リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

個人的に気になった最新論文約30選の要約(2020.7)

こんにちは!リンコ(@manabunoda)です!

 

その月に気になった最新論文30本ほどのアブストラクトの要約し、論文を紹介していきます!

論文情報はSNSや各医学雑誌のメーリングリスト等を通じて入手しており、そこから個人的に気になった30件を選択します。

日本語訳は「DeepL翻訳」を参考(というかほぼコピペ…)にしております。

癌にはほとんど興味がないので、癌以外の分野の薬物治療の論文が中心になります。

 

【フリー】はフリーで全文が読める論文、【アブストのみ】はアブストラクトのみしか読めない論文となっております。

それぞれの論文にはpubmedのリンクを貼っております。

 

今回は2020年7月分を。ちょっと多めの43件取り上げております。

 

 

①「アセタゾラミドの急性高山病予防の用量を検討したRCT。参加者(n=106)を、アセタゾラミド62.5mg1日2回群(n=51)、125mg1日2回群(n=55)に割り付け、1240mから3810mまでの登頂前の夕方から投与し、主要アウトカムの急性高山病発症率(頭痛、Lake Louise Questionnaire≧3、別の症状)を検討。合計の急性高山病発生率は50%、平均重症度は3であり、主要アウトカムの発症率は62.5mg vs 125mg: 55% vs 45%(オッズ比 1.5;95%CI:0.7~3.2)、中等度の急性高山病(オッズ比 1.8;95%CI:0.6~5.9)、62.5mg群のNNHは9であったが、125mg群のNNTは4.8であった。」

A Randomized Controlled Trial of the Lowest Effective Dose of Acetazolamide for Acute Mountain Sickness Prevention

Am J Med . 2020 May 29;S0002-9343(20)30439-3.

PMID: 32479750

【アブストのみ】

 

 

②「種々の糖尿病薬の2型糖尿病患者の認知症リスクへの影響を評価しネットワークメタ解析(n=530,355人;9試験)およびメタ解析(n=258,879;17試験)(関連データがないため、GLP-1アナログおよびSGLT-2阻害薬は除外)。DPP-4阻害薬、メトホルミン、チアゾリジン、SUの使用は、糖尿病薬を使用しない場合と比較して認知症リスクの低下と関連していた(それぞれ、HR 0.54;95%CI:0.38-0.74、HR 0.75;95%CI:0.63~0.86、HR 0.70;95%CI:0.55~0.89、HR 0.85;95%CI:0.73~0.98)。また、インスリンとの比較では、DPP-4阻害薬、メトホルミン、チアゾリジン、SUは、糖尿病患者の認知症リスクに有意な影響を示した(HR 0.35;95%CI:0.20~0.59、HR 0.48;95%CI:0.30~0.77、HR 0.45;95%CI:0.29~0.73、HR 0.55;95%CI:0.34~0.88)。」

Impact of antidiabetic agents on dementia risk: A Bayesian network meta-analysis

Metabolism . 2020 May 22;109:154265.

PMID: 32446679

【アブストのみ】

 

 

③「急性冠症候群に対するプラスグレル、チカグレロル、クロピドグレルの有効性と安全性を比較したRCTのネットワークメタ解析(n=52,816、12試験)。クロピドグレルと比較して、チカグレロルは心血管死亡率(HR 0.82;95%CI:0.72~0.92)および全死因死亡率(HR 0.83;95%CI:0.75~0.92)を有意に減少させたが、プラスグレルでは有意な死亡率の減少は認められなかった(HR 0.90;95%CI:0.80~1.01、HR 0.92;95%CI:0.84~1.02)。プラスグレルとチカグレロルの比較ではそれぞれの死亡率に有意差は認められなかった(HR 1.10;95%CI:0.94~1.29、HR 1.12;95%CI:0.98~1.28)。また、クロピドグレルと比較して、プラスグレルは心筋梗塞を減少させた(HR 0.81;95%CI:0.67~0.98)が、チカグレロルはリスクの減少を示さず(HR 0.97;95%CI:0.78~1.22)、プラスグレルとチカグレロルの差は有意ではなかった。ステント血栓症リスクは、チカグレロルとプラスグレルのいずれもクロピドグレルと比較して有意に減少した(減少幅 28~50%)。クロピドグレルとの比較では、プラスグレル(HR 1.26;95%CI:1.01~1.56)とチカグレロル(HR 1.27;95%CI:1.04~1.55)の両方とも大出血を有意に増加させた。」

Comparative Efficacy and Safety of Oral P2Y 12 Inhibitors in Acute Coronary Syndrome: Network Meta-Analysis of 52 816 Patients From 12 Randomized Trials

Circulation . 2020 Jul 14;142(2):150-160.

PMID: 32468837

【アブストのみ】

 

 

④「RA患者におけるMTXと併用した8つの生物学的製剤(JAK阻害薬は除く)の比較有効を比較したRCTのネットワークメタ解析(45試験)。解析では、併用療法間の統計的に有意な差はほとんど認められなかったが、anakinraは臨床的寛解または疾患活動性の低さに関して他の7つの生物学的製剤のほとんどすべてに比べて有益性が低く、またセルトリズマブペゴルは、重篤な有害事象または感染症に関して他の7つの生物学的製剤に比べて有害性が高いことが示された。」

Comparative effectiveness of biological medicines in rheumatoid arthritis: systematic review and network meta-analysis including aggregate results from reanalysed individual patient data

BMJ . 2020 Jul 7;370:m2288.

PMID: 32636183

【フリー】

 

 

⑤「65歳以上のケアホーム入居者310人(均年齢85.3歳、66.8%女性)を対象とし、整腸剤であるLactobacillus rhamnosus GGとBifidobacterium animalis subsp lactis BB-12を含むカプセル1日1回服用群(n=155)とプラセボ群(n=155)に、最長1年間投与するように無作為に割り付けられたRCT。主要アウトカムは、無作為化から最長1年間にわたっての全原因感染症に対する累積抗生物質投与日数であった。整腸剤群は、平均12.9日の累積全身性抗生物質投与日数(95%CI:0~18.05)であり、プラセボ群は平均12.0日(95%CI:0~16.95)であり、群間に有意差はなかった(絶対差 0.9日;95%CI:-3.25~5.05;修正罹患率比 1.13(95%CI:0.79~1.63)。」

Effect of Probiotic Use on Antibiotic Administration Among Care Home Residents: A Randomized Clinical Trial

BMJ . 2020 Jul 7;370:m2288.JAMA . 2020 Jul 7;324(1):47-56.

