リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

第5回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)

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第5回エビデンス展覧会(略して、エビテン!)の開催報告です!

 

今回は初めて、途中で音声が切れることなく配信できました~

若干聞き取りづらいところがあったみたいですが、今までの中では一番うまくできました!

録音はこちらから↓

 

今回のメニュー

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では、論文を紹介していきます。

まずは私(@リンコ)から。

お題論文:

Time in Therapeutic Range and Disease Outcomes in Elderly Japanese Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation.

Circ J. 2018 Sep 25;82(10):2510-2517.

PMID: 30158401

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高齢者のINRの基準は日本と海外で異なりますが、本試験は日本人を対象としていたため読んでみることにしました。

結果としてはTTRが40未満で大出血リスクが高まることが示唆されました。ということで、頻繁にWFの用量が変わるような場合は出血リスクが高まる恐れがありますので、DOACへの変更等も検討していかないといけないのではないかと思います。でもそんな患者群はわずかであるということも念頭に置いておくべきかと思います。一般的にはTTRは60~70%以上は必要と言われているかと思いますし、この文献も同じような結果になっているかと思います。

 

次はにいやん先生

お題論文:

Effect of carbocisteine on patients with COPD: a systematic review and meta-analysis.

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017 Aug 2;12:2277-2283.

PMID: 28814855

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COPD患者に対するカルボシステインの効果に関するシステマテックレビュー&メタ解析です。

結果としては、カルボシステインの服用にてプラセボ群より症状の増悪回数、1回以上の症状増悪が有意に減少、OOLスコア(4点が改善の目安)も有意に減少しておりました。

概ね1年間での結果とのことですので、かなり大きな差になっているかと思います。キャス中にも話をしていましたが、去痰剤ということで侮っていると痛い目に遭いそうです。効果はそれなりに期待できると考えられる結果となっております。

ちなみに、以前ブログで「COPD患者に対する去痰剤のコクランレビュー」をまとめておりましたので、よろしければ併せてお読みください。海外はN-アセチルシステインがメインのようです。

 

最後はzuratomo先生

お題論文:

No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study.

Papillomavirus Res. 2018 Jun;5:96-103.

PMID: 29481964

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いわゆる「名古屋スタディ」ですね。私自身読んだことがなかったので、とてもいい機会になりました。

結果としては、設定された24の症状すべてで有意な増加を示しませんでした。ということで、HPVワクチンによる安全性が証明されたことになります。

試験のデザインとしてはちょっとややこしそうですが、どちらかというと有害事象が有利になるように設定されていたようです。

まだまだ接種率が上昇していないようですが、できるだけ正しい情報を提供していく必要があるのではないかと感じました。

 

 

今回は以上の3つでした。

それではまた1月に。

 

参加者も募集中ですので、ご希望がありましたらご連絡ください。