リンコ's diary

田舎の地域医療を志す薬剤師

月刊ブログ 田舎の地域医療を志す薬剤師(2017.9)(「薬との付き合い方、サプリと健康食品」についての一般向け講演)

先日、町の健康づくり施策()の一環で、一般の方向けにお話しする機会をいただただきまして。「薬との付き合い方、サプリと健康食品」という題目で45分話してきました。聞かれていたのは2,30人で、平均年齢は60代中盤、9割女性でした。
せっかくなので、こちらでその内容を共有したいと思います。健康に興味のある方向けということで、ちょっと攻めてみました。

最初の自己紹介がてら、「スポーツファーマシスト」の紹介を少し。
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来年本県で国体があることもありまして、いい機会でしたので。意外と反応がよかったですね。話し方がよかった?()病院の薬でも市販薬でも引っかかることがあるんですよね、とか言いながら。ちょうど先日国体でのドーピング違反の報道もありましたし、県内の選手でしたし。

あと、薬剤師の業務を紹介しつつ本題へ。
「薬との付き合い方」については、いつも出前講座でやっている内容でして、以前こちらに書いたのとほとんど同じ内容でした。
これに加えて、最近は「‘トンデモ’医学情報」の話をしています。
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さらに今回は、
「‘トンデモ’医学情報」に参考になるいくつか書籍を紹介しました。

・「抗がん剤は効かない」の罪 勝俣範之()
いわゆる近藤本に対して書かれた本です。あれを鵜呑みにしてしまうのは危険なので、その前に一般の方には読んでほしいですね。
・「ニセ医学」に騙されないために NATROM()
巷に溢れている、いわゆる「ニセ医学」にメスを入れた本です。一般の方にどれが「ニセ医学」なのかを理解するのは難しいと思いますので、こういった書籍を読んで免疫をつけてほしいです。
・「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介()
こちらは医学の本ではなくて、経済学、統計学の知見からの書籍ですが、その中で「因果関係」と「相関関係」の違いや、「臨床試験の見方」を学ぶことができます。

あと、お薬手帳抗生物質の話のところで動画を流したかったのですが、時間がなくて断念しまして。せっかくなので、こちらで共有しておきますね。
総統閣下がおくすり手帳を持たない方にお怒りのようです。

3分動画 抗生物質が効かなくなる日

どちらもぜひ、一般の方に見てほしかったんですよね。反応も知りたかったんですし()

続きまして、「サプリと健康食品」の話。
ほんと、話したいことが多すぎて困りました。スライドは半分くらいお蔵入りになりましたね。。。
で、一般の方は何を知りたいのかな?と。「安全性」「有効性」「選び方」こんな感じなのかなと思い、話を組み立てました。
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まずは健康食品の分類分け(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品、その他の健康食品)から。この話はイマイチ盛り上がらないだろうからあまりしたくなかったのですが。これを理解しないと始まらないからとりあえずしましたけど、やっぱりイマイチでした。。。
それにしても、あまり知らなかったんですが、「機能性表示食品」という制度はとんでもなくひどい制度だと思いましたね。消費者に委ねすぎ。やはり経済政策以外の何ものでもない気がします。。。
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「消費者を欺く宣伝文句」ウケました!これ以外にも色々と噂は聞きますが、ほんとひどいっすね。
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次は「安全性」について。

アメリカでの栄養補助食品に関する救急受診に関する文献の話も織り交ぜながら。日本での健康食品による有害事象を少し紹介。ついでに先日の「プエラリア・ミリフィカ」の話もしておきました。あと、海外製のものは危険ですよ、と付け加えておきました。
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次は「有効性」について。
まずは、たまたまテレビで見かけた「著名人」の感想を引き合いに出して、個人の感想や有名人の意見は鵜呑みにしちゃダメですよ、と。あと〇〇博士とかいうのも気にしなくていいと。
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で、どうして効いたように思ってしまうのか?というお話。「3た論法(参考:朝日新聞apital「あの人に効いたら、私にも効くのか?」 )」「プラセボ効果」の話をしました。プラセボ効果の話題では。風邪薬もほとんどプラセボですよ、とか言ってしまいました。。。まあいいや。
さらに、マルチビタミンの長期服用の文献を紹介。私の文献の選択バイアスもあるとは思いますが、ほとんど効果はみられないことをお伝え。効果的という報告もあるようですが、間を取ればほとんど効果がないように思います。Caサプリ等他のビタミン・ミネラルサプリについても話をしたかったのですが、時間がなく、私の下調べも足りずに、それは断念。

