こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!
論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。
日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。
癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。
【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。
それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。
今回は2020年12月分を。46件取り上げております。
☆糖尿病関連
①「SGLT-2i、GLP-1RA、DPP-4iのAKIリスクを評価したネットワークメタ解析(18試験;n=156,690)。2,051例のAKIが観察された。SGLT-2iはプラセボと比較してAKIのリスクが低い(OR 0.76;95%CI:0.66~0.88)が、DPP-4iとGLP-1RAはプラセボと比較してAKIのリスクに差はなかった。さらに、SGLT2阻害薬はGLP-1RA(OR 0.79;95%CI:0.65~0.97)およびDPP-4i(OR 0.68;95%CI:0.54~0.86)と比較して、AKIのリスク低下に関連していた。」
Network Meta-Analysis of Novel Glucose-Lowering Drugs on Risk of Acute Kidney Injury
Clin J Am Soc Nephrol . 2020 Dec 31;16(1):70-78.
PMID: 33376101
【アブストのみ】
②「DPP4阻害薬の腎転帰への影響を検討したRCTのメタ解析(10試験;n=47,955)。全体的に、DPP-4阻害薬による治療は比較対照薬による治療よりもeGFRの低下が大きかった(加重平均差 -1.12mL/min/1.73m2;95%CI:-1.61 to -0.62)。血清クレアチニンの倍増率(RR 1.10;95%CI:0.90-1.34)、末期腎疾患(RR 0.97;95%CI:0.77-1.23)、腎死(RR 1.81;95%CI:0.67-4.93)、または全死亡(RR 1.01;95%CI:0.95-1.09)に対するDPP-4阻害薬の効果は認められなかった。」
The effects of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors on kidney outcomes
Diabetes Obes Metab . 2020 Dec 2.
PMID: 33269512
【アブストのみ】
☆抗菌薬/感染症関連
③「バンコマイシン投与時のTAZ/PIPC併用の有無およびトラフガイドかAUCガイドかによるAKIの発生率を検討した後ろ向き観察研究(n=636;トラフガイド:n=308;AUCガイド:n=328→各群118人の患者がTAZ/PIPCの併用投与を受けた)。AKIはトラフガイド群11.4%、AUCガイド群7.3%で発生した(P=0.105)。TAZ/PIPCを併用投与群では、投与法の違いによるAKIの発生率に差はなかった。またTAZ/PIPC併用投与群では、トラフガイド群(17.8% vs 7.4%)、AUCガイド群(13.6% vs 3.8%)のいずれにおいても、併用投与を受けていない患者に比べてAKIの発生率が有意に高かった(P=0.0011)。」
Int J Antimicrob Agents . 2020 Nov 21;106234.
PMID: 33232734
【アブストのみ】
④「生後2年間の抗菌薬曝露のリスクを評価したコホート研究(n=14,572;女児:n=7,026;男児:n=7546)。70%が生後2年間に少なくとも1種類の抗生物質を処方されており、早期の抗生物質曝露は、小児期に発症する喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、セリアック病、過体重、肥満、ADHDのリスクの増加と関連していた(HR 1.20~2.89;すべてにおいてP<0.05)。この関連は、抗菌薬曝露の回数、種類、および時期によって影響を受けた。」
Association of Infant Antibiotic Exposure With Childhood Health Outcomes
Mayo Clin Proc . 2020 Nov 6;S0025-6196(20)30785-0.
PMID: 33208243
【フリー】
⑤「心血管疾患のハイリスク患者(n=5,260;平均年齢65.5歳;心不全63%)における高用量3価インフルエンザワクチン(n=2,630)と標準用量4価インフルエンザワクチン(n=2,630)の全死亡または心肺入院を減少させるかどうかを評価した3シーズンの二重盲検RCT。高用量3価ワクチン群ではイベント発生率45件/100人年、標準用量4価ワクチン群では42件/100人年だった(HR 1.06(95%CI:0.97-1.17))。高用量群と標準用量群では、ワクチン関連の有害反応は40.5% vs 34.4%発生した。」
JAMA . 2020 Dec 4;e2023649.
PMID: 33275134
【フリー】
⑥「バンコマイシンの薬物動態への肝疾患の影響を検討した後ろ向きコホート研究。Child-Pughスコアに基づいて肝機能障害(無~軽度肝機能障害(NMLD)および中等度~重度肝機能障害(MSLD))に応じて層別化された(n=408;NMLD:n=237;MSLD:n=171)。平均バンコマイシントラフ濃度(17.5 ± 8.4 mg/dL vs 15.3 ± 5.2 mg/dL)およびAUC/MIC比(549.4 ± 217.2 vs 497.5 ± 117.3)は、それぞれNMLD群と比較してMSLD群で有意に高かった。急性腎障害を発症した患者の割合は、MSLD群がNMLD群に比べて高かったが、その差は統計的に有意ではなかった(7.6% vs 3.8%;p=0.0932)。」
The risk of vancomycin toxicity in patients with liver impairment
Ann Clin Microbiol Antimicrob . 2020 Mar 31;19(1):13.
PMID: 32234065
【フリー】
⑦「カルバペネム系薬とバルプロ酸の併用による影響を検討した研究のメタ解析(12試験;n=633)。バルプロ酸単独投与と比較して、カルバペネムとの併用投与は平均血清バルプロ酸濃度(SVC)を大幅に減少させた(平均差 -43.98mg/L;95%CI:-48.18~-39.78)。SVC低下の発現は、カルバペネム投与開始後1~3日以内であった。発作頻度は併用投与中に26.3%増加した。併用治療中の平均SVCは、バルプロ酸塩またはカルバペネムの投与量の違いによる差は認められなかった。平均SVCは、カルバペネム中止後1~2週間でカルバペネム投与前と同程度のレベルまで上昇した。」
Expert Opin Drug Saf . 2020 Dec 28;1-9.
