リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

 月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2020.8)(医師向けに「病院薬剤師の仕事」についてレクチャーしてきました!)

先日、医師向けに「病院薬剤師の仕事」についてレクチャーする機会をいただきました。毎週2回朝の7:30から8:00まで、全国の医師らでオンラインカンファレンスを行っているグループがあり、そこで講師をさせていただきました。当院の医師が参加しているおり、お声がけをいただいた形です。(聴講に何度か参加させていただいたことがあったのですが、眠くて全然続かなかったです…)

演題名は「アンサングシンデレラのお仕事」

思いっきり乗っかりました!

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当日は100施設くらいの参加があったようです。中には著名な施設や医師も参加されていたようで…ゾッとしますね(笑)

今思えばちょっと攻めすぎたかもですが…

 

終わったことは仕方ない!!

 

ということで、そこで話した内容をシェアします!

 

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まずはドラマの宣伝をしておきました!

 

では本題へ。

 

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※こちらのスライドは、日本病院薬剤師会のホームページ上にある「病院薬剤師への招待」スライドを参考にさせていただきました。

こうやってみると色んな仕事がありますね。もちろんこの他にもたくさんの仕事があります。当院では行っていない業務もありますし、これらを全て紹介するには時間が足りないので一部のみを紹介しました。

 

まずは調剤から

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本音をポロっと言ってしまいました。。。スライドに書いたのはごく一部ですけどね…いろいろありますよね…

とはいえ、医師も面倒ですよね…

一番下に書いてある「処方追加・変更したのにカルテに書いていない」のは私的にはすごく困るんですよね。理由は「適切な処方鑑査ができない」→「不要な疑義照会が発生する」からです。処方には「処方薬品違い」「患者違い」といった最悪の処方ミスの可能性があります。カルテに書いてないとこれが分からないんです。どちらもこれまでに経験してきたことですから、そのリスクを常に頭に入れておく必要があるんです。ましてや入院患者なのでそれなりにハイリスクですし。それと、処方意図が分からないと鑑査はできないですし。「斜め上」の処方だったりしますからね。。。カルテに書いてないゆえに疑義照会が発生するということもありうるわけです。疑義照会に至らなくても、しようかどうか悩むという謎の時間が発生することもよくありますし…あと当院では院外薬局からの問い合わせは薬剤部に電話がかかってくるのですが、その際にもカルテに記載がなければ医師に問い合わせをせざるを得ません。特に若い医師は、あとでまとめてカルテを書くケースがよくあるのですが、簡単でいいので処方理由を書いてから処方をしていただきたい、という話をしました。

言いたいことは山ほどありますが、このくらいにしておきます。

 

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この名シーンも使わせていただきました。医者相手にこのスライドを使った勇気を褒めていただきたく(笑)

この疑義照会の部分は攻めましたね(笑)ちょっとだけ後悔しています!

 

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調剤は機械化が進み、また薬剤師以外の調剤が認められるようになってきていますので、薬剤師は調剤以外の業務に時間を割けるようになってきています。その時間を使って、経過の評価からの処方提案に力を入れるようになっていると思います。

処方後の処方提案は医師にもう一度考えてもらわないといけないので、できるだけ処方提案は処方前にしていきたいですね。

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こちらのスライドは山本雄一郎先生の著書「誰も教えてくれなかった実践薬歴」を参考にしました。医師が処方して薬剤師が鑑査するのは「ダブルチェック」と呼ばれることもありますが、視点が違うので「クロスチェック」と呼んだ方がいいのでは?ということでした。なるほどと思いましたね。

そしてそれぞれの立場からのリスク・ベネフィットを検討し、ディスカッションをしていく必要があると思います。

 

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その視点の違いですが、この3点が薬剤師の視点としては特に大切なのかなと思います。もちろん他にもありますが。この詳細にも踏み込みたかったのですが30分ではとても間に合わないので…

Cys-CとかPISCSの話とかを少ししたかったんですけどね。またの機会に。

 

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ここからは「薬剤管理指導」および「病棟薬剤業務」について。

持参薬鑑別は、私の好きな業務であり、とても大切にしている業務です。あまり好きな人はいないかもしれないですけどね。特に自宅から入院される患者さんの持参薬鑑別からはその方の自宅での生活の様子が見えてくることがあります。きっちりしている人、そうでない人。薬がしっかり飲めている人、飲めてない人。家族がしっかり管理している人、全く関わってない人。持参薬の管理状況から認知症を疑うケースもあります。また、相互作用や今の患者の病態に合っていない薬に気づくこともあります。

スライドのような光景になることもしばしば…

 

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持参薬鑑別ではポリファーマシーに気づくこともあります。入院はポリファーマシーへの介入の絶好の機会です。いったん薬を中止して様子を見れたり、医師・薬剤師を含む多職種で時間をかけて検討することもできますので。積極的に取り組んでいます。特に今年からは新しい加算もできましたので。

 

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退院に向けて処方介入するのも大切な役割だと感じています。入院中は看護師等にて薬が管理されていますが、退院後は自分または家族等で管理を行わなければなりません。その患者に合わせた薬剤や用法を提案していく必要があります。

