こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!
第28回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。
今回の録音はコチラからどうぞ↓
今回のテーマは「医学論文の読み方」でした。
先日発売された「医学論文の読み方」からそれぞれが1つの論文を選んで、スライドにまとめて発表しました。
みんな買ってねー!
今回のメニューはこちら
の予定でしたが、Fizz先生の急用にて配信では1番目がFizz先生となっております。
まずは@Fizz-DI
JAMA Oncol . 2018 Oct 1;4(10):1375-1381.
PMID: 30027204
補完代替医療の生存率への影響を検討した観察研究です。
死亡リスクはハザード比2.08、5年生存率は4%程度の差となり、補完代替医療を選択した患者でリスクが高くなっておりました。。
ただ、補完代替療法を利用することが必ずしも悪い影響を招くわけではなく、標準治療を拒否しなければ生存率には影響しなかったようです。
また、PMID:31682676では補完代替医療のQOLへの寄与が示唆されているようです。
Fizz先生がおっしゃっていたように、標準治療を行うことを大前提とした上での補完代替療法の使用なら悪い選択ではないのかもしれません。
補完代替医療にもいろいろありますし、明らかに怪しいものとか金額が高いものに関しては止めてほしいですけどね。。。
ただまあどうしても逸脱してしまうこともあるわけで…
私自身、標準治療を断って代替補完療法のみを選択した患者さんを何人か見送ったのですが、 もっとよい結末があったのではないかと感じました。
標準治療を受けずに補完代替療法のみを選んでおり、適切な緩和医療も受けられていないことも多かったです。
逸脱した時にどういった言葉をかければよいのか。難しいですね。
正論だけではどうにもならない世界がありますよね。
次は@zuratomo4
Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial
Am J Prev Med . 2005 Nov;29(4):302-7.
PMID: 16242593
先日少し話題になったイソジンですが…
「吉村イソの陣」ってコメントもありましたね(笑)
「ポビドンヨードうがい vs 水うがい vs 介入なし」による上気道感染症発生率を検討した研究です。
結果としては、介入なし群と比べて水うがい群では有意な発生率の低下が認められましたが、ポビドンヨード群では改善が認められませんでした。
あえてポビドンヨードにてうがいする必要はないかもしれませんし、むしろ水によるうがいの方がよいのかもしれません。
でも、うがい自体の効果をあまり認めてなかった私としては、少しは効果があるかもしれないことを学びました。
例のCOVID-19のイソジンの研究では、水うがい群がなかったんですよね。この研究の結果を知っている身としては、入れるべきだったのではなかったのかなと、思わざるを得ませんでした。(これがなくても入れるべきでしょうけど。)
次は@にいやん
Intern Med . 2014;53(9):949-56.
PMID: 24785885
こちらは風邪初期へ葛根湯とパブロンゴールドAの効果を比較したものです。
(パブロンゴールドAは今とは組成が変わっているようですね。リゾチームが無くなったようで。まあ、効果がないからね…)
結果としては症状増悪や症状スコア、有害事象で両群に差は認められなかったようです。
どちらを選んでも良さそうですね。
書かれているように、好みや生活習慣に合わせてもらったらよさそうですね。
おそらく他の風邪薬でも同じ結果なのかなという気がしますので、成分を症状や併用薬等を考慮して選べばよさそうです。
間違えても高齢男性にP〇とか売らないように。
今回のような「どちらでもよい」という結果が得られるのも論文の醍醐味かなと思います。
キャスでは何も飲まない薬剤師が多かったですね。
私も何も飲まないか、体を温めるために葛根湯を飲みます。
(そもそも最近風邪ひかない…)
次は@猫になりたい薬剤師
Allergol Int . 2017 Jan;66(1):97-105.