PMID: 33322967
【アブストのみ】
⑧「COVID-19患者の予後へのACEIおよびARBの影響を検討したメタ解析(25試験;n=22,734)。ACEI/ARBsの使用は重症化リスクの増加(OR 0.89;95%CI:0.63 to 1.15;I2=38.55%)、COVID-19患者における人工呼吸器管理(OR 0.89;95%CI:0.61-1.16;I2=3.19%)、透析(OR 1.24;95%CI:0.09-2.39;I2=0%)、または入院期間(SMD 0.05;95%CI:-0.16 to 0.26;I2=84.43%)とは関連しなかったが、死亡率(OR 0.65;95%CI:0.46-0.85;I2=73.37%)および重症/死亡率(OR 0.69;95%CI:0.43-0.95;I2=22.90%)、COVID-19の高血圧患者におけるICU入院(OR 0.36;95%CI:0.19-0.53;I2=0%)、入院(OR 0.79;95%CI:0.60-0.98;I2=0%)、ARDS(OR 0.71;95%CI:0.46-0.95;I2=0%)に対しては保護効果を示した」
J Med Virol . 2020 Nov 24;10.1002/jmv.26695.
PMID: 33231299
【フリー】
⑨「がん患者のCOVID-19感染および重篤化リスクを検討した症例対象研究。COVID-19と診断された16570人の患者のうち、1200人が13の一般的ながんのうち少なくとも1つのがんと診断され、690人が最近がんと診断された。最近がんと診断された患者は、COVID-19感染のリスクが有意に高く(aOR 7.14;95%CI:6.91-7.39)、最も関連が強かったのは白血病(aOR 12.16;95%CI:11.03-13.40)、非ホジキンリンパ腫(aOR 8.54;95%CI:7.80-9.36)、肺がん(aOR 7.66;95%CI:7.07-8.29)であり、甲状腺がん(aOR:3.10;95%CI:2.47-3.87)で最も低かった。最近がんと診断された患者の中で、アフリカ系米国人は、白人患者よりもCOVID-19感染のリスクが有意に高かった。がんとCOVID-19を有する患者は(入院:47.46%;死亡:14.93%)、がんのないCOVID-19を有する患者(入院:24.26%;死亡:5.26%)とCOVID-19を有さないがん患者(入院:12.39%;死亡:4.03%)と比較して、転帰が有意に悪かった。」
JAMA Oncol . 2020 Dec 10;e206178.
PMID: 33300956
【フリー】
☆抗凝固薬/抗血小板薬関連
⑩「AF有し,脳卒中予防に承認されている用量での経口抗凝固療法が適当ではないと判断された超高齢(80 歳以上)の日本人患者を対象にしたエドキサバン15mgの1日1 回投与とプラセボ投与とを比較する二重盲検RCT(n=984;それぞれn=492)。脳卒中または全身性塞栓症の年間発生率はエドキサバン群2.3%、プラセボ群 6.7%(HR 0.34;95%CI:0.19~0.61)、国際血栓止血学会(ISTH)の定義による大出血の年間発生率はエドキサバン群3.3%、プラセボ群1.8%であった(HR 1.87;95%CI:0.90~3.89)。消化管出血のイベント発生数はエドキサバン群のほうがプラセボ群よりもかなり多かった。全死因死亡に大きな群間差はなかった(9.9% vs 10.2%;HR 0.97;95%CI:0.69~1.3)。」
Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation
N Engl J Med . 2020 Oct 29;383(18):1735-1745.
PMID: 32865374
【アブストのみ】
⑪「65歳以上の非弁膜性心房細動患者を対象に、ワルファリンの低PT-INR療法(目標INR:1.5~2.0)と標準PT-INR療法(目標INR:2.0~3.0)の有効性と安全性を検討した試験のメタ解析(18試験;n=2,105)。メタ解析の結果、低PT-INR療法は全血栓症(OR 1.28;95%CI:0.90~1.81)、脳卒中(OR 1.09;95%CI:0.67~1.77)、その他の血栓塞栓症(末梢性・肺塞栓症)(OR 2.26;95%CI:0.89~5.79)、全死亡(OR 1.38;95%CI:0.94~2.02)に対して標準PT-INR療法と同等の有効性を示した。低PT-INR療法は、大出血(頭蓋内出血、消化管出血)(OR 0.32;95%CI:0.19~0.52)、小出血(歯肉、鼻腔内出血、結膜出血、皮膚の発赤、血尿、喀血)(OR 0.30;95%CI:0.20~0.45)、全出血(OR 0.30;95%CI:0.22~0.40)において標準PT-INR療法と比較して良好な安全性プロファイルを示した」
Am J Cardiol . 2020 Dec 8;S0002-9149(20)31287-X.