PMID: 32633801

【フリー】

 

 

⑥「血清重炭酸塩濃度が22mmol/l未満の進行性慢性腎臓病(透析を受けていないGFRカテゴリー4または5)の60歳以上の成人300人(平均年齢74歳、女性29%)を対象とし、炭酸水素ナトリウム経口投与群(n=152)(500mgを1日3回から開始し、3ヵ月後の血清重炭酸塩濃度が22mmol/l未満の場合は1gを1日3回に増量)またはプラセボ群(n=148)に1対1で無作為に割り付けたRCT。主要アウトカムは、ベースラインを調整した12ヵ月後のShort Physical Performance Batteryスコアの群間差であり、健康経済分析では、QOLを調整した1年当たりの増分コストを主要アウトカムとした。73%の参加者が12ヵ月後の通院時に評価され、主要アウトカムである12ヵ月目のShort Physical Performance Batteryスコアの群間差については、有意な治療効果は認められなかった(-0.4ポイント;95%CI:-0.9~0.1ポイント)。副次的転帰(QOL、腎機能マーカー等)については、いずれもで有意な治療効果は認められなかった。有害事象は重炭酸塩群でより頻繁に発生した(457対400)。腎代替療法開始までの期間は両群でほぼ同程度であった(HR 1.22;95%CI:0.74~2.02)。健康経済分析では、1年後の費用は重炭酸塩群で高く、QOLは重炭酸塩群で低く、追加費用は564ポンド(95%CI:£88~£1154)、QOL調整後寿命年差は-0.05(95%CI:-0.08~-0.01)であった」

Sodium bicarbonate to improve physical function in patients over 60 years with advanced chronic kidney disease: the BiCARB RCT

Health Technol Assess . 2020 Jun;24(27):1-90.

PMID: 32568065

【フリー】

 

 

⑦「短期間の経口ステロイドバースト(14 日間以下)と重篤な有害事象との関連を検討した台湾の観察研究。ステロイドバースト使用者と非使用者における重篤な有害事象の発生率、およびステロイド治療開始後5~30日以内および31~90日以内の重篤な有害事象の発生率比(IRR)。成人参加者15,859,129名のうち,ステロイドバーストを1回投与された2,623,327名が含まれていた。ステロイドバースト1000人年当たりの発生率は、消化管出血:27.1、敗血症:1.5、心不全:1.3であった。消化管出血(IRR 1.80;95%CI:1.75~1.84)、敗血症(IRR 1.99;95%CI:1.70~2.32)、心不全(IRR 2.37;95%CI:2.13~2.63)の割合は、ステロイド治療開始後5~30日以内に有意に増加し、その後の31~90日の間に減少した。」

Association Between Oral Corticosteroid Bursts and Severe Adverse Events : A Nationwide Population-Based Cohort Study

Ann Intern Med . 2020 Jul 7.

PMID: 32628532

【アブストのみ】

 

 

⑧「抗コリン薬と高齢者における認知症、軽度認知障害(MCI)、認知機能低下のリスクとの関係についての26件の研究(n=621,548)のメタアナリシスを実施した。短期(90日以上)または長期(365日以上)の抗コリン薬使用を報告した研究の調整オッズ比(OR)と、認知機能低下アウトカムについてのグローバル認知テストスコアの標準化平均差(SMD)をプールした。あらゆる抗コリン薬の使用は認知症の発症と関連していた(OR 1.20;95%CI:1.09-1.32;I2=86%)。短期および長期の使用も認知症の発症と関連していた(OR 1.23;95%CI:1.17-1.29;I2=2%、OR 1.50;95%CI:1.22-1.85;I2=90%)。'いずれかの'抗コリン薬の使用は認知機能の低下と関連していた(SMD 0.15;95%CI:0.09-0.21;I2=3%)が、MCIについては統計学的に有意な差を示さなかった(OR 1.24;95%CI:0.97-1.59;I2=0%)。」

Anticholinergic drugs and incident dementia, mild cognitive impairment and cognitive decline: a meta-analysis

Age Ageing . 2020 Jun 29;afaa090.

PMID: 32603415

【フリー】

 

 

⑨「Real-life Experience and Accuracy of inhaLer use (REAL)調査(23の質問から構成されるコンピュータ支援による電話調査で、吸入器の正しい使用方法、吸入技術、装置の特性、服薬アドヒアランス、投薬精度、トレーニング、装置の正しい使用方法、使いやすさ、および COPD 維持療法を行う吸入器における患者の服薬アドヒアランスに影響を与える要因について、患者が報告したデータに基づいた調査)にて、軽度から重度のCOPDで、平均±SD年齢56±9.8歳の各種吸入器(Breezhaler® =186、Ellipta® =191、Genuair® =194、Respimat® =201)を使用している総勢764名の患者が調査を完了した。患者の自己申告によるアドヒアランスは、高齢者に比べて若年者の方が有意に低かった(p=0.020)。トレーニング方法に対する患者の嗜好は、吸入器使用のデモンストレーション(83%)、ビデオ(58%)、使用方法の説明(51%)、リーフレット(34%)であった。チェックを受けた患者は、チェックを受けていない患者に比べて有意にアドヒアランスが高かった(p=0.020)。Breezhalerを使用している患者の大多数は、非常に自信を持っているか、完全に服用したことに自信を持っていると報告しており、Genuair、Ellipta(α=0.05)、Respimat(α=0.05)を使用している患者よりも高かった。直近30日間の服薬アドヒアランスは、Breezhalerが最も高く、次いでRespimat、Ellipta、Genuairの順であった。」

Factors associated with appropriate inhaler use in patients with COPD - lessons from the REAL survey

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2018 Feb 26;13:695-702.

PMID: 29520137

【フリー】

 

 

⑩「超即効型リスプロ(URLi)とリスプロ(Lispro)を比較した第3相試験。treat-to-targetにて26週間の二重盲検試験を行ったところ、HbA1cの平均変化率はURLiが-0.38%、lisproが-0.43%、推定治療差(ETD)0.06%(95%CI:-0.05 to 0.16)で非劣性だった。URLiは1-hおよび2-h PPGの上昇抑制においてlisproよりも優れていた。1時間後の推定治療差:-0.66 mmol/L(95%CI:-1.01 to -0.30)、2時間後の推定治療差:-0.96 mmol/L(95%CI:-1.41 to -0.52)であった。低血糖の発生に有意差はなかった。」

Randomized Double-Blind Clinical Trial Comparing Ultra Rapid Lispro With Lispro in a Basal-Bolus Regimen in Patients With Type 2 Diabetes: PRONTO-T2D

Diabetes Care . 2020 Jul 2;dc192550.

