いよいよ新型コロナウイルスワクチン接種の機会が迫ってまいりました。
院内の職員に接種を希望するかどうかの意思を確認しなければなりませんが、どうも接種を不安に考えている人が多くいるような雰囲気がありました。
それはまずい!と思い、第2回の院内感染対策研修会で扱うことにしました。
先日その講演が終わりましたので、その内容をスライドと共にブログに起こしました。
今回はその【後編】として「ワクチンに関するメディアとの付き合い方と講義を終えての感想」について書いていきたいと思います。
※【前編】はこちら
なおスライド作成に当たりましては、様々な記事や講演会、ツイート等を参考にさせていただいております。(酷似しているものもあるかもしれませんので、不適切でしたらご指摘ください。)
また私見も多く含まれておりますので、取り扱いには十分ご注意ください。
明らかにおかしな部分があればご指摘いただけると幸いです。
まもなくコロナワクチンの接種が始まりますが、今後はメディアによる反ワクチン情報に注意が必要です。
せっかく今回の研修を受けてワクチンを接種しようという気になってもメディアの情報で台無しになってはいけないと思い話をさせていただきました。
すでにメディアの煽った報道は始まっています。女子高生のアンケート、ワクチン接種後の死亡例、先行接種の医療現場の不安の声など。こういったものに流されないようにしないといけません。女子高生の記事は取り消されましたし、死亡例のニュースは最後まで読むと因果関係は分からないと書いてあるし。困ったものです。
ワクチンとメディアの情報を扱う際には子宮頸がんワクチンの話をしないといけません。子宮頸がんワクチンはメディアによる副反応が過剰に取り上げられ、接種の積極勧奨が中止されております。
子宮頸がんワクチンの副反応についてはこちらの名古屋スタディにて検討されており、子宮頸がんワクチンを接種した群と接種していない群で、設定された24症状の発生率はどれも有意な増加を示しませんでした。
子宮頸がんやワクチン接種の現状については「子宮頸がん予防情報サイト もっと守ろう.jp 」や「みんパピ!」にてまとめられています。
日本では2,800人が毎年子宮頸がんで亡くなっております。しかも増加傾向であり、出産の適齢期で好発しております。世界ではワクチン接種および子宮頸がん検診により子宮頸がんが減少しつつあります。小学6年から高校1年が公費適応の時期ですので、積極的に接種していただきたいものです。
「ワクチン忌避」はWHOの「2019年 世界の健康に対する10の脅威」として取り上げられております。忌避するには色んな理由があるのでしょうが、科学的ではない理由が散見されます。そういった方達が発する情報に騙されないように注意しないといけません。
新型コロナウイルスに関する情報をテレビで入手される方はかなり多いかと思います。
テレビをはじめとするメディアには多くの「専門家」が登場しておりますが、信頼できない人もいます。
しかし、それを一般の方が見極めるのは難しいと思います。
スライドではよくメディアに出演してる人たちを集めましたが、この中で誰を信じればいいのでしょうか?
いろいろと誤解を招きそうなので一部のスライドだけ公開します。
少なくともこの3人の発言は聞かなくてもいいですし、惑わされないようにテレビに出てきたら消すことを推奨します。
新型コロナウイルス拡大の初期にはこのようなLINEが出回りました。今から考えると笑えますが、信じてしまった人も多いようです。ワクチンに関してもこのような情報が回ってくるかもしれません。十分に注意しましょう。
こちらも改めての注意喚起にはなりますが、新型コロナウイルス予防に根拠のあるサプリメントや特定の食品はなく、クレベリン等の空間除菌も根拠はありません。
民法は煽る報道をしがちです。視聴率を気にしているのかどうかは分かりませんが。テレビから情報を入手するのであればできるだけNHKがいいでしょう。
テレビのコメンテーターには不安を煽るのが上手い人たちがたくさんいます。この3人はその典型かと思います。ほんとに上手ですね、感心します。
こういった方が発信する情報は煽っている可能性が十分にありますので注意しましょう。
個人的な意見ですが、モーニングショーは一番見てはいけない番組だと思います。この二人の組み合わせは強烈です。
SNSでもたくさんの情報が出回っておりますが、特にインスタやyoutubeは怪しい情報が満載ですので十分な注意が必要です。
twitterは最近ファクトチェックができていきている気がしますが、まだまだ完全ではないです。
これが最後のスライドです。
信頼できない情報ばかりを提供しても仕方ないので、信頼できる情報をいくつかピックアップしました。
・忽那賢志(感染症専門医)
・坂本史衣(聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネージャー)
・尾身茂(JCHO理事長)
・首相官邸の新型コロナワクチンに関するホームページ
一般の方に関しては忽那先生と坂本先生の記事さえ読んでおけばだいたいの情報は手に入ると思います。
欲をかいて色んな情報を探そうと思うと誤った情報に引っかかる可能性があるので注意が必要です。
さて、研修が終わり、受講後のアンケートを集計しました。
概ね好評だったようで良かったです。
副作用(副反応)に関しては、講義前はどのように伝えようか迷っていました。ある程度隠した方がいいのか、隠さず全てを話す方がいいのか。しかし、事前アンケートを読んだところ、「情報が入ってこない」とか「何が正しいのか分からない」、「なんとなく不安」といった声を聞くとともに副作用に不安を持っている方がたくさんいらっしゃることが分かりました。そこで情報を全てオープンにすることにしました。結果としてはそれが良かったのかなと思います。正直に伝えることが大切なんだなと学びました。
今回の研修ではできるだけ正しい情報を伝えようと心がけました。なんとなく接種する、なんとなく接種しないという選択ではなく、自分でしっかり決めてほしかったという思いがあります。研修前には接種するつもりだったけど、研修後に接種しないという選択をしても、それは情報を得ての結果なのでそれはその決断を尊重してもいいのではないかと思います。
また、打たないことはリスクの回避ではなく、違うリスクを取ることだということも強めに説明しましたし、それも良かったのかなと思います。
あとは情報の取捨選択についても理解が深まったようで良かったです。情報に流されないように注意してほしいものです。
研修前後でのワクチン接種の希望の有無についてもアンケートを取りましたが、研修を受けてワクチンの接種に前向きになった方が多かったのが嬉しかったです。
ただ非医療職の方はまだ迷っている方も多いようでした。職員全員を対象とした研修だったので難しかったところもあるかもしれません。不安がぬぐえていない部分が少なからずあるのかなと感じました。まだ少し時間がありますので、そういった迷っている方には情報提供をしたり、相談に乗ったりできればと考えております。
研修の反省点は、毎度毎度ですが情報を詰め込み過ぎ、早口になってしまったことです。これでも削ったんですけどね。。。
準備期間が短かったので、スライドを作り込むこともできず。非医療職の方にもっと分かりやすいスライドを準備しないといけなかったのかなとは思います。
一番笑った感想はこちらです。
よく理解されている(笑)
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!