI:0.00~5.93))となり非劣性基準を満たさなかった。重度の血小板減少症は中用量群に割り付けられた患者にのみ発生した(リスク差 2.2%(95%CI:0.4%-3.8%)。」

Effect of Intermediate-Dose vs Standard-Dose Prophylactic Anticoagulation on Thrombotic Events, Extracorporeal Membrane Oxygenation Treatment, or Mortality Among Patients With COVID-19 Admitted to the Intensive Care Unit: The INSPIRATION Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Apr 27;325(16):1620-1630.

PMID: 33734299

【フリー】

 

㉞「無症候性のSARS-CoV-2感染患者を対象に、COVID-19ワクチンの無症候性COVID-19感染への有効性を検討した後ろ向きコホート研究。少なくとも1回のワクチンを接種し無症候性COVID-19と診断された人を、同期間にワクチンを受けていない人と比較。ワクチン接種者3,006人の検査のうち42件(1.4%)、ワクチン未接種者の患者45,327人の検査のうち1,436件(3.2%)で陽性となった(RR 0.44;95%CI:0.33-0.60)。ワクチン未接種者と比較して、1回目の接種から10日以上経過した者(RR 0.21;95%CI:0.12-0.37)および2回目の接種から0日以上経過した者(RR 0.20;95%CI:0.09-0.44)では、無症状のSARS-CoV-2感染のリスクが低かった。」

Impact of the COVID-19 Vaccine on Asymptomatic Infection Among Patients Undergoing Pre-Procedural COVID-19 Molecular Screening

Clin Infect Dis . 2021 Mar 10;ciab229.

PMID: 33704435

【フリー】

 

㉟「ロシア製COVID-19ワクチンであるGam-COVID-Vac(Sputnik V)の有効性と安全性を検討したRCT(n=21,977,ワクチン群:n=16,501,プラセボ群:n=5,476)。ワクチンは、1回目の投与(rAd26)と2回目の投与(rAd5)の間に21日間の間隔を置き、0.5mL/回を筋注された。ワクチン1回目の投与から21日後(2回目の投与日)から、ワクチン群では0.1%、プラセボ群では1.3%がCOVID-19に感染し、ワクチンの有効性は91.6%(95%CI:85.6~95.2)であった。」

Safety and efficacy of an rAd26 and rAd5 vector-based heterologous prime-boost COVID-19 vaccine: an interim analysis of a randomised controlled phase 3 trial in Russia

Lancet . 2021 Feb 20;397(10275):671-681.

PMID: 33545094

【フリー】

 

 

㊱「アストラゼネカ社製ChAdOx1 nCoV-19ワクチン(AZD1222)(n=1,011;21~35日の間隔で2回接種)の安全性と有効性を評価するために行われたプラセボ(n=1,010)対象RCT(18歳以上65歳未満;平均年齢30歳)。主要エンドポイントである2回目の投与から14日以上経過後のCOVID-19感染は、軽度から中等度のCOVID-19がプラセボ接種者3.2%とワクチン接種者2.5%に発現し、有効率は 21.9%(95%CI:-49.9~59.8)であった。COVID-19を発症した42名のうち、39例(シーケンスデータのある41名のうち95.1%)がB.1.351変異株によるもので、副次的評価項目として分析したこの変異株に対するワクチンの有効性は10.4%(95%CI:-76.8~54.8)であった。重篤な有害事象の発生率はワクチン群とプラセボ群で均衡していた。」

Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant

N Engl J Med . 2021 Mar 16;NEJMoa2102214.

PMID: 33725432

【フリー】

 

 

☆その他

㊲「eGFR<30mL/min/1.73m2のRAS阻害薬新規使用者(n=2,458)およびCCB新規使用者(n=2,345)におけるアウトカム(KRT(腎代替療法;維持透析または移植)、全死因死亡、MACE(心血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合))を検討した観察研究(年齢の中央値:74歳、女性:38%、追跡期間の中央値:4.1年)。RAS阻害薬の新規使用後のKRTのリスクは、CCBの新規使用後に比べて有意に低かったが(調整後HR 0.79(95%CI:0.69-0.89))、死亡率(調整後HR 0.97(95%CI:0.88-1.07))およびMACE(調整後HR 1.00(95%CI:0.88-1.15))のリスクは同程度であった。」

Comparative Effectiveness of Renin-Angiotensin System Inhibitors and Calcium Channel Blockers in Individuals With Advanced CKD: A Nationwide Observational Cohort Study

Am J Kidney Dis . 2020 Nov 24;S0272-6386(20)31121-5.