PMID: 33307015
【アブストのみ】
⑫「第二世代DES植込みPCI後に3ヵ月以下のDAPTおよびそれに続くP2Y12受容体阻害剤によるSAPTと12か月間のDAPTの有効性と安全性を検討したRCTのメタ解析(5試験;n=32,145)。主要アウトカムである大出血は、3か月群の方が12カ月群に比べて有意に低かった(HR 0.63;95%CI:0.45-0.86)が、ステント血栓症(HR 1.19;95%CI:0.86~1.65)に有意差はなかった。副次的アウトカムである全死亡(HR 0.85;95%CI:0.70~1.03)、心筋梗塞(HR 1.05;95%CI:0.89~1.23)、脳卒中(HR 1.08;95%CI:0.68~1.74)については、群間で有意差は認められなかった。」
Eur Heart J . 2020 Dec 7;ehaa739.
PMID: 33284979
【フリー】
⑬「がん関連血栓症(CAT)患者の治療におけるアピキサバンとダルテパリンの有効性と安全性を比較した非盲検RCT。大出血はアピキサバン群576例中3.8%、ダルテパリン群579例中4.0%に認められた。大出血の発生部位およびがんの種類別では両群間で類似していた。」
Thromb Haemost . 2020 Nov 17.
PMID: 33202447
【アブストのみ】
☆循環器関連(抗凝固薬/抗血小板薬以外)
⑭「冠動脈疾患(CAD)患者に対するコルヒチンの心血管保護効果を評価したRCTのメタ解析(10試験;n=6,398;コルヒチン群:n=3,248;プラセボ群:n=3,150)。PCI後の再狭窄とMIとの複合アウトカムのリスクは、コルヒチン投与により有意に低下した(OR 0.48;95%CI:0.28~0.79)。それぞれの個別では、MI(OR 0.41;95%CI:0.16-1.08)、PCI後の再狭窄(OR 0.46;95%CI:0.23-0.92)となり、全死因死亡率には両群間で有意差はなかった(OR 0.80;95%CI:0.56-1.15)。」
J Cardiol . 2020 Nov 30;S0914-5087(20)30373-7.
PMID: 33272780
【アブストのみ】
⑮「LDL-C値と全死因死亡率との関連を評価したデンマークの前向きコホート研究(n=108,243;平均追跡期間:9.4年;追跡期間中に10.5%が死亡(中央値81歳))。LDL-C濃度と全死亡のリスクとの関連はU字型であり、低濃度と高濃度では全死亡のリスクが増加した。LDL-C濃度が3.4~3.9mmol/L(132~154mg/dL)の人と比較し、LDL-C濃度が1.8 mmol/L(70 mg/dL)未満の人の全死因に対する修正ハザード比は1.25(95%CI:1.15~1.36)、LDL-C濃度が4.8 mmol/L(189 mg/dL)以上では1.15(95%CI:1.05~1.27)であった。全死亡のリスクが最も低かったLDL-C濃度は、全集団および脂質低下治療を受けていない人では3.6mmol/L(140mg/dL)であったのに対し、脂質低下治療を受けている人では2.3mmol/L(89mg/dL)であった。」
BMJ. 2020 Dec 8;371:m4266.
PMID: 33293274
【フリー】
⑯「米国の国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを用いた脳卒中生存者における血圧管理の適切性および降圧治療の傾向の2005年から2016年にかけての横断調査(n=4,971,136;平均年齢67.1歳;女性56%)。診察時に血圧がコントロールされていない人は37.1%(33.5%~40.8%)で、降圧薬を服用している人は80.4%(82.0%~87.5%)。最もよく使用されていた降圧薬は、ACEIまたはARB(59.2%;95%CI:54.9%~63.4%)とβ遮断薬(43.8%;95%CI:40.3%~47.3%)であった。経時的な傾向を調べると、利尿薬の使用頻度は統計的に有意に低くなっており(2005-2006年:49.4% vs 2015-2016年:35.7%;P = 0.005)、その他の降圧薬の使用頻度は一定であった。」
JAMA Neurol . 2020 Jul 27;77(11):1-8.
PMID: 32716495
【アブストのみ】
⑰「経時的なeGFRの変動についてのCVイベントや全死亡への影響を検討した、SPRINT試験のサブ解析(平均年齢68歳;男性65%)。追跡期間中央値2.4年でCVDイベントは370件、死亡は154件であった。eGFRの変動の大きさは、全死亡のリスクの高さ(調整後の標準偏差あたりのハザード比(HR) 1.29;95%CI:1.14~1.45)と関連していたが、CVDイベント(HR 1.05;95%CI:0.95~1.16)とは関連していなかった。」
Am J Kidney Dis . 2020 Dec 3;S0272-6386(20)31142-2.
PMID: 33333147
【アブストのみ】
⑱「未治療の有症候性発作性心房細動患者(n=303)を、初回リズムコントロールとしてクライオバルーンを用いたカテーテルアブレーション(冷凍焼灼術)を施行する群と,抗不整脈薬療法を行う群に割り付けたRCT。主要エンドポイントである91~365 日後に確認された心房性頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、心房頻拍)の初回再発は、アブレーション施行群42.9%と抗不整脈薬群67.8%で生じた(HR 0.48;95%CI:0.35~0.66)。有症候性心房性頻脈性不整脈は、アブレーション群11.0%と抗不整脈薬群26.2%で再発した(HR 0.39;95%CI:0.22~0.68)。重篤な有害事象はアブレーション群3.2%と抗不整脈薬群4.0%で発現した。」
Cryoablation or Drug Therapy for Initial Treatment of Atrial Fibrillation
N Engl J Med . 2021 Jan 28;384(4):305-315.