PMID: 32616612

【アブストのみ】

 

 

⑪「重症敗血症または敗血症性ショック患者の死亡率に対する抗生物質の即時投与(発症後0~1時間)と早期投与(発症後1~3時間)の効果を解析した5件の前向き縦断的研究と8件の後ろ向きコホート研究を含む13件(33,863人の被験者)のメタ解析において、死亡率は即時投与期と早期投与期の間で差がないことが示された(OR 1.09;95%CI:0.98~1.21)が、重症敗血症研究(8,595例)のみの解析では、即時投与と比較して早期投与の死亡率が高いことが示された(OR 1.29;95%CI:1.09~1.53)。」

Outcome of Immediate Versus Early Antibiotics in Severe Sepsis and Septic Shock: A Systematic Review and Meta-analysis

Ann Emerg Med . 2020 Jun 24;S0196-0644(20)30337-1.

PMID: 32593430

【アブストのみ】

 

 

⑫「バロキサビル・マルボキシルの家庭内でのインフルエンザ予防効果を検討した2重盲検RCTにおいて、評価対象者(バロキサビル群374人、プラセボ群375人)のうち、インフルエンザ発症率は、バロキサビル群の方がプラセボ群よりも有意に低かった(1.9% vs 13.6%)(修正リスク比 0.14;95%CI:0.06~0.30)。有害事象の発現率は両群で同程度であった(バロキサビル群22.2%、プラセボ群20.5%)。

Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against Influenza in Household Contacts

N Engl J Med . 2020 Jul 23;383(4):309-320.

PMID: 32640124

【アブストのみ】

 

 

⑬「婦人科がんの手術を受けている女性(n=400;年齢中央値58.0歳)を対象とした多施設非盲検(評価者は盲検化)無作為化臨床試験において、術後血栓予防のためにアピキサバン(2.5mgを1日2回経口投与)(n=204)またはエノキサパリン(40mgを1日1回皮下投与)(n=196)の28日間投与に割り付けられ、90日間追跡された。大出血イベントの発生率(0.5% vs 0.5%;OR:1.04;95%CI:0.07-16.76)、臨床的に関連性のある非重大な出血イベント(5.4% vs 9.7%;OR 1.88;95%CI:0.87~4.1)、静脈血栓塞栓性イベント(1.0% vs 1.5%;OR 1.57;95%CI:0.26~9.50)、有害事象、服薬アドヒアランス、QOLに有意差はなかった。」

Safety and Efficacy of Apixaban vs Enoxaparin for Preventing Postoperative Venous Thromboembolism in Women Undergoing Surgery for Gynecologic Malignant Neoplasm: A Randomized Clinical Trial

JAMA Netw Open . 2020 Jun 1;3(6):e207410.

PMID: 32589230

【フリー】

 

 

⑭「糖尿病患者を対象とした2007~2016 年の9回の連続したインフルエンザシーズンにおけるデンマークにおける全国コホート研究において、糖尿病患者合計425,318人年の追跡調査を受けた。研究シーズン中のワクチン接種率は24~36%であった。交絡因子を調整した後、ワクチン接種は全死因死亡(HR 0.83;P < 0.001)、心血管死(HR 0.84、P < 0.001)、AMIまたは脳卒中による死亡(HR 0.85、P = 0.028)、糖尿病に関連した急性合併症(糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖、昏睡)で入院するリスクの減少(HR 0.89、P = 0.006)と有意に関連していた。」

Influenza Vaccination Is Associated With Reduced Cardiovascular Mortality in Adults With Diabetes: A Nationwide Cohort Study

Diabetes Care . 2020 Jul 9;dc200229.

PMID: 32647052

【アブストのみ】

 

 

⑮「2型糖尿病患者を対象としたGLP-1RAとSGLT2iの併用療法7試験(n=1,913)のメタ解析において、GLP-1RAと比較して、GLP-1RA/SGLT2i併用療法はHbA1c(加重平均差-0.61%;95%CI:-1.09%~-0.14%;4試験)、体重(-2.59kg;95%CI:-3.68~-1.51kg;3試験)、収縮期血圧(-4.13mmHg;95%CI:-7.28~-0.99mmHg;4試験)の有意な低下と関連していた。SGLT2iと比較して、GLP-1RA/SGLT2i併用療法はHbA1c(-0.85%;95%CI:-1.19%~-0.52%;6試験)と収縮期血圧(-2.66mmHg;95%CI:-5.26~-0.06mmHg;6試験)を低下させたが、体重(-1.46kg;95%CI:-2.94~0.03kg;5試験)は低下しなかった。併用療法では重度の低血糖の発生率は増加しなかった。」

Glucagon-like peptide-1 receptor agonists and sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors as combination therapy for type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis

Diabetes Obes Metab . 2020 Jun 1.

PMID: 32476254

【フリー】

 

 

⑯「妊娠中のフェキソフェナジン使用に関連した胎児の有害転帰のリスクを調査したコホート研究。1,287,668例の妊娠のコホートから、フェキソフェナジンの使用と妊娠中のセチリジン塩酸塩の使用を比較し、傾向スコアで1:1の比率でマッチングさせた。主要アウトカムは主要な先天的欠損症および自然流産。副次的アウトカムは早産、妊娠低年齢児(SGA)、死産であった。主要な先天性欠損症および自然流産の解析では、fexofenadineを使用した妊娠2962例および4901例を、それぞれセチリジンを使用した妊娠と1:1の比率でマッチングさせて対象とした。主要な先天性奇形を伴って生まれた乳児は、フェキソフェナジン群4.0%、セチリジン群3.8%の妊娠で発生(有病率OR 1.06;95%CI:0.81~1.37)し、自然流産はフェキソフェナジン8.4%、セチリジン群9.0%で発生(HR 0.93;95%CI:0.82~1.07)し、いずれもリスクの増加とは関連していなかった。早産はフェキソフェナジン群7.5%、セチリジン群7.7%で(有病率OR 0.97;95%CI:0.83~1.12)、SGAはフェキソフェナジン群10.1%、セチリジン群10.2%で発生した(有病率OR 0.98;95%CI:0.87~1.12)。死産はフェキソフェナジン群0.3%、セチリジン群0.4%だった(HR 0.67;95%CI:0.36-1.27)。」

Association Between Fexofenadine Use During Pregnancy and Fetal Outcomes

JAMA Pediatr . 2020 Jun 1;174(8):e201316.

PMID: 32478810

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⑰「治療を必要とする重症低血糖と転倒のリスクを検討した前向きコホート研究。糖尿病患者1,162人のうち、149人がベースライン前または追跡期間中央値13.1年の間に重度の低血糖イベントを起こしたことがあった。重度の低血糖症のない人の転倒の粗発生率は、100人年あたり2.17人(95%CI:1.93-2.44)であったのに対し、重度の低血糖症の場合は100人年あたり8.81人(95%CI:6.73-11.53)であった。調整後、重度の低血糖症は転倒リスクが2倍以上高いことと関連していた(HR 2.23;95%CI:1.61-3.07)。」

Severe Hypoglycemia and Risk of Falls in Type 2 Diabetes: The Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study

Diabetes Care . 2020 Jul 1;43(9):2060-2065.

