リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2018.4)(ソクラテス先生の講演会と病薬として薬歴を書いてみての違和感)

今回は4/7,8に大阪でいくつかの勉強会に参加してきましたので、そのレポート的なのを。

4/7
エクスファルマ主催の、ソクラテスこと山本雄一郎先生の講演会に参加してきました。「最高の患者ケアを目指す薬歴とは」「薬局で使える実践薬学から」2部構成でした。特に勉強になった「最高の患者ケアを目指す薬歴とは」について書いていきます。
Img_20180407_130745_2

うちの病院では、薬剤師不足の影響にて昨年よりようやく薬剤管理指導が再開され、薬局より転職した私はそれ以来の数年ぶりに薬歴を書いているのですが、なかなかしっくりこなくて。薬局時代はスラスラ書いていたのにな…と思いながら。
いくつか疑問点というか薬局の薬歴や服薬指導との違いによる違和感があったのでが、今回講演をお聞きしたり後で質問したりして、幾分かは解決できたのかなと感じています。そのことについて5つの項目に分けて以下に書いていきます。

まず前提として、薬歴を書くことは手段であって目的ではなくPOSの実践を通じてその患者に応じたケアを行うことが最終的な目的ということを、講演の序盤で思い出させていただきました。これはつい忘れがちになるので、しっかり認識しておかないといけないなと思いました。


①入院で始まり退院で終わる薬歴
これはすごく違和感があるんですよね。“本当に”入院で始まり退院で終わる患者さんならいいですが、そうではなく入院は生活の一部であり、入院前も入院後も薬と付き合っていく患者さんの方が圧倒的に多いです。なので、入院中だけの薬歴になることがすごく勿体なく思います。うまく薬局と連携して、継続性のある薬歴になればなぁと考えています。事前に問題点が分かっていれば入院中に解決できるかもしれませんし、逆に退院後にフォローしてもらうことができると思いますので。

②指導したい時に自分の都合で指導ができる
これは、いいのか悪いのか…って感じで、薬局では患者さんが来られるのを待っていたので、すごく不思議な感じがします(電話等でフォローされている薬局薬剤師も多くいるようですが)。適切な指導タイミングや回数がまだ掴めてないので、これから掴めるように頑張っていきたいなと。つい、「後で、明日でいっか」と思ってしまい、タイミングを逃してしまうこともあるので…

③情報がとにかく多い
薬局では患者さんから聞き出さないとなかなか情報が入ってこなかったのですが、病院ではカルテ上に様々な情報が載っています。薬局時代からすると考えられないような環境ですが、変に先入観が入ってしまったり、先にアセスメントされてて聞くことがなくなったり、関係ないことが気になったり、薬歴がごちゃごちゃになってしまったり…
ソクラテス流にいうとクラスタリングをしないといけない、ってとこですかね。

④薬剤師以外の職種もアプローチしている
③にも少し書きましたが、病院では薬のことについて医師や看護師等の他職種もアプローチしています(正確に言えば、外来でもアプローチしているとは思いますが、カルテが見れないので、したかどうかがよくわからない、というところでしょうか)。自分が聞きたかったことを先に聞かれてしまっている、ということもよくあります。
これに関しては、同じことを聞いてもいのかなと思っています。聞く職種や質問の仕方によって答えが変わることもありますし、時間帯によって答えが変わることもあるでしょうし。“薬剤師”が聞くってことで安心感もあるのかな?とソクラテス先生とも話したのですが、その中でも、「薬剤師にしかできないアプローチ」ってのはあると思うので、そこは重視していきたいな、と(副作用の発現タイミングとか、相互作用の影響とか、かな??)

⑤服薬コンプライアンスが問題になることがほとんどない
入院中の薬は、うちでは看護師がしっかり管理しているので、よっぽどのことがなければ服薬コンプライアンスが問題となることがありません。おそらく薬局では一番問題になる項目なのかなとは思います。一つの武器を奪われたような感じで…もちろん、入院時の残薬を確認したり、退院後の生活状況を考慮して用法を調節したりはしますが。
そんな中で一つ大事なのは、自宅に帰ってしっかり継続できるように十分な指導を行っておくことだと思います。いわゆる「薬識」です。「薬識はゆらぐ」。これが今回の講演会で最も勉強になったことです。「薬識」とは、「自分の人生にとって、その薬がどういうものであるか捉えているか」という認識のようです。そしてそれはゆらぐ。つまり、薬が同じであったとしても、患者の薬識が同じであるとは限らない、ということです。入院中は、再教育できる重要な機会かと思います。医療者の認識と異なる場合はしっかりそこを埋め、また不安があるようならそれを取り除き、退院後にアドヒアランスを維持できるようにしていかないといけないと思いました。

病院の服薬指導のいいところは患者さんとゆっくり話ができることですね。薬局だったら待ってらっしゃる方がいらっしゃると短くせざるを得ないことがありましたけどね。特に入院中はみなさん暇なようで、よく話してくださることも多いですし。まあ、効率を考えると話しすぎにも注意は必要ですね。脱線してしまうことも多いですので。
しかしまあ、薬剤師生活は十数年目になりましたが、服薬指導は毎日反省の連続ですね。。。

ちなみに2部では「実践薬学」に沿って様々な豆知識や裏側を教えていただきました。こちらもすごく勉強になりました!あと1部で紹介された、「アップル薬局」での勉強会も素晴らしいなと思いました。
Img_20180407_163032_2

秋にエクスファルマ主催のソクラテス先生の講演会がまた大阪であるようですよ!

そしてその夜は「居酒屋抄読会」へ。「ネットワークメタ解析」の読み方を勉強してきました。詳細はこちらにまとまっておりますので、よろしければご覧ください。

4/8「化学構造式ワークショップ~薬のカタチを楽しもう~」に参加してきました。薬剤師として現場で働いていて構造式を意識することなんてほとんどないので、どういったときに使えるのかな?と考えながら。
Dsc_0080

とても分かりやすく説明してくださったので、比較的容易に理解はできました。アスピリン喘息に使用可能なステロイドと使用できないステロイドの例には、なるほど!と思いながら。
参加し終えて、作用や副作用を考えるときに、構造式を見てある程度推定できることはあるのかなと思いました。特に添付文書にはありとあらゆる副作用情報が載っていますので、本当に起こり得るかを検討することはできるのかなと思います。ただ、あくまでも推定の道具に過ぎませんし、曖昧なところも多いようなので、実際に使っていくのはなかなか難しいなと感じました。

構造式の現場での活用について学びたければ、こちらの書籍がオススメですね。数年前に読みましたが、すごく印象に残っています。



てことで、2日間、よく勉強しました!
あと、ラーメンもよく食べました!(ほんとうはもう1杯食べましたw)
Dsc_0079_2 Dsc_0081