次に怪しい健康食品たちの「ワード」をたくさん紹介。公開したいところですが、ここで公開すると、「その界隈」の人たちから袋叩きにあいそうなので止めておきます()ついでに空間除菌の話もして、全否定しておきました。このスライドはかなり盛り上がりました。空間除菌効果は知らない方が多かったですので、伝えられてよかったな、と。一応、医学の常識は数年後にひっくり返ることがあるので、という言い訳はしておきました。

次は、「あのトクホはどのくらい効くのか?」ということで、「体脂肪を減らすのを助ける」という某トクホの論文を読んでみました。あっ、日本語の論文ですからね!しかしまあ、トクホの効果を示した論文は一般公開しておいてほしいんですけどね。なんで金を払って買わないといけないのか…てことで、斬っておきました!

アウトカムについても確認しておきました。これが大切です。

で、まずは商品のホームページに出てきているグラフを使いながら、「批判的吟味」のポイントを紹介。
・患者層(この商品の試験は、対象がBMIの高い人というのがポイントでした)
・使用量、期間(あくまでもこの量、期間での報告ということが大切)
・対照群があることが重要!ということ
RCT(ランダム化比較試験)(説明もしておきました)が望ましいこと。
・アウトカム

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こんな感じで、アウトカムの確認をしました。
「ヒトを対象とした試験が重要」というのを伝えるのを忘れてましたね…

で、論文に書かれている結果を見ていきました。グラフには「腹部全脂肪面積の低減」が謳われていましたし、それは事実ではありますが、論文を読むと体重や腹囲に変化はないことが分かりました。驚かれている方が多かったですね。やはりそういったところに期待があったのでしょう。ちなみに有害事象に差はなかったです。
で、再びアウトカムの話。「代用のアウトカム」と「真のアウトカム」を意識しましょう!という話をしました。疼痛のアウトカムはちょっと違うかもしれませんが。ダイエットの真のアウトカムは何でしょうね?人によって違うでしょうね。体重なのか、スマートになることなのか、モテることなのか、疾患の改善なのか。
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最後に「健康食品のまとめ」を。
まずは、『いわゆる「健康食品」に関するメッセージ』を紹介。一番強調したのは、まとめに書いてあった「健康の保持・増進の基本は、健全な食生活、適度な運動、休養・睡眠です。」ということ。やはりこれに尽きます。
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次に、若干強引に、日本人のヘルスリテラシーが諸外国に比べて低めであることを紹介。これは私が言いたかっただけ。ほんとはじっくり紹介したかったけど、時間がなくて断念。
で、最後のスライド。なんだかんだでこれが超大事。
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散々disっておいて、最後にこんなことを言うのは卑怯な気もしますが、でもまあそんなものなのかな、と。

最後の最後に、お薦めのホームページと書籍を紹介。
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特におすすめは、
・朝日新聞
apital 「これって効きますか?」
毎週毎週勉強になります。一般の方は情報の収集方法など、凄く勉強になるのではないか、と。いくつか、今回の参考にさせていただきました。

あと、書籍はこちらがオススメ。

・健康になれない健康食品~なぜニセ情報はなくならないのか~(佐藤健太郎 著)
いくつか読んだのですが、これが一番上手くまとまっていた気がしますし、大変勉強になりました。他の書籍は、明らかに健康食品やサプリを
disってたので、、、

そんなこんなで、45分のところを60分くらいしゃべって終了。すみませんでした!
テーマの幅が広すぎて、45分はしんどかったです。
若干disりすぎたり、極論を言い過ぎたことは反省です。途中で楽しくなってきて、つい言いすぎてしまったりも。その辺の「いい塩梅」というのは難しいですね。

てことで、今回話をした感想

・一般の方に話をするのは難しいけど、楽しい!
・薬剤師がこういった情報発信をする「場」をもっと増やさないといけない!
・「トクホ」とか「機能性食品」とか、商品も制度もほんと酷い!


来年も機会があれば、今回の反省を活かして頑張りたいです♪

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