PMID: 32611607

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⑱「パキスタンの頻呼吸を伴う非重症肺炎の WHO 基準を満たす生後 2~59 ヵ月の小児(n=4,002)を対象とした二重盲検RCT。アモキシシリン懸濁液50mg/mLを3日間投与する群(n=2,003)とプラセボ群(n=1,999)に無作為に割り付けた。投与量は体重4kg以上10kg未満は500mgを12時間ごと、10kg以上14 kg未満は1,000mgを12時間ごと、14kg以上20kg未満は1,500mgを12 時間ごと)。主要転帰はアモキシシリンまたはプラセボの3日間の投与期間中の治療失敗とした。per-protocol解析では治療失敗率はプラセボ群4.9%、アモキシシリン群2.6%であった(群間差 2.3%;95%CI:0.9~3.7)。intention-to-treat 解析でも結果は同様であった。1 件の治療失敗を予防するために必要な治療数は44(95%CI:31~80)であった。再発はプラセボ群2.2%とアモキシシリン群3.1%に認められた。」

Randomized Trial of Amoxicillin for Pneumonia in Pakistan

N Engl J Med . 2020 Jul 2;383(1):24-34.

PMID: 32609980

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⑲「Chronic Kidney Diseases-Renal Epidemiology and Information Networkのコホートに含まれる、eGFR<60ml/min/1.73m2の外来CKD患者3033人(45%がeGFR<30ml/min/1.73m2、年齢の中央値69歳、男性65%、処方薬の中央値8剤)の追跡調査。2年間で536人の患者に751件の副作用が発生し、そのうち150件(125人中)が重篤な薬物反応に分類され、100人年あたりの発生率はそれぞれ14.4(95%CI:12.6~16.5)および2.7(95%CI:1.7~4.3)であった。重篤な薬物有害反応のうち,32%は予防可能または予防可能な可能性があると考えられ、16例は直接的または間接的に死亡をもたらした。副作用が最も多かった薬剤はRAS系阻害薬(15%)、抗血栓薬(14%)、利尿薬(10%)であったが、抗血栓薬は重篤な副作用の34%を引き起こした。また、重篤な副作用の調整ハザード比はeGFRが30ml/min1.73m2未満 vs 30ml/min1.73m2以上の患者で有意に高かく(aHR 1.8;95%CI:1.3~2.6)、10種類以上の薬を処方された患者では5種類以下の薬を処方された患者ではaHR 2.4(95%CI:1.1~5.2)、または服薬アドヒアランスが悪い患者ではaHR 1.6(95%CI:1.4~2.4)と有意に高かった。」

Adverse Drug Reactions in Patients with CKD

Clin J Am Soc Nephrol . 2020 Aug 7;15(8):1090-1102.

PMID: 32611662

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⑳「JAK1阻害薬であるアブロシチニブの中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者への有効性と安全性を検討した第3相試験の2重盲検RCT。患者(n=391、平均年齢35.1歳)をアブロシチニブを1日1回200mg(n=155)または100mg(n=158)の経口投与、またはプラセボ(n=78)に2:2:1で割り付け。主要評価項目は、Investigator Global Assessment(IGA)の奏効率と、12週目にEczema Area and Severity Indexスコアの75%以上の改善(EASI-75)を達成した患者さんの割合、副次的エンドポイントは、12週目にPeak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS)が奏効した患者さんの割合、EASIスコアが90%以上改善(EASI-90)を達成した患者の割合。12週目のデータが入手可能な患者では、200mgおよび100mgのアブロシチニブ投与群とプラセボ投与群では、IGAの奏効率(38.1% vs 28.4% vs 9.1%)およびEASI-75(61.0% vs 44.5% vs 10.4%)、PP-NRSを達成した推定割合は55.3% vs 45.2% vs11.5%、EASI-90(37.7% vs 23.9% vs 3.9%)を達成した患者の割合がプラセボ投与群よりも高かった。有害事象は200mg投与群(65.8%)、100mg投与群(62.7%)、プラセボ投与群(53.8%)に報告され、重篤な有害事象は200mg投与群(1.3%)、100mg投与群(3.2%)、プラセボ投与群(1.3%)に報告された。」

Efficacy and Safety of Abrocitinib in Patients With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial

JAMA Dermatol . 2020 Jun 3;156(8):1-11.

PMID: 32492087

【フリー】

 

 

㉑「アトピー性皮膚炎の瘙痒と炎症に関与するインターロイキン-31 受容体 A に対するヒト化モノクローナル抗体であるネモリズマブ(nemolizumab)のアトピー性皮膚炎と中等度~重度の瘙痒を有し,外用薬に対する反応が不十分な日本人患者を対象とした第3相試験。外用薬との併用下でネモリズマブ(60mg)を4週ごとに16週目まで皮下投与群(n=143)と、プラセボ群(n=72)に2:1の割合で無作為に割り付けた。主要エンドポイントは、瘙痒ビジュアルアナログスケール(VAS)スコア(0~100 で,スコアが高いほど瘙痒が強いことを示す)のベースラインから 16 週目までの平均変化率。ベースラインの瘙痒 VAS スコアの中央値は75であり、16週目の時点でVAS スコアの平均変化率はネモリズマブ群で-42.8%、プラセボ群で-21.4%であった(差:-21.5%;95%CI:-30.2~-12.7)。 湿疹面積・重症度指数(EASI)スコアの平均変化率はネモリズマブ群-45.9%、プラセボ群-33.2%であった。皮膚科 QOL 指数(DLQI)スコアが4以下であった患者の割合はネモリズマブ群で40%、プラセボ群で22%であり、不眠重症度指数(ISI)スコアが7以下であった患者の割合はそれぞれ 55%と 21%であった。注射関連反応の発現率はネモリズマブ群で8%、プラセボ群で3%であった。」

Trial of Nemolizumab and Topical Agents for Atopic Dermatitis with Pruritus

N Engl J Med . 2020 Jul 9;383(2):141-150.