PMID: 33246024

【フリー】

 

 

㊳「臨床薬剤師による多面的な介入が退院時に高リスク薬効群(抗凝固薬、DM薬、オピオイド)の1つ以上の薬剤を処方された患者の服薬安全性を改善するかどうかを検討したRCT(介入群:n=180,非介入群n=181、平均年齢68.7歳、女性49.0%)。病院退院後45日間の2つのアウトカム(薬物関連の有害事象、および臨床的に重要な投薬過誤と定義されたサブセット(予防可能または改善可能なADEおよび潜在的ADE)。全参加者のうち、100名(27.7%)が1件以上の薬物関連有害事象を、65名(18%)が1件以上の臨床的に重要な投薬過誤を経験した。介入は,患者ごとの薬物関連有害事象の発生率(未調整発生率比 1.13(95%CI:0.83~1.56))および臨床的に重要な投薬過誤の発生率(未調整発生率比 0.99(95%CI:0.65~1.49))を有意に変化させなかった.」

Effect of a Multifaceted Clinical Pharmacist Intervention on Medication Safety After Hospitalization in Persons Prescribed High-risk Medications: A Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med . 2021 Mar 1;e209285.

PMID: 33646267

【フリー】

 

㊴「糖尿病でない過体重(BMI≧27)+1つ以上の併存疾患、または肥満(BMI≧30)のいずれかを有する成人(n=611;女性81.0%,平均年齢46歳)を対象に、低カロリー食を伴う集中的な行動療法の補助として、体重管理を目的とした週1回のセマグルチド2.4mgの皮下投与(n=407)とプラセボ(n=204)の効果を比較したRCT。68週目の推定平均体重のベースラインからの変化は、セマグルチドが-16.0%、プラセボが-5.7%であった(差:-10.3%;95%CI:-12.0 to -8.6)。セマグルチド群の方がベースライン時の体重の少なくとも5%を減少させた参加者が多く(86.6% vs 47.6%;P < 0.001)、10%または15%以上の体重減少も同様だった(75.3% vs 27.0%および55.8% vs 13.2%;P < 0.001)。消化器系の有害事象は、82.8% vs 63.2%で高頻度に認められた。」

Effect of Subcutaneous Semaglutide vs Placebo as an Adjunct to Intensive Behavioral Therapy on Body Weight in Adults With Overweight or Obesity: The STEP 3 Randomized Clinical Trial

JAMA . 2021 Apr 13;325(14):1403-1413.

PMID: 33625476

【フリー】

 

 

㊵「過体重または肥満(BMI27以上)で2型糖尿病(HbA1c7~10%)を有する成人(n=1,210)の体重管理を対象に、セマグルチド2.4mg(n=404)、セマグルチド1.0mg(n=403)を週1回皮下投与およびプラセボ(n=403)を投与した場合の有効性および安全性を評価した。ベースラインから68週目までの平均体重の推定変化率は、セマグルチド2.4mgで-9.6%、プラセボで-3.4%であり、推定治療差は-6.2%(95%CI: -7.3~-5.2)であった。68週目にセマグルチド2.4mg投与群はプラセボ投与群に比べ、5%以上の体重減少を達成した患者が多かった(68.8% vs 28.5%;OR 4.88;95%CI:3.58~6.64)。消化器系の有害事象は、ほとんどが軽度から中等度であり、セマグルチド2.4mgでは63.5%、セマグルチド1.0mgでは57.5%、プラセボでは34.3%に報告された。」

Semaglutide 2·4 mg once a week in adults with overweight or obesity, and type 2 diabetes (STEP 2): a randomised, double-blind, double-dummy, placebo-controlled, phase 3 trial

Lancet . 2021 Mar 13;397(10278):971-984.