PMID: 33197159
【アブストのみ】
⑲「伏見AFレジストリーに登録されている4,304人のAF患者を対象に行った大出血リスクに関する調査。追跡期間中央値1,307日の間に大出血が発生した患者は6.9%であった。大出血を経験した患者は、大出血を経験していない患者に比べて高齢であり(75.6歳 vs 73.4歳;p<0.01)、心不全の既往歴があり(33.7% vs 26.7%;p<0.01)、大出血の既往歴があり(7.7% vs 4.0%;p<0.01)、HAS-BLEDスコアの平均値が高かった(2.05 vs 1.73;p<0.01)が高かった。全死亡は、大出血患者(20.0/100人年)と大出血なし患者(5.1/100人年)で発生した(HR 2.73(95%CI:2.16~3.41)。」
Eur Heart J Qual Care Clin Outcomes . 2020 Oct 27;qcaa082.
PMID: 33107912
【アブストのみ】
⑳「CKDステージG3またはG4で高血圧症を有する患者(n=26;平均eGFR39ml/min/1.73m2)を対象に、サイアザイド系利尿薬(アミロリド/ヒドロクロロチアジド(5mg/50mg/日))がナトリウム制限(60mmol/日)に比べて血圧降下効果が劣らないかどうかを検討した6週間の非盲検クロスオーバーRCT。食事によるナトリウム制限により、ナトリウム排泄量は1日あたり160mmolから64mmolに減少した。利尿薬はナトリウム制限(SBP:134mmHgから129mmHg)と比較して、24時間収縮期血圧(SBP;138mmHgから124mmH)をより大きく低下させ、細胞外水分、eGFR、血漿レニン、アルドステロンに有意に大きな効果をもたらした。どちらの介入も、体重および NT-proBNP の減少は同様であった。」
J Am Soc Nephrol . 2020 Mar;31(3):650-662.
PMID: 31996411
【アブストのみ】
㉑「心不全患者へのループ利尿薬使用による再入院および死亡のアウトカムへの影響を検討した傾向スコアマッチングコホート研究。ループ利尿薬を処方された場合と処方されていない場合の2191組の入院心不全患者(平均年齢78歳;女性54%)が対象。6年間の心不全の再入院または全死亡の複合エンドポイントはHR 1.02(95%CI:0.96~1.09)であった。肺気腫無、軽度~中等度、および重度の患者ではそれぞれHR 1.19(95%CI:1.07~1.33)、0.95(95%CI:0.86~1.04)、および0.77(95%CI:0.63~0.94)であり、下肢浮腫なし、軽度~中等度、および重度ではHR 1.16(95%CI:1.06~1.28)、0.94(95%CI:0.85~1.04)、および0.71(95%CI:0.56~0.89)。」
Am J Med . 2020 Dec 23;S0002-9343(20)31120-7.
PMID: 33359271
【アブストのみ】
㉒「心不全患者へのジゴキシンとビソプロロールの有効性と安全性を比較したオープンラベルRCT(n=160;平均年齢76歳;女性74%;平均ベースライン心拍数100/分)(ジゴキシン群(n=80;用量範囲:62.5~250μg/d;平均用量:161μg/d)、ビソプロロール群(n=80;用量範囲:1.25~15mg/d;平均用量:3.2mg/d))。主要エンドポイントであるSF-36 PCSを用いた6ヵ月後の患者報告によるQOL(スコアが高いほど良好;範囲0~100)には有意差はなかった(ジゴキシン群の平均値:31.9 vs ビソプロロール群の平均値:29.7;調整後平均差:1.4(95%CI:-1.1~3.8)。6ヵ月後の安静時心拍数にグループ間の有意差は認められなかった(ジゴキシン群の平均76.9/分 vs ビソプロロール群の平均74.8/分;差:1.5/分(95%CI:-2.0~5.1/分)。修正EHRAクラスは、6ヵ月目の時点でグループ間で有意に異なっていた;ジゴキシン群では53%の患者が2クラスの改善を報告したのに対し、ビソプロロール群では9%の患者が2クラスの改善を報告した(修正オッズ比 10.3(95%CI:4.0~26.6)。少なくとも1回の有害事象が発生したのはジゴキシン群25%、ビソプロロール群64%であった(P < 0.001)。」
JAMA . 2020 Dec 22;324(24):2497-2508.
PMID: 33351042
【フリー】
㉓「新規でスタチンを開始した患者を対象とし、先発品か後発品かでPDC(1年のうち処方された日数の割合)や重大な心臓・脳血管障害イベント(MACCE)の比較をした後ろ向きコホート研究(n=47,770;年齢の中央値:53歳;男性60%;後発品:67.3%)。後発品群では、PDCが80%以上の患者の割合が高く(60.2% vs 57.1%;OR 1.14;95%CI:1.09~1.19)、PDC値が高い(中央値90.2% vs 87.9%;差:2.3%)ことが確認された。同様に、後発品群ではスタチン製剤を中止した患者数が少なかった(24.2% vs 27.7%;HR 0.91;95%CI:0.87~0.95)。MACCE発生率の差は群間で有意ではなかった(4.3% vs 4.2%;HR 1.04;95%CI:0.93~1.17)。」
J Cardiol . 2020 Dec 26;S0914-5087(20)30399-3.
PMID: 33371973
【アブストのみ】
㉔「RAS阻害薬治療中に進行性CKD(eGFR<30ml/min/1.73m2)を発症した患者において、6か月以内のRAS阻害薬の中止の有無によるリスクを比較したコホート研究(n=10,254;年齢の中央値72歳;女性36%;eGFRの中央値23mL/min/1.73m2;15%が6ヵ月以内にRAS阻害薬治療を中止)。RAS阻害薬の中止はRAS阻害薬の継続投与と比較して、5年間の死亡(40.9% vs 54.5%;差 -13.6%)および主要な心血管系有害事象(47.6% vs 59.5%;差 -11.9%)の絶対リスクが高いが、腎代替療法のリスクは低かった(36.1% vs 7.9%;差 8.3%)。」
J Am Soc Nephrol . 2021 Feb;32(2):424-435.