PMID: 32640132

【フリー】

 

 

㉒「GERDにおけるボノプラザン20mgとPPIとの有効性と安全性を比較した6つのRCTのメタ解析。主要解析では、有効性と有害事象のリスク比(RR)は、ボノプラザンとPPIの間でそれぞれRR 1.06(95%CI:0.99~1.13)、RR 1.08(95%CI:0.96~1.22)であった。ベースライン時に重度の食道炎を有する患者を対象としたサブグループ解析では、ランソプラゾールよりもボノプラザンの方が有意に高い結果が得られ、RRは1.14(95%CI:1.06~1.22)であった。」

Direct Comparison of the Efficacy and Safety of Vonoprazan Versus Proton-Pump Inhibitors for Gastroesophageal Reflux Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis

Dig Dis Sci . 2020 Feb 24.

PMID: 32095968

【フリー】

 

 

㉓「ステージ3,4,5の慢性腎臓病を有する心房細動患者のうち新規処方を受けた(ワルファリン46.3%、アピキサバン29.6%、リバロキサバン17.2%、ダビガトラン6.9%)心房細動患者(n=22,739)を同定した。抗凝固薬使用者の平均年齢は78.4~79.0歳、50.3~51.4%が女性、80.3~82.8%がステージ3のCKDであった。per protocol解析では、脳卒中/全身性塞栓症のハザード比はいずれもワルファリンと比較してアピキサバン(HR 0.70;95%CI:0.51~0.96)、リバロキサバン(HR 0.80;95%CI:0.54~1.17)、ダビガトラン(HR 1.15;95%CI:0.69~1.94)であった。大出血のハザード比はアピキサバン(HR 0.47;95%CI:0.37~0.59)、リバロキサバン(HR 1.05;95%CI:0.85~1.30)、ダビガトラン(HR 0.95;95%CI:0.70~1.31)であった。DOACとワルファリンとの間では全死亡リスクに差はなかった.」

Direct-Acting Oral Anticoagulants Versus Warfarin in Medicare Patients With Chronic Kidney Disease and Atrial Fibrillation

Stroke . 2020 Aug;51(8):2364-2373.

PMID: 32640949

【アブストのみ】

 

 

㉔「腎障害患者へのセフェピムの有害事象を調査した観察研究。セフェピムを48時間以上投与されたCCr<60mL/分の重症成人を対象に、セフェピム関連神経毒性(CAN)の発現について評価。中等度(最初の48時間で8g以上 or 8g未満)または重度(最初の48時間で4g以上 or 4g未満)の腎機能障害で層別化された高用量セフェピム曝露群と低用量セフェピム曝露群が比較された。最初の48時間のCefepimeの総量は高用量のcefepime群でより大きかった(3.7g ±1.6 g vs 7.7g±2.2 g; P < 0.001)。セフェピム関連の神経毒性は、低用量(n=108)および高用量(n=92)セフェピム群の両方でまれに発生した(4% vs 10%;OR 2.82;95%CI:0.84-9.48)。セフェピム関連の神経毒性の頻度は、中等度の腎機能障害サブグループを比較した場合、低用量セフェピム群と高用量セフェピム群の間で類似しており(5% vs 7%;OR 1.42:95%CI:0.34-5.92)、重度の腎機能障害サブグループでは高用量セフェピム群の方が数値的に大きかった(0 vs 16%;P=0.064)。セフェピム関連神経毒性を発症した患者のほとんどは、精神状態の変化を示した(n=12;92%)。」

Effect of Cefepime on Neurotoxicity Development in Critically Ill Adults With Renal Dysfunction

Chest . 2020 Jul;158(1):157-163.

PMID: 32147247

【アブストのみ】

 

 

㉕「スペイン、ドイツ、デンマークのデータを用いて、非弁膜症性心房細動を有するDOACまたはVKAの新規使用者を対象にしたコホート研究。4つの研究コホート(平均年齢:~75歳、女性:41.3~54.3%)(n=251,719人)が含まれ、DOACとVKAの大出血リスクのハザード比はデンマークでHR 0.84(95%CI:0.79~0.90)、英国でHR 1.13(95%CI:1.02~1.25)の範囲であった。出血部位別に層別化した場合、消化管出血のリスクはデンマークを除くすべてのデータソースにおいて、VKA使用者と比較して、ダビガトラン使用者で48~67%、リバロキサバン使用者で30~50%増加した。」

Comparing risk of major bleeding between users of different oral anticoagulants in patients with nonvalvular atrial fibrillation

Br J Clin Pharmacol . 2020 Jul 6.

PMID: 32627222

【フリー】

 

 

㉖「急性呼吸器感染症の症状を呈する1~5歳の子供の英語とスペイン語を話す保護者(n=1051)を対象とした前後試験。子供の抗生物質の投与に対する保護者の関心度を事前に評価し、6つの抗生物質の知識に関する質問に答え、ビデオを見た後に再度抗生物質への関心度を評価した。保護者は、0から100までの視覚的アナログスケールを用いて、抗生物質を受け取ることへの関心を評価した。0は "絶対に抗生物質を欲していない"、50は "中立"、100は "絶対に抗生物質を欲している "であった。保護者は女性84%、平均年齢32歳であった。ビデオ視聴後、両親の平均抗生物質関心度は10ポイント低下した(平均 57.0±20→M±21;P<0.0001)。初期の抗生物質への関心度が最も高かった保護者(≥60)では、さらに大きな減少が観察された(83.0 ± 12.0→63.4 ± 22;P < 0.0001)、2分の1以上(52%)がビデオ視聴後に関心度を「低」または「中立」の範囲と評価しました。」

Reductions in Parent Interest in Receiving Antibiotics following a 90-Second Video Intervention in Outpatient Pediatric Clinics

J Pediatr . 2020 Jun 15;S0022-3476(20)30728-9.

PMID: 32553835

【アブストラクトのみ】

 

 

㉗「維持透析を受けている成人患者を対象としたBP低下薬を評価したRCT(40試験;n=4283人)のネットワークメタ解析。ACEI、β遮断薬、CCB、MRAはプラセボに比べて収縮期血圧を有意に低下させ、効果の大きさはMRAでは-10.8mmHg(95%CI:-14.8~-6.7mmHgからACEIでは-4.3mmHg(95%CI:-7.2~-1.5mmHg)までであった。MRAおよびβ遮断薬は、ACEI、ARB、CCB、レニン阻害薬に比べて収縮期血圧の低下に優れていた。ACEIと比較して、MRAおよびβ遮断薬は、収縮期血圧をそれぞれ6.4mmHg(95%CI:-11.4~-1.4mmHg)および4.4mmHg(95%CI:-7.4~-1.3mmHg)低下させた。ARB、α遮断薬、CCBでは、ACEIと比較して収縮期血圧の低下に差はなかった。」

Comparative Efficacy and Safety of BP-Lowering Pharmacotherapy in Patients Undergoing Maintenance Dialysis: A Network Meta-Analysis of Randomized, Controlled Trials

Clin J Am Soc Nephrol . 2020 Aug 7;15(8):1129-1138.

