リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第8回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)(2019.3.27)

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第8回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です。

録音はこちらから↓

今回は2枠使用しての約1時間となっております。

 

さて、今回のメニューはこちらです。

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前回同様、5人で進めていきました!

 

早速ですが、私(@リンコ)から

Association of Tramadol With All-Cause Mortality Among Patients With Osteoarthritis.

JAMA. 2019 Mar 12;321(10):969-982.

PMID: 30860559

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最近、トラマドールの使用が増えている気がしているのですが、その一方で海外ではトラマドール(の乱用)による害が問題となっています。一度その害に関する論文を読んでみたかったというのがこの論文を選んだきっかけです。

この傾向スコアマッチングを使用した前向きコホート研究では、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、エトリコキシブの初回投与より、トラマドールの初回投与の方が1年後の死亡率が高いという結果になりました。だいたい年1~2%程度ですね。(キャスではEとCが逆でしたので訂正しております。)

Limitationとしては、トラマドールは癌性疼痛に使用されることが多くありますが、ベースラインとしての癌が把握できていないことなどが挙げられております。確かに、癌死はトラマドール群で多くなっておりました。

確かに、癌の調整ができていないのは大きいとは思いますが、わりと大きな差がついている印象ですので、何かしらの関連があるのではないかと思われます。

またこの論文のFig1にはこれらの鎮痛剤の1stとしての選択率が示されています。ジクロフェナクが激減し、ナプロキセンが増加、トラマドールも増加傾向でしたが2012年くらいで頭打ち、COX-2選択性の薬剤はあまり使われていないことなど、はっきりとした傾向が示されており、大変興味深いです。

また最近、NEJMに2012年から2017年にかけてのアメリカのオピオイドの処方動向に関する論文が出ております。

Initial Opioid Prescriptions among U.S. Commercially Insured Patients, 2012–2017

日本語アブスト→https://www.nejm.jp/abstract/vol380.p1043

 

この論文によると、初回オピオイドの投与は2017年において2012年と比較して半分程度になっているようです。この背景としては、オピオイドの安易な使用が蔓延していることが理由としてあるようです。

 

 

2番目は@たけちゃん

Chewing Gum for Intestinal Function Recovery after Colorectal Cancer Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Gastroenterol Res Pract. 2017;2017:3087904.

PMID: 29312450

 

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キャスではすごく盛り上がりましたね!

ガムを噛むことは、複数のアウトカムに関して有効だったことが示唆されております。

面白い取り組みだなーと思ったのですが、17件のRCTということで、わりとこの分野ではメジャーなのかもしれません。日本の研究3つも含まれていたようです。 

他にも術後イレウスや帝王切開後の腸機能の回復にもガムを噛むことが有効との報告もあるようです。わりと簡便な方法で、特に副作用というか悪影響になることはなさそうでなので、やってみて損はないかもしれないですね。

たけちゃん先生はご自分のブログでも紹介されておりますので、こちらにリンクを貼っておきます。


 

3番目は@程々な薬剤師

Real-world adherence for direct oral anticoagulants in a newly diagnosed atrial fibrillation cohort: does the dosing interval matter?

BMC Cardiovasc Disord. 2019 Mar 19;19(1):64.

PMID: 30890131

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1日2回のアピキサバンのアドヒアランスが1日1回のリバロキサバンよりも良いという結果が印象的でした。本文を読んだところ、3,6,9,12か月のいずれにおいても、アピキサバン→リバロキサバン→ダビガトランの順だったようです。今回の研究では、他剤への変更も考慮されており、アピキサバンが最も変更率が低かったこともその要因となっているようです。リバーロキサバンは出血イベントが多いことが変更率がアピキサバンより高い要因かもしれないと本文に記載されておりました。ただ、それだけでは説明できないくらいの差があるので、それが気になるところです。ダビガトランは他の2剤より変更率が高いですが、特に理由の記載はありませんでした。

なお、本論文の引用文献⑬である「Pharmacy quality alliance measure: adherence to non-warfarin oral anticoagulant medications.」では、リバーロキサバン→アピキサバン→ダビガトランの順だったようです。 

 

 

4番目は@にいやん

Amenamevir, a novel helicase-primase inhibitor, for treatment of herpes zoster: A randomized, double-blind, valaciclovir-controlled phase 3 study.

J Dermatol. 2017 Nov;44(11):1219-1227.

PMID: 28681394

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先日帯状疱疹になったにいやん先生からの実体験を交えた発表でした。

アメナメビルの第3相試験です。アメナメビル400mg/日において、服用4日目までの新規皮疹形成停止率がバラシクロビルと比較して非劣勢だったようです。

ただアウトカムとしては、にいやん先生的には疼痛が重要なようで、疼痛の改善に関しても同等だったようです。

キャス中には、アメナメビルは分1であること、バラシクロビルのような副作用(アシクロビル脳症や精神障害)がないこと、肝代謝であることがメリットとして取り上げられ、バラシクロビルはアメナメビルと比較して安いこと、アメナメビルのような相互作用が少ないことがメリットとして取り上げられておりました。

 

 

最後は@zuratomo

EBHC pyramid 5.0 for accessing preappraised evidence and guidance.

Evid Based Med. 2016 Aug;21(4):123-5.

PMID: 27325531

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 あまり詳しい解説はできないのですが…

これは、エビデンスに基づく医療を行っていくにあたってアクセスできるリソースの有用性の順をピラミッドにて表したものであり、逆に下に行くほど迅速性が高まるといったことも言えるようです。スライドの左のピラミッドが以前提唱されていた6Sモデル、右が現在提唱されている5Sモデルです。

たしかに右側のピラミッドの方がしっくりくるイメージがあります。ただ、上位にあるものだからといって鵜呑みにせず、しっかり吟味していかなければならないとは思います。

 

今回は以上になります。

次回は4/17(水)22時から。テーマは「麻薬」で行います!

ご都合がつくようでしたらご視聴ください。

もし参加を希望される方がいらっしゃいましたら、ご連絡くください!