PMID: 33667417

【アブストのみ】

 

 

㊶「血清アルブミン値が30 g/L未満であった非代償性肝硬変の入院患者を対象に20%アルブミン投与の有効性を検討したRCT(n=777)。20%ヒトアルブミン溶液を、最長14日間または退院まで投与する群と標準治療群に割り付け。標的アルブミン投与群(n=380)では、患者1人当たり中央値で200g、標準治療群(n=397)では患者1人当たり20gのアルブミンが注入された。主要複合エンドポイント(治療開始後3~15日目の新規感染症、腎機能障害、死亡)が発生した患者の割合は、標的アルブミン投与群29.7%と標準治療群30.2%との間に有意な差はなかった(aOR 0.98;95%CI:0.71~1.33)。」

A Randomized Trial of Albumin Infusions in Hospitalized Patients with Cirrhosis

N Engl J Med . 2021 Mar 4;384(9):808-817.

PMID: 33657293

【アブストのみ】

 

 

㊷「βブロッカーの精神的有害事象(PAE)との関連を評価したRCTのメタ解析(n=53,533;285試験)。うつ病は1600例と最も頻繁に報告されたPAEだったが、β遮断薬使用はプラセボ使用に比べて、発生率を高めなかった(OR 1.02([95%CI:0.83-1.25))。また、β遮断薬の使用は、うつ病による離脱とも関連しなかった(OR 0.97(95%CI:0.51-1.84)。その他のPAEでは、悪夢、不眠症、睡眠障害のみがβ遮断薬治療と関連している可能性があった。」

Do β-Blockers Cause Depression?: Systematic Review and Meta-Analysis of Psychiatric Adverse Events During β-Blocker Therapy

Hypertension . 2021 May 5;77(5):1539-1548.

PMID: 33719510

【アブストのみ】

 

 

㊸「鉄欠乏性貧血(IDA)患者におけるクエン酸第二鉄水和物(FC)とクエン酸第一鉄Na(SF)の有効性と安全性を比較した二重盲検RCT。FCの500mgおよび1000mg/日投与は、SFの100mg/日投与と比較して、7週目のヘモグロビン濃度のベースラインからの変化量が非劣性であった。また、7週目に目標ヘモグロビン濃度(男性:13.0 g/dL以上,女性:12.0 g/dL以上)を達成した患者の累積割合はFC 1000 mg/日投与群が最も高く、次いでSF 100 mg/日、FC 500 mg/日であった。」

Efficacy and safety of ferric citrate hydrate compared with sodium ferrous citrate in Japanese patients with iron deficiency anemia: a randomized, double-blind, phase 3 non-inferiority study

Int J Hematol . 2021 Mar 15.

PMID: 33719027

【アブストのみ】

 

 

㊹「早漏(PE)に対するSSRIの効果をプラセボと比較検討したRCTのメタ解析(n=8,254;31試験)。SSRI治療はプラセボと比較して、自己認識されたPEの症状(「良くなった」または「かなり良くなった」という評価で定義)を改善した(RR 1.92;95%CI:1.66~2.23)(プラセボでの改善を報告した被験者が220人/1,000人→SSRIで症状が改善した男性は202人/1,000人増加)。またSSRI治療は、プラセボと比較して性交の満足度(「良い」または「非常に良い」の評価と定義)を改善した(RR 1.63;95%CI:1.42~1.87;プラセボで満足度の向上を報告した被験者が278人/1,000人→SSRIで性交の満足度が向上した男性は175人/1,000人増加)。SSRI治療では、プラセボと比較して有害事象による治療中止が増加する可能性があった(RR 3.80;95%CI:2.61~5.51;プラセボの参加者11件/1000人→SSRIでは有害事象により治療を中止する男性が30人/1000人増加した)。」

Selective serotonin re-uptake inhibitors for premature ejaculation in adult men

Cochrane Database Syst Rev . 2021 Mar 21;3:CD012799.

PMID: 33745183

【アブストのみ】

  

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

 

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