PMID: 32675281

【アブストのみ】

 

 

㉘「第三世代セファロスポリン(3GC)の使用が、AmpC産生Enterobacterales(CAE)による血流感染症(BSI)の臨床的失敗のリスクを高めるかどうかを検討した後ろ向きコホート研究。Enterobacter、Serratia、またはCitrobacter種による二次性BSIを発症した成人入院患者(n=381)を対象とし、3GCによる治療と、他の非3GC抗生物質による治療を比較した。院内死亡率、30日間の再入院、または90日間の再感染の複合を全治療失敗(OTF)とした。BSIの主な原因は尿路と中心静脈カテーテルであり(各20.5%)、17.1%で3GC療法が施行された。OTFは、3GC療法群33.9%、非3GC群29.8%で発生した(p=0.51)。OTFの個々の構成要素は群間で同等であった。OTFのリスクは、多変量Cox比例ハザード回帰分析において両群で同等であった(aHR 0.93;95%CI:0.51-1.72)。」

Multicenter, Observational Cohort Study Evaluating Third-Generation Cephalosporin Therapy for Bloodstream Infections Secondary to Enterobacter, Serratia, and Citrobacter Species

Antibiotics (Basel) . 2020 May 14;9(5):254.

PMID: 32423104

【アブストラクト】

 

 

㉙「75歳以上の退役軍人(n=326,981;平均年齢81.1歳;男性87%)のうち動脈硬化性心疾患(ASCVD)を発症していない新規スタチン使用患者(17.5%)における死亡率およびASCVDの一次予防におけるスタチン使用の役割を評価した後ろ向きコホート研究。平均追跡期間6.8年の間に、合計206,902例の死亡が発生、そのうち53,296例が心血管疾患による死亡で、スタチン使用者と非使用者ではそれぞれ78.7例、98.2例/1000人年であった(加重罹患率差[IRD]/1000人年 -19.5(95%CI:-20.4~-18.5)。心血管死は、スタチン使用者で22.6人/1000人年、非使用者で25.7人/1000人年であった(加重罹患率差[IRD]/1000人年 -3.1(95%CI:-3.6~-2.6)。複合ASCVD転帰(心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈バイパスグラフト手術による再灌流、PCI)については、スタチン使用者と非使用者でそれぞれ1,000人年あたり66.3件、70.4件であった(加重平均IRD/1,000人年 -4.1;95%CI:-5.1~-3.0)。propensity score overlap weightingを適用した後では、全死因死亡率でHR 0.75(95%CI:0.74~0.76)、心血管死亡率でHR 0.80(95%CI:0.78~0.81)、ASCVDイベントの複合値でHR 0.92(95%CI:0.91~0.94)であった。」

Association of Statin Use With All-Cause and Cardiovascular Mortality in US Veterans 75 Years and Older

JAMA . 2020 Jul 7;324(1):68-78.

PMID: 32633800

【フリー】

 

 

㉚「肺炎による入院患者への抗菌薬使用の適正性を検討した観察的コホート研究。194,521件の入院のうち、市中肺炎(CAP)の可能性がある患者(n=9,540;平均年齢:67.6歳)と、院内肺炎(HAP)の可能性がある患者(n=2,733;平均年齢:66.7歳)が治療を受けた。抗生物質投与初日の体温、呼吸数、酸素飽和度、白血球数は、CAPの18.6%、HAPの13.5%においてすべて基準範囲内であった。CAPの34.8%とHAPの38.4%では、すべての臨床症状が正常になった後、抗生物質が3日間以上継続された。」

Prevalence of Clinical Signs Within Reference Ranges Among Hospitalized Patients Prescribed Antibiotics for Pneumonia

JAMA Netw Open . 2020 Jul 1;3(7):e2010700.

PMID: 32678449

【フリー】

 

 

㉛「急性冠症候群(ACS)を呈する高齢者や低体重の患者を対象とした体重に合わせたプラスグレルの減量投与とチカグレロルの標準投与の有効性と安全性を検討したRCT。侵襲的管理が予定されているACS患者3997例に対し、標準用量のチカグレロルまたはプラスグレル(高齢者または低体重者群では減量投与、高齢者または低体重者では標準投与)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。有効性の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)は、高齢者/低体重者では、プラスグレル群で12.7%、チカグレロル群で14.6%に発現し(HR 0.82;95%CI:0.60~1.14)、高齢者群/低体重群では、プラスグレル群で4.8%、チカグレロル群で7.3%に発現した(HR 0.65;95%CI:0.48~0.88)。高齢者/低体重群では、12か月以内のBleeding Academic Research Consortiumの3~5の出血が、プラスグレル投与群では8.1%、チカグレロル投与群では10.6%(HR 0.72;95%CI:0.46~1.12)に、高齢者/低体重群ではない群では3.7%、低体重群では3.8%にそれぞれ発生した(HR 0.98;95%CI:0.65~1.47)。」

Age- and Weight-Adapted Dose of Prasugrel Versus Standard Dose of Ticagrelor in Patients With Acute Coronary Syndromes : Results From a Randomized Trial

Ann Intern Med . 2020 Jul 21.

PMID: 32687741

【アブストのみ】

 

 

㉜「NOACsの不適切用量の投与と臨床転帰との関連を検討した台湾の観察研究。ダビガトラン(n=2,068)、リバロキサバン(n=5,135)、アピキサバン(n=2,589)、エドキサバン(n=1,483)、ワルファリン(n=2,342)を対象とし、NOACの過少投与または過量投与の患者における虚血性脳卒中/全身性塞栓症(IS/SE)および大出血のリスクを適用量のNOACおよびワルファリンと比較した。NOAC群の心房細動患者の約27%過少投与、約5%が過量投与であった。適用量群と比較して、過少投与のNOACはIS/SEのリスクが有意に高かった(aHR 1.59;95%CI:1.25~2.02)のに対し、過量投与のNOACは大出血のリスクが有意に高かった(aHR 2.01;95%CI:1.13~3.56)。ワーファリンと比較して、4種類の適用量のNOACは、同等のIS/SEリスクと有意に低い大出血リスクと関連していたが、過少投与のNOACはIS/SEリスクが高かった(aHR 1.46;P=0.012)。」

Off-label dosing of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and clinical outcomes in Asian patients with atrial fibrillation

Heart Rhythm . 2020 Jul 20;S1547-5271(20)30678-0.

