リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

2018年度薬剤耐性(AMR)対策推進月間その③:底辺からの抗菌薬の勉強は苦労しました…

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2018年度薬剤耐性(AMR)対策推進月間の記事の第3弾です。

「抗菌薬…苦手…」

こう思っている薬剤師は結構いるんじゃないかと思います。特に薬局薬剤師の方がそういう意識がある方が多いような気がしています。

私は最近になって抗菌薬についてある程度自信をもって話せるようになったのですが、数年前まではまさにこの状態。全くといっていいほど知識がなかったのですし、その知識の必要性に気付いておりませんでした。

そんな私の抗菌薬に関する勉強の苦労話(?)を共有しておきたいと思います。

 

勉強を始める前の私の抗菌薬に関する認識は以下のようなものでした…

  • 3世代セフェム→なんかとりあえず肺炎予防で出てるのかな?時々膀胱炎にも出るな
  • レボフロキサシン→ちょっと症状が重いのかな?、膀胱炎でも時々見るな
  • クラリスロマイシン→呼吸器系かな?
  • ガレノキサシン→呼吸器系の重いやつかな?
  • セフォチアム→最近処方でなくてデッドストックになったな。必要ないから処方元に駆け寄って採用中止にしてもらおう!3世代がたくさんあるから大丈夫!(実話)
  • アモキシシリン→溶連菌&ピロリ除菌!!
  • オーグメンチン→なんか最近増えてきたな…

 

なかなかひどいですね。全然笑えない!薬局薬剤師だったこともあり静注のことは全く知らなかったですし、興味もなかったです。SNS上では抗菌薬のことばかり呟いてる人いるけど何がおもしろいの??って思ってました。すみません。もちろん、今はそんなことはありませんが。

薬局薬剤師時代はこれで逃げていたんです。医師から質問されることはなかったですし、風邪には必要ないかなと薄々思ってはいましたが。(逆に今くらいの知識があれば、建設的な提案ができていたんだろうな…とも思います。申し訳ない。。。)。でも病院に転職してきたら、抗菌薬に関する質問をよく受けることが分かりました。ただそんな知識で答えられるわけもなく、ほぼ全てをもう一人の薬剤師にパスしていたわけです。

 

「それじゃいけない…」と思いながら、何を勉強していいのか分からない…

「そうだ、とりあえずみんなが薦めている本を読んでみよう!」と思い立ち、何冊か読みました。読んだ直後はすごく分かった気になるのですが、いざ実践しようと思うとできない…

「研修会にも行こう!」と思い、いくつかの研修会へ行きました。そこでも分かったつもりにはなるのでしたが、やはり実践はできない…「何でや!!」と、悩む日々。。。

そして勉強を始めて2年くらい経った時、「なんか分かった!!」という瞬間が!

 

私が理解できた理由、それは、「感染臓器、感染症」「起因菌」「抗菌薬」の3つが結びついたからでした。

勉強会や書籍はだいたいこの3つのうちどれかをメインのテーマとして進んでいきます。

 

  • この「感染臓器、感染症」は○○が「起因菌」となります。「抗菌薬」としては××を使いましょう。
  • この「起因菌」は□□という「感染臓器、感染症」を引き起こします。「抗菌薬」としては△△を使いましょう。
  • この「抗菌薬」は☆☆という「感染臓器、感染症」に使用され、♡♡という「起因菌」に効果があります。

 

それぞれを勉強した時はすごくできる気になるんです。しかしこのうちどれか一つを学んだとしても、現場で使える知識にはなかなかなりませんでした。例えば「感染臓器、感染症」をメインで学んだとします。「感染臓器、感染症」から話が始まれば理解できるのですが、ひとたび「抗菌薬」「起因菌」から話が始まってしまうと、その「感染臓器、感染症」に結びづけられず、よく分からない…といった状況になっていました。

そしてある日、この3つが結びついたとき、一気に理解が深まっていった気がします。

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まさにこの図です。私はこれが理解できて先に進めました。

 

それまで全然勉強してこなかったのでかなり苦労しました。特に「起因菌」(=微生物)については大学卒業以来ほとんど勉強してこなかったので、一から勉強しました。まだまだ勉強不足ではありますが、幾分かましになってきました。これに関しては病院にいることで各種培養検査等の結果を見ることができますので、そういったところから学んでいったというのも多いです。やはり実践あるのみです。院内に誰も教えてくれる人はいませんでしたので、、、