PMID: 27421817
こちらは 新旧の抗ヒスタミン薬を比較した研究ですね。
結果としては、主要アウトカムである2週目のTNSSはビラスチン群とフェキソフェナジン群で差はなかったですが、副次的アウトカムの1日目のTNSSはビラスチン群で有意にスコアが減少していたようです(ただし、キャス中に出た話によると事前に設定されていなかったアウトカムだとか…)
投与初期の効果は高そうなので、即効性を求める場合は有益な薬剤かもしれませんが、この研究の対象者のように通年性アレルギー等の患者では従来の薬剤でもどちらでもよいかもしれません。(そのわりに試験期間は短いですが、長期的には同じ効果が継続するということなのでしょうか。)
用法が食前であること、新薬であり薬価が高めであることはマイナス材料かと思います。
同効薬のある新薬が発売されるとメーカーはこのわずかの差を推しがちです。
その差は本当に重要な差なのか、しっかり考える必要があるのではないでしょうか。
@猫になりたい薬剤師のブログでの解説
次は@程々な薬剤師
Lancet . 2005 Nov 26;366(9500):1849-61.
PMID: 16310551
こちらは2型糖尿病患者へのフェノフィブラートの有効性を検討したRCTです。
結果としては、冠動脈疾患死と非致死性心因梗塞の複合の主要アウトカムはプラセボ群と有意差が付かなかったということになりました。
この結果だけを見るとあえてこの薬剤を推奨することはできない印象です。
ただ、介入群の16%がスタチンを併用していたこと、個別のエンドポイントでは有意差があったことなどを考慮する必要がありそうです。
たしかに個別のエンドポイントでは少し差が付いているようですが、5年服用しての差なので、、、
どうせなら対照群にスタチン群を入れて欲しいですね。
ペマフィブラート(パルモディア®)に関しては、PROMINENT試験が進行中のようですが果たして…
あと、キャス中に話題になっていたアウトカムを改善したフィブラートですが、gemfibrozilのようです。
日本では横紋筋融解症リスクにて発売されず、海外では発売中止となっております。
循環器トライアルデータベースより、論文を2つ紹介します。
次は@たけちゃん
The Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study II (CIBIS-II): a randomised trial
Lancet . 1999 Jan 2;353(9146):9-13.
PMID: 10023943
こちらはβブロッカーの心不全への効果を検討したRCT。
今では当たり前に処方されるβブロッカーですが、この研究がなされていた頃は禁忌だったようです。
まさにターニングポイント。
βブロッカーの歴史は、たけちゃんがまとめてくれています。
本研究の結果はもちろん、βブロッカー群で総死亡も突然死も大幅に減少しております。
この試験がなかったら、もしかしたらまだβブロッカーは心不全に使われてないかもしれません。
この試験のおかげで多くの命が救われたのかもしれません。
そう考えるとすごいですよね。
最後は@リンコ
N Engl J Med . 1991 Mar 21;324(12):781-8.
PMID: 1900101
かの有名なCAST試験ですね。
恥ずかしながらまだ読んだことがなく、今回読んでみることにしました。
心筋梗塞後の不整脈をエンカイニド、フレカイニドにてコントロールすることの有効性を安全性を検討した試験です。
結果は、予想に反してエンカイニド/フレカイニド群にて死亡および蘇生が必要な心停止が多くなってしまいました。
結果を知っていて読みましたけど、やっぱりなかなか衝撃的…
でも、良かれと思ってやったけど裏目ることって、実生活ではよくありますよね。
花をプレゼントしたけど断られたり(友達の話)、ご飯を作ろうとして断られたり(先輩の話)、皿洗いをしようとして断られたり(後輩の話)…
そういう話ではないのかもしれませんが、医療においても裏目になることは十分可能性があるということが示されたので、この結果を肝に銘じておかないといけませんし、貴重な論文報告だと思いました。
この論文のようなネガティブな論文を読むと擁護したくなるのですが、類似の論文を読んでみても結果は同じようなものばかりで。。。
条件が違えば使えるのかもしれませんが…
キャス中でも話しましたが、最近出たリズムコントロールvsレートコントロールの論文を読んでいると、リズムコントロール群にはアミオダロンが使われていることが多いような気がします。
確かに循環器の専門医はNaチャネル遮断薬等よりもアミオダロンを使っている印象があります。
(薬剤師はみんなきっと好きではない)アミオダロンの勉強の必要性を感じるとともに、不整脈系の病態や薬剤は弱いなとつくづく感じたのでした。
今回は以上になります!
参考になれば嬉しいです!
次回は12/16(水)の22時00分から、「フリーテーマ」にて行う予定です。
よろしければご視聴くださいませ!