PMID: 32702416

【アブストのみ】

 

 

㉝「急性心筋梗塞および不顕性甲状腺機能低下症患者におけるレボチロキシン治療の左室機能を評価した英国における2重盲検RCT。対象者95人(平均年齢63.5歳;69.1%がST上昇型心筋梗塞)血清チロトロピン(TSH)値が0.4~2.5mU/Lの間を目指して25μgの用量にて開始するレボチロキシン治療(n=46)、またはプラセボ(n=49)の1日1回52週間投与された。TSH中央値は5.7mU/L、遊離チロキシン(FT4)値の平均は1.14ng/dLであった。ベースライン時および52週目の平均左室駆出率(主要評価項目)は、レボチロキシン群でそれぞれ51.3%および53.8%であったのに対し、プラセボ群ではそれぞれ54.0%および56.1%であった(調整後群間差 0.76%;95%CI:-0.93%~2.46%)。副次的転帰のいずれも、レボチロキシン治療群とプラセボ治療群の間で有意差を示さなかった。心血管有害事象は、レボチロキシン群で33.3%、プラセボ群で36.7%であった。」

Effect of Levothyroxine on Left Ventricular Ejection Fraction in Patients With Subclinical Hypothyroidism and Acute Myocardial Infarction: A Randomized Clinical Trial

JAMA . 2020 Jul 21;324(3):249-258.

PMID: 32692386

【フリー】

 

 

㉞「Medication Regimen Complexity Index(MRCI)で測定された薬物療法レジメンの複雑性(MRC)の患者の臨床転帰に及ぼす影響についてを評価したコホート研究および症例対照研究の合計12研究のメタ解析。MRCは、コホート研究における入院(HR 1.20;95%CI:1.14~1.27;I2=0%)、症例対照研究における病院再入院(平均差(WMD) 7.72;95%CI:1.19~14.25;I2=84%)、およびコホート研究における薬剤ノンアドヒアランス(調整済みOR 1.05;95%CI:1.02~1.07;I2=0%)と関連した。」

Are Clinical Outcomes Associated With Medication Regimen Complexity? A Systematic Review and Meta-analysis

Ann Pharmacother . 2020 Apr;54(4):301-313.

PMID: 31718244

【アブストのみ】

 

 

㉟「特発性細菌性腹膜炎(SBP)の初発症患者865例(培養陽性275例、TGC耐性菌感染症103例)を対象に、3世代セファロスポリン(TGC)およびカルバペネム系薬の効果を比較した後ろ向きコホート研究。初回に抗生物質による経験的治療を受けた患者のうち、11.0%がカルバペネムを、75.7%がTGCを投与された。主要アウトカムである院内死亡率はカルバペネム群25.8%、TGC群25.3%で両群間に有意差はなかった(aOR 0.97;95%CI:0.85~1.11;P=0.66)。慢性肝不全SOFA(CLIF-SOFA)スコアが高い患者のサブグループ(スコア7以上、n=314)では、院内死亡率はカルバペネム治療群(23.1%)の方がTGC群(38.8%)よりも低かった(aOR 0.84;95%CI:0.75-0.94;P=o.002)。対照的に、CLIF-SOFAスコアが低かった患者(n=436)では、院内死亡率はカルバペネム群(24.7%)とTGC群(16.0%)の間で有意差はなかった(aOR 1.06;95%CI:0.85-1.32;P=0.58)。」

Empirical Treatment With Carbapenem vs Third-generation Cephalosporin for Treatment of Spontaneous Bacterial Peritonitis

Clin Gastroenterol Hepatol . 2020 Jul 2;S1542-3565(20)30909-5.

PMID: 32623007

【アブストのみ】

 

㊱「ST合剤を連続3日以上投与されているHIV感染症の入院患者(n=100)における高用量(10mg/kg/day以上)と低用量(10mg/kg/day未満)での高カリウム血症と血清クレアチニン(SCr)上昇の頻度を比較した後ろ向きコホート研究。全体で47人の患者が高カリウム血症またはSCr上昇のいずれかの有害事象(ADE)を少なくとも1回経験し、低用量群では20人の患者がこれらのADEを経験し、高用量群では27人の患者がこれらのADEを経験した(P=0.229)。高カリウム血症またはSCr上昇のADEは、高用量群でより短い期間(5.5日 vs 8.7日)で発生した(P=0.049)。全体的なSCr上昇の頻度は24%、血清K上昇の頻度は36%であった。治療的介入を必要とする高カリウム血症は、低用量群2例に対し高用量群12例で発生した(P=0.009)。」

Dose-Dependent Hyperkalemia Among Hospitalized, HIV-Infected Patients Receiving Sulfamethoxazole/Trimethoprim

Ann Pharmacother . 2020 Sep;54(9):852-857.

PMID: 32106685

【アブストのみ】

 

 

㊲「固形癌および多発性骨髄腫(MM)からの骨転移は重要な罹患源である。本メタアナリシスは、固形腫瘍に続発する骨転移または多発性骨髄腫の骨病変を有する骨転移患者における骨格関連イベント(SREs)の予防におけるデノスマブ120mg SCとゾレドロン酸(ZA)4mg静注の有効性と忍容性を比較することを目的として実施された4件のRCTのメタ解析(n=7,739)。デノスマブは、試験開始から最初のSREまでの期間(HR 0.86;95%CI:0.80-0.93)、または最初およびその後のSREまでの期間(HR 0.83;95%CI:0.76-0.90)を遅らせる点で、ZAよりも有効であることが示された。しかし、全生存期間および病勢進行に関する結果は、2剤間で類似していた。さらに、デノスマブは骨痛(RR 0.88;95%CI:0.80~0.97)、顎骨壊死(RR 0.75;95%CI:0.61~0.93)、急性期反応(RR 0.47;95%CI:0.40~0.56)のリスク低下と関連していた。」

Denosumab Versus Zoledronic Acid in the Prevention of Skeletal-related Events in Vulnerable Cancer Patients: A Meta-analysis of Randomized, Controlled Trials

Clin Ther . 2020 Jul 24;S0149-2918(20)30281-2.

PMID: 32718784

【フリー】

 

 

㊳「急性心筋梗塞(AMI)後の心不全(HF)を伴わない患者におけるβ遮断薬の長期投与と臨床転帰との関連を検討したコホート研究。AMIに対する冠動脈血行再建術を受け、死亡、心筋梗塞(MI)再発、HFを1年間発症せず、退院時にβ遮断薬を処方された患者28,970例が登録された。1年以上のβ遮断薬治療(n=22,707)と1年未満のβ遮断薬治療(n=6,263)の間でアウトカムを比較した。1年未満のβ遮断薬治療を受けた患者と比較して、1年以上のβ遮断薬治療を受けた患者では、全死因死亡のリスク(aHR 0.81;95%CI:0.72-0.91)および全死因死亡、MI再発、新規HFの入院の複合リスク(aHR 0.82;95%CI:0.75-0.89)は有意に低かったが、MI再発および新規HFの入院のリスクはそうではなかった。β遮断薬の継続投与に関連した全死因死亡リスクの低下は、MI後2年を超えても観察された(aHR 0.86;95%CI:0.75-0.99)が、3年を超えると観察されなかった(aHR 0.87;95%CI:0.73-1.03)。」

Long-term β-blocker therapy and clinical outcomes after acute myocardial infarction in patients without heart failure: nationwide cohort study

Eur Heart J . 2020 Jun 15;ehaa376.

