リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第11回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2019.6.19)

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遅くなってしまいましたが…

第11回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

録音はこちらから↓

今回も5人で1時間枠にて行いました。

 

今回のメニューはこちら

テーマは「高血圧」でした!

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では、論文の紹介を。

 

はじめは@程々な薬剤師

Effect of garlic on blood pressure: a meta-analysis.

J Clin Hypertens (Greenwich). 2015 Mar;17(3):223-31.

PMID:25557383

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 にんにく製品の摂取と血圧の関連を示したメタ解析です。

一般の方に薬の講演をすると、このにんにくの効果についてはよく聞かれるので気になっていました。

結果としては、わずかではありますが血圧の効果と関連があるようです。

あくまでソフトエンドポイントなので、これがイベントと関連するかどうかは不明ですが…

実は私もにんにくの効果をみた論文を取り上げようとしていて、被ってしまったのです。こちらの論文です→(A systematic review and metaanalysis on the effects of garlic preparations on blood pressure in individuals with hypertension. Am J Hypertens. 2015 Mar;28(3):414-23. PMID: 25239480)

 

そういえば、黒にんにくってどうなんでしょうか、、、これもよく聞かれるんですよね、、、

 

次は@zuratomo4

Short-term effects of instruction in home heating on indoor temperature and blood pressure in elderly people: a randomized controlled trial.

J Hypertens. 2015 Nov;33(11):2338-43.

PMID:26372318

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室温の調節と血圧との関連を示した論文です。

外気温が5~6℃の時に室温が24度となるように調節すると、室温が2度程度上昇し、血圧の低下と関連があるようです。

寒いと血圧が上がるイメージがありますが、それが示された形になっています。2度違うだけで差が出てしまうんですね。

患者の生活指導の際にこういった項目を取り入れてもいいのかなと思いました。

 

次は@たけちゃん

A meta-analysis of effects of selective serotonin reuptake inhibitors on blood pressure in depression treatment: outcomes from placebo and serotonin and noradrenaline reuptake inhibitor controlled trials.

Neuropsychiatr Dis Treat. 2017 Nov 7;13:2781-2796.

PMID:29158677

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SSRIとSNRIでの血圧への影響の差をみた論文です。

あまり気にしたことがなかったのですが、考えてみるとSNRIはノルアドレナリンが関連しているので、関連するかもしれないと気づかされました。

結果は、わずかではありますがSNRIの方が血圧は少し高くなる傾向があるようです。さほど大きな差ではありませんが、念のため注意喚起はしておいた方がいいのではないかという印象です。

 

次は@にいやん

Effect of renin-angiotensin system blockade on calcium channel blocker-associated peripheral edema.

Am J Med. 2011 Feb;124(2):128-35.

PMID:21295192

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カルシウム拮抗薬による末梢浮腫は有名ですが、RAS系阻害剤の併用でそのリスクが減少するのかどうかをみた論文です。

結果としては、併用により末梢浮腫のリスクは減少する傾向にあるようです。しかもかなり大幅に減らす印象です。これは覚えておいて損はないなと思いました。

正直、RAS系阻害剤が末梢浮腫を減らす可能性があることを全く知らなかったのですが…

機序としては本論文の冒頭に書かれています。以下、「google 翻訳」の訳です。

「カルシウムチャネル遮断薬は、最も一般的に使用されている降圧薬クラスの1つであり、末梢浮腫は一般的な用量依存的な有害作用である。末梢浮腫は、優先的な細動脈の拡張によって生じると考えられているため、細動脈と細静脈毛細血管の間の圧力勾配が増加し、血管内液の血管外遊出を引き起こす。
レニン - アンジオテンシン系遮断薬は、カルシウムチャンネル遮断薬と組み合わせて高血圧の治療にますます使用されている。それらは降圧効果を改善するだけでなく、毛細血管後抵抗を減少させることによって末梢浮腫を減少させ、それによって毛細血管内圧を正常化し、体液溢出を減少させる」

 

最後は私@リンコ

Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years: A Randomized Clinical Trial.

JAMA. 2016 Jun 28;315(24):2673-82.

PMID:27195814

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いわゆる「SPRINT試験」のサブ解析となっております。

結果としては、血圧の厳格コントロールを行った群で標準コントロール群と比較して心血管複合アウトカムや全死亡リスクが低減しました。

3年間の追跡での種々アウトカムのNNTが20~30台であり、侮れない数字だと感じました。

本文中にも記載がありますが、本研究を、80歳以上で収縮期血圧が160mmHgの高血圧患者を対象とした「HYVET試験」(参考:血圧の有名論文もろもろー5(「ACCOMPLISH」「HYVET」「HIJ-CREATE」) - リンコ's ジャーナル)と合わせて読むとおもしろいのではないかと思います。

また本研究は、サブ解析にてフレイルの分類でのリスクの違いを検討している点で大変興味深かったです。結果としては、フレイルの分類での差はさほどなさそうです(nが少ない気はしますが…)。今後はこういった視点からの解析の検討が重要になってくるかと思います。

 

 

今回は以上になります。

次回は7/24(水)の22時から、フリーテーマにて予定をしております!よろしければご視聴ください!