PMID: 33372009
【フリー】
㉕「CKD患者における静脈血栓塞栓症の再発予防のための抗凝固薬使用に関するSR&MA(第3相試験10件;n=10,840)。腎障害の重症度は、50≦CCr<80mL/minを軽度、30≦CCr<50mL/minを中等度、CCr<30mL/minを重度、任意のレベル(30~80未満)の4つのカテゴリーに分類した。軽度(RR 0.86;95%CI:0.61~1.22;I2=25%)、中等度/重度(RR 0.72;95%CI:0.44~1.17;I2=0%)またはいずれのレベルの腎障害(RR 0.83;95%CI:0.60~1.14;I2=34%)のいずれにおいてもDOACsとVKAの間でVTE再発リスクの低下に差は認められなかった。LMWH(低分子ヘパリン)とVKAでは、中等度(RR 2.40;95%CI:0.44-12.96;I2=76%)およびいずれのレベルの腎障害(RR 2.59;95%CI:0.66-10.16;I2=71%)の患者においても、有効性の差は認められなかった。VKAと比較したDOACは、大出血と非大出血を合わせたリスク(RR 0.74;95%CI:0.65-0.84;I2=26%)、大出血(RR 0.51;95%CI:0.38-0.69;I2=7%)、非大出血(RR 0.73;95%CI:0.57-0.94;I2=45%)がそれぞれ有意に低かった。頭蓋内出血のリスクは同等であった(RR 0.68;95%CI:0.19~2.44;I2=0%)。LMWHといずれのDOACとの間でも大出血のリスクに差はなかった(RR 0.83;95%CI:0.46~1.51;I2=0%)。」
Thromb Res . 2020 Dec 2;198:103-114.
PMID: 33310644
【フリー】
㉖「静脈血栓塞栓症の中等度または高リスクの待機的手術患者における、低用量低分子ヘパリン単独と弾性ストッキング併用による静脈血栓塞栓症率を比較したRCT(n=1,858)。一次エンドポイントである手術後90日までの静脈血栓塞栓症は、低分子量ヘパリン単独群では937人中1.7%で発生し、弾性ストッキング併用群では921人中1.4%で発生した(リスク差 0.30%(95%CI:-0.65% to 1.26%)。」
Health Technol Assess . 2020 Dec;24(69):1-80.
PMID: 33275096
【フリー】
㉗「小児の痙攣性状態てんかん(CSE)の治療におけるレベチラセタムの有効性と安全性を検討したRCTのメタ解析(10試験;n=1,907)。レベチラセタムとフェニトイン(RR 1.03;95%CI:0.98~1.09)、レベチラセタムとホスフェニトイン(RR 1.16;95%CI:1.00~1.35)、またはレベチラセタムとバルプロ酸(RR 1.10;95%CI:0.94~1.27)を比較しても発作の停止に有意差は認められなかった。レベチラセタム vs フェニトイン(平均差(MD) 0.45;95%CI:-1.83~0.93)、またはレベチラセタム vs ホスフェニトイン(MD 0.70;95%CI:-4.26~2.86)の発作停止時間には差は認められなかった。」
Levetiracetam for convulsive status epilepticus in childhood: systematic review and meta-analysis
Arch Dis Child . 2020 Oct 15;archdischild-2020-319573.
PMID: 33060105
【アブストのみ】
㉘「透析を受けていない貧血のCKD患者を対象とし、6種類のHIF-PHIとエポエチン、ダルベポエチンの有効性と安全性を比較したネットワークメタ解析(19試験)。プラセボと比較して、バダデュスタット(平均差 1.12;95%CI:-0.11~2.35)を除き、他の薬剤はHb値を有意に上昇させ、desidustatの平均差は2.46(95%CI:0.93~3.99)、 エナロデュスタットが1.81(95%CI:0.87~2.75)、モリデュスタットが1.68(95%CI:0.64~2.72)、エポエチンが1.66(95%CI:0.89~2.44)、ダルベポエチンが1.63(95%CI:0.69~2.56)、ロキサデュスタットが1.61(95%CI:0.99~2.22)、ダプロデュスタットが1.55(95%CI:0.74~2.36)であり、これら8剤間のHb値上昇に差は認められなかった。また、プラセボと比較して、これらの薬剤と全死亡率との間に有意な関連は認められず、モリデュスタットはRR 0.39(95%CI:0.06~2.59)、ロキサデュスタットは0.40(95%CI:0.06-2.84)、エナロデュスタットは0.33(95%CI:0.01-16.25)、desidustatは0.34(95%CI:0.01-17.00)、エポエチンは0.50(95%CI:0.18-1.42)、ダプロデュスタットは0.54(95%CI:0.09-3.31)、ダルベポエチンは1.03(95%CI:0.65-1.65)、バダデュスタットは1.43(95%CI:0.15-13.27)であった。薬剤間の全死亡率に差は認められなかった。」
Pharmacol Res . 2020 Sep;159:105020.
