2020/6/27,28にかけてオンラインにて開催された第2回全国在宅医療学会大会に参加しました。オンライン開催での学会への参加は今回が初めてでした。
今回はオンライン学会参加の感想と、本学会での学びを書いていきたいと思います。
まずはオンライン学会の感想を。メリット、デメリットに分けて書いていきます。
メリット
・楽!とにかく楽!
会場に行かなくてもいい、会場を移動しなくてもいい、席を取らなくてもよい(某医療薬学会なんて座れないこと多いですからね…)、服装を気にしなくてもよい、起きてさえいれば朝一のセッションに間に合う(寝ぼけてても、寝ぐせだらけでもOK)、などなど…このメリットは大きいです!特に、田舎は会場までが遠いですからね…
・自由!
誰にも見られてないので、ほんと自由です。今回はZOOM開催だったのでセッションのIDとパスワードを入力すれば、途中でも気軽に違うセッションに入ったりできます。あの先生の演題だけ聞きたい…って時も簡単に聞くことができました。もちろん服装も姿勢も自由ですし、疲れたら休憩していいですし(家にはオフトンがあるよ!隣の人とかイビキとか気にせず寝れるよ!)。
・気軽に質問できる&質問が多かった時は後からチャットで回答してもらえる
学会の会場で質問するのは勇気がいりますけど、チャットなら質問しやすそうです!それと質問が多く時間切れになったとしても、あとから発表者がチャットに書き込んだりもしていたようです。
・気軽に参加できる
ちょっと興味があって、一度参加してみたいな…という学会もあるかと思いますが、時間もお金もかかるので全部に参加するのは難しいかと思います。そういった学会でもオンラインなら参加しやすいかと思います。
・スクショが簡単にできてしまう
やったらダメなんですけどね。簡単にできちゃうのでつい…
ダメなんですよ。でも、メモが難しい時ってあるじゃないですか…
絶対ダメですよ!
・金を節約できる!
交通費や宿泊費はもちろんですが、どうしても遠方に行くとつい財布が緩んでしまって無駄使いをしてしまいがちです。これもいいところですね!
デメリット
・家には誘惑が多い…
色んな誘惑があって、ついそこに手が伸びてしまって…
どうしても集中力が途切れがちになってしまいます。しっかりとした環境を整える必要があると思います。
また私は1人暮らしですが、ご家族がいらっしゃる方は邪魔されることもありそうです。
・通信料の負担
データ量はけっこう喰います。私のように月のデータ量に制限のある場合は注意しないといけません。特に今回は月末開催ということで、ちょっと前から控えて余裕を残しながら、当日もヒヤヒヤしながらの参加となりました。
・知り合いと話ができない
学会の醍醐味はやはり知り合いに会うことや、学会後の飲み会だったりします。やっぱりこれが楽しいので、知り合いがたくさんいる学会だったら、オンライン開催は寂しいですね。今や飲み会もオンラインでできますけど、やっぱり顔を合わせて話すのはまた違いますからね。
・聴衆の反応が見れない
これは発表者側からの意見となりますが(発表してませんけど…)、聴衆の反応がみれないのは辛いと思います。webの勉強会は全部そうなのですが、聴衆をミュートにしていると一人で話している感じになってしまいますからね。
・配信トラブル…
シンポでは個々がスライドを準備して映し出していたので、どうしてもスライドが上手く映らなかったり、ネット環境が悪く音声が途切れてしまったりということが、この学会でも何度かありました。事前に入念な準備が必要かと思います。
・ポスター発表の注意点!