また、退院後に包括病床や老健を検討されている場合は薬価を検討する必要もありますので、そこでも薬剤師の役割が大きいと感じています。とりあえずのP-CABとかホント止めて…

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退院時の処方も含めてですが、しっかり患者をみて処方しないと残薬が出てきてしまいます。これは完全に医師と薬剤師の責任です。患者を責めることはナンセンスです。できるだけ防がないといけませんし、もし発生してしまったらその原因をしっかりと考えるようにしましょう。

 

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残薬調整は院外薬局で行えば加算が取れるので、院外薬局に任せていいよーって言っておきました。そんな時間があれば患者さんと話をしてほしいと思いますし、せっかく院内で調整してもらっても日数が間違えてるケースもよくありますからね💦

その際は処方箋のコメントを工夫してほしい旨も伝えておきました。

 

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病棟業務については、他職種の負担軽減という面もありますね。医師より看護師の方がメリットを感じやすいかもしれないです。病棟には本来薬剤師がやらないといけない業務がたくさんあると思いますし、多職種から声をかけやすくなるのも大きなメリットだと思います。

ただ、病床数が少ない、つまり薬剤師が少ない病院では特に届け出を出している病院が少なく、その理由は薬剤師の人員不足が一番多いようです。まだ病棟に薬剤師がいない施設には薬剤師の増員をお願いしていただくよう伝えておきました。

 

次は感染管理のことをお話したのですが、院内のデータを使ったのでスライドの公開は控えておきます。感染管理の仕事にもいろいろとありますが、今回は抗菌薬関連の話をしました。ただ、当院はほど抗菌薬を複雑に使うことはなく薬剤師が介入するケースは多くありませんので、サーベイランスの話をしました。箇条書きでまとめておきます。

 

〇5年前に初めてアンチバイオグラムを作成

→大腸菌に対しての感受性がLVFXで50%、セフェムは軒並み70%付近…

→尿路感染へのLVFXの処方は効かない可能性がある&さらなる耐性拡大を抑えるために控えるよう依頼

→LVFXの処方数は激減、感受性は60%台に。セフェムの感受性も80%台に改善。


〇その他の経口抗菌薬についてのサーベイランスも実施し、毎年経過を報告

→経口抗菌薬の総処方量は右肩下がり&当初の経口抗菌薬の処方ランキングは「1位:マクロライド、2位:3世代セフェム、3位:キノロン」だったのが、「1位:ペニシリン、2位:2世代セフェム、3位:マクロライド」と大幅な変化が!全体的な処方量が減っている中、広域抗菌薬が激減し、狭域抗菌薬は増加傾向という美しい経過!

 

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当院で経口抗菌薬の処方の流れが変わったのは医師の入れ替わりや時代の流れという理由もあると思いますが、このサーベイランスを毎年行って、気づいたことを報告していることも大きいかと思います。実際やってみるとかなり面倒なのですが、意義は大きかったのではないかと自負しておりますし、今後も続けていこうと思います。

 

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薬局との連携も大切な業務です。「薬薬連携」と言いますね。迷惑を掛けることは多々あり申し訳ない限りですが…いつもすみません、ホント…

特に最近ではトレーシングレポートや退院時施設間情報提供書等を通じた患者さんの情報共有が積極的になってきている印象です。

 

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病院薬剤師と薬局薬剤師の関係は、病院勤務医と診療所勤務医との関係と似ているのかもしれません。患者さんとの付き合いは圧倒的に薬局薬剤師の方が時間的には長いわけです。それゆえたくさんの患者さんに関する情報を持っていますね。退院後のフォローを適切に行っていただくため、退院時に薬局に情報提供していくのも病院薬剤師の大切な業務の1つです。

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医師は診療情報提供書を当たり前のように書いておりますが、薬剤師は最近になってそういった退院時の情報のやり取りが積極的になってきました。当院ではこのような情報提供書を作成して院外薬局へ情報提供を行っております。

 

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こちらが今回のまとめのスライドです。

薬剤師を有効活用してほしいですし、もちろんこちらからも積極的に関わっていかないといけないと思います。

お互いに一人で悩まず、一緒に悩むことは大切だと思います。

薬剤師しか持っていない情報は多いので、患者さんのために積極的に最大限活かさないといけないですね。

でも限界もありますので、そこはご了承いただきたく。。。

 

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現在では様々な認定薬剤師が制度化されております。この他にもたくさんあります。認定薬剤師はその分野の専門医と対等に議論ができるほどの知識を持っていますので、積極的に利活用してほしいですね。ドーピングとプライマリケアは私が持っている資格ですので、ちょっと強引に入れてみました。

プライマリケアってざっくりしてますね💦

 

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これが最後のスライドです!

第5話も良かったですね。泣きました。

ヤクルト推しがちょっと…(フジテレビなので仕方ないですが、虎ファンなので…ぜひ次回はサンテレビでドラマ化を…)

 

 

今回は以上になります!

ご参考になれば嬉しいです!