PMID: 32561478
【アブストのみ】
㉙「ステージ3~5のCKDと貧血を有する成人(n=756)を対象とし、ダルベポエチンを固定用量(4週間ごとに0.45μg/kg)群(n=379)と、ヘモグロビンをベースとした漸増用量アルゴリズム群(n=377)での赤血球輸血への影響を検討したRCT。輸血を受けた患者の割合に両群で差はなく(固定用量群24.1%、漸増用量群24.4%)、初回輸血までの時間も同様であった。漸増用量群(9.9 g/dl)は固定投与群(9.4 g/dl)と比較して、ヘモグロビン中央値が有意に高かった。固定投与群は(月中央値30.9μg)、漸増用量群(月中央値53.6μg)と比較して、ダルベポエチンの累積投与量中央値が有意に低かった。」
A Randomized Trial of Strategies Using Darbepoetin Alfa To Avoid Transfusions in CKD
J Am Soc Nephrol . 2020 Dec 7;ASN.2020050556.
PMID: 33288629
【アブストのみ】
㉚「CKDステージ4または5の成人を対象としたCKDに関連した痒みに対する治療法をプラセボまたは他の確立された治療法のいずれかと比較したRCTのメタ解析(58試験;n=3,285)。10cmのVASスケールがかゆみの報告に使用された。ガバペンチンやプレガバリンなどのGABAアナログはプラセボと比較してCKD患者のかゆみを軽減(5件の研究;n=297人;4.95cmの減少;95%CI:5.46~4.44)、ナルフラフィンを含むκオピオイドアゴニストもかゆみを軽減(6試験;n=661人;1.05cmの減少;95%CI:1.40~0.71)、オンダンセトロンはかゆみのスコアにほとんど影響を及ぼさなかった(3試験;n=183;0.38cmの減少;95%CI:1.04~-0.29)。」
Interventions for itch in people with advanced chronic kidney disease
Cochrane Database Syst Rev . 2020 Dec 7;12:CD011393.
PMID: 33283264
【アブストのみ】
㉛「CKD患者へのPPI使用の影響について、CKDステージ2~5の3023人のコホートを対象とした前向き観察研究。ベースラインでのPPI使用者は32%(平均年齢67歳;男性65%)であり、追跡期間中央値3.9年の間にPPIを処方された新規使用者は12%(累積処方期間の中央値:1年)であった。追跡期間中に 354 例の患者が ESKDを発症し、216例がESKDの前に死亡。PPI処方に関連する調整HRは、ESKDで1.74(95%CI:1.26-2.40)、全死亡で2.42(95%CI:1.73-3.39)であった。追跡期間の最初の3年間で、211件のAKIイベントが発生し、PPI処方に関連したAKIの調整HRは2.89(95%CI:1.91~4.38)であった。」
Br J Clin Pharmacol . 2020 Dec 23.
PMID: 33368448
【アブストのみ】
㉜「CKD患者(n=746;平均年齢70歳;男性62.9%;45.2%がCKDグレード3、35.9%がグレード4)において血清マグネシウム(SMg)濃度と心血管系の罹患率・死亡率、全死亡率、腎不全の進行との関係を検討したコホート研究。平均SMg濃度は2.09±0.33mg/dLで、SMg濃度と血清クレアチニン、リン、iPTH値との間には密接な相関があった。カルシトリオールの使用はSMg濃度の上昇と関連していたが、CaサプリメントおよびPPIはSMg濃度の低下と関連していた。心血管イベントは、高マグネシウム血症の患者ではHR 1.34(95%CI:1.02-1.77)と全体的にリスクが高く、全死亡も高マグネシウム血症の患者ではHR 1.54(95%CI:1.002-2.319)と全体的にリスクが高かった」
J Ren Nutr . 2020 Dec 9;S1051-2276(20)30266-1.
PMID: 33309408
【アブストのみ】
㉝「国民健康・栄養検査調査の参加者16,686人を対象とした、グルコサミン/コンドロイチンの定期的な摂取と全死亡および心血管(CVD)死との関連の調査(追跡期間の中央値:107か月)。1年以上グルコサミン/コンドロイチンを服用していた参加者は3.9%であった。総死亡数は20.2%で、20.0%がCVDによるものであった。グルコサミン/コンドロイチンの服用者は、CVDによる死亡リスクが低かった(HR 0.51;95%CI:0.28-0.92)。多変量解析後の調整HRは、年齢、性、人種、教育、喫煙状況、身体活動を調整した後も関連性は維持された(全死亡率:HR 0.73;95%CI:0.57~0.93;CVD死亡率:HR 0.42;95%CI:0.23~0.75)。」
Glucosamine/Chondroitin and Mortality in a US NHANES Cohort
J Am Board Fam Med. Nov-Dec 2020;33(6):842-847.
PMID: 33219063
【フリー】
㉞「アルコール離脱症状を呈した患者898人(平均年齢47歳;男性73%)を対象にロラゼパム(n=394)またはジアゼパム(n=504)を投与し、有効性を検討した観察研究。ロラゼパム群17.5%が入院したのに対し、ジアゼパム群は18.7%であり、1.2%の差(95%CI:-4.2%~6.3%)であった。退院した患者の1週間後の再診は、ロラゼパム群325人中24.0%、ジアゼパム群410人中23.2%であり、その差は0.8%(95%CI:-5.3%~7.1%)であった。」
Lorazepam Versus Diazepam in the Management of Emergency Department Patients With Alcohol Withdrawal
Ann Emerg Med . 2020 Dec;76(6):774-781.