今では、抗菌薬に関するコンサルを受けても特に問題なく対応ができるようになっていますし、培養結果等による介入も行っていますし、抗菌薬選択に関する提案をカルテに書いたり、アンチバイオグラムを作ってみたりしています。この間は院内で「薬剤耐性菌」についての研修会もしました。(個人的な感覚では、)年々成長していると思いますし(気がしているだけかも…)、以前とは違う次元で勉強不足を感じているように思います。

 

もしかしたら勉強を始めてどこかでつまずいている方がいらっしゃるかもしれません。大丈夫です、あきらめずに続けていればそのうち理解できる日が来ますから。私でも理解できたのですから。諦めないで!

 

 

最後に、参加してよかった勉強会とか読んでよかった書籍を紹介しておきます。

感染症倶楽部(第13期感染症倶楽部 IN 金沢(ICIK:アイシック))

私が、一番学ばせていただいたのがこの勉強会です。講師をされている永田先生にはどんなに感謝してもしきれません。私は2,3年、参加できるときに参加しました。1年目はただ話を聞くのに精一杯でした。知らない単語もたくさん出てきたので大変でした。ただ何度も通って、同じ内容を何回も聞くにつれて自分の知識が深まっていくのが分かりました。

今は1年間に6回のセミナーが行われています。1年間通えばだいたい一通りが理解できるという内容になっています。一般的な抗菌薬の使い方に加え、風邪やインフルエンザ、外傷に対する考え方やそれに対する抗菌薬の使用法も学べます。

今年の6回の内容は以下のようになっております。

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講義は基本的な内容が多く、大変丁寧で分かりやすいです。初級者から中級者くらいまでの方にお勧めです。開催場所が金沢なので参加できる方が限られるかと思いますが、、、私は片道3時間ほどかけて通っていました。あと、最近では千葉や愛知でもセミナーを時々されているみたいですので、永田先生の名前を見た時にはぜひ一度参加してほしいと思います!

 

 

・若手医師セミナー(https://pfizerpro.jp/cs/sv/wakate/wakate_D/generalcontents/0000000000000/)

青木眞先生が年1回ファイザーの若手医師セミナーで「感染診療の原則」を語っていただけます。今年は先日終わったばかりですね。。。すごく分かりやすいですし、青木先生の優しく、時に鋭い語り口には聞き入ってしまいます。何か新しい知識が身につくというよりは「原則」を思い出させてくれるようなセミナー。いろんなところで講演をされることもあるみたいですが、そういったところに参加できない方は是非一度聞いてみてください!

 

・抗菌薬の考え方、使いかた

 

抗菌薬についての本の中で一番分かりやすいんじゃないかと思います。「岩田節」が満載で、すごく読みやすいです。この本は何回読んだか分かりません。これから勉強を始める人にはまず先にこれを読むことをお勧めします。ただ、間もなく第4版が出るみたいですので、それまではしばらくお待ちくださいね!

 

 

 

・感染症プラチナマニュアル

 

仕事中に一番参考にする抗菌薬の本ですね。微生物についてうまくまとまっているのが素敵です。あまり見慣れない微生物が検出されたときなどによく使っています。ほんと、これがないと仕事ができません。毎年アップデートされるのですが全て購入しています。なんといってもコンパクトなのがいいです!!

 

・抗菌薬処方支援の超実践アプローチ

 

この本を読んだときはすごくできる気になったのをすごく覚えています。でも実際は全然できなかった(笑)周辺の知識があまりにもなさ過ぎたのが原因です。知識をつけてから読み直したら理解でき、とても実践的な考えが身につく本だと感じました。

 

・レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

 

これは辞書替わりです。最初から通して読むのは変態だと思います(笑)実臨床で困ったときに参考にするようにしています。高いのがネックですが、それなりの価値はあると思います。幅広いことが詳しく書いてあるのでとても参考になります。

 

・かぜ診療マニュアル第2版

 

かぜに対する考え方や治療薬に関してはこれを読めば全て理解できるといっても過言ではないような。抗菌薬の使い方はもちろんですが、その他の薬剤の考え方や診断についても大変勉強になりました。個人的には、諸症状に対する「漢方」の選び方が書かれていたのがとても参考になりました。

 

この他にも数多くの書籍が出ていますので、自分に合った本を探していただければと思います。また、研修会も活発に行われている分野ですので、ぜひ積極的に参加してくださいね!