PMID: 32542362

【フリー】

 

 

㊴「急性呼吸不全(ARF)患者における去痰薬の使用が臨床転帰を改善するかどうかを検討した13件のRCT(n=1,712)のメタ解析。去痰薬は、人工呼吸器装着の時間(7試験;平均差(MD) -1.34;95%CI:-2.97~0.29;I2=82%)、死亡率、在院日数、 人工呼吸器離脱期間に影響を及ぼさなかった。去痰剤はICU滞在期間短縮効果があった(10試験;MD -3.22;95%CI:-5.49~-0.96;I2=89%)。」

Mucoactive agents for acute respiratory failure in the critically ill: a systematic review and meta-analysis

Thorax . 2020 Aug;75(8):623-631.

PMID: 32513777

【フリー】

 

 

㊵「米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアが5以下の軽症~中等症の急性期非心原性脳梗塞、またはTIAを発症し血栓溶解療法または血栓除去術が予定されていない患者を対象とした二重盲検RCT(n=11,016)。症状発現後24時間以内に,チカグレロル(負荷用量180mg、その後は90mgを1日2回)+アスピリン(1日目に300~325mg、その後は75~100mg/日)群(n=5,523)、またはプラセボ+アスピリン(n=5,493)の30日間レジメンに1:1で割り付けた。主要転帰(30日以内の脳卒中または死亡の複合)はチカグレロル+アスピリン群の5.5%、アスピリン群の6.6%に発生した(HR 0.83;95%CI:0.71~0.96)。脳梗塞はチカグレロル+アスピリン群の5.0%、アスピリン群の6.3%に発生した(HR 0.79;95%CI:0.68~0.93)。障害の発生に2群間で有意差は認められなかった。重度の出血はチカグレロル+アスピリン群0.5%、アスピリン群0.1%に発生した(P=0.001)。」

Ticagrelor and Aspirin or Aspirin Alone in Acute Ischemic Stroke or TIA

N Engl J Med . 2020 Jul 16;383(3):207-217.

PMID: 32668111

【アブストのみ】

 

 

㊶「RA患者におけるプレドニゾロンの継続と漸減の有効性を比較したRCT。トシリズマブとプレドニゾロン5~15mg/日を24週間以上投与されているRA患者がプレドニゾロン5mg/日を4週間以上投与され、無作為化試験の4~6週間前と当日のDAS28-赤血球沈降率(DAS28-ESR)が3.2以下であることが確認された、安定した低疾患活動性を有する場合に組み入れの対象となった(n=259)。プレドニン5mg/日を24週間継続する群(n=128)か、16週目に0mg/日に達するまでプレドニンを漸減する群(n=131)に割り付けられた。全患者にトシリズマブ162mgを毎週皮下投与、または4週ごとに8mg/kgを4週ごとに静脈内投与)を投与し、24週間の試験期間中は安定した用量を維持した。継続群の128人全員は漸減群の131人と比較して、疾患活動性のコントロールが優れていた。主要アウトカムであるベースラインから24週目までのDAS28-ESRの推定平均変化量は、漸減群で0.54(95%CI:0.35-0.73)、継続群で-0.08(95%CI:-0.27-0.12)であり(差0.61 (95%CI:0.35-0.88)、1日5mgのプレドニンを24週間継続投与することが有利であった。治療は成功したと考えられた(24週目に疾患活動性が低く、24週目にRAの再燃がなく、副腎不全が確認されなかったと定義)は継続群77%に対し漸減群65%であった(相対リスク0.83;95%CI:0.71-0.97)。重篤な有害事象が発現したのは、漸減群5%、継続群で3%であり、症状のある副腎不全を有する患者はいなかった。」

Continuing versus tapering glucocorticoids after achievement of low disease activity or remission in rheumatoid arthritis (SEMIRA): a double-blind, multicentre, randomised controlled trial

Lancet . 2020 Jul 25;396(10246):267-276.

PMID: 32711802

【アブストのみ】

 

 

㊷「骨粗鬆症治療におけるデノスマブの投与を遅らせた患者における骨折リスクを、予定通りに投与を受けた使用者と比較して推定することを目的としたコホート研究(n=2,594)。推奨日から4週間以内にデノスマブを投与した場合("on time")、4~16週間遅れて投与した場合("short delay")、16週間以上遅れて投与した場合("long delay")の3つの投与間隔を持つ仮想試験の解析を真似た。主要エンドポイントの6ヵ月間の複合骨折リスクは、オンタイム投与では1000人中27.3人、短遅延投与では1000人中32.2人、長遅延投与では1000人中42.4人であった。オンタイム投与と比較して、短時遅延投与では複合骨折のハザード比はHR 1.03(95%CI:0.63~1.69)、長時遅延投与ではHR 1.44(95%CI:0.96~2.17)であった。椎体骨折では、短遅延はHR 1.48(95%CI:0.58~3.79)、長遅延はHR 3.91(95%CI:1.62~9.45)であった。」

Delayed Denosumab Injections and Fracture Risk Among Patients With Osteoporosis: A Population-Based Cohort Study

Ann Intern Med . 2020 Jul 28.

PMID: 32716706

【アブストのみ】

 

 

㊸「心房細動患者に対するアピキサバンとワルファリンの有効性を検討したARISTOTLE試験のサブ解析。追跡期間6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、22ヵ月におけるアピキサバン群とワルファリン群の転帰までの時間の遅延を推定した。アピキサバンとワルファリンのイベントフリータイムの改善は、フォローアップ22ヵ月後の脳卒中または全身性塞栓症で181日(95%CI:76~287日)、死亡で55日(95%CI:-4~114日)、大出血で206日(95%CI:130~281日)、頭蓋内出血で392日(95%CI:249~535日)であった。これらすべてのイベントを複合した総合的な改善は116日(95%CI:60~171日)であった。」

Effects of apixaban compared with warfarin as gain in event-free time - a novel assessment of the results of the ARISTOTLE trial

Eur J Prev Cardiol . 2020 Aug;27(12):1311-1319.

PMID: 31698965

【フリー】

 

 

今回は以上になります!

参考になれば嬉しいです!

 

 

 

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