PMID: 32736932
【アブストのみ】
㉟「治療抵抗性うつ病(TRD)患者における不安症の有無によるミルタザピンのSSRIおよびSNRIへの追加効果を検討したRCTのサブ解析。ミルタザピンを追加された重度の全身性不安の参加者では、12週間の一般化不安障害(GAD-7)スコアがプラセボに比べて低く(平均値の調整済み差(ADM) -2.82;95%CI:-0.69~-4.95)、Beck Depression Inventory II(BDI-II)スコアの低下が大きかった(ADM -6.36;95%CI:-1.60~-10.84)。逆に不安症なし/軽度の人では、プラセボと比較して抗不安性の有益性(ADM 0.28;95%CI:-1.05~1.60)または抗うつ性の有益性(ADM -0.17;95%CI:-3.02~2.68)は認められなかった。」
J Psychopharmacol . 2020 Dec;34(12):1342-1349.
PMID: 33143538
【フリー】
㊱「非致死的オピオイド過剰摂取(NFOD)を経験した青少年の社会統計学的および臨床的特徴を比較した後ろ向きコホート研究。NFODの既往歴がある11~24歳の青少年20,312例のうち、年齢中央値は20歳で、56.7%が男性であった。男性と比較して女性では、気分障害または不安障害(65.5% vs 51.9%)、トラウマおよびストレス関連障害(16.4% vs 10.1%)、および自殺未遂または自傷歴(14.6% vs 9.9%)のベースライン有病率が有意に高かった。男性では、オピオイド使用障害(44.7% vs 29.2%)、大麻使用障害(18.3% vs 11.3%)、アルコール使用障害(20.3% vs 14.4%)の有病率が高かった。女性 vs 男性の NFODsの発生率比は、11~16歳では1より大きく、17歳以降では1以下であった。」
Incidence and Characteristics of Nonfatal Opioid Overdose Among Youths Aged 11 to 24 Years by Sex
JAMA Netw Open . 2020 Dec 1;3(12):e2030201.
PMID: 33331919
【フリー】
㊲「50歳以上のRA患者における、経口グルココルチコイド(GC)とPPIの併用の骨粗鬆症性骨折リスクを検討したコホート研究。RA患者12,351人(平均年齢68歳;女性69%)のうち、1,411件の骨粗鬆症性骨折が発生。GCおよびPPIの現在の併用は、非併用に比べて骨粗鬆症性骨折のリスクが1.6倍に増加した(調整後HR 1.60;95%CI:1.35~1.89)。これは、経口GCまたはPPIの単独使用に関連する骨粗鬆症性骨折リスクの1.2倍の増加となった。PPIの1日の使用量や使用期間が長くなっても骨折リスクは増加しなかった。」
Ann Rheum Dis . 2020 Dec 11;annrheumdis-2020-218758.
PMID: 33310727
【アブストのみ】
㊳「久山町の認知症のない65歳以上の地域居住者1,141人を対象にした、追跡期間の中央値5.0年の前向き観察研究。追跡期間中に114人の参加者が認知症を発症。認知症発症率の多変量変数調整後のHRは、あらゆる孤独感のある人の認知症発症率はない人と比べてHR 1.61(95%CI:1.08-2.40)、情緒的孤独感のある人の認知症発症率はない人と比べてHR 1.65(95%CI:1.07-2.54)であった。しかし、社会的孤独感と認知症リスクとの間には有意な関連は認められなかった。」
J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci . 2020 Nov 10;gbaa196.
PMID: 33170218
【アブストのみ】
㊴「成人の症候性慢性硬膜下血腫患者を対象に、デキサメタゾンの経口投与を1日2回 8mgで開始し、2週間かけて漸減する群(n=341)と,プラセボ群(n=339)に割り付けたRCT(n=680;平均年齢74歳)。主要アウトカムはランダム化後6ヵ月の時点での修正Rankinスケール(0 [症状なし]~6 [死亡])のスコアが良好な転帰を示す0~3であること。94%が初回入院中に血腫除去術を受け、両群の60%は入院時の修正Rankinスケールスコアが 1~3 であった。修正ITT解析で良好な転帰が報告された割合は、デキサメタゾン群83.9%、プラセボ群90.3%であった(差:-6.4%;95%CI:-11.4~-1.4)。硬膜下血腫の再発のために再手術が行われた患者はデキサメタゾン群の1.7%とプラセボ群の7.1%であった。」
Trial of Dexamethasone for Chronic Subdural Hematoma
N Engl J Med . 2020 Dec 31;383(27):2616-2627.
PMID: 33326713
【アブストのみ】
㊵「動脈瘤を伴うくも膜下出血へのトラネキサム酸による超早期短期治療が6ヶ月後の臨床転帰を改善するかどうかを検討したオープンラベルRCT。通常治療+トラネキサム酸群(n=475)と通常治療群(n=470)に割り付け。トラネキサム酸は1gボーラス、その後8時間ごとに1gを継続的に注入し、動脈瘤治療の直前に終了するか、投薬開始後24時間後に終了するかした。主要評価項目は6ヵ月後の臨床転帰とし、修正Rankin Scaleで評価し、臨床転帰を良好(0~3)と不良(4~6)に二分化した。トラネキサム酸群60%、通常治療群64%で良好な臨床転帰が認められた(調整OR 0.86;95%CI:0.66~1.12)。ランダム化後および動脈瘤治療前の再出血は、トラネキサム酸群で10%、対照群で14%に発生した(OR 0.71;95%CI:0.48-1.04)。」
Ultra-early tranexamic acid after subarachnoid haemorrhage (ULTRA): a randomised controlled trial
Lancet . 2021 Jan 9;397(10269):112-118.
