リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

私が大手調剤薬局を退職し、ド田舎の地元の病院に転職した理由 その2

まず、私がぶつかった疑問について、もう少し詳しく書きます。

「なぜ自分は山口にいるのか?」

私は福井県出身で、大学は大阪。会社に入り山口に配属されました。
会社に入るときは本当にどこでもよかったんです。
田舎の地元に帰りたいなんて思ったこともなかったし、
しいて言えば、友達の多い関西圏がよかったですが、
それは店舗が少なく難しそうなので。
しばらくは、「山口に薬剤師が少ない」って理由で自分を収めていました。
でも1,2年に1回の異動を繰り返すうちに、
「どこの誰だか分からない人に薬を渡すこと」に疑問を持ち、
結局この疑問が私の進路に大きな影響を及ぼしました。

「門前薬局というビジネス、処方箋通りに薬を渡す薬剤師って何なのだろう?」

仕事を初めてしばらくすると、このビジネススタイルに疑問を持つようになりました。
特にこれといった努力もせずに、病院の前に薬局を作るだけで患者さんが入ってくる。
すごい割のいいビジネスだと思いましたが、
こんなのでいいのかな?と素直に思いました。
狭間研至先生の言葉と借りれば「コバンザメ商法」。
まさにそんな感じでした。
で、そこで働く薬剤師は、何か淡々と目の前の業務をこなしている。
これも狭間先生の言葉を借りれば「タバコ屋。銘柄と数が合っていれば問題ない。」
特に、忙しい店舗では、まず業務効率が優先。
いかに調剤室を効率よく運営するか、薬歴を短い時間で書くか。
そんなことばかりにこだわってました。
何か大切なものを見失っていました。
(また後日書きますが、私は門前薬局を否定するわけではありません。むしろ肯定派です。)

こんな状態だったので、次の目標が決まれば薬剤師を辞めようと思っていました。
目標もなく仕事をしていたので、当然かもしれませんが。
このぬくぬくした場所にいても社会に通用するビジネスマンにはなれないんじゃないかとも思いました。
だから、途中で薬剤師として成長するのを止めてしまいました。
研修認定薬剤師もスポーツファーマシストもサプリメントアドバイザーも、全て失効。
もったいない。。。

まあそんな状態でしたが、毎日仕事にあふれ、
会社のエリア内での仕事も任されるようになり、それなりに充実していました。
2,3年目は明らかに反抗期で、いろいろなことに疑問を持ち、上司を困らせていましたが。
力はそんなにないのに、文句だけは一人前に言っていました。
でもその時に考えたことが今に確実に繋がっています。
そういう気持ちも大切にしないといけないですね。

そして4年目からは管理薬剤師。
5年目には大規模店舗に異動、エリアの教育研修担当者に。
このころからはほとんど休みなく働いてましたね。
でも仕事が多いのは嫌いじゃないので、充実していました。

管理者として意識していたことは、
「調剤過誤、クレームは絶対に起こさないこと。」
この二つって誰も幸せにしないんですよね。
患者さんも、店舗スタッフも、病院関係者も。
だからこれには徹底的にこだわりました。
それでも年に数件は起こりましたが。。。

もう一つは、患者さんが居座りたいような待合室を作ること。
どうしても待ち時間があるので、できるだけ待たされ時間を短くしようと思いました。
みんな、待合室の飾り付けや掲示物などを頑張ってやってくれました。

教育研修担当者としては、
「自分がされて嬉しかったことは、人にしてあげる。
  自分がされて嬉しくなかったことは、人にしない。
 自分がしてほしかったことは、人にしてあげる。」
私が一番好きな言葉が
「己の欲せざる所は人に施すなかれ」(論語)
ですので、この精神に則りやってきました。
もちろん店舗運営も、自分の行動も。
なかなか人を育てるのは難しかったですね。

このころは薬剤師としてではなく、マネージャー、リーダーになるにはどうすればいいか、
ということばかりを意識していました。

そして6年目になり、会社の薬剤師不足も手伝って、更に忙しくなりました。
まあでもそのうち好転するかなと我慢していました。
そんなときに急に上司との面談。
この面談の不調が、私を大きく転職へ動かしました。

さて、今日はこの辺で。
明日はこの一年のたくさんの方々との出会いについて。

P.S 2,3年目の反抗期のころ、大阪で松屋に行きました。
頼んだメニューは牛めし。一番安いメニューですね。
カウンターに座り、牛丼ができる過程を見てました。
あんなに安いメニューなのに、店員さんが一生懸命作って下さいました。
そして、ふと思いました。
自分は塗り薬1本、目薬1種類、シップ1種類、飲み薬1種類、
そんな患者さんに全力で応対しているのだろうか?
答えは「NO]でした。
この出会いは私にとって衝撃でした。