ポスター発表は、普通は会場に行けば貼ってありますから、私はいつもあまり事前準備をせず、ふらふら回るのですが、今回のオンラインでの学会ではそうではなく、「演題名」をクリックしたらポスターが見られました。ということは「演題名」である程度釣らないと見てもらえないかもしれません。そこで気にならなかったらおそらく見ないと思うので(わざわざ全部クリックしてファイルを開けないでしょうから…)、工夫した方がいいかと思います。もちろん、見るほうもわざわざダウンロードしないといけないので面倒です。
また、ポスターをタブレットやスマホで見ることも多いと思うのですが、字が小さいと全然見えませんし、見る気が失せてしまいます。私はタブレットで見ましたが、見えないのがいくつかありました。いつものポスターよりは大きな字にしたほうがいいかもしれません。
思いついたのはこのくらいです。会場かオンラインかどちらがいいというのは難しいですが、さほど興味がない…という学会であればオンラインで十分かなと思います。
さて次は、第2回全国在宅医療学会大会の感想と学びをいくつか書いていきます。
今回初めて参加したのですが、知識を身に付けるというよりは考え方やそれぞれの地区での取り組みやシステムを共有するという趣旨のシンポジウムが多かった印象です。困りごとにドンピシャではまる方もいらっしゃったかもしれませんし、今回学んだこと頭に入れておけばいつか困ったときに役立つかもしれない、と感じました。
個人的には、参加費の11,000円分の学びがあったかというと、そこまではなかったかな…という印象です(なので、オンライン開催でよかったです)。たぶんこれは、現状で在宅をガッツリやっているわけではないからだと思います。その中でも課題は見つかりましたし、いくつか興味を持てた分野もあったので良かったです。
全体的には、ACP、ICT(Information and Communication Technology)、COVID-19関連のシンポや発表が多かったように思いました。おそらく今の在宅の分野で注目されているんだと感じました。
あと、薬剤師の発表が少ないのが少し気になりました。こういった多職種が集まる学会だからこそたくさん発表してアピールしてほしいなと。出してない私が言うのもなんですが。薬剤師のシンポは一つありましたし、すごく充実していたように思います。なんだかんだで、その進歩が一番得るものが大きかった気がします。
さてそれでは、少しだけ学びの共有を。
COVID-19のクラスターを経験された在宅医のご講演と、社会的処方についてのシンポジウムについてです。
特別講演3「新型コロナウイルス感染症がクラスター化した高齢者施設で在宅医ができること」
反省と今後の対策
・早期の対策本部設置が必要
→散発例なら各事業所が設置、クラスター化すれば行政主導で設置
・介護崩壊対策が早期に必要
→施設で発生すると感染や濃厚接触・家族からの反対等にて職員が少なくなってしまった。
→まずは入居者・職員全員または濃厚接触者全員のPCRとコホートが必要。
⇒さらに、複数事業所での相互救援体制、専門職種の支援・派遣体制を次までに整えておくことが必要→応援者に備えて、日常業務のマニュアルの整備を!
・クラスター化すればACPとか言っている場合ではない
→普段からACPを話し合っていくことが重要
・リソースとしてのヒト・モノ・カネの事前準備は必要!
・オンライン面会を確立しておくこと
・個人防護具着脱の練習、感染症の勉強会の必要性
シンポジウム62「地域ケアと社会的処方」
・「処方」と言われると医師がするものと考えがち。社会的処方は誰でもできるので、呼び名は変えた方がいいかもしれない。
・2005年の調査で、日本は「社会的孤立」の割合がOECD各国の中で一番高い→今後大きな健康問題となるかも
・生活困窮者・高齢者→様々な生きづらさを抱えて生きている
・医療機関が、医療では解決できない課題を抱える患者に時間をとられている
→家庭医は必ずしも地域資源開発のエキスパートではない
→社会的処方を誰が担当するのか?
・何もかも医療化しすぎてしまったのではないか?
→「生老病死に関わる問題を地域住民に取り戻そう」
・もうちょっとこんなことがあったらいいな、ということを地域住民に聞いてみて、地域資源を生み出した(現在あるものを探し出した)
→活動費はどうするのか?行政?寄付?持ち出し?
・社会的処方により「つなげること」が害になるケースも存在する。強制は×、慎重な運用が必要。
・経済的インセンティブはどうするのか?
・制度にするよりも文化にする方が必要?地域課題をみんなで取り組むためには、リンクワーカーみたい人を置かない方がいい?みんながリンクワーカーになるのが理想。
来年は11/27,28で東京開催です!私は参加を見送ると思います。。。オンライン開催があれば考えます♪
↓社会的処方といえばこの本!うちの町のでタバコに関する事例も書かれていますので、是非読んでみてください♪(まだ最後まで読んでないんだった…)
社会的処方については以前に以下のブログに書きましたね。
厚生労働省から推進されることも発表され、今後ますます注目されてくると思いますので是非覚えておいてください!