PMID: 33357465
【アブストのみ】
㊶「出血のリスクがある負傷患者(病院に到着する前の受傷後推定2時間以内に低血圧(収縮期血圧≦90mmHg)または頻脈(心拍数≧110/分)を発症)を対象に、プラセボ(n=456)と比較して入院前にトラネキサム酸(n=447;トラネキサム酸1g+生理食塩水100mLを10分間点滴静注)を投与した場合の有効性と安全性を評価したRCT(n=903;平均年齢42歳;男性74%)。30日目の死亡率は、トラネキサム酸群で8.1%、プラセボ群で9.9%であった(差:-1.8%;95%CI:-5.6% to 1.9%)。受傷後1時間以内にトラネキサム酸を投与した方が30日死亡率は低く(4.6% vs 7.6%;差:-3.0%;95%CI:-5.7% to -0.3%)、重度ショック(収縮期血圧≦70mmHg)の患者でも30日死亡率が低かった(18.5% vs 35.5%;差:-17%;95%CI:-25.8% to -8.1%)。」
JAMA Surg . 2020 Oct 5;156(1):11-20.
PMID: 33016996
【アブストのみ】
㊷「降圧剤や抗生物質が腹部大動脈瘤(AAA)の進行(mm/年)を抑制するかどうかを検討したRCTのメタ解析(10試験;n=2,405;追跡期間18~63か月)。AAAの成長は血圧降下薬(平均成長率:2.0mm vs 2.3mm/年;標準化平均差(SMD):-0.07;95%CI:-0.19 to 0.06)または抗生物質(平均成長率:2.6mm vs 2.6mm/年;SMD:-0.11;95%CI:-0.38 to 0.16)、AAA関連イベントは(血圧降下薬-RR 0.86;95%CI:0.66~1.11、抗生物質-RR 0.93;95%CI:0.69~1.25)となり減少させなかった。」
Heart . 2020 Nov 16;heartjnl-2020-318192.
PMID: 33199361
【アブストのみ】
㊸「飲酒量と発がんリスクとの関連を検討した、全国の病院ベースのデータセットに基づいた、多施設症例対照研究(性、年齢、入院日、入院病院についてマッチさせたがん症例63,232例と対照63,232例)。各患者について、標準化された1日あたりの飲酒量と飲酒期間(年)をかけて、生涯のアルコール消費量(飲酒年)の総計を想起。スプライン曲線は全がんリスクとの用量反応関連を示した。リスクの最小値は0飲酒年で、10飲酒年でのORは1.05(95%CI:1.04-1.06)であった。生涯禁酒者との比較では、0~20飲酒年のORは1.06(95%CI:1.01~1.11)であった。」
Light to moderate amount of lifetime alcohol consumption and risk of cancer in Japan
Cancer . 2020 Mar 1;126(5):1031-1040.
PMID: 31814116
【フリー】
㊹「マインドフルネスに基づくストレス軽減(MBSR)が頭痛教育と比較して片頭痛の転帰および情動的/認知的プロセスを改善するかどうかを検討したRCT。月に4日から20日の片頭痛を経験した成人(n=89)を対象とし、毎週2時間、8週間のMBSR(マインドフルネス/ヨガの標準化されたトレーニング)(n=45)または頭痛教育(n=44)のグループに割り付け。参加者の多くは女性(n=82)で、平均年齢は43.9歳、月当たりの片頭痛日数は7.3日。両群の参加者では、主要アウトカムである12週目の片頭痛日数が減少していた(MBSR:-1.6日;95%CI:-0.7~-2.5、頭痛教育群:-2.0日;95%CI:-1.1~-2.9)が、群間差はなかった(P=0.50)。」
JAMA Intern Med . 2020 Dec 14;e207090.
PMID: 33315046
【フリー】
㊺「片頭痛患者に対する生姜の効果をプラセボと比較したRCTのメタ解析(3試験)。ショウガ治療は2時間後の無痛(RR 1.79;95%CI:1.04~3.09)および2時間後の疼痛スコアの減少(MD:-1.27;95%CI:-1.46~1.07)と関連していたが、治療への反応(RR 2.04;95%CI:0.35-11.94)または総有害事象(RR 0.80;95%CI:0.46-1.41)に明らかな影響を与えなかった。吐き気と嘔吐の発生率は生姜群の方が対照群に比べて明らかに低かった。」
Am J Emerg Med . 2020 Nov 17;S0735-6757(20)31039-1.
PMID: 33293189
【アブストのみ】
㊻「高齢者(70歳以上の688人、転倒リスクが高く、血清25-ヒドロキシビタミンD[25-(OH)D]値が25~72.5nmol/L)の転倒に対するビタミンD3サプリメントの4つの用量(200(対照)、1000、2000、または4000IU/日)の効果を比較したRCT。2000および4000IU/d投与群の主要転帰率(2年間の最初の転倒または死亡)は、最良用量の1000IU/d投与群よりも高かった。最良用量を受けた経験のある参加者(n=308)と、200IU/dを受けるようにランダムに割り付けられた参加者(n=339)との間で、イベント発生率に有意差はなかった(HR 0.94;95%CI:0.76~1.15)。有害転帰を伴う転倒の解析では、200IU/d投与群に比べて、最良用量を経験した群の方がリスクが高いことが示唆された(重篤な転倒-HR 1.87(95%CI:1.03~3.41);入院を伴う転倒-HR 2.48(95%CI:1.13~5.46)。」
Ann Intern Med . 2020 Dec 8.
PMID: 33284677
